俺は、アリス・シンセシス・サーティを愛している!!! 作:アリスみたいなヒロイン好き
評価してくれた、正太郎 幻想境界と禁書目録、匿名の方、お気に入り登録してくれた28人もの方、感想をくださった零樹さん、クック教授さん、爆弾さんありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
それでは、どうぞ!!
「まあ、そういうことで団長。軽い仕事ください」
……なんというか本当に変わった奴だ。
普通、最高司祭様からもらった仕事に異を唱えるなんて真似はしないんだよな。
改善のために、色々具申することはあっても真っ向から否定するのはできない。
嬢ちゃんの方を見れば信じられないような目で坊主のことを見ている。
最高司祭様が坊主のことを特別扱いしているのはわかってはいたが……いや、案外面倒くさくなっただけなのかもしれん。
正直、俺が300年近く破ろうとして破れなかった右目の封印をコイツは一目惚れしたという理由だけで破ってしまった。
普通、それだけで破れるとも思えんのだ……不思議とコイツならやりかねないと思ってしまう。とはいえ、誤魔化すにしても「アリスの姿が綺麗すぎて見るのが耐えられなかったんだ」はないだろう。
流石の俺もフォローが仕切れん。
というか坊主も案外臭い台詞言えるのかと感心したぐらいだが、正直嬢ちゃん相手にはあまり意味はないだろうな。嬢ちゃんは生真面目だから、そういうことよりも素直に気持ちを伝える方が効果はあるだろう。実際、最初の告白は大分戸惑っていたしな。
「……軽い仕事か」
正直、俺らの仕事に軽いも重いもないと言いたいが今までのコイツのやっていたことを考えると、どれも軽く思えてしまう。少なくとも一人で何十年もの間、東大門に群がる暗黒界の軍勢を相手にたった一人で挑み近づかせないなんて真似は、俺達整合騎士の中でもこなせるのは坊主位だ。
いくら神器があるとはいえ、精神も体力も持たんしな。
「お前は何を言っているのですか。我々の仕事に重いも軽いもないでしょう。叔父様からも言ってください」
うん、嬢ちゃんの性格上そういうと思ったよ。
とはいえ、俺も坊主にはずっと東大門を任せっきりだった罪悪感がある。
坊主が東大門を守っていた間、何一つ改善ができなかった。
坊主だって、いい加減辛いだろうしな。
ふむ、ここは少しおせっかいを焼くか。
「……よし、嬢ちゃん。坊主と模擬戦をしろ」
「なっ!?何故です叔父様!!」
まあ、そう反応するわな。
だから、嬢ちゃんが納得する理由をやるよ。
「嬢ちゃんが勝ったらあいつに好きな仕事を割り振れ。無理難題何でもいい」
「それは……わかりました」
今嬢ちゃんの中では、不真面目な同僚にきっちり仕事を教え込むためにいろいろ考えてるんだろうが、そう簡単にはいかねえぞ。
「坊主が勝ったらお前の一番望む仕事をやる」
「……それは良いんですけど、俺の呼び方が昔の奴に戻ってません?」
うん?当たり前だろう。
「成長したかと思えば全くしてないんだ。当然だ」
俺の発言を聞いて、「なんでかなー」と坊主が頭をかいているが……まあ、お前はそれでいいんだよ。
**************
80階《雲上庭園》にレイジ、アリス、ベルクーリは来ていた。
理由は、先ほどベルクーリから言われた模擬戦を行う為である。
「勝敗は俺が止めるか、どちらかが自身で敗北を宣言するかだ。それでは双方ともに準備は良いな」
「ええ、構いません」
「いつでも」
ベルクーリの確認に二人とも互いに己の武器である剣を鞘から抜き構え、同意する。
「では、始め!!」
先に動いたのはアリスだった。
試合開始の合図と共に互いの距離が十分に開いているのにもかかわらず剣を振り下ろす。一瞬レイジは、その行動に困惑を現したが次の瞬間には驚愕していた。
アリスの振り下ろそうとした神器にはすでに術式が出ていた。
そして刀身が無数の黄金色の花びらへと変わりこちらに向かってくる。
それが意味するのはすなわち──
(武装完全支配術発動済み!?団長と同じ詠唱無しとかずるっ!!)
内心、その利便性に若干の嫉妬を叫ぶが、次の瞬間には意識を切り替え横に飛び回避に専念をする。
だが、その動きに合わせるかのようにアリスが柄だけになった剣を振るえば、黄金色の花びら達はその動きに合わせ横に回避したレイジを追い続けた。
(ファナティオさんのと違って無差別じゃなくて操作型か……しかもこれらがすべて刃というなら攻防一体型。これは手ごわい)
だが、同時に弱点も露呈していた。
レイジが回避したあと黄金色の花びら達を二手にでも分けて攻撃すれば、初見であるレイジにあれば当てることはできたはずだ。それをしないという事は──出来ないということだ。
(おそらく一定以上離して操作ができない。まあ、それでも厄介なんだが)
そうであること裏づけるかのように一定以上距離を開けたレイジに対してアリスは黄金色の花びら達を自身の周囲へ旋回させ引き戻した。
「どうしましたか?よもやこの程度ではないのでしょう……お前の武装完全支配術を出したらどうです」
「……あいにく出す気はないよ」
アリスは武装完全支配術を出す気はないといったレイジに対して、明らかに不機嫌そうな顔をする。
「……いいでしょう。そうまでこちらを舐めて掛かるのであれば──無理やり引き出させるまでです!!」
そう叫ぶとアリスは黄金色の花びらになっていた刀身を元に戻しレイジに斬りかかる。それに対してレイジは、上段の構えで距離を詰め迎え撃つ。
(上段の構えですか。なら、それをいなして0距離で当てる!!)
アリスの神器である「金木犀の剣」の武装完全支配術は、刀身から金木犀の花に変えるものだが、その変えるまでのタイムラグはひどく短い。初撃をいなし、その出来た隙を突いて刀身を花びらへと変えればレイジは避けることができない。
無論相応に天命が減ってしまうだろうがアリスはこの男にはいい薬だとすら思っていた。
互いに距離を詰め、あと一歩で互いに剣が届くその時だレイジの剣に変化が起きたのは。レイジの上段に構えていた黄金の輝きを放つ銀色の刀身に青色のオーラのようなものを放つ。
それにアリスは見覚えがあった。
(青色のオーラ──秘奥義!?しかも速い!!)
そう、それは人界に存在する様々な流派につたわる秘奥義が放たれる光。それを察知できたのはアリスも似た技を使えるからだった。しかも、その動きはアリスの予想を上回る速さだった。
(けれど、対処できないわけではありません!!)
驚愕したもののその動き自体は対処ができないわけではなかった。だから、当初の予定通り初撃をいなして武装完全支配術を当てようとする。
「っ!」
アリスの目論見通りレイジの初撃をいなす。
だが、そこでアリスの目論見は崩れる。
レイジの斬撃はアリスにいなされた後も生きていた。その証拠にレイジの剣には今だ、青いオーラがまとわれている。レイジはアリスに受け流された剣をすでに次の攻撃へと繋げていた。
それが意味するのは──
(連続剣の秘奥義!?)
その技に対してアリスは驚愕し同時に刀身を花びらへと変えるのを中断する。レイジとの距離が近づきすぎている為、攻撃に使用するならばともかく防御に使用してしまえば自身も傷ついてしまうからだ。
その為、刀身を花びらへと変えるのは相手の連続攻撃が切れた瞬間に変え、それまではレイジの攻撃をいなそうと。
だが2合、3合とアリスはレイジの攻撃をいなすが止まる様子は一切見られない。ついには7合目にしてアリスは斬撃をいなしきれず態勢を崩されてしまう。しかもそこから、さらに攻撃が続くのだから笑えない。アリスの知る秘奥義というのはどれも単発の物だったからだ。そうして、8、9と斬撃がアリスの体へ刻まれアリスは片膝をつく。そうして──
「──俺の勝ちだ」
「……ええ、私の敗北です」
レイジは最後の10撃目であろう攻撃をアリスの首元着前で止めていた。それを持ってレイジは自分の勝ちだと宣言し、アリスもまた自身の敗北を受け入れた。
**************
「連続剣の秘奥義……しかも10連続撃ですか。見事としか言いようがありませんね。誰かに教わったのですか?」
「えっいや、昔からできたものだから何とも。……あー今度教えようか?」
「ええ、出来れば。中々興味深いですから」
よっし、流れで約束取り付けられた!!
神聖術で先ほどの模擬戦で減ってしまった天命を戻すアリスを見ながら、内心ガッツポーズをする。
でも、正直危なかった。最後の斬撃無理やり止めたせいで躓いて転びそうになった。……危うく押し倒しそうになったよ。いや、アリスのことは好きだけどそういうのは段階を踏むべきだと思うんです……はい。
「おー、お疲れさん。やっぱり坊主の勝ちか。と言っても嬢ちゃんがむきになって武装完全支配術を最初に解いちまったのも敗因だな。そうじゃなきゃ、もうちょい坊主も攻めあぐねただろ」
そんな風にアリスと話していると、団長が近づいてきた。
確か団長の言う通りアリスから攻め込んでくれたおかげで楽だった部分はあった。
「ですね。攻防一体かつ、自在に操作が出来て、なおかつ武装完全支配術の詠唱もない。利便性に優れて過ぎてちょっとずるいですよ」
正直、これは本音だ。俺の武装完全支配術はどれも詠唱が必要だし、攻撃にいたっては色々制約が大きい。そういう意味ではアリスのはひどく使いやすそうだった。
「……確かにそうですね。他の方に比べれば使いやすい分類かもしれません。だた……」
「ただ?」
「武装完全支配術を使わせることもできずに負けた身としては、そのように言われたところで……としか」
……正直闘ってる時から気になってたんだけどさ、アリスもしかして聞いてないのか?
「……あのさ、アリスは俺の武装完全支配術の事は、団長から聞いてないの?」
「はい?何も聞いていませんが……」
おーい、団長。これは問い詰めざるを得ない。
「……団長」
「はっはっは。悪い悪い。だが、他人が言うよりも自分から言うべきだろ。こういうことは」
いや、まあそうなんだけどさ。色々自分の失敗談を積極的に話したいとは思わんよ?
「……どういうことですか?」
事情を知らないアリスは俺と団長を交互に視線を移す。
俺はその問いに頭をかいて少しためらいながら話した。
「……俺は剣の武装完全支配術の使用をセントラル・カセドラルでは禁じられているんだよ」
「……はぁ!?」
アリスはあり得ないものを見るかのようにこちらを見てくる。いや、普通そうなるよね。だって、万が一セントラル・カセドラルで戦闘になったら、惨い縛りを受けることになる。
だが、そうしなければならない理由があるのだ。
「昔、俺が整合騎士になりたての頃、団長に武装完全支配術教わってたんだ」
「……それで?」
「……その時、武装完全支配術を発動したんだけど、踏ん張りが効かなくて射線が上空に向いてしまったっていうのもあるんだけどさ──80層から85層くらいまで貫通したんだよ。破壊不可能な天井とか壁とか諸共」
「……う、嘘ですよね叔父様!?」
アリスはあまりの衝撃の事実に信じられないって顔をしている。そんな状態のアリスもきれいだと思いつつ、普通そうなるよなとも思う。
「事実だよ嬢ちゃん。死人が出なかったのは運がよかった。……正直、直撃してたら俺は死んでたぞ」
うん、その時の立ち合いの相手が団長だったけど……あれは防げないと思う。攻撃範囲も純粋に広いし。
「……そ、そうですか。確かにそれでは使うわけにはいきませんね。……ちなみにレイジの神器の素材はなんなのですか?」
「いや、良く知らん。以前、
人々の概念の結晶ってなんだよとしか言いようがない。もうちょっと具体的に言ってほしかった。
「坊主……お前ちゃんと話は聞いてたんだよな?」
「……すみません。小難しい話だったんで話半分でした」
駄目だコイツ的な目で見ないでくださいお二方!!だってすごい小難しかったんだもん!!知らねえよ、ずっと長い間使える奴を探してたとか!!封印解くのが面倒くさかったとか延々と聞かされてもさ!!あの
「あー俺の神器は良いとして、そういうアリスの神器の素材は何なんだ?花みたいだったけど……」
「私の神器の元となったのは、かつてこの地が創世神ステイシアによって与えられた始まりの地だった──」
「……えっ、そうなの?」
何で知らないんだよって目線を向けられてもですね、知らないもんは知らないんですよ。歴史の勉強とか教えられず東の大門勤務だったし。
「……まあ、いいです。この地は創世神ステイシアによって与えられた始まりでしたが、そこには村があり、美しい湖もありその畔には一本の金木犀の木が立っていました。その木の転生した姿こそが私の神器──金木犀の剣です」
なるほど。……多分一番整合騎士の持つ神器で古い物かもな。
それにしても、金木犀か。
「なるほど、確かにアリスに合っているな」
「…なにがですか?」
「うん?ああ、金木犀の花言葉って確か気高い人とかだからさ。花自体も綺麗だし、アリスにピッタリだろ?」
キチンと交流があるわけではないが、アリスの性格はなんとなくわかった。
そういう意味でアリスに合っていると思うのだが……
「……私に媚びを売ってますか?」
「えっなんで?事実だろ」
「むぅ……」
あのー、なんでアリスさんは視線そらすの?ついでに団長もなんかニヤニヤしてるし……意味が分からない。
「……そういえばお前の神器の素材は聞きましたが、神器の名はなんというのですか?」
……なんか話を露骨にそらされた気がするが、まあいいや。
「神器の名は──
もう一個の方は聞かれてないし別にいいか。
アドミン「やった!!とうとうあの神器を使える整合騎士ができたわ!!早速与えましょう!!」
↓主人公が武装完全支配、強化発動後
アドミン「……えっ、何あの威力聞いてない。しかも、もうあの人形に干渉ができない!?っていうかあの威力で強化!?」
アドミニストレータって結構ポンコツなことやってますよね。
レーザー砲的な物を作ろうとして失敗して、粗大ゴミになった大量の鏡を転用したとか。
ちなみに主人公の使った技は「ノヴァ・アセンション」です。