ユイの学園生活   作:夏生

2 / 7
ユイと桐ヶ谷翠

ユイの日用品を買うために、明日奈も誘ってショッピングモールで買い物をした。

 当初は1セットだけ買うつもりだったが、明日奈が「私の家にも来るなら、2セット買ったほうがいいんじゃない?」と言ったので、俺の家と明日奈の家に常備するために2セットずつ買っていった。

 明日奈は、ユイの服も買いたがっていたが、そこまで資金を持っていなかったのでまたの機会となった。

 申し訳ないが、当面は直葉のおさがりか明日奈のおさがりになるだろう。だがユイは、明日奈が着ていた服を着れるということで、むしろすごく喜んでいた。本当にできた娘だ。

 

 明日奈と別れ、ユイと家路を歩く。

 今日のユイは、明日奈と再会でき、一緒に買い物できたことで終始楽しそうだった。

 

「ただいま」

「ただいまです!」

 

 家に着くと、女性ものの靴が一つ玄関にあった。

 直葉の物ではない……となると答えは一つしか無い。

 

「あら和人、おかえり」

 

 リビングから出てきたのは母である桐ヶ谷翠だ。

 パソコン情報誌の編集者で、締め切り前は会社に篭りがちになってほとんど家に帰ってこない。なので、この時間に家にいるのは珍しい。

 そんな翠の視線は、俺のとなりにいるユイに注がれていた。

 

「和人、その娘はどこの子? 誘拐でもしてきたの?」

 

 サラッと息子を犯罪者にしようとする母の発言に耳を疑う。

 

「アホか! 誘拐なんてするわけないだろ!」

「冗談よ。 で、本当にどこの子?」

「話すと少し長くなるんだが……簡単に言えば、俺と明日奈の娘だ」

「はぁああああ!!!?」

 

 

 仕事がひと段落つき、家でくつろいでいると、息子が帰ってきた。しかし、聞きなれない幼い女の子の声も聞こえる。

 真相を確かめるため、玄関に言ってみると、なんとウチの息子が幼女を連れて帰ってきた。しかも、自分の娘だと言い出した。

 息子に超絶美人の彼女がいることは、直葉からも聞いている。

 しかも、信じられないことに、大手電子機器メーカーであるレクトのCEOのご令嬢。妄想なんじゃないかと疑ったくらいだ。

 そして、今度は娘ときた。

 

「娘ってどういうこと?」

 

 和人とその幼女をリビングの椅子に座らせて事情を聞く。

 それにしても、随分と可愛らしい子だ。

 

「この子はユイっていうんだけど、SAOにいた時に保護したAIなんだ」

「AI? この子が?」

「ユイ、こっちは俺の母。桐ヶ谷翠だ」

「パパのママ……私のおばあちゃんですね!! はじめまして! 私は、SAOのメインシステムであるカーディナルから生まれた、メンタルヘルスカウンセリングプログラム試作1号、コードネームYui。今はパパとママの娘です!」

「本当にAIなの? 全然見えないわね……」

 

 言葉も機械的ではなく、人間と話してるのと遜色無い。

 これなら、人間の子供だと言われたほうがまだ信じられる。

 

「ユイに関しては複雑な経緯があるんだ。でも、俺たちの娘だよ」

 

 しかし、AIと紹介されて画面越しならまだわかるが……。

 

「なんで身体があるの?」

「俺たちをSAOに閉じ込めた茅場がクリア報酬だとかで、ユイに身体を与えたんだ」

「ふーん……それじゃあ、ここに住むわけ?」

「そう考えてるんだけど──」

「いいわよ」

「ほ、本当に?」

「もちろんいいわよ。娘なんでしょう? 私にとっては初孫よ? 反対するはずないじゃない!」

 

 こんな可愛い娘なら大歓迎よ。

 

 

 無事にユイの紹介と一緒に暮らす許可を得ることができた。

 

「よかった……反対されたらどうしようかと」

「ありがとうございます! おばあちゃん!」

 

 ユイが満面の笑みでお礼すると、母の顔が緩んだ。

 

「はぁ……それにしても、まさか和人に美人の彼女がいるだけでなく、すでに可愛い娘がいて、更に私がおばあちゃんになっていたなんて夢にも思わなかったわ」

「……だろうね」

「ユイちゃんの部屋はどうするの?」

「私はパパと一緒の部屋がいいです!」

「好かれてるわねー」

 

「たっだいまー!」

 

 ユイの紹介が終わったタイミングで直葉が帰ってきた。

 

「おかえりなさい、直葉さん」

「ただいま、ユイちゃん」

「あら? 直葉は知ってたの?」

「うん。ユイちゃん、昨日来たからね。それに、向こうの世界でも会ってたし。お兄ちゃんと明日奈さん、バカップルで相当に親バカだったよ?」

「パパとママはいつもラブラブです!」

「へぇ……」

「なんだよ……」

「いや、あの和人がなぁ……って」

「……大事な人なんだよ。もちろん、ユイもな」

 

 そう言ってユイの頭を撫でる。

 ユイは嬉しそうに笑顔でこちらを見上げてくる。

 

「確かに、親バカの片鱗が見えるわ」

「でしょう? でも、明日奈さんの方もすごいんだよ」

「おいおい、すごい言われようだな」

「事実でしょう?」

 

 明日奈との仲が良好な事もユイを溺愛してる事も事実なので否定はしない。

 それにしても、母さんはパソコン情報誌の編集者だからだろうか、俺と同じ人種なだけあって、すんなりとユイの存在を受け入れている。

 その点については、実にありがたかった。ユイを初孫とも言っていたし、おばあちゃんと呼ばれるのもすこし嬉しそうに見えたのでいい結果と言えるだろう。

 

 その晩、母さんがSAOでの事を聞いたとき、ユイがSAOでの俺とアスナの様子を熱弁しだして、母さんとスグにいじられまくったのは言うまでもない。




次回の更新日は未定!

学校でのユイの服装

  • ロストソングで登場したお嬢様風のブレザー
  • メモデフで登場したセーラー服
  • 私服
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。