凛世が篁学園に帰ってきて1か月が過ぎたころ。
俺たちは冬休みを利用しておたる温泉旅館に来ていた。
「ほら、着いたよ!旅館!」
いつにもまして元気にはしゃいでいる彼女が姫乃樹凛世。小学5年生であり、俺の恋人であるわけなんだが......我ながら背徳感がすごい。
「元気だなぁ、凛世は......」
「伊澄は体力がなさすぎるんだよ」
「カメラが重くてな......坂道はちょっとキツイ」
パシャ
「そんなこと言いながら写真は撮るんだね」
ジト目で睨まれつつもシャッターチャンスは逃さない。この凛世の表情もかわいい。
パシャ
「もう、写真ばっか撮るのもいいけど早く行こうよ。またあとでたくさん撮れるんだから」
「それもそうだな。早いとこ旅館に荷物預けてくるか!」
もう体力温存なんて気にせず目の前に見える旅館めがけて全力でダッシュして行く。
「っわ!?急に元気になったね!アハハ、待て~」
そもそもなぜ俺たちが旅行することになったのか、時は少し遡る......
~二週間前~
「この間の動物園デート楽しかったよ!ちょっと怖かったけどライオンとか迫力あったし!」
「餌やりの体験コーナーもあったけど俺もさすがにあれは怖いな~」
なんて、屋上でご飯を食べつつ先日のデートでの話をしている時のことだった。
「あの...次はもっと大人っぽいデートがしてみたいな」
ふと凛世がそういった。ふむ、大人っぽいデートか......
俺が思い浮かべる大人っぽいデートと言えば、おしゃれな街を歩きこじゃれたカフェで休憩を挟みつつ夜は綺麗な夜景の見えるレストランでディナー。そしてそのままいい雰囲気になった凛世とホテルに......
「っっって小5だっつーの!!!てか俺も高校生だ!!」
「どうしたの急に?」
思わず声に出して突っ込んでしまった。凛世に心配そうな目で見つめられる......
「何を想像してたか知らないけど、私は伊澄と旅行がしたいの!」
何を想像してたか知らないなんて言っているが顔を赤らめているあたり何か察している気がする......小5なのに妙にませてるとこあるんだよな凛世は。
「旅行か...だったら温泉旅館とかどうだ?」
我ながら年寄りめいた発言だと思うが、寒いしいいかもしれない。
「温泉......いいかも。温泉にしよう!」
「決まりだな。次のデートは温泉旅館だ!」
「楽しみだね!」
ということがあり、俺たちは温泉旅館に来ていた。
凛世との初めての旅行。すごく楽しみだ。