慧「うおーい!?なんだこれ!?なんか知らないけど変なコーナー始まったんだけどー!?」
恭「変とはなんだ変とは。これはれっきとしたあらすじ紹介なんだぞ」
慧「それに普通に順応している貴方はすごいですね・・・えーっとこれを読めばいいのか?普通の高校生である鳴谷慧は、ドーターにして対ザイ戦の切り札であるアニマの少女、グリペンと共にザイと戦う運命にある・・・なんかどっかで聞いたことあるフレーズだな」
恭「こまけーこたぁいいんだよ。そんで、前回まで、俺以外のアニマ全員が戦闘機にのってバトルロワイヤル繰り広げたんだけどもその結果はファントムの圧勝!」
慧「その理由がクラッキングによる妨害込みですけどね・・・」
恭「まあ戦場じゃあ味方にそんなこたすりゃあ軍法会議レベルな事だが・・・まああとで叱っておいたから許して」
慧「はあ・・・っていうか、何故にいきなりこんなコーナー始めたんですか?」
恭「ああ、作者が実は最近仮面ライダーにはまっていてな。ついでに主要キャラがちょうどいい数揃ったからやりたいって思ったんだろうよ。後は察しろ」
慧「あー、分かりました」
恭「そんなわけでどうなる第九話!」
「本日〇六三〇、東シナ海南西部の防空識別圏にザイが侵入した。ただちに那覇基地所属の自衛隊機・嘉手納の米軍機がスクランブルしたものの双方被害は大きく撃退には至っていない。敵残存勢力は石垣島北方百五十キロ上空を周回中。観測機の報告によれば一部が近隣の無人島に落下したらしい。ひょっとして燃料切れかと思われたが」
八代通がプロジェクターを操作し、ある画像を映し出す。それには山がちな小島の空撮写真だが、本来なら鬱蒼と緑生い茂るはずの島に、なぜか所々煌いて見える。
「落下したザイの破片・・・なんて生易しい物じゃなさそうだな」
恭平がそう呟く。彼は知っているのだ。ザイは決して、なんの意味もなく不自然な行動はとらないという事を。
「お前の懸念通りだ。もろもろの分析結果から、こいつは察するに、敵のFOBだ」
「FO・・・なんですか?それ」
聞き慣れていない慧など知る由もないだろう。
「Forward Operating Baseの略でな。山頂にレーザーサイト、山肌を利用したシェルターに各設備を繋ぐ通信網。これ全ては基地に最低限必要な設備だ。即ち、前線基地」
「前線基地!?」
「厄介な事になったな・・・」
驚く慧を他所に、恭平は険しい表情でプロジェクターを睨みつける。
「別に驚く事じゃないだろう。奴らがタクラマカン砂漠で発見されて早二年。奴らの行動範囲は数千キロに及んでいる。まさかその間ずっと飛んでいた訳でもあるまい」
だから、どこかに中継地点があってもおかしくないのだ。
「必要最低限の設備さえ用意しておけば、奴らは自然に補給してまたどこかに飛べる・・・別に俺たちのような人間の肉体はないんだ。あるのは無限にあるあのへんな体とコアだけ・・・でもだからこそ、その基地が出来た場所があまりにも厄介すぎる」
「基地が出来ると何か悪い事でも?」
グリペンが、そう質問してくる。
それに対して、八代通がプロジェクターを操作しながら説明する。
映し出されたのは、日本の南側を映す地図だ。その地図に、いくつかの線が引かれていた。
「まず、これが第一列島線、極東における対ザイ戦の防衛ラインだ。現状ここが維持できているおかげで太平洋の航路・空路は守られている。少し広いが『
さらに操作すれば、大陸からの矢印が日本を囲む。これだけ見れば、慧でも理解できる。
防衛ラインが崩壊し、日本はさらなる危機的状況に落とされるという事だ。
そこで恭平が口を挟む。
「それで、今回ザイが基地を作ろうとしているのは、まさしく第一列島線の真上。ここを連続して抑えられると、当然のように太平洋側の防衛ラインが崩壊する訳だ。そうなれば、直接的な意味でも間接的な意味でも破滅的な状況には変わらない」
「じゃあどうするんですか?」
「決まっているだろう?できる前に潰す」
八代通がそう断言する。
「イーグル達が行って蹴散らして来ればいいの?」
「馬鹿、落ち着け」
「わわ!?」
妙にはしゃぐイーグルの頭を恭平がわしゃわしゃと撫でまわす。
「事はそう簡単な事じゃねえんだよ。相手は前線基地、たいして俺たちは対地特化の戦闘機を持ってるわけじゃない。仮令、目一杯爆装してもどれほど打撃を与えられるかわかったもんじゃないんだぞ?」
「それに、上空には直掩の戦闘機が複数います。爆装のみ、対空装備なしでいけば、それこそ自殺行為。どうなされるおつもりですか?」
「基地への攻撃は、自衛隊・米軍が行う」
ファントムの質問に、八代通はそう答える。
その答えに、ファントムは首を傾げる。
「対地ミッションの編隊が随伴するという事ですか?」
「いや、それじゃあ俺たちが護衛しきれない。だとするならば・・・・ミサイルか?」
「察しが良くて助かる。一尉の想像通り、第七艦隊の残存艦艇、及び石垣島の陸自によるミサイル飽和攻撃を行う」
つまり、ミサイルの航続距離を利用したアウトレンジ攻撃を行うという事なのだろう。
大量のミサイルを投下すれば、流石のザイでも対応しきれないだろう。だが、それでは一つ問題がある。
ザイの持つEPCM。これがある限り、電波で動くミサイルは空中で爆破されかねない。
であるなら、どうするべきか。
「ファントムを中間地点とすることでミサイルの誘導システムを受け持ち、ナビゲーションしてザイの基地に叩きつける。それで他の二機を直掩に回して護衛させる、と・・・こういう認識でいいか?」
「ああ、それで構わない」
「なるほどな・・・・」
ふぅむ、と考え込む恭平。
「つまり、私自身が空飛ぶ電波標識になれと?」
そこでファントムが口を挟む。
「そうだ。これだけのミサイルをさばけるのはお前のようなベテランだけだ。偵察ポッドを換装すればデータ・リンク機能も向上できる。下手な早期警戒管制機よりは指揮・管制能力は機体出来るだろう」
「確かに私ならその手の任務には適任でしょう。すでに三沢でも経験している事です。恭平さんが操縦して、私が管制に集中出来れば、問題はないでしょう。ですが・・・」
ふと、ファントムは慧、グリペン、イーグルの三人を見た。
「イーグル、グリペンに背中を任せろという事でしたが・・・」
何か、嫌な予感がする。まだ付き合いは短いが、この油断できない腹の内が真っ黒な日本人形のように美しい少女が、このような場面で言う言葉は容易に想像できる。
いや、彼女が事の重大さを理解しているなら、流石にそのような事は言わないはずだ。
だが彼女ならいいかねない。だけどそうとも限らない。
考えれば考えるほど頭がこんがらがっていき―――
「お断りします」
最終的に答えは彼女自身が言ってきた。
「ちょっと!?イーグルたちの護衛が信用ならないっていうの!?」
当然のように憤慨するイーグル。
「私にまともに勝てなかった貴方たちが恭平さんの背中を任せるなど、笑止千万。むしろ足手纏いとなって遅れを取るのがオチですね」
「なんですってぇ!?」
「おいイーグル落ち着け!」
今にもファントムに掴みかかりそうなイーグルを抑えようとする慧だったが、その前に八代通が間に入って止める。
「今回のミッションの要はお前だ。それは理解しているだろう?イーグルはともかく、グリペンは鳴谷の事で手いっぱいだ。適任なのはお前しかいないのは理解しているだろう?」
「理解はしています。ですが、だからと言って彼女たちに護衛を任せるのは、いささか不安があるというものです」
「はあ・・・実際に操縦するのはお前じゃないだろう。そういうのはパートナーにも言うべきじゃないのか?」
「それもそうですね。恭平さん」
ファントムが恭平に声をかける。だが、その前に、
「八代通さん」
「なんだ?」
「本格的に作戦を始める前に、威力偵察をしてきてもいいでしょうか?」
「威力偵察だと?」
「ええ。見た所、完成まで時間があるようです。一回ぐらいの出撃ならどうにか間に合うでしょう」
「それで敵に作戦が勘づかれないという保証は?」
「ない、ともいいきれませんが・・・とにかく、一度威力偵察をさせていただけないでしょうか?」
すっと、真剣な眼差しで八代通を見る恭平。
その視線を受け止めた八代通はため息をついて、
「その真意は?」
「敵基地の対空兵装の確認・・・・もしこちらを確実に撃ち落とせる兵装があった場合には、ミサイルを誘導する以前の問題です」
「なるほどな・・・・」
恭平の説明に、八代通は納得したように呟き、
「ま、この部隊の隊長はお前さんだ。好きにしろ」
「ご考慮頂きありがとうございます」
八代通の返事を聞き、恭平は慧とアニマたちの方を向く。
「一時間後出撃する。各自、それまでに準備を整えろ。いいな」
「と、いう訳ですまん」
「はあ・・・」
ファントムのいない場所で、恭平は慧、グリペン、イーグル(は、話を聞かずにさっさと自分のドーターに乗ってしまった)に謝っていた。
「まさかあそこまで頑固だと思わなかった」
「まあ、恭平さんが悪いわけじゃないですし・・・そもそも、ファントムのあの性格はどうにかならないんですか?」
「どうにもならんだろうな・・・アイツの根底にあるのは人類の救済であって、人間じゃないからな・・・自分さえ生き残ればいいって考えが根底にあるから、自分が死ぬような選択肢だとかは徹底的に排除したがる奴だからなぁ・・・」
「それって、ファントムは私達を信用してないって事になる」
「それについては俺も同意見だよ。お前たちは圧倒的に実力が足りてない」
恭平の辛辣な言葉に、慧は思わず拳を握りしめる。
「言っておくが、俺は本当の事は包み隠さず言う方だからな。お前たちは確実に実力が足りてない。その点を考えると、お前たちは
恭平は、二人に告げる。
「俺が撤退と言ったら、迷わず撤退しろ。今ここで死にたくなかったらな」
それだけを言って、恭平は、自身の機体の元へ向かった。
「・・・・慧」
「・・・実力が、足りてない・・・」
恭平の言葉が、慧の心に深く突き刺さる。
「BARBIE03、クリアード・フォー・テイクオフ!」
操縦桿を倒し、機体を浮かせて大空へ飛ぶ。エメラルドの機体が、天空を飛び、飛翔する。
その次に、山吹色の機体、イーグルが飛び、それに続くようにクリムゾンの輝くグリペンが飛ぶ。
「作戦は話した通りだ。室戸岬沖海上で空中給油機から燃料を補給した後に作戦海域に行く。そこで、本来の作戦に見せるようにグリペンとイーグルが突っ込んで敵を可能な限り倒し、その合間をファントムで切り抜ける。ただし、あくまで道を開くだけだ。敵を猟犬さながら追い回すだけで良い。いいな?」
『01、了解』
『02、了解』
返事を聞いて、とりあえずこれで一通りの事は済ませたと思い、ふっと息を吐く。
ただ、恭平はふと後部座席に座るファントムをバックミラー越しに見つつ声をかける。
「なあファントム、お前もうちょっと他人に優しく出来ねえのか?」
「優しくして、何かいいことでも?」
「お前の為に仲間がよろこんで楯になってくれる」
「確証がありませんね。そんな人がいるなら、今頃戦争でさらなる被害が出ていた筈ですよ」
「容赦ねえなお前」
「それが私です」
相変わらず、と言った具合だ。
「もうちょっと信用してやってもいいんじゃないか?」
「それなら、彼女たちがそれに見合うだけの実力を身に着けていたなら、考えたかもしれませんね」
「おい」
これはだめだ。
「私は死ぬわけにはいかないんです」
「そりゃ俺だって死にたかねーよ。だけど、俺が生きる為にはお前が必要だ」
「それは私も同じです。ですから貴方をみすみす殺させる訳にはいきません。ですから、彼女たちに貴方の背中を預けるのは断ったんです。彼女たちでは、貴方についていけない」
「でも、俺たち一機でやれることでもない」
ふと、話に割り込むかのように、通信が入る。
どうやらファントムに対してのようだ。
「BARBIE03、聞こえますけど・・・・なんですか?暗号化通信まで使って・・・・」
「誰からだ?」
「BARBIE01からです」
01というとグリペン―――慧の乗る機体だ。
どうやら、ファントムに対してのみの通信をしているようだ。
そうなると、少し暇になってしまう。
そう思った矢先、今度はグリペンから恭平に向かって通話が入る。
「へいこちら隊長の泉守一尉です。なんの用だBARBIE01?」
『一つ、貴方に聞きたい事があるの』
「なんだ?」
『今回の威力偵察の
気付けば、敵の前線基地が見えてきた。ガラス細工のような表面の、きてれつな構造をした、ザイの基地。
その上空には護衛の直掩が数機飛んでいる。
敵が作っている島の名前は、海鳥島という―――
「EPCMレベル上昇、ガスト24、25、26―――シールド作動、マスターアーム・オン・・・・行けます」
「よし」
ファントムが、全ての準備を整える。
「戦闘開始ッ!!」
『BARBIE01、エンゲージ』
『BARBIE02、エンゲージ!』
目の前を飛んでいた機体の下の増槽が外れ、戦闘が始まる。
『ひゃっほう!』
イーグルが快活な声と共にローリング。すれ違いざまに二機のザイを機関砲で叩き落とす。
その神業じみた所業に、慧の驚いた声が無線から聞こえる。
その間、グリペンもミサイルを射出。一機のザイを追いかけ、ぞの俊敏さで叩き落す。
そのまま、中々に良い連携でどんどんザイを撃ち落としていく――――が、恭平の顔は険しかった。
「ダメだこりゃ」
「ですね・・・さらなる敵機を確認しました」
「おう」
敵機の接近を確認する。どうやら二時と十時の方向からそれぞれ四機づつ近付いてきているらしい。
それは当然、グリペンたちも気付いているはずなのだが・・・
『ちょっと!?何してるの!?』
そんな中でイーグルの怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら気付いたようだ。
「何って、お前らの戦いを観戦してた」
『なんでですか!?』
慧の驚いたような声が響く。
現在、ファントムは戦闘している場所とは遠い場所で旋回してその場にとどまっていた。
「お前ら、護衛の意味分かってんのか?ただ護衛対象に攻撃を当てさせなければいいの。追い回したり、妨害するだけでも十分に護衛と言えんの。それと上、回避行動!!」
恭平がそう言うと、すぐさまグリペンが機体を傾け、上空から急降下してきたザイの攻撃を躱す。
「死角から攻められればすぐには対応できない。レーダーと太陽が
『なんでもいいから早く来て!ミサイルが無くなっちゃう!』
「ばっか使い過ぎだ!?ただ追い回すだけでなんでそんなにミサイル使うんだよ!?」
『あーもううるさいうるさい!いいから早く来てよ!』
『ちょ、喧嘩してる場合か!?』
「全くもってその通りだよ慧・・・」
そう呟いて、そろそろ手助けに入ろうかなどと考えた所で。
「―――恭平さん、新たな機影を確認しました」
「・・・ッ!?どこからだ!?」
ファントムの言葉に、恭平は喰いつくように聞く。
「ここから三時の方向――――それも、数が多い上に、そのどれもが
「三時ッ・・・!」
すぐさま恭平は右を見る。そこには、確かに低高度でこちらに向かってくる複数の影が見える。
その中には、こげ茶色―――ダークブラウンの光と、アメジストパープルの光を確認―――。
「―――ッ!!」
それを見て、恭平の額に冷や汗が流れる。
(できれば来てほしくなかった・・・!!)
操縦桿を力の限り握りしめて、恭平は、言う。
「・・・・BARBIE01、及び02、作戦は中止だ」
『え!?』
『何言ってんの!?』
驚きの声が返ってくるが、無視して続ける。
「いいかお前ら・・・・これから来る敵軍との戦闘は極力避けろ」
『何を言って・・・』
「・・・・・終末派だ」
『・・・・!?』
息を呑む声が聞こえた。
それと同時に―――
『あ、あー・・・警告ー、警告するー』
オープン回線で無線に通信が入る。少女の声だ。
『お前らの行為は神への反逆行為であり、無駄な行為だ。落とされたくなかったらすぐに私達に付き従え。それが嫌なら神の使いたちが崇高なる目的を遂行する為の拠点が出来上がるのを指をくわえてみてろー』
『もし拒否して戦闘を続行するようであれば、即刻、貴方たちを敵と判断し、撃墜します。これは警告です。冗談ではありません。我々の言葉に嘘はありません』
二人の少女の声。
それはまさしく、今ここに向かってきている第三勢力からの警告。
「冗談言うなペテン師どもが。お前らの行為は完全な破壊行為だろうが」
その警告に、恭平はそう答える。
『その言葉を返答と受け取ります』
『っへへ、じゃあやってもいいんだよなぁ?』
敵が、動く――――
「俺が相手をする」
『ッ!?まってください!』
「いいや待たねえ・・・アイツらはそもそも待ってくれねえぞ」
操縦桿を切る。
「お前らは隙を見て逃げろ!俺も後から向かう!」
『ですが・・・!』
「いいか慧!・・・人を撃つ覚悟がないなら今すぐ逃げろ」
敵の数は、十二機。そのうち二機が、ドーター。
『―――『シェン教』の徒が一人、『グレイゴースト』』
『同じく、『ハリアーⅡ』!』
『今から貴方たちを殲滅します』
『その命を神様に返しなァ!!』
アメジストパープルのドーター『グレイゴースト』とダークブラウンのドーター『ハリアーⅡ』が加速する。その後ろの機体『トーネードADV』の部隊が追随する。
「BARBIE03、エンゲージ」
増槽を外し、戦闘を始める。
正面から放たれるミサイル。それをバレルロールし、先ほどイーグルがやったのと同じように機関砲で撃ち落とす。
そしてそのまま二機のドーターとすれ違い、その後ろにいるトーネードを一機機関砲で撃ち落とす。
『ッ!?』
『やろっ』
そのままミサイルをリリース。
「ファントム、正面二機!」
「分かりました」
戒めから解放された槍は炎を迸らせ空を飛翔し、そのまま翼下の戦闘機群に急降下する。
当然、敵は回避行動をとる。
だが、ただでさえ無数のミサイルを捌ける程の技量を持つアニマが火器・管制に集中しているのだ。仮令フレアやチャフを使っても無駄。逃げられない。
さらに二機、撃墜。
そこで命令を受け取ったのか、他の機体がグリペンたちの元へ向かおうとする。
「行かせるか・・・」
『それはこっちの台詞です』
だが、そこで上空からグレイゴーストが妨害してこようとする。だが、ファントムはなんとバレルロールでその妨害を回避する。
『な!?』
驚きの声がグレイゴーストから出る。
だが、その間に恭平の操るファントムはグリペンたちに向かうトーネードの部隊に迫る。
「FOX2・・・!!」
また二本リリース。放たれたミサイルは、アニマの精密な操作の元、寸分違わず外側二機に直撃する。
黒煙を巻き上げて、一気に海面へと落下する。
『・・・ッ』
ふと、誰かが息を呑む音がした。だが、それを気にしている暇は無い。
『テメェ!』
ふとそこでハリアーがファントムの後ろを取る。
「ミサイル、来ます!」
ファントムの鋭い声がと共に、ハリアーからミサイルが放たれる。
そこで恭平はスロットルを最低にまで引き下ろす。それと同時に速度を失ったファントムは加速度的にミサイルとの距離が縮まる。
『馬鹿が!』
ハリアーの罵倒が聞こえた。だが、次の瞬間、機体が回転、翼の下をミサイルが通過、信管が作動する前に通り過ぎて炸裂する。
だが、ファントムには大したダメージは入っておらず、スロットルを最大にしたファントムがほぼ一瞬にしてハリアーの後ろを取る。
『なッ!?』
「喰らえ・・・ッ!?」
そのまま機関砲の引き金を引こうとした直前、上空からグレイゴーストが強襲する。放たれた機関砲の弾丸を躱し、スロットルをあげる。
その後ろをグレイゴーストとハリアーが追随する。
『待ってくれ!』
その時、慧から通信がオープン回線で入る。
『なんでこんな事をするんだ!?こんな事をしても、なんの意味もないだろ!?』
『意味ならありますよ。人類が自らの愚かさを思い知りながら、神の導きによって全てが無に帰る・・・ようは、人類が絶滅するのです』
『そんな事は分かってる!知りたいのはなんでお前たちはそんな事をしているかだ!お前たちは・・・人を守るために作られたんじゃないのか!?』
『人を守るため・・・?』
高速で飛び回る、三機の煌き。
『おいおい馬鹿言ってんじゃあねえぞ』
『え・・・・?』
ハリアーが、嘲るように言い返す。
『アタシらの目的はこの星を守る事だ』
『なら―――』
『だから人類を皆殺しにするんだよッ!!』
慧の言葉を蹴っ飛ばすように、ハリアーがアフターバーナーを全開にしてファントムに襲い掛かる。
だが、放たれた機関砲は『捻り込み』という技術によって躱されただけでなく後ろをとられる。しかしファントムが機関砲を撃つ前にグレイゴーストが妨害。ファントムは避けざるを得ずに回避する。
『何を言って・・・』
『くどいですよ。私達の目的は星を守る事。であるならば、その最も手っ取り早い方法として人類を皆殺しにするのは当然の事じゃないですか』
『そんな・・・他に方法はないのか!?』
『ふふ、貴方は馬鹿なんですか?今、この星を壊しているのは他でもない人類。即ち、地球は人類という病気によって死へと向かっているのです。であるならば、その病原体を根絶するのは当然の事でしょう?』
『・・・・』
狂っている。ここまで、狂っている存在を、慧は見た事がないだろう。
本来、人を守るために作られたドーターとアニマが、人類を絶滅させるためにザイに加担している。
これほど、皮肉な事があるだろうか。
『どこのどなたか存じませんが、我々は、神の意向に従っているまでです。ザイこそが神の使い。星に巣食う害虫である人類を根絶する為に遣わされた、いわゆる尖兵たちなのです』
ミサイルをリリース。それがグレイゴーストに向かって突き進むも、ハリアーによって撃ち落とされる。
『ですので改めて言いましょう。貴方方の行為は神への反逆行為であり、無駄な行動です。どれほど遣いたちを落とそうとも、神の御業によっていくらでも復活し、貴方たちに迫ります。ですので、もう諦めて私達と来なさい。さすれば、貴方の今までの罪は赦され、私達と一緒に神のもとへと行けるでしょう』
『・・・・』
無線から聞こえる慧の唸り声は、迷っているようにも聞こえた。
「・・・・ざけんな」
「ッァ!?」
その時、ファントムの動きが変わった。
ファントムの背後を取っていたグレイゴーストの視界から、突如としてファントムが消える。
『なっ!?』
「諦めれば罪が赦されるだと?・・・ふざけてんのかァ!!」
放たれる機関砲が、回避行動をとったグレイゴーストの翼に数発叩きつけられる。
『しまった・・・!?』
「神への反逆行為!?大いに結構だ!!なぜなら俺は、人を守るために戦っているからだ!!」
逃げようとするグレイゴーストを、おそろしい機動によって追い回し、上を取って機体を垂直にして機関砲を叩き込む。
『つぅ・・・!』
「お前らの言い分なんざどうだっていい!俺は軍人だ!自衛隊だ!!自分の国―――人を守るのが俺の仕事だ!!それを諦めちまったら、一体誰が守るっていうんだよ!!!」
『・・・!!』
『テメェ!!』
ハリアーが助けに入る。だが、ファントムから五時の方向から迫ってきたハリアーの機関砲をバレルロールによってあり得ない速度で回転、回り込んで機関砲を放つ。
どうにか躱すも、続くミサイルがハリアーを襲う。
「だから俺が守るんだ!守れる力を持ってる俺が守るんだ!!俺は、その為にここにいるんだ!!!」
ミサイルがハリアーを追い立て、態勢を起こしてローリングしようとしたハリアーの背に二、三発弾丸を叩き込む。
『ぐぅっ!?』
(行ける・・・!!だったらこのまま・・・・!!)
追撃しようとした。その時、
「きょ・・・へい・・・さ・・・・」
「ッ!?」
恭平の耳に、ファントムの苦しそうな声が聞こえてきた。
それと同時に、機体の軋みが聞こえてきた。
「な!?」
それに気付いた恭平が慌てて追撃を中止する。
「ハア・・・ハア・・・やっと気付いてくれましたか」
「なんかすまんファントム!!」
「そう思うなら後で何か奢って・・・ッ!?回避!」
「ッ!!」
機体を傾けて下から襲ってきたグレイゴーストの攻撃を躱す。
『ッ・・よくも・・・!』
さらなる追撃をしかけてくるように旋回してくるグレイゴースト。
「くそっ!さっさとこいつら片付けて、慧たちの所に行かなきゃならんのに・・・!!」
『グリペン!イーグル!下!!』
その時、未だオープン回線だったのか慧の声が無線から聞こえてきた。
次の瞬間、ザイの基地の方向からまばゆい光が迸る。
「なんだ!?」
思わず目を細める恭平。
光が収まったのを確認して、恭平はすぐさま僚機に連絡を取る。
「こちらBARBIE03!何があった!?」
『地対空・・・クラスター弾を受けた』
「まじかよっ・・・!!」
『地上発射タイプ、打ち上げて敵編隊の真ん中で自爆させて小弾をばらまく』
『なんだよそれ・・・!』
「くっ・・・」
次が来ればやばい。
これじゃあ制空戦なんてしている暇なんてない。
『また来る!』
イーグルの悲鳴のような叫びが響く。
「撤退だ!」
『逃げろ!イーグルも、全速力で!』
恭平と慧の声が重なる。
『逃がすか!』
しかし負傷している筈のハリアーが撤退を妨害してくる。
「ファントム!ミサイル全部使う!!」
「どうぞ思う存分使ってください」
引き金を連打する。翼下のミサイル全てがリリースされて妨害してくるハリアーに向かう。
ハリアーは正面から飛んできている。それに放たれたミサイルは全てファントムが精密な操作を実行している上に、ハリアーは負傷している。
回避は、不可能だ。―――なのに、
『全てはザイの為にッ!!』
『全てはザイの為にッ!!』
命令した訳でもないのに、二機のトーネードがミサイルとハリアーの間に割って入る。
そして、全てのミサイルが、その二機のトーネードに突き刺さり、爆発し、そして、海面に向かって落ちていく。
『そんな・・・!』
慧から、そんな声が響いた。
「自ら盾になりやがった・・・」
「つくづく、救えない方々ですね」
ファントムがそう毒づき、彼らは、どうにか逃げる事に成功した。
次回『ディターミネイション』
今回の話のタイトル、意味は威力偵察です。
冒頭のあらすじ紹介。どう思いますでしょうか?不快ならすぐやめます。
ですので次回をお楽しみに!