自身が戦ったフィールドに到着した。
フィールドには、ポールが設置されており、その頂上にはリングが置いてある。
「ただし、できればの話ですが。」
チェルベッロの意味深な言葉のすぐあとに、グサッ と、小さな音を立てて、装着していたリストバンドから毒を注入された。
注入された毒はデスヒーターと呼ばれ、この毒は瞬時に神経をマヒさせ、立つことすら困難にする。そして、全身を貫く燃えるような痛みは徐々に増してゆき、30分で絶命させる。
それを回避するには、装着しているリストバンドに、それぞれの守護者に合ったリングを差し込み、内蔵されたデスヒーターの解毒剤が投与しなければならない。
そして、重要な大空戦の勝利条件は、ボンゴレリング全てを手に入れること。
さあ、これより、大空戦の幕が上がる。
その頃、俺はというと、デスヒーターによる神経マヒでうつ伏せに倒れていた。
・・痛いよこれは……正直、ここまでとは思わなんだ… だけど、立てないほどじゃ〜ない。
どうせ助かると、気を抜きすぎていたな これは。・・・今まで通りに、原作力が働き続けるという保証はどこにもないのにな…
認識を改めないとダメだ。俺は今、ここで生きているんだから。俺が雲雀恭弥なんじゃない、この雲雀恭弥が今の俺なんだ。
だから・・・俺は俺として、今を生きる! 今更感があるけどね。
俺は、フラつきながらも起き上がる。そして、毒ニモマケズの意思で、!ドゴオッ!ガッ!ゴッ!と、ポールを倒す。 ポール自体は簡単に倒れ、リングが落ちる。
落ちたリングを拾い上げ リストバンドの凹みに差し込む。するとすぐに解毒剤が投与された。
・・まだ少しフラつくけど、これくらいなら全く問題ない。じゃあ、雨の所に向かおう、途中でベルフェゴールにあうことになるのか、ワイヤー避けて良いかな? ……ダメ?、ダメか〜・・・ちくせう!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
移動中、リストバンドのモニターを見ると XANXUSが、嵐と雷のポールに向かって銃を撃っている映像がちょうど流れた。
XANXUSが撃ち出した死ぬ気の炎を蓄積させた死ぬ気弾は、嵐と雷のポールを倒すこととなり、計算していたのか、嵐と雷のリングはどちらとも ヴァリアー側の守護者に渡ることとなった。そして、ヴァリアー側の守護者は、リングを使い解毒し、それぞれ行動を始めた。
雷の守護者 レヴィ・ア・タンは、沢田綱吉側の雷の守護者ランボを殺すために、嵐の守護者ベルフェゴールは、沢田綱吉側の嵐の守護者 獄寺隼人は、毒によってもがき苦しみ死ねと、自分からは手を出さず、リングを持って、校舎の3階から飛び降りた。
原作力が働いたからか、それともタイミングが良かったのか、すぐ目の前にベルフェゴールが降りてきた。
骨折してから5日目で その回復力は凄いと思うよ。俺も人のこと言えないけど…
「こっからだと雨が近いか」
そいつがそう口にした時、俺は攻撃をしかける。ベルフェゴールは事前に気がつき攻撃を避けるが、俺の目的は他にもあった。
ベルフェゴールが持っている嵐のリングを上に、3階の、獄寺隼人が居る場所に向かって弾き上げる。
「……! おまえは…」
「ふぅん よくかわしたね。 君……天才なんだって?(跳ね馬が争奪戦の説明をしてたときに口にしてたよ。)始めようか、天才君。」
雷のことは嵐に任せ、俺は俺の好きに戦う。跳ね馬が言っていた外の世界で、天才と言われている彼に興味がある。俺も存外、戦闘狂だからさ…
「オレもおまえ知ってるよ。エース君だろ?」
「 ちがう、一文字もあってないよ(確か、山本武が雲戦で言ってたんだったか…)」
「……しし、、変な奴…… でも何だか一気に、楽しくなってきちゃった。」
そう言い、ベルフェゴールは
「 ふうん…曲芸でもするのかい? 足ケガしてる分のハンデをあげようか 。」
「ごケッコーー、だっておまえも足ひきずってん…じゃん」
その言葉とともに、両者とも戦いを開始する。
最初に動いたのはベルフェゴール、自身を囲っていた
数を撃っても意味ないよ と、ナイフでキズつけようと思って行った行動ではなく、、それは、攻撃するための下準備としての行動。ナイフの動きも直線的で、簡単に叩き落とせた。
俺はこの行動の意味を知っているので、自分が動きたいときに 思うように動けなくなる原作力はとても厄介だと、改めて思った。俺も何かに縛られる事は嫌いだ。行動を制限され、一方的にキズつけられると分かっているところに行く事も嫌いだ。俺はキズつけられて喜びを感じる人間じゃないもんでね。そういう人間がいる事は知っている。俺的には、いてもいなくてもどっちでも良い、というかどうでもいい。俺の害にならないなら、という言葉はつくけども。
話が逸れた・・・俺が叩き落とした以外のナイフは、俺の後ろ側に建っている校舎に突き刺さった。ベルフェゴールは笑う。
ブシャッ と、俺の左頬と左肩から血が吹き出る。ナイフには当たっていない。
ベルフェゴールは追加のナイフを俺の左右に投げる。俺は移動するために右方向に動くが、そこにもすでにワイヤーが張ってあり、右側の頬と腕の数カ所から勢いよく血が吹き出てしまう。
流れ出た血で滑り、持っていたトンファーを手放してしまった。そして、足のケガと出血によりバランスが崩れ、後ろに倒れるように座ってしまった。
「ししし、天才の勝ちー つーかオレ負けなし? そりゃ王子だもんな。 バイバイ」
そう言い、ベルフェゴールはトドメのナイフを投げてくるが、俺はその数本のナイフを指で挟むように全て受け止める。
「!」
「 へえ、なるほど、ナイフに糸がついていたんだ。 まるで弱い動物が生き延びるための知恵だね。 そういうことなら・・一本残らず撃ち落とせばいいね。 」
俺は立ち上がり、トンファーの仕込みを発動させる。
トンファーの持ち手とは離れている方の先から出たのは、先端に尖っている重りが付いている
トンファーを回すことで鎖も回る。遠心力で強化されたそれは、いとも簡単に壁をも砕くことのできる武器となった。
「や……やっべ……」
「 覚悟はいいかい 」
今度はこちらの番という意味を込めて攻撃をするが、
「っと… パース!!」
ベルフェゴールは後ろに下がることでそれを回避する。躱された攻撃は校舎に当たってしまい、ドゴオッ!と、音を立てて、校舎の壁の一部が壊れてしまった。
「パスいち! 自分の
そう言い、ベルフェゴールは最後に俺にナイフを投げつけて、その場から離れた。
投げつけられたナイフは弾いておく。
「 口程にもないな。 」
まあ、彼もまだ本気じゃなかったみたいだけどさ……
腕を振って、邪魔な血を落とす。意外と右腕のキズが深く、出血が多い。
貧血になったのか、体がフラついてしまう。倒れてしまわないよう、壁におっかかる。
・・血が止まらない……これは、早く止血しないとな。 ん? あぁ、空中で沢田綱吉とXANXUSが戦ってるのが見えるな。
俺も空中戦してみたいな・・・いずれ、ロールを足場にして空中移動できるようになるか?まだまだ先は長いな……
そうだ、さっさと止血しないと、確かポケットに入れといたはず・・・お、あったあった。これを腕に巻いて、結んでっと・・・
止血が終わった時、!!!ドドドン!!!! と、とても大きな音が連続して聞こえた。音のした方向を見ると、夜にはふさわしくないほどに明るくなっていた。
XANXUSの技だったよな…… 上手くいってれば、沢田綱吉が死ぬ気の零地点を突破できたことになるか。
なら俺は、そろそろ雨戦のフィールドに向かうとするか。