UAがもう1000近くまで伸びてて、内心かなり喜んでる作者です。まだ序章ですが、これからもがんばっていきたいと思います。
―――クレア達が街へ来る少し前。
ラグーナ島内陸部にある森林地帯。その奥にある滝の近くに、一人のフードを目深にかぶった人物がいた。
「・・・・・・。」
フードの人物は、数刻の間滝を見つめていると、その場に魔方陣を一つ描き、その奥に存在する洞窟へと迷わず足を進めていった。
滝の裏にある洞窟。その最奥部には、青白く輝く水晶が安置されていた。フードの人物は、最奥部へと歩を進めると、迷うことなくその水晶に手を触れた。
すると、水晶の前の地面に魔方陣が出現し、光に包まれたフードの人物は光が消えるとともに、その姿も無くなっていた―――。
―――そして数刻の後、フードの人物が描いていった魔方陣の上に召喚陣が浮き上がり、無数の異形達が出現し、街やビーチの方へと、無秩序に侵攻を始めるのだった。
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「ハァ! セイッ!!」
「やぁ! たぁ!!」
「ハハハ~! イッツ、ショーターイム!!」
「マスターさん、街の人達の避難、完了しました!」
「サンキュー、アスカロン! 後はティル達の援護に入ってくれ!」
「はい!」
―――街の中で聞こえた破壊音と悲鳴に反応したオレ達は、さっきまでと打って変わって張りつめた空気でその場所へと向かった。途中でデュリンと一緒に買い物に来ていたロンちゃんとも合流し現場へ向かうと、そこには街の近くの森から来たと思われる骨の異形や、巨大な土くれの巨人等が、逃げ惑う人々を標的にして暴れていた。襲われてる人達を見たティル達は、すぐさまその間に割って入って人々を逃がすように異形達と戦い始めたが、オレは人々を襲っている異形達を見て、内心驚愕してた。
(おいおいおいおい・・・! なんでここにFGOの『スケルトン』やら『竜牙兵』やら『ゴーレム』やら*1が居るんだ!?)
そう、目の前にいる異形達は、オレが前世で『ファンキル』と並んでよくプレイしていたソシャゲの一つ、『Fate/Grand order』の雑魚敵筆頭候補の『スケルトン』、『竜牙兵』、それに『ゴーレム』だったのだ。転生してからというもの、この世界で様々な任務で『天上世界』の色々な所へ赴くことはあったし、その中で他の世界と交流する事は無かったわけではないが、こんな風に完全に別世界の敵そのものがまんま、それもこれほどの数が出てくる、と言う事は今まで無かったはずだ。なんでこんな事に?
「? マスターさん? どうしたんですか、マスターさん!?」
衝撃的な事実に数瞬動きを止めてしまうオレだったが、アスカロンに声を掛けられた事で、ハッと意識を現実に引き戻した。
そうだ、今は動きや思考を止めてる場合じゃない。まずは人々を安全な所に避難させ、こいつらを倒す。全ての原因を調べるのは、その後でいい!
「すまん、アスカロン。ちょっと思考が飛んでた。お前はデュリンと一緒に、ビーチの方に避難誘導を頼む。あそこなら、まだみんなが居るから安全なはずだ。」
「っ、はい! 分かりました!」
アスカロンはオレの指示を聞くと、先にティルから指示を受けたであろうデュリンと一緒に避難誘導をしに行った。それを確認したオレは、なだれ込んできてる敵達から人々を守りながら戦うティル達へと指示を出しに行った―――。
―――っていうのがちょっと前の話。で、オレ視点の最初の場面にようやく戻ってくるんだが。
「ん~、もう! どれだけ倒せばいいの~!? キリが無いよ~。」
そう、フライ姉がぼやいてる通り、コイツら叩いても叩いても、ちっとも数が減らないのだ。いくら一騎当千の斬ル姫たちが揃ってるといっても、これだけ数で押され続けては流石に疲労の色が見えてくる。あのティルでも、少し肩で息をし始めてるあたり、そのすさまじさが分かると思う。
とはいえ、これだけの数をオレ達や他の休暇で来てるマスター達に隠し通せるはずもないだろうから、どこかに発生源、というよりはコイツらを転送してきてる何かがあると思う。だから、それを潰せれば何とかなるはずだ。さて、それをだれに任せるかだが・・・。
今、街中で敵を食い止めてるのは、ティル、ロンちゃん、クーゲル、フライ姉に、今避難誘導を終わらせて合流したアスカロンの5人。敵の強さ自体はそれほどでもないから、この中から誰か一人が抜けたぐらいなら、ギリギリ抑えられるとは思う。ただ、ロンちゃんはこの中では唯一の槍使いで、クーゲルと一緒にミドルレンジで遊撃してくれてる重要なポジションだから、抜けるのはまずい。クーゲルも同様。フライ姉はクーゲルとは違って、ボードに乗って*2空中からロングレンジでの支援を主としてるから、場所を見つけるのには適してる。ただ、もし抜けた場合、クロスレンジで切り込んでいってるティルの負担が増えるだけ。となると、同じポジションをこなせるティルかアスカロンのどっちかに頼むのがベストだろう。ただ、今回の場合必要なのは、転送元の何かを手早く片付ける『速さ』だ。なら、頼むのは自ずとどちらか。オレの中で、この状況を打開する次の指示を決めるのは早かった。
「フライ姉、そっちの方で空中から何か見えないか?!」
「えっ!? ん~・・・。っ、マスターくん!! 森の滝のある辺りで、何か光ってるよ~!」
「サンキュー!! ティル、そこは一旦アスカロンに任せて戻ってこい!!」
「っ、マスター?」
「フライ姉が、森の奥にある滝の辺りで、光ってる場所を見つけてくれた! たぶん、そいつが発生源だ! それさえ止めれば、後は掃討するだけでこの戦いは終わる! ついて来てくれ! 他の皆は、継続してそいつらを足止めしといてくれ! 頼んだぞ!!」
「はい!」
「ハ~イ!」
「は~い! ティルフィングちゃん、マスターくんを頼んだよ!」
「フライシュッツ・・・。分かりました! アスカロン!」
「はい、後は任せて下さい!」
「頼みます! ハァ!」
ティルは近くに寄ってきてた竜牙兵を一撃で斬り伏せると、すぐさまオレに追従してきた。そして、4人が抑えてくれてる間に、オレ達は滝がある森林の奥へと駆けていった。
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「・・・っ、マスター。見つけました。あれですね?」
「ハァ、ハァ。す、すまん。ちょっと待ってくれよ・・・。えー、どれどれ・・・。」
マスターと共に、異族とも違う異形の存在を生み出しているであろう何かを破壊するべく、途中異形の存在と遭遇しないよう少し迂回しながらも到着できました。
現在私達は、滝を挟んで反対側の方から様子を伺っています。すぐに破壊したいのは山々なのですが、その、マスターが少し息を切らしてるのと、異形の存在が未だ出現しては、街ともう一つ、別の方角へと足を向けているのが気になり、マスターに破壊対象を確認してもらって、それから行動に移すべきと判断したので、こうして様子を伺っている次第です。
「あ~、だな。って、地面に直に魔方陣を描いて、その上に発生してる召喚陣から出てきてんのか。」
「はい、そうみたいです。おそらく、フライシュッツが視認したのは、その召喚陣だったのでしょう。」
「ふむ・・・。で、もう一方の向かってる方角・・・って、アレもしかしてビーチの方か?」
「っ、本当ですか?」
「あぁ、たぶんな。まぁ、あっちにはデュリンやアロさん、シェキさん達もいるから、防衛戦自体は問題ないと思うが・・・。」
マスターはそう言ったものの、渋そうな顔をしていました。おそらく、自分の指示のせいで一般の人々を危険に晒してしまったのを後悔してるのかもしれませんが、すぐに表情を元に戻し、私に尋ねてきました。
「・・・ティル、アレ剣でぶっ壊せるか?」
「・・・視認する限りは可能だと思います。ただ、何かしらの防御が張ってある場合は・・・。」
「その限りじゃない、か。確かに、スケルトンや竜牙兵はともかく、あんな見るからに重そうなゴーレムを召喚して、地面に影響出てないってことは、何かしらの物理干渉用の障壁はあると見た方が自然か。」
さてどうするか、と呟いて、マスターは少し考え込み始めました。まぁ、流石にフライシュッツから破壊対象の詳細を聞いていなかったので、こちらに来たはいいものの、その後はノープランな気は、マスターの性格から察してはいましたが。幸い、異形の存在はこちらに気付いていないため、少しぐらいは時間があるでしょうが。
と考えていると、突然対岸の方から大きな振動と破砕音が聞こえてきました。
「うおっ、何だ何だ!?」
「っ、新手です、か・・・。」
「ん、どうした・・・、って、あ~、なるほど・・・。」
「・・・察して頂きましたか。」
「あぁ(察し)。アレは、なぁ・・・。」
振動と破砕音のした方角を確認したマスターと私は、その原因が判明したと同時に、場違いだと感じながらも苦笑してしまいました。確かに、『彼女』であれば、あれほどの事をしてもおかしくは無いですよね。・・・おそらく、(彼女的には)貴重な昼寝の時間を邪魔されて、相当怒り狂ってるのでしょうから。
「―――よくも・・・、よくも私の貴重な昼寝を邪魔してくれたねこのウスノロどもがぁぁぁぁぁ!!!」
―――私とマスターの視線の先にいたのは、眼をぎらぎらと光らせ、赤黒い大剣で別の方角、ビーチ方向へと向かっていた異形達を相手に、地面を砕くほど暴れながらこちらへと接近してくる、レーヴァテインでした。