デビルメイクライのゲームストーリーを主軸に話が展開致します。
そのうち完全オリジナルストーリーも投稿したいと思います。
午後の気だるい日差しの中、ロバート・ウォルトンは、庭に生えているマルバノキを何気なく眺めた。
雑木の庭に使われる、ややマイナーな低木である。
日陰でも育つという特徴があり、日向に植えると季節の移ろいと共に葉が赤、黄色、紫など色々と変化する特徴を持っていた。
「こんなに美しい木が何故、マイナーなんだろうな?私には理解出来ないよ。」
隣を歩いていた旧友のアンブロシウス・メルリヌスは、手を伸ばして赤く色づくマルバノキの葉に優しく触れる。
長い黒髪を後頭部で一つに纏め、ペリドットを思わせる吸い込まれる様な透明感のある緑の瞳が特徴的な美少年であった。
「さぁな・・・生憎庭木には興味がない。」
ずんぐりむっくりなやや小太りで、容姿も並みな自分にはメルリヌスとは余りに不釣り合いで隣を歩いているのが気恥ずかしくなる。
彼と初めて会ったのはウェールズ南西部にある小国ダヴェドであった。
そこの宮廷魔術師と名高いオルフェウスの教えを請う為に、彼の居城を訪れたロバートは、この黒髪の美少年と巡り合ったのである。
「先生はまだあの部屋に閉じこもっているのか・・・・。」
ロバートは城壁の2階に位置する師の書斎を見つめる。
ウェールズでも優秀な魔術師として知られる自分達の師、オルフェウスがこの絶海の孤島『マレット島』に移り住んで早2年。
まるで何かに憑りつかれたかの如く、師はあの書斎で研究に没頭している。
一歩も部屋から出ず、食事も此方が定期的に声を掛けなければ、平気で食べる事をしない。
「君は、”クリフォト”っていう言葉を知っているかい?」
「なんだい?それは・・・・?」
兄弟子の言葉にロバートが訝し気に聞き返す。
「生命の樹”セフィロト”と対なす存在らしい。最も、此方は人間の七つの大罪を象徴している邪悪な樹だ。」
「邪悪な樹・・・・?」
「そう・・・バチカル(無神論)、エーイーリー(愚鈍)、シェリダー(拒絶)、アディシェス(無感動)、アクゼリュス(残酷)、カイツール(醜悪)、ツァーカブ(色欲)、ケムダー(貧欲)、アィーアツブス(不安定)、キムラヌート(物質主義)・・全て人間の負の部分を指している。」
「それが一体何だって言うんだ?」
兄弟子が一体何を言いたいのか分からない。
その”クリフォト”と師であるオルフェウスの異常な行動と何か関係があるとでも言うのであろうか?
「これを言ったら君は、私が気が触れたと思うかもしれない。」
透明な緑色の瞳を細め、メルリヌスは、マルバノキの赤色の葉を一枚千切った。
「”クリフォト”と呼ばれる存在は、異界に実在する木だ。日向に植えると様々な色が付く葉がなるこの木の様に、”クリフォト”は、あるモノを与えると強大な力を持つ魔力の果実を実らせる。」
手の中でマルバノキの小さな葉を弄りながら、稀代の天才魔術師は、怪しく輝く緑色の瞳を弟弟子に向けた。
「・・・まさか・・・君は”異界送りの儀式”をしたのか・・・?」
余りにも写実的な内容に、ロバートの脳裏に魔導士間で禁忌とされているある儀式を思い出した。
冥界の渡し守―死神・カロンと盟約し、肉の躰を持つ術師が地獄門を潜って異界へと渡る召喚術である。
「フフッ・・・いくら私でも死神・カロンと契約出来る程の技術はないよ。」
そんな弟弟子の憂慮をメルリヌスが笑って切って捨てる。
しかし、その笑顔はすぐに消え去り、能面の如き無表情へと変わった。
「だが・・・オルフェウス先生程の術師なら、カロンと契約出来るかもしれない・・・そして実際この眼で見たのかもな?・・・クリフォトの魔界樹を。」
春先だというのに冷たい風が二人の頬を撫でて行った。
現在、カラッカラの脳みそをフル活動して書いてます。