旅館に荷物を預けてきた俺たちは近所の観光地に来ていた。
なんでも、このあたりでは有名な食べ歩きスポットらしい。昼下がりの午後、小腹が空いているこの時間はどのお店にも目移りしてしまう。
「あ、あれ食べたい」
足を止めた凛世の指さしているほうを見てみると、『TVで紹介された話題の和スイーツ特大パフェ』と書かれた看板が立っていた。
「話題の和スイーツ特大パフェか......食べきれるのか?」
「伊澄がいるから平気だよ」
「俺頼みかよ!」
「食べれないの?」
っく、上目遣いでそんなこと言われたら断れるわけないじゃないか......凛世のこういうところに弱いんだよな俺。
「食べれるに決まってるだろ!」
「フフ、そういうだろうと思ってたよ」
すべて織り込み済みか。まあ、凛世は少し大人びてるからわがまま言ってくれたほうがいいんだけどな。
そんなわけで店内に入りパフェを一つ注文したわけだが、いかんせん特大なので作るのに時間が掛かりそうだな。
「ここに来るまでもいっぱい撮ってたけど、いい写真は撮れた?」
「ああ、それなりに撮れたよ。この辺は昔和風な建物が多いから雰囲気のある写真が撮れるんだよなぁ」
「いいね、歴史のある場所だしなんだかタイムスリップしたみたい!」
「昔の政治の中心だった場所だからな、今でもその趣を大事にしてる感じがするよ」
「この辺って海もあるんだよね?後で行こうよ!」
「冬だから入れないけど、海岸を歩くのもいいかもな!」
なんて他愛のない話をしていると漸くパフェが来た......が写真で見るよりも遥かにでかい気がする......
「わぁ、思ったよりおっきいね」
「そ、そうだな......」
あまりの大きさに面食らったが凛世の前で食べるといった手前、引くわけにはいかない。ここで意地を見せずしていつ見せようか!
「はい、あーん」
と、気合を入れているところに差し出されるスプーン。
「どうしたの?食べないの?」
「た、食べるよ......うまい!」
いきなりのあーんに気後れしてしまったが、うまい!
「テレビで紹介されるだけのことはあるな!これならいくらでも行ける気がする」
「うん、抹茶のソフトクリームに黒蜜と練乳が掛かっててすごく甘くておいしいよ!あ、このチェリーもおいしそう」
チェリーを食べる凛世......シャッターチャンスなのでは!?
パシャ
「あ、女の子が食べてるところ撮らないでよ」
「ごめん、おいしそうに食べてるものだからつい」
「絶対わざとだよね?」
「ははは」
「......そろそろ、交代。これ以上は夕ご飯食べれなくなっちゃう」
「意外と食べたな、これならいけるかも」
思いのほか凛世が健闘してくれたおかげで食べきれる気がする。半分近くは食べたんじゃないかな。
「おいしかったからかなり食べれたよ」
「よし、あとは俺に任せろ!」
「ねぇ、私もカメラで写真撮ってみたい」
「ん?いいぞ、シャッターのボタンわかるか?」
「うん、そのぐらい知ってるよ」
「そうか」
急にカメラに興味をもつとはどうしたんだいったい......
まあ、小5なんだしそりゃカメラで写真を撮って見たくもなるか。たまに見せる小学生らしさがまた可愛いんだよな......
パシャ
「んがっ!?」
「アハハ、さっきのお返しー」
っく、食べてるところを撮られてしまった。まあ、こういうところも含めて小学生らしいか。
「よかろう、いくらでも取るがいい!」
後で消せるしいくら撮られても痛手にはならないさ。フハハ
「この写真携帯に送ろうっと」
「ま、待て!話し合おう!!」
いつの間に携帯に送るすべを知ったんだ!?
「あ、やっぱりこの写真携帯に送れるんだね。どうやるのかなー?」
「カマかけられた~!!」
ほんとに小5なのか!?疑わしい......
「アハハハハ、冗談だよ。早くしないと溶けちゃうよ~」
「そうだな......」
こうして凛世とパフェを食べた。