ギレンは生き残りたい   作:ならない

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ルウム会戦(6)

地球連邦宇宙軍ルナツー駐留艦隊所属マゼラン級戦艦【コレスタル】

 

「どうした?」

 

「一瞬だけ何かが光った様でして・・・・」

 

艦橋後部に位置する見張り台、そこには多くの観測員が詰めている。ミノフスキー粒子が実用化されて以降、目視での索敵の重要性は否応なしに上がっていた。そのため見張り台には五機の固定式双眼鏡の他に手持ちの双眼鏡を装備した観測員が任務に当たっていた。

 

「どれ、見せてみろ」

 

ベテランの観測員は部下の固定式双眼鏡を覗きこんだ。確かに僅かな光りが点滅を繰り返している。

 

「これは・・・・発光信号!?ブリッジこちら右ウィング六時の方向に信号らしき光りを確認した!!」

 

「更に発光を確認!!」

 

艦橋の指揮所からの返答が帰ってくる前に部下の叫び声が聞こえて来る。急いで双眼鏡を覗きこむ、今度は先程の様な弱々しい光りでは無く強い光り、それも一つの光りからそこから花火の様に広がり何百もの光りが宇宙の暗闇に輝いた。

 

「発砲炎だ!!攻撃を確認!!」

 

瞬間、爆炎が艦全体を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

共和国軍第一機動軍団団長機MS-14JGS【ランバ・ラル専用ゲルググイェーガー指揮官仕様】

 

青いゲルググイェーガーは手に持った弾切れの220mm対艦ライフルを投げ棄て腰にマウントしたビームライフルと90mmマシンガンを其々手に持った。

 

「敵艦隊が混乱している間に一気に突入、乱戦に持ち込む。全機続け」

 

『『『『『了解』』』』』

 

ラルの機体は一気に加速する。それに続いて三百機以上のモビルスーツが一斉にブースターを吹かし連邦艦隊に突撃して行く。その中には通常の塗装の機体の他、パーソナルカラーに塗装された専用機も混じっていた。開戦以降多大な功績上げて来たエースパイロット達だ。ブレニフ・オグス、ノルディット・バウアー、ジョニー・ライデン、エリック・マンスフィールド、シン・マツナガ、ギャビー・ハザード、グレニス・エスコット、共和国のトップエース八人、その八人に及ばなくともエースと呼ばれる多くのパイロット達がこの戦いに参加している。青が赤が黒が白が迅雷が疾風が騎士が死神が現在そう呼ばれる者、後に呼ばれる者が参加している。

 

 

 

 

 

 

 

 

連邦宇宙軍ルナツー駐留艦隊旗艦マゼラン級戦艦【アナンケ】

 

「対空弾幕!敵を近付けるな!」

 

「二番艦モスクワ大破!七番艦ダルラン轟沈!」

 

「右舷に被弾、ダメコン急げ!」

 

艦橋内はオペレーター達の悲鳴や怒鳴り声で埋め尽くされていた。

 

「ボール隊は密集、艦を盾にして対空戦をさせろ」

 

カニンガンの命令に参謀がギョッとする。

 

「艦を盾にでありますか!?」

 

「このまま各個撃破されるよりましだ。急げよ」

 

命令はボール隊に伝達された。

 

 

 

 

 

 

 

 

共和国軍第一機動軍団所属MS-14JG【黒い三連星ガイア用ゲルググイェーガー】

 

連邦艦隊全体が混乱する中で未だ統制を失わず頑強に抵抗する艦を見つける。その艦を中心に艦隊が統制を取り戻しつつある。

 

「アナンケか」

 

『カニンガンの艦だぜ』

 

『殺っちまうか?』

 

艦自体の対空砲、ボール隊の射撃で近付く事も危険だが、ここで統制を取り戻されては味方が危険だ。経験の薄いルーキーは特に、三連星のリーダーとしてガイアは決断する。

 

「オルテガ、マッシュ、アナンケにジェットストリームアタックを掛けるぞ!!」

 

『オッシャ!!』

 

『応!!』

 

黒い三連星は何の躊躇も無く濃密な弾幕の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

連邦宇宙軍コロニー駐留艦隊旗艦マゼラン級戦艦【ホレイショ・ネルソン】

 

背後から敵モビルスーツ部隊に襲撃されて三十分ほどが経とうとしていた。連邦艦の多くが沈んだ。このホレイショ・ネルソンも被弾して多くの死傷者を出していた。ワイアット自身も頭を負傷して包帯を巻いている。

 

「カニンガン提督の安否は確認できたか?」

 

「未だに不明です」

 

先程アナンケが沈んだと言う情報が上がって来て混乱が起きたが戦場全体が混乱しているため不確定だと断じた。が、ワイアットはカニンガンの生存は絶望的と理解していた。そこに最悪の一報が入る。

 

「軌道艦隊旗艦タイタン撃沈!!」

 

艦橋に衝撃が走る。

 

「ティアンム提督は!?脱出したのか!?」

 

報告を上げたオペレーターは首を横に振り

 

「艦橋に直撃を受け・・・・」

 

ワイアットは力無くシートに座り込んだ。

 

「提督このままでは・・・・」

 

参謀の声に項垂れたままに答える。

 

「全滅か・・・・」

 

事ここに至っては選択肢は二つしかない、徹底抗戦か降伏か、だが

 

「イギリス紳士として不名誉な選択は取れんな」

 

結果はどうあれ戦える戦力を持ちながら敵に降る事の何と不名誉な事か

 

「全艦に通達せよ!!」

 

故にワイアットは命令を下す。

 

「全艦」

 

自らが信じる名誉有る選択をする。

 

「戦闘行動を停止、共和国軍に降伏を申し入れる」

 

この場で最も不名誉な事とは自身の名誉のために兵士達を無駄死にさせる事だ。

 

「やれやれ、二人共面倒事を押し付けて先に逝きおって・・・・」

 

後は生き残った兵士達を故郷に帰すため、敗軍の将の仕事を全うするだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに史上最大にして唯一の宇宙会戦が終わった。

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