速度と文章力、良くなっていきたいなぁ。
「じゃあ、俺はこれで·····」
目当ての人と目が会って、そしてわざわざ一旦引くのは自分でもチキンだとは思う。だが仕方の無いことだ。できれば中野さんに話しかけたかったが、周りを見ればわかる通り、中野さんは今姉含む友達と昼食を取っている。邪魔しては悪いだろう。
決して異性が多く話しかけられなかったわけではない。
さっさといつもの席に座ってらいはの手作り弁当を食べるとしよう。
「 い、行っちゃうの·····?」
小さく、食堂の喧騒にかき消されてしまいそうな中野さんの声が、だがしっかりと聞こえた。
このまま聞こえないフリをしてもよかったが·····再び中野さんと目が合い、立ち去ろうにも立ち去れなくなってしまった。
「いや·····」
「いいじゃん。席、探してたんでしょ? 私たちと一緒に食べていけばいいよ」
「邪魔するのも悪いだろ·····」
中野さんと一緒に昼食を取っていたショートカットの女子が俺に声をかけてくる。
俺の逃げ道がだんだんと塞がれていく。これだよ、女子特有の行動。男子はいつの間にかに選択肢を絞られ、結局従うしかなくなる。
「なんでー? 美少女に囲まれてご飯食べたくないの?」
「それ自分で言うか·····」
「彼女いないのに?」
「き、決めつけんな!」
ついにショートカットの女子は席を立ち、俺の正面に回り込んで来る。
「三玖も話があるみたいだし、いいでしょ? ほら!」
早速詰んだ。やはり恐るべし、女子。
どうやら逃げ道は完全に断たれてしまったらしい。
まぁ、どうせ中野さんとは話をしたかったのだ。女子の友達が沢山いるのは少し気まずいが·····ズルズルと後に引っ張るよりいいか。
◆◆◆
結局俺は中野さんと四人の友達と昼食をとることになった。
「三玖。取り敢えずあれ返しちゃいなさいよ。こうでもしないと出来ないんだから」
「うう·····」
髪に蝶の羽のような髪飾りをした髪の長い女子が、中野さんに何かを返すように促す。
俺に? 一体何を·····。
そう言われ中野さんはカバンからあるものを取り出し、俺に差し出した。
「これ·····昨日忘れてたから」
それは生徒手帳だった。慌てて胸ポケットを触るが確かに無い。何故今まで気づかなかったんだろうか·····。割と大切な物も入っているというのに。
「ああ、乾かしたままだったか。助かる·····それと·····」
「あの! 名前、なんて言うんですか!?」
生徒手帳の中身は見てないか問おうとしたが、俺の対面に座っている、頭にうさぎの耳の形を模したリボンをつけた女子に声は遮られてしまう。
生徒手帳に挟んである俺の昔の写真、あれはあまり見られたくないものだった。金髪で、なんだか恥ずかしいし。
「そう言えば中野さんにも俺の名前、まだ言ってなかったな」
俺はうさぎリボンの女子の質問に答えた。
「俺の名前は、上杉風太郎だ」
「えっ·····」
俺が名前を告げた途端、何故か中野さんが驚いていた。
·····?別に変な名前ではないと思うが·····一体どうしたんだ?
「何よ三玖、この人知ってるの?」
「え?·····えっと·····」
蝶の羽の髪飾りを付けた女子が中野さんに問いかける。だが驚いていた本人は上手く答えられていない。
「はい! 私知ってますよ! 確かテストで毎回満点とっちゃう人ですよね!」
っ!そういうことか。というかやはり恐ろしいな女子。転校二日目にして俺の噂を知っているとは·····。あること無いこと言われてないよな·····?
「えっ! なんでそれ知ってんだよ! あー恥ずかしい!」
「何? 私たちに対する嫌味かしら、それ。」
嫌味? いや別にそういうわけではないが·····。
「あとそれと、何よその『中野さん』って。一体誰のことを指してるのかしら?」
「上杉さんは、まだ私たちのこと知らないんじゃないんですか?」
と、星の髪飾りを付けた女子。ん? 知らないって何がだ? なんだか俺と向こうで認識の違いがある気が·····。
「
ちなみに私は
一瞬なんのことかわからずに思考が停止する。しかし俺の日頃から鍛えている脳は今の言葉と俺の記憶を照らし合わせ、正しい解を導き出した。
―――最近引っ越してきたお金持ちのお家なんだけど。
―――相場の五倍のお給料が貰えるって!
―――名前はなんだっけ·····。そう!
―――
つまり、そういうことらしい。
「この乱れたショートヘアが一花」
「乱れてるって何!?」
紹介された一花不満そうに頬を膨らます
「こっちの薄いヘッドホンが三玖·····ん? 三玖ー?」
「·····」
俯いて元気がないように見えるが·····大丈夫か?
「まぁいいわ。この悪目立ちしてるリボンは四葉」
「二乃はそんな風に思ってたんですか!?」
「この人がどんな印象持てるか予想してるだけよ」
·····否定はしない。
「そしてこの大食いが五月よ。これに関してはみんなが同じことを思っているわ」
「男子に向かってそういう紹介はやめて下さい!」
目の前で大盛りラーメン食べててよく言うな。·····スープまで飲み干してるし·····。
驚いた。性格はバラバラっぽいが、確かに顔は似ている。
肝心なことが明らかになったところで、どうやら俺も腹括る時が来たようだ。こんなところでつまづく様じゃこれから先、五人の相手なんて到底無理だろう。
俺は、意を決して五人に質問した。
「変なこと聞くかもしれないんだが·····今日から家庭教師が来たりしないか·····?」
「来るけど·····ってなんでアンタがそんなこと知ってるのよ!」
―――あーやっぱりか。
これは覚悟決めないとなぁ。
相場の五倍ってそういう意味ね。
要するに、
俺はこの五つ子全員の家庭教師をするってわけだ。
「いや·····どうやらその家庭教師·····俺っぽい」
「「「「えっ?」」」」
「う·····そ·····」
その時。
ガタッ という音を鳴らし三玖は勢いよく立ち上がった。
「私、先に教室に戻ってるね·····用事、あるから」
「え?」
俺が振り向いた時には、三玖の姿は既に見えず、
「アンタ三玖に何したわけ·····?」
「いや·····俺自身身に覚えがないんだが·····」
やっぱ俺、嫌われてんのかな·····?
◆◆◆
まだ会いたく無かったはずなのに。
嬉しかった。
五年たっても私の気持ちは全然変わってなかったんだ。
顔に帯びた熱は、授業までに覚めるだろうか·····。
彼女がいないと何故バレた?
どうもフィヨルドです(´・ω・`)
五つ子集合時の会話難しい·····。
それと、
☆9評価
いっぱんぴーぽーさん、ユンパロンゼトンさん
☆8評価
モジーさん
ありがとうございます!
明日も投稿するので、よろしくお願いします。