私は『我らが救世主を崇め讃える会』会長です 作:通りすがりの錬金術師
「ん……」
ここは……どこだ。アタシは確か、フィーネに捨てられて……。
「あ、よかった。目が覚めたのね」
いきなり聞こえた声に思わず飛びあがり警戒する。
「ちょ、ちょっと!?立ち上がっちゃダメ!」
アタシに声をかけた奴は顔を赤くして目を背ける。たまに視線がアタシの下半身に……ハッ!?
「なんでだよ!?」
「その、流石に下着までは代えがなかったから……」
……まあ、いわゆる乱暴されたとかじゃないだけ良かったと思っておくか。布団を被ってとりあえず隠す。
「私は小日向 未来。あなたは?」
「……クリス。雪音クリスだ」
「そう、クリスって言うんだ」
「一人で何してたの?友達は?」
「友達、いないんだ。パパとママが死んで、忙しくて」
「あ、その、ごめん」
勝手に話したのはアタシだ。気にしないでほしい。てか、なんでアタシは初対面のこいつにこんなこと話してんだ!?
「……そういうお前は?」
「うん、ちょっと……喧嘩しちゃって」
「そうか。……ならお前、そいつのこと一発ぶん殴ってやれよ」
「え?」
「一発殴って、それで許してそのあと仲直り。簡単だろ?」
アタシ様らしい、いい考えじゃないか?
「それは、出来ないよ」
「ふーん。そういうもんか?」
まあ、人には得意不得意があるし、仕方ねぇか。
「あら、未来ちゃん。お友達起きたの?洗濯終わったから干してくるわね。ミライちゃんもありがとう、休んでていいわよ」
「じゃあ私が代わりに手伝います!」
あの子は洗濯の手伝いに行って代わりに別のやつ。アタシみたいな銀の髪でメガネをかけている。
「………」
「………」
「………」
「………」
気まずっ!?何か喋れよ!?いや、アタシは……ふれる話題なんて持ってないし……。
「ミライです」
「あ?」
「先詠 ミライです。よろしくお願いします?」
「なんで疑問系なんだよ……クリスだ。雪音クリス」
「貴女は……いえ、なんでもありません」
「?」
なんだ、こいつ?よくわかんねぇ奴だな。
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くっ、何を話したらいいか分からず、自己紹介だけして終わってしまいました。しかし彼女、クリスさんはネフシュタンに声がそっくりですが……。つい、聞こうかと思ってしまって声をかけたが、小日向さんたちがいることを思い出して止めた。私からふれる話題は………もしかして何もない!?え、えっと………。
「ミライ、クリス。二人してどうしたの?」
「え、あ、小日向さん……」
「な、なんでもねぇよ。話題が出なかっただけとか言えねぇし」
「そう?あ、今日は天気がいいからクリスの服はすぐに乾くと思うよ」
「あ、ありがと……」
クリスさんの服が乾くまで待っている間に、奇跡的なタイミングで私たち三人のお腹が同時になった。その瞬間、三人とも顔を赤くしてその後に笑った。それを聞いたのか、フラワーのおばちゃんがお好み焼きを作って持ってきてくれた。ありがとうございます。ただ、クリスの食べ方が豪快過ぎて、私と小日向さんで少し矯正しようとしたけど、美味しそうに食べるものだからやめておいた。流石にお腹が空きすぎてそうなったのだと思うから。
あ、そういえば学校……。
――――――――――――――――――――――
「し、失礼しまーす……」
「立花さん!」
「ひっ!?」
「今日は、いったい何をしていたのですか?」
「えっと、その、寝坊しました……」
「はぁ……後で職員室に来なさい!」
「は、はいっ!」
「それで、小日向さんと先詠さんは知りませんか?」
「へ?未来……じゃない、小日向さんは私より先に部屋を出てましたけど……」
……大丈夫だよね?未来。
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クリスさんの服も乾いて、着替え終わったその時。サイレンが辺りに鳴り響いた。
「これって……」
「未来ちゃん!ミライちゃん!それにお友達も!避難するよ!」
「お、おい!これってなんだ?」
はぁ!?ノイズ警報を知らない!?
「何言ってるの!?ノイズが現れたんだよ!」
「ノイズ……まさか!?」
それを聞いたクリスはシェルターとは逆、人が逃げてくる方向へと駆け出した。
「クリス!?」
「私が連れ戻して来ます!小日向さんはおばちゃんを!」
「う、うん!ミライも気をつけて!」
何を考えているかはわかりませんが、ある意味好機!誰も、やらせはしない!同じく人の来る方向に駆け出し、ノイズのいるだろう場所へ急ぐ。人のいなくなった所で最近習得した早着替えで一瞬のうちに黒ウォズスタイルへと変わる。ビヨンドライバーを腰に巻くのも忘れない。ウォッチを片手に持ち、いつでも変身出来るようにする。
「見つけた!」
クリスは胸元を握りしめ、ノイズに囲まれている。
【ウォズ!】
【アクション!】
「変身」
【投影!フューチャータイム!】
【スゴイ!ジダイ!ミライ!】
【仮面ライダーウォズ!ウォズ!】
「ハァッ!」
「ムンッ!」
そして私がジカンデスピアでノイズを切り裂くのと、風鳴司令が現れアスファルトをめくり盾にするのが同時だった。
「な、お前ら……」
「無事か!?」
「ッ! Killter Ichaival tron 」
これは……。まさか、クリスは。
赤いシンフォギアを纏い、両手にガトリングを展開したクリスはそれでノイズを撃ち抜いていく。
「見ての通りだ!おっさんはさっさと他のやつを助けに行きやがれ!」
「……ッ!わかった。死ぬんじゃないぞ」
「誰にもの言ってんだ!アタシ様をなめんじゃねぇ!」
クリスはシンフォギア装者。しかし、二課の装者は我が救世主と風鳴 翼の二人のはず……。ならクリスは?なぜ風鳴司令はクリスの事を知っていた?後で聞きにいくべきか。
「とっとと終わらせる!」
「同感だ!」
ガトリング、弓、ミサイル、拳銃……様々な遠距離武器でノイズを撃ち抜くクリス。私も負けじと槍を振るい、時に拳や蹴りでノイズを粉砕する。
「消えろ、ノイズども!」
最後は必殺技。無事にノイズを倒し終わり、クリスの方を見るともうその場からいなくなっていた。変身を解き、私も小日向様が待ってる方へと向かう。もちろん、カメラなどないところで先詠 ミライへと戻ってから。……とりあえず空さんにメールで確認しておこう。クリスについて。
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「フィーネ。これからどうするのです?」
「ふん。どうせ、貴様はわかっているのだろう」
「ええ、ですが様式美というものですよ」
「カ・ディンギルは完成した。しばらくしたら行動を起こす。
それよりも、貴様。黒ウォズとやらはどうするつもりだ」
「ええ、彼女を倒すにはいささか戦力が足りませんので。そろそろ来る彼らを貰おうかと」
「ほう?アナザーライダーとやらを全投入しないのか?」
「嫌ですねぇ。それをしようものならまず間違いなく人類最強の彼が出てきます。彼にはアナザーライダー総出でも勝ち目が見えません」
「ああ……やはりか」
「それに私の目的は、貴女が目的を達する事でも達成は可能なのですよ」
「融合症例一号を消すことだったか?なぜそこに執着する?」
「それは貴女には関係のないことです。一つ言えるのは、それが世界を救う事に繋がると言うことです」
「まあいい。しくじってくれるなよ。もし、そうなれば……」
フィーネと呼ばれた女の姿が変わっていく。何一つ纏っていない全裸から、鞭のついた金の鎧姿に。
「このネフシュタンの錆にしてくれる」
「おお、怖い、怖い」
ミライちゃんが他人を呼ぶ時は基本さん付け、ただし黒ウォズスタイルの時は一部除き呼び捨てになります。(今更)