五等分の花嫁 √中野三玖   作:おとぎの

4 / 17
少しづつ文字数を増やしていきます。
ではどうぞ(´・ω・`)


#4 五年前と今の私

 

 

 

 

 私は何をしていたんだろう。

 

 学校から帰って今は自室にいる。

 

 

『五倍頑張ろうってこと! 私はみんなのお手本になるんだ』

 

 

 昔のことを思い出していた。

 

 私には、

 一花のような積極性は無く。

 二乃のように美味しい料理を作ることは出来ない。

 四葉のように運動神経が高くなければ。

 五月のように皆をまとめる力もない。

 

 食堂で食べ物を分けてくれた彼のように勉強も出来なくて。

 

 何も、出来なくて。

 

 

 私は五年前に京都で撮った写真を、黒薔薇女子の生徒手帳から、今日転校した学校の生徒手帳に移した。

 その写真に映っているのは、五年前の私と金髪の男の子、上杉風太郎君。

 同じ写真を何故彼が持っていたのか、生徒手帳を返す時に聞いてみよう。親戚とかに、風太郎君がいるのかもしれない。

 

 だけど·····。

 

 聞いたところで、私は何がしたいのだろう。

 堕落した今の私を見たら、きっと風太郎君は軽蔑する。

 

 例え彼が風太郎君の事を教えてくれても、何も出来ない私のままではとても顔を合わすことなんて出来ない。

 

 なら。

 

 今からでも間に合うだろうか。

 諦めるだけの自分は、もう辞めると決めた。

 

 父が言うには、どうやら明日から家庭教師が来るらしい。なら丁度いい。そこから始めよう。

 

 

 

 いつか風太郎君に、胸を張って会える自分になるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だって風太郎君は、五年前に私が恋した·····私の初恋の人だから。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 どうやって話しかければいい·····?

 

 中野さんには特に変な印象は持たれてはいないはず。

 しかし、俺は中学生あたりから友達というものと全くと言っていいほど縁がない。

 他人と最低限しか関わって来なかった俺としては、他人と話すなど·····しかも異性となるとハードルがかなり高い。

 だがどうにかして話さなくては·····いやどうせ今日家庭教師で家に行く時に必然的に会うんだし、別に今でなくとも·····。

 

「では、授業を終わりにする。宿題の提出期限は守れよー」

 

 迷っているうちに授業終了の鐘が鳴り、教師が教室を後にする。

 昼休みになり食堂へ行く人、教室で弁当を食べる人と行動は様々だ。

 そして肝心の中野さんは·····まだ席に座っているな。周りには誰もいない·····迷っていてもしょうがないし、今行くしかないか。

 

 意を決して、ガタッ。 と席を立ったその時。

 

「三玖ー。一緒に食堂に行きましょう」

「あ·····うん。分かった」

 

 声の主は教室の扉の前には星の髪飾りを付けた女子生徒だ。

 中野さんが昨日言っていた、中野さんの姉だろうか。その女子生徒に中野さんはついて行ってしまた。

 

 ·····。

 

 敗因は俺の行動の遅さ。別に誰かと勝負をしているわけでわないが、無性にあの女子生徒に負けた気がする。

 まぁ中野さんの家で必ず会うんだし、別にその時でもいいだろう。

 

 

 気を取り直して俺も食堂に行くとするか。·····今日はなんと·····らいはの手作り弁当だからな!

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 どうやって声かけよう·····。

 

 昨日自分を変えると決めたばかりなのに·····そう簡単じゃないか·····。

 

 数学の教科書で顔を隠しながら彼を伺う。今日一日見てて思ったのだが、どうやら彼は相当勉強が出来るらしい。黒板に答えを書くように先生に指されても、問題なくスラスラと解くし、授業中も集中していて、気が散ることが全くない。私は盛大に気を散らされているけど。

 

「では、授業を終わりにする。宿題の提出期限は守れよー」

 

 考えがまとまらない内に授業が終わってしまう。

 

「三玖ー。一緒に食堂に行きましょう」

「あ·····うん。分かった」

 

 妹の五月も来てしまった。五月に連れられ、教室を出て食堂へ向かう。

 これは諦めて5,6時間目の自分を信じるしかない。なかなか言い出せない自分も悪いのだが、今は五月に妨害された気がするので·····少し嫌味を言ってやることにした。

 

 食べ物の恨みは恐ろしいのだ。

 

「昨日の夜、何食べたの?」

「えっ!? ·····みんなで二乃の手料理を食べ·····」

「違うでしょ·····。貴女は11時くらいに冷蔵庫を漁って私の抹茶あんみつを勝手に·····」

「そ、それ以上は·····! そ、そうだ、プリン!食堂のプリン美味しいんですよ〜。今日は三玖にプレゼントしちゃいます!」

 

 姉が何も知らないと思ったら大間違いだ。

 

 

「太るから、要らない」

 

 

 隣にいる五月は口をあんぐりと開け、こちらを見て固まっていた。

 

 少し、やりすぎたかも。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「三玖が意地悪してきました」

「五月は一週間買い食い禁止よ」

「なんでですか!?」

 

 五月の悲痛な言葉に、二乃が容赦のない返答をする。

 

「アンタねぇ、自分の体は自分で管理するもんよ。目の前の皿を見なさい!」

 

 醤油ラーメン大盛り。チャーシュー半熟たまごトッピング。サンドイッチとデザートにプリン。

 

「明らかに1000キロカロリー超えてるわよ·····あぁ見ただけで胸焼けしてきそうだわ·····」

「運動とかよくする四葉がこれなら分からなくもないけど·····これはまずいよねー」

「一花まで!? 」

 

 私は食堂に来て、姉妹のみんなと合流していた。

 私の昼食はサンドイッチと抹茶ソーダ。昨日からマークしていた飲み物だ。

 日本の和を体現してると言っても過言ではない『抹茶』と主に人工甘味料と合わせた飲み物として売ってる場合が多い『炭酸』。相入れることのなかった二つが奇跡の融合を果たしたのだ。もちろん美味しい。

 

「て言うかアンタもだからね、三玖。なんでまだ生徒手帳返せてないのよ。今日時間あったでしょ」

 

 五月と言い合っていた二乃の矛先が私に向けられる。

 

「だって名前分からないし、なんて声掛けたらいいか·····」

「名前ぇ? そんなもん生徒手帳見ちゃえばいいじゃない」

 

 表紙に書いてなければ中にもないと思う。勝手に中身を見るのも悪いし·····。そう、まだ私は彼の名前さえ知らない。

 

「とにかく、三玖は生徒手帳を返す、五月は買い食いくらいは控えなさい!」

「「はい·····」」

「なんだかお母さんみたいですね」

 

 四葉がからかったように言う。

 

「誰がお母さんよ!」

 

 

 

 抹茶ソーダをまた一口。やはり落ち着く。家の冷蔵庫に常備してもいいかもしれない。

 

 そろそろサンドイッチを·····とサンドイッチを包む包装を取ろうとした時。

 

 偶然、目があったのだ。私の座っている席の向かい側から歩いてきていた。

 お昼分けてくれた優しい人。

 

「「あ」」

 

 いきなりの出会いに互いに固まってしまう。

 彼が手に持っているのは、昨日とは違い巾着袋。今日はお弁当を持ってきているのだろうか。

 

「ん? 三玖どうしたの?」

 

 手が不自然な形で止まっている私を見て、一花が声をかけてくる。そして私の視線の先に目を向けた。

 

「あの人だよ」

「え? 何が?」

 

 

「あの人が、私にご飯分けてくれた人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





五月は新しい学校周辺のラーメン屋を探しています。

どうも、フィヨルドです。

ようやく風太郎と五つ子を会わせることが出来ました。
こっからどんどん甘くしていきますよ。三玖頑張っちゃいます。

また明日も投稿するので、よろしくお願いします
(´・ω・`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。