鉄血兵を拾いました   作:ムリーヌ

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次回予告

戦火と血、人や油の燃える匂い、崩れた瓦礫に其処らじゅうに落ちている薬莢、無惨に曝された人形と人間の死体。

 

醜い景色と匂いが支配するこの戦場は、昔も今もグリフィンと鉄血の戦争の場となって争いあっている。

 

終わらない戦いの中、戦場を駆け抜け、手に持つ大斧と散弾銃でグリフィンの戦術人形を蹴散らし、殺戮して回る女がいた。

 

闇の様に深い黒い長髪、全てを見通し恨んでいる様な紫の鋭い瞳、黒い将校服とその上に羽織る血濡れのグリフィンの軍帽とコートの女。

  

その姿は最初こそグリフィン指揮官と思わせるが、グリフィンの戦術人形はすぐに気づく。

 

あれは・・・自分達を狩る存在だと。

 

その頃、グリフィンではグリフィンの社長で最高責任者のクルーガーとヘリアンが険しい表情をしつつ画面を見つめていた。

 

「この女が新たに確認されたハイエンドモデルか?」

 

「はい、未だに情報は不足していますが名前は復讐者(リベンジャー)。現在、交戦中の血の戦線と呼ばれる戦場の指揮官だと言うのは分かっています」

 

「リベンジャー・・・何故、我々グリフィンの指揮官の軍帽とコートを着ている?あれは奴なりの皮肉か?」 

 

「いえ、そこまでは・・・ですが、はっきりとした情報があるとすれば・・・あの軍帽とコートの持ち主は我々グリフィンの支配区域の基地から脱走したアウスト指揮官の物だと言うのは分かっています」

 

ヘリアンの言葉にクルーガーは眉間を深く寄せてリベンジャーの事を考える。

 

グリフィンの制服の一部を纏い、戦場に立に、リベンジャーと呼ばれる由縁・・・クルーガーには何故、その様な事をするのか理解が出来なかった・・・理解こそ出来なかったが一つ分かる事があった。

 

「・・・あのハイエンドモデルには、アウストと深い関わりがあるだろう。出なければ鉄血のハイエンドモデルがグリフィンの制服を纏いはしないだろう」

 

クルーガーがそう言って画面を見る。

 

そこに確かにいる復讐者の姿を目に焼き付けながら・・・。

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リベンジャーは血の戦線の片隅にある一つの廃ビルにいた。

 

そこはかつて、リベンジャーの思い人アウストと最後に過ごした場所。

 

自分の失態でアウストは命を落とす切っ掛けを作ったリベンジャーにとって忌々しい場所だった。  

 

「・・・アウスト」

 

リベンジャーは後悔の最中、逃げる事は許されないと割りきり、歩いて外に出ていく。

 

そしてリベンジャーが完全に外に出て離れた時、廃ビルは大きな爆発と共に崩れる。

 

リベンジャーは爆発と共に振り返るもすぐに興味を無くし、立ち去っていく。

 

その目に鋭くも強い意思を持って、戦場へと赴く。


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