鉄血兵を拾いました   作:ムリーヌ

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脱走日記 12日目~××日目

~脱走日記 12日目~

 

結局、トーチカを出て移動する事にした。

 

何もせずに収まるのを待つより、食料を探しつつ移動して安全圏に出た方がマシだと考えたからだ。

 

長い距離を移動して近くの半壊したコンビニから缶詰め等の保存食を幾つか手に入れたが、他は駄目そうだ・・・長い間、放置されたのか保存食以外は腐ってる。

 

幾ら腹が減っても腐ってるのは無理だし、リッパーも両手で鼻を押さえてる始末だ。

 

~脱走日記 13日目~

 

移動していたら夜になったから近くの廃ビルで夜を明かす事にした。 

 

やっぱり、迂闊に明かりは着けず、月の光だけで夜を過ごすのは堪える。

 

今、日記を書いてるがリッパーが俺に抱きついて寝てくるから書き辛い。

 

本当に、こいつは何者なんだ?

 

他のリッパーとは違う行動、たまに見せる子供みたいに物事に興味を示す姿勢、声帯機能が潰れていた訳・・・ 

 

今思えばこいつの事をあまりに知らなすぎる・・・だが、その答えを得るのは先ず難しいだろうな

 

~脱走日記 14日目~

 

今日は生憎の大雨模様。

 

雨がザァザァなり続ける中、こんな日に外に出ようとはおもわない。

 

だから、雨がなりやんだら移動を開始する事にしたが、よく耳を澄ませば遠くから爆発音が鳴り響いている。

 

どうやら、また戦場が近くなったらしく、今は音は小さいがその内にハッキリと聞こえる様になるだろう。  

 

追っ手のAR小隊は俺達を探し回っているんだろうな・・・裏切り者の俺を捕まえる為か、始末する為に。

 

~脱走日記 15日目~  

 

・・・突然だが・・・リッパーが捕まった。

 

俺がうたた寝して目を放した隙にリッパーが外に出てしまったらしく、リッパーがいない事に気付いて辺りを探したらAR小隊に取っ捕まっていやがった。

 

あの馬鹿、一体何やってんだか・・・。

 

・・・もしかしたら、この日記は今後書けなくなるかもしれん。

 

俺は、リッパーを助けに行く。

 

幸いにも服はグリフィン指揮官の物があるし、帽子を目深く被れば顔はハッキリしないだろう。

 

万が一には・・・俺が護身用として持ち歩いているトカレフTT-33がある。

 

言っておくがまだ終わらないからな。

 

俺は生き残る・・・勿論、リッパーとだ。

 

短い付き合いなのに、もう彼奴無しじゃ生き残れないんだろうな・・・

 

~脱走日記 16日目~

 

リッパー救出の時が来た。

 

場所はグリフィン駐屯地、そこにリッパーが収容されている筈だ。

 

痕跡から何とか辿り着いたが出てしまったやはり、警戒が強く、戦術人形が至る所で油断なく警戒している。  

 

俺は・・・はっきりと言えば自殺行為としか思えない。

 

だが、だからこそ彼奴の為にも行かないとならない。

 

じゃあ、行くよ・・・今度は、後悔のない様な生き方をする為にな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~××× ××日目~

  

今日は、彼の命日。

 

彼は戦場で、一人の愚かな男として死んだ日。 

 

彼はたった一人の、人類の敵である私を助ける為に変装して乗り込んで、見つかって、勝手に死んでいった。

 

私がどんなに辛い尋問をされても吐かなかったのにあの人は来た・・・

 

彼は見つかった時、私を優先して逃がしたばかりに無数の銃弾に撃ち抜かれ、倒れた。

 

私は必死に逃げた、彼がした様に見捨ててしまった・・・

 

私は普通に生きたくて、楽しく生きたくて、恋して生きたった。

 

でも、戦争がそれを望まず、上からの命令で出撃した私の近くで爆発が起きて死にはしなかったけど声帯機能を奪い、部隊が散々になって、見捨てられた。

 

途方にくれて泣きそうになった時にあの人にあった。

 

無愛想なのに面倒見があって、優しくて、人が良い・・・そんな彼はもういない。

 

私が最後に見たのは、彼を見下ろす様に視線を向け、踏みつけ、最後にその手に持つライフルを発砲する私達を尋問した黒い帽子とコートの白い長髪の女性の姿だった。

 

私は・・・生き延びた。

 

鉄血の雑兵なんて捕虜にしても無意味なのだと考えたからなのかな・・・

 

この日記は最後に隠れたあの場所にひっそりとあった・・・だからこうして書いてる。

 

遺書の代わりに。

 

もう耐えられない・・・あの人がいない世界なんて・・・戦争がまだ続くこの世界から少しでも早く離れたい!

 

・・・日記越しだけど止めないでね。

 

もう、頭に銃口を突きつけ終えたから・・・

 

さようなら、もしかしたら読んでるかもしれない名もない読者さん。  

 

【此処から先は血が滲んでいる・・・】

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