先月の間に何とか投稿したかったのですが、意外と時間がかかってしまい、結局こんな時期になってしまいました。本当にすみません。お陰で、序章終了後に投稿される予定だったキャラ紹介が先に投稿されてしまうという事態になってしまいました。重ねて、申し訳ありません。
その上、ちょっと長くなりそうだったので、重ね重ね申し訳ないのですが、前話同様前篇、中編、後編と分割して投稿させていただきます。ご了承ください。
それと、遅くなりましたが、3621のUAと54件のお気に入り登録、6件の感想を送っていただき、有難うございます。これからも精進していきますので、どうぞよろしくお願いします。
では、序章最終話、前篇です。
2019/8/4 台詞が少し足りてない部分があったので、軽く加筆しました。
「ビーチへ避難していた街の人々ですが、無事に帰す事が出来ました。それと、街の被害状況についてですが、防衛にあたってくれたアスカロン達のお蔭で、襲撃を受けた森林に程近い地域以外には、被害らしい被害は無い、との事です。現在、有志を募って、アルテミスやマサムネを筆頭に、復興作業の手伝いをしている所です。」
「そうか。ありがとう、ティル。それにロンちゃんにフライ姉も。それと、すまんな。醜態を晒した挙げ句、仕事を丸投げしちまって。」
「気にしなくていいよ~。あんな状態のマスターくんに、仕事を任せるのは、流石に酷だったし。」
「そ、そうですよ。マスターも、レーヴァテインさんの無茶振りに振り回されてお疲れのようですし、こういう時ぐらい、私達に頼ってください。」
異形達との戦闘から少し時間が経ち、オレはティルとフライ姉、ロンギヌスに集まってもらい、現状の確認と、|先程の醜態«第5話のラスト»について謝罪していた。本来であれば、オレが率先してそういうのの指揮をとらないといけないんだけど、レヴァさんのハンモック設営に張り付けにされてしまい、疲労困憊となってしまったオレは、そういったのを全部ティル達に丸投げしてしまう事になってしまったのだ。
言い訳をさせてもらえるなら、オレも最初は事後処理の指揮を優先したかったんだが、レヴァさんが「これ以上は待てない」と駄々をこねるわ、挙げ句、
「・・・もしこれ以上私を待たせるっていうなら、さっきの場所、更地にしてもいいけど。」
と、半ば脅迫めいた事をすごい笑顔で言うので、皆に申し訳ないと思いながらも、泣く泣くハンモック設営を手伝うはめに。ただ、実態は手伝いとは名ばかりのただの丸投げだったのだが。アイツ、時々こうやって無茶苦茶な事やらせてくるけど、何か恨まれるような事・・・、あ~、心当たりがない訳でもないな。何度か無理に叩き起こしたり、そんなに今ほど気楽に話す関係じゃなかった頃に、随分馴れ馴れしく接してたりしたし。大抵の人が聞いたら理不尽と思うかもしれないが、アレはオレの態度とかにも問題があったかもしれないから、強くは言えないんだよな。まぁ、実際のところは分からないので、その話はまた今度の機会にするとしよう。
で、どこまで話したっけ。あー、そうそう。レヴァさんのハンモック設営をして、その後疲労困憊で倒れたんだよな。レヴァさんの要望に逐一応えなきゃならんわ、何か荷物移動とかの雑用まで押し付けられるわ、挙げ句寝るのの手伝いまで・・・。そんなこんなで疲れ果てたオレは今、冒頭の報告を聞きつつ、ティル達に介抱してもらっている。ただまぁ、3人ともオレを気遣ってくれてか、膝枕を代わりばんこにしてくれていて、今はちょうどフライ姉の順番だったりする。感想に関しては・・・、ノーコメントで。ただ、ティルが一番落ち着けたかなという気がした、とだけは言っておこうかな。
「ム~、マスターくん。今、ティルフィングちゃんの事考えてたでしょ~?」
「ゑっ?」
何故バレたし。フライ姉、勘良すぎないか? と思っていると、
「フフフッ。恋するお姉ちゃんに、隠し事は無駄だよ~。」
と、言われた。恋するお姉さん、恐るべし。今後は迂闊な事を考えるのはやめておこう。
一方、オレ達の話題に上ったとうの本人はと言うと、
「? 私が、どうかしましたか?」
と、若干きょとんとしていた。・・・不覚にも、ちょっと可愛いと思ってしまったが、あまり口に出して言うものでもないだろう。ロンちゃんも、何か複雑な笑みを浮かべてるし。
とまぁ、そんな風にほんわかした空気のままで、このまま過ごしてもいいのだが、やはり一つ、解決しておかなければならない疑問がある。それを放置しておくのは流石に後味が悪いし、何より今後の仕事に差し障る可能性もある。場合によっては、教会に報告して、何かしらの対抗策を講じる必要も出てくるはずだ。
「っ、マスターくん? どうしたの、そんな怖い顔して。」
「? あぁ、すまん。ちょっとな。膝枕、ありがとう。フライ姉。」
「ん~? もう大丈夫なの?」
「あぁ。」
そう言って、フライ姉の膝枕から起きて、胡坐の姿勢をとった。まだ日が照ってる砂浜ならともかく、木陰のある地べたでなら、ちょっとひんやりするぐらいで済むしな。
そうして坐り直し、また難しい顔を浮かべると、ティルが察して話しかけて来てくれた。
「・・・やはり、先程襲撃してきた、異形達の事ですか?」
「あぁ。フライ姉、ロンちゃん。悪いけど席外してもらってもいいか? ちょっとティルと話がしたい。」
「えぇ~? また秘密の会話? マスターくん、お姉ちゃんもそろそろ混ぜてくれても――」
「まぁまぁ、フライシュッツさん。マスターも、ティルフィングさんと大事な話があるんですから、ね? ほら、行きましょう。」
「えっ? ちょ、ちょっとロンギヌスちゃん?! わ、わかったから引っ張らないでって~!?」
ティルとの『秘密の会話』に参加したいと駄々をこねるフライ姉を連れて、強引に浜辺の方へといくロンちゃん。ごめん、フライ姉。流石に事情を知らない人に、この事を聞かれるのはちょっと色々と不味いからな。まぁ、そもそも神様と敵対してる『エンシェントキラーズ』の1人だし、本人の感情を込みで考えると、事情さえ話せば参加させてもいいとは思ってる。けど、流石に今は時間が無いし、あまり多くに拡散されても困る。口が軽いとは思ってないが、これに関しては万が一を考えておかないとな。
ただまぁ、対応がちょっと強引すぎたかもしれない。オレに対して、他のみんなとは何か違う感情を特に向けてくれてる3人の中で、唯一オレの『事情』を知らないから、いつもこんな感じで蚊帳の外に置いちゃってるのは申し訳ないとは思うが。実際、目の前にいるティルもちょっと複雑な表情を浮かべてるしな。
「・・・マスターの『事情』を知らないとはいえ、いつもこれでは、流石にまずいですよね。」
「・・・フライ姉にも、またいつか話そうとは思ってる。ただ、それは今じゃない。」
「ですね。・・・早くても、向こうに戻ってから、ですか?」
「だな。そっちなら、またゆっくり話せるしな。」
ティルにはどうやら、オレの話そうと思っていたタイミングは分かっていたようで、返事しながら、互いにどちらからともなく苦笑した。ただ、フライ姉の事をいつまでも話しているわけにもいかないので、すぐに空気を真剣なものに切り替えた。
「・・・さて、ティルはもう『事情』知ってるし色々省くが、あれは別世界から召喚されたものとみて、まず間違いない。」
「やはり、ですか。」
「あぁ。それも、異世界とかいうレベルの場所から、だな。」
「異世界・・・。そんな存在が、どうしてここに?」
「・・・正直に言うと、わからん。オレ以外に、別世界の魂が『転生』して何かしでかしてるのかもしれないし、はたまた別の思惑が絡んでるのかもしれない。」
「現状では、原因が分からない。そういう事ですね?」
「そうだな・・・。仕方なかったとはいえ、魔法陣も派手にぶっ壊したから、調査しようにもなぁ。」
今思い返すと、人的被害をなるべく最小限にしようと動いていたとはいえ、もう少しやりようがあったのではと考えなくもない。ただ、やはり被害を抑えるという面を重視するのであれば、あの場ではおそらく最善の策だった
はず・・・。でも、もしこれが何かの前触れ、もしくはオレの『事情』絡みの問題だとすると、明らかにオレという『異物』がいる以上の歪みが起こってると考えられる。直接の原因がもしオレじゃなかったとしても、間接的にでもオレのせいでこの歪みが起こったのだとしたら、その決着はオレ自身でつけなきゃいけない。それがあの日、『女神』様に救われ、原典とは異なる存在としてこの地に降り立った、オレなりのケジメの付け方だ。
「・・・マスター、そんなに思いつめないでください。この場にはいませんが、ロンギヌスも、そして私もいるんですから。」
「ん、急にどうしたティル?」
「急に、ではありません。今のマスターの顔は、その、見ていてすごく、胸が痛みます。そんなに私は、私達は頼りないですか?」
「・・・あっ。」
ティルの泣きそうな眼を、こちらを心配する表情を見て、オレはハッとなった。しまった、またオレの悪癖がでてたか。つきあいの長いティル曰く、オレは割と表情に出やすいらしく、自分自身の事で色々と考えていると、時々恐い表情になってる事があるらしい。どうやら、またそんな表情をしてたから、ひどく心配させてしまったようだ。
「す、すまん。またオレ・・・。」
「・・・謝らなくて、いいです。謝るぐらいなら、『頼りなくない』って、証明して下さい。」
「・・・どうやって?」
「・・・言葉で言わないと、分かりませんか?」
そう言って、右腕を左手で押さえ、ほほを赤くして拗ねるようにそっぽを向くティル。・・・そこまでされたら、流石のオレでも何となく、察しがついた。・・・それが『頼りなくない』って証明になるのかは、オレにとっては疑問なんだが、滅多に我を通さないティルが求めてきてるのだ。応えなければ、マスター、いや、それ以前に男として失格というものだろう。
オレはそっと立ちあがってティルに近づき、顔を正面に向かせて、優しく抱きしめた。・・・正面に向かせた時に、一瞬キスしようかと思ったが、流石にそこまでやるのは、ティルとしても不本意だろう。やるにしても、オレの思いを告げて、それが実ってからと決めてるし。別に日和ったとか、チキンだとか、そういうのでは決してないからな!
「これでいいか?」
「・・・ダメです。もっと、もっと抱きしめてください。もっと、あなたの鼓動を感じられるぐらい。」
「分かった。」
ティルを抱きしめる腕に、もっと力を込める。すると、恐る恐るといった感じで、ティルの方からもこちらに抱きついてきた。そして、オレに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、こう言った。
「・・・マスターは、不器用なんですよ。誰にだってきっと、自分一人で背負うには重いと感じるものがあります。私だって、そうです。でも、それを一人で背負う必要はないはずですよ。たとえ、それを共有できる人や、共感してくれる存在が少なくても、私は、私だけは、いつだってあなたの傍にいます。何があろうと。・・・いえ、これは不適切ですね。私と、ロンギヌス。それにフライシュッツや、他の隊の皆も。『事情』を知らない人達も、きっとあなたの事をもっと知ってくれれば、きっとそう言ってくれるはずです。」
「ティル・・・。」
「だから、何度でもいいます。マスター、一人で抱え込まないでください。今は少なくても、私とロンギヌスが、あなたの苦悩を分かち合いますから。」
そういうと、ティルは顔をこちらに向けて、優しげな笑みを浮かべた。それは、さっきまでの悲しそうな顔よりも綺麗で・・・。あぁ、やっぱりこの表情が、オレは好きだ。ティルはやっぱり、笑顔が似合う。それを曇らせてたなんて、やっぱりオレは・・・っと、ダメだダメだ。こんな風に考えたら、またティルを心配させてしまう。それじゃ堂々巡りだ。オレもちゃんと、言葉で伝えないと。
「すまん、ティル。オレ、やっぱりダメダメだな。お前にそこまで言われないと、いや、言われても、中々直せないなんて。」
「フフッ、構いません。これでも、付き合いは一番長いですし、そういう難儀な性格だという事は、分かってますから。それに、そんなあなたの事が、私は・・・。」
「ん? 悪い、後半よく聞こえなかったんだが・・・。」
「ッ!! い、いえお気になさらず!! 何でもないので!!」
そう言って、顔を真っ赤にして恥ずかしがるティル。いや、今回はマジで何言ってるか聞こえなかったんだが。何だろう、もしかしてオレも、どっかしらに鈍感スキルを持ってるとか、か? それはさすがに嫌なんだが。まぁ、本人が何でもないって言うなら、何でもない・・・のか? でも、ここで無理やり聞くのは、なんかデリカシーに欠けるというか・・・、とか考えていたら、唐突に視界に誰かが走って来たのが見え、こちらに来ると同時に叫んだ。
「マスターさん、来てください!! フォルカスちゃん、が・・・、。」
「ハァ、ハァ・・・。ま、待って下さいアスカロンさん! 今マスターの所にいく、の、は・・・・。」
「マスターくん! ちょっと緊急事た、い・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
最初に来たのは、何か焦ったような表情から唖然とした表情へと変わっていったアッスーことアスカロン。そして、その後ろからアッスーを追って来たであろうロンちゃんとフライ姉であった。二人も、最初は焦った表情をしていたのだが、目の前の状況を見て理解した途端、徐々に真顔に変わっていった。
さて、勘のいい読者諸君は気づいているだろうが、今の状況、一言で言うなら『ヤバい』、である。今、彼女達の視界には、互いに抱き合っているオレとティルのみが映っていて、しかもかなり密着気味。そして、そんな状況をアッスーはともかく、ロンちゃんとフライ姉に見られた。・・・うん、もうはっきり言おう。『修羅場』であると。まずい、このままだと間違いなく、あのスケルトン達の襲撃直前の状況の二の舞、いや、それ以上に厄介な事になりかねん! だというのに、見られると思ってなかったのか、あまりの状況に身体が固まってしまい、動けそうにない! それに、何故かはわからんが、最低でもロンちゃんとフライ姉だけでも説得出来そうな弁明も今は思いつかない。どうした、オレの頭! そ、そうだ! ティルなら何とか二人を説得を、とそちらを見てみると、ティルの表情が見る見るうちにまっ赤になっていき、口をわなわなとふるわせながら開いた。
「・・・・・・・・・・き。」
「き?」
「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「ぶべらっ!?!?」
「っ、マスターさん!?」
「っ、マスター!!」
「っマスターくん!?」
(おそらく)ティルの(斬ル姫としての)全力で、思いっきり突き飛ばされるオレ。そして、オレの方が浜辺側にいたため、オレは浜辺を『ローリンガール』よろしくゴロゴロゴロゴロと転がっていき、何か分からんが唐突に舞い上がって海へと落下した。あぁ、沈むってこういう感覚なのか・・・、とか割とヤバそうな思考が片隅をよぎったが、そんな事を考える暇もなく、浜辺の方から微かに聞こえる声を聞きながら、オレの意識はそこで途絶えたのだった。
シャイなティルさんは、イチャイチャしてるところを見られると、全力で色々とやらかしちゃうイメージがありますw