ラブライブ!サンシャイン!! 小原家の使用人!!   作:ぱすえ

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第2章 2年ブゥリデスネェー(アニメ本編)
小原家の使用人と新理事長!?


 

あれから、季節はめくるめく変わり、お嬢様が海外に留学されてから丁度1年と半年の時が流れた。

 

沼津は相変わらず、まだ少し肌寒い風が内浦の土地を撫ぜ、雪解けの終わった大地からは動植物達が顔を出してきている。

 

さて、もう何年も見ているこの内浦の情景とは逆に、お嬢様不在のこの1年半、小原家に様々な変化が起きていた。

 

 

 

まず、最初に言える変化はなんも言っても旦那様の海外永住勤務確定のお知らせであろう。

 

お嬢様と奥様がホテルオハラにて生活していたが為、日本と海外を毎年かなりの頻度で行ったり来たりしていた旦那様。

 

その度重なる出国帰国シャトルランは、着実に彼の健康に影響を与えていた。

 

半年前に会社総出で行われた健康診断にて、不健康三種の神器とも呼ばれる「高血圧」、「高血糖」、「肥満」の各3項目で社内ワースト1位の最悪数値を叩き出し、保健所から精密検査のお達しを承った。

 

にもかかわらず、旦那様は「自分の体は自分がよくわかってるわい!」っと一蹴。

が、その1週間後、過労で倒れた。

 

社長自ら労基違反を犯していくというパワープレイに社員達全員が混乱する中。

比較冷静だった幹部職の方々と俺の提案で、仕事量の大幅な削減と当分の間帰国せずに治療に専念する事が決定。

 

なお当の本人は、病院に担ぎ込まれた次の日。旦那様は何食わぬ顔で腕に点滴チューブぶら下げながら、外資系企業との取引に行こうとしたらしい…

 

その鉄人過ぎる根性と体力には脱帽するが、もう少し体を労ってほしいものだ。

 

 

 

 

 

また、それに伴って奥様が、浦の星女学院の理事長を辞職した事も小原家に大きな変化といえる。

 

思い出してくれた方もいるかも知れないが、お嬢様の入学に合わせ浦の星の経営を担ってきた彼女。

 

合理的に物事を考える奥様の指導の元、浦の星は廃校へとの道を着実に歩んでいた。

 

が、海外仕込みの強引なやり方にPTAからの猛烈な反感を喰らい、満場一致で辞職させられたのである。

 

これだけ聞くと奥様が不憫に思われるかもしらないが、「コスパ重視で学校の土地売っ払って駐車場おっ立てマース!」等の問題発言を連発してたので、因果応報だろう。

 

そりゃ、親御さんもOGもカンカンになるって…

 

 

 

 

 

 

まぁ…というわけで、お二人仲良くズッコケかました為、小原家は新春早々過酷なスタートを切る事となってしまったのである。

 

 

 

 

 

そんな破綻寸前の小原家を建て直すべく、今日このホテルオハラに新た就任した理事長が到着するとの一報があった。

 

聞くとこによると、旦那様から直々にお墨付きを頂いた敏腕経営家という話だが、一体どんな方なのだろうか?

 

そう俺とホテルスタッフ達が固唾を飲む中、ついに大広間にてその姿を現し……

 

 

 

 

 

「はぁーい♡ Hello everyone!! みんな元気にしてたー? Mari's back home now!!」

 

 

 

 

 

……………………は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Hey! サトウ。please give me tea!」

 

「1…2…3…5…7」ブツブツ

 

 

 

状況が分からず困惑したサトウは、素数を数えて落ち着きを取り戻そうとしていた。

 

とりあえず、混乱を収めるために、お嬢様にはリビングに移動してもらったまではいいが、これからどうすればよいだろうか……

 

(ま、まず最初にやるべきことは行方不明の新理事長を探す事だ。)

 

予定の時刻はとっくに過ぎていると言うのに未だにその方は現れない。

何か事故にでもあってしまわたのか?と考えたサトウは理事長の安否を確認するべくリビングを飛び出そうとしたのだが……

 

 

 

「ねぇーえ!サトウ!お茶!!ちょーだい!!」

 

「申し訳ありませんお嬢様。給仕の方はもう少しお待ちください。今は、一刻も早く新理事長を探しに行かなくてはならないのです。」

 

「Why? 何言ってるの?理事長なら貴方の目の前に居るじゃない。」

 

「え? 目の前…?」

 

「いやだから、私が、"理事長"なんだけど。」

 

「……」

 

 

 

目の前にいる金髪は何を言っているのであろう?留学先から無断で帰国してきたのにも関わらず、そんな大ボラ吹ける彼女のメンタリティは相変わらずと言ったところか。

 

いや、そんなくだらない事に感心している場合では無い。

とりあえず旦那様に連絡をとり、理事長捜索部隊を編成しなくては…

 

 

ピッ・ポッ・パッ トゥルルルル

 

 

 

「あ、もしもし。こちら使用人のサトウです。旦那様いらっしゃいますでしょうか?」

 

「やぁ、サトウ。どうしたんだい?こんな時間に?」

 

「実は、まだこちらに理事長がいらっしゃられていないんです。」

 

「え?そんなはずはない。さっき私の所に、マリーから到着したと言う連絡が入っているんだが…」

 

「……え?」

 

「ん?どうかしたのかい?」

 

「ま、まさかとは思いますが、理事長って、今こちらに無断で帰国なさられてグータラにくつろいでいやがる、太々しいパツキンのコトでは無いですよね??」

 

「その太々しいパツキンという言葉は少々引っかかるが、理事長はマリーだよ。…もしかして言ってなかったk…

 

『社長ぉ!?また勝手に病室を抜け出さないでくださいッ!!これで何回目ですか!!!』

 

………あーごめんごめん。すまないが、これから仕事があるのでね。失礼するよサトウ。マリーの事をよろしく頼んだ。では…」

 

 

プチッ ッーッーッー

 

 

 

虚しい音と共に、国際電話が切れる。

サトウは吸うっと深呼吸をしたかと思うと、そっと胸ポケットにガラケーを仕舞う。

そして、7から次の素数を数えるべくその場に蹲るのであった…。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

素数を数えて早1分。997から次の素数を導き出せなくなっていたサトウは、とうとう現実から逃避するのを辞めた。

 

向き直るとそこには、何がおかしいのかニマニマとこちらを見る鞠莉が1人。ソファにふんぞり返り彼を見下ろしている。

 

 

 

「ネーサトウ。さっきから1人でブツブツやってたけど気が済んだ?」

 

「あ、ありえねぇ…おめぇが理事長だなんて…」

 

「正直、祝ってもらえるとは毛ほども思ってなかったけど、そんな、この世終わりみたいな反応されると傷つくわ。」

 

 

 

 

しばらく濁りきった瞳でただ茫然と彼女を見つめるしか無かったサトウだが、素数を数えた事で脳味噌が活性化したのか、少しずつ状況が飲み込めてきたらしい。

 

なんとか落ち着きを取り戻し。サトウは質問した。

 

Q.1何故お嬢様が理事長なんですか?

Q.2留学はどうなされたんですか?何かやらかしたんですか?

Q.3また乳がデカくなりましたね…あ、パッドで盛ってるんですね?見栄っ張りだなぁ…

 

…と、若干取り乱しつつある従者の問いに鞠莉は冷静に答えていく。

 

 

 

「理事長になった理由は簡単よ。パパとママがやらかした分の損失を私が個人でやっていた株投資とFXで取り戻したの。で、その手腕を2人に認めさせて浦の星の経営を任してもらったって訳。」

 

「上の答え通り、浦の星に帰ってくるにあたって留学はおしまい。というより、留学先で学んだ経営学と経済学のおかげでFXと株で成果を出せたんだから、もう海外に居なくたっていいでしょ。」

 

「で、最後の質問。偽乳か巨乳か実際に触ってみる?」

 

 

 

ホラホラ〜♪と服をずらし胸元を曝け出す鞠莉にサトウは正気を取り戻したのか、真顔でかつ毅然とした態度でこう言った。

 

 

 

「あ、結構っす。」

 

「は!?男の子ってこういうのが好きなんでしょ?なんでよ!!」

 

「俺は自分より一回りも年下のしかもJKに欲情するほど性癖拗らせちゃいませんよ。あまり大人を舐めないでください。」

 

「そんなこと言って〜♪本当は触りたい癖にぃ〜」

 

「やめてください。サッサとそのお下劣な胸をおしまいになってどうぞ。」

 

「サービス♪サービス♡」ズイズイッ!

 

「近い!そして寄りかかるな!!事案になったらどうすr…」

 

 

 

 

 

カシャ!

 

 

 

 

 

……嫌な音が聞こえる。

咄嗟に音のする方を見ると、正面に見覚えのある一眼レフのカメラがご丁寧にこちらを向いて置いてあった。

 

眉をピクピクと痙攣させ俺が隣を向くと、お嬢様がムフフωと口を綻ばせながら意地悪く微笑んでいる。

 

なんだろう。とてつもなく悪い予感とロクでも無い事が起きそうな気がしてきた。

 

 

 

「な、何をなされたんですお嬢様?」

 

「淫らな姿のJKに寄りかかられるタキシードの男性の写真。なーんか想像力書き立てられる一枚だとは思わない?」

 

 

 

このアマぁ…写真を盾に脅迫するつもりかよ。

はっ!?まさか、また俺に無理難題ふっかける気じゃ……(絶望)

 

とは言っても、まだ慌てるような時間じゃ無い。俺にはこの状況を逆転できる術がある。

 

思い出してくれ、むかーしむかし、奥様のババ臭い下着を俺の牙城にばら撒かれ、社会的に抹殺されかかった時。

俺を救ってくれた相棒。ボイスレコーダーちゃんだ。

 

今回お嬢様の突然の登場に、脳内の危険信号が鳴りっぱなしだった為、あらかじめつけておいたのが幸いだったぜ。

 

 

 

「……へへ、お嬢様も学習しませんね。俺がボイレコを常備していることを忘れているとは……ッ!?」

 

 

 

あ、あれ?確かにさっきまでポケットに入ってたはずなのに!?

冷静にガサゴソとポケットというポケットを弄るがボイレコは見つからない。

 

 

 

「もしかしてだけど、お探し物はコレかしら?サトウ?」プラ-ン

 

「なっ!?いつの間にスリやがった!?」

 

「貴方がブツブツ素数数えてた時、ポッケから物騒な物が見えたから、回収しといたのよ。ちなみに、このカメラもその時セットしたものよ。うふふ、学習してないのは果たしてどっちかしらね?」

 

「ぬ…ぐぅ……」

 

 

 

俺のボイレコを片手で弄び、ちゃっかり一眼レフまで手元に回収していたお嬢様は、俺を完封してご満悦のご様子だ。

 

畜生…思考停止していた隙をつかれるとは…ぬかったわ。

 

 

最早なす術なく立ち尽くす佐藤に、鞠莉は真剣な眼差しで彼を見据える。

そして、ふうっと一息ついたかと思うとこう切り出した。

 

 

 

「茶番はコレくらいにしましょうサトウ。貴方に頼みたい事があるの。」

 

「なんです?また面倒事の片棒担がされるのはゴメン被りますよ。」

 

「察しがいいのは相変わらずね。でも、今回はそうじゃ無いわ。」

 

「と、言うと?」

 

「貴方には黙って私のやることを見届けて欲しいの。結果が良かろうと悪かろうと目を逸らさずに…ね。」

 

「………了承しかねます。」

 

「あら?どうして?理事長の座についたのは逃げ場をなくす為。2年前の一介の生徒だった私とは責任の重さは段違いよ。

こうまで腹括っているのに貴方は何故、私のやることを見届けてはくれないのかしら?」

 

「それは……」

 

 

 

急に言葉に詰まるサトウに、鞠莉はズイッと近づく。そして彼の顔を下から見上げ、逃げられないように両手でガシッっと掴んだ。

 

な、何をするんです!と慌ててサトウは彼女を引き離そうとするが、思ったよりも力が強く振り解く事が出来ない。

 

 

 

「サトウ…」

 

「…本当に…やめ…」

 

 

 

真っ直ぐに射抜かれるその視線に、思わず顔を背けようとするが、鞠莉の手の力は緩まない。むしろさっきよりも強くなっている。

 

 

 

「大丈夫だからサトウ。"私を信じて"」

 

 

 

 

 

私を信じて

 

 

わたしを信じて

 

 

…たしを信じて

 

 

ぼ…しを信じて

 

 

ぼくを信じて

 

 

『僕を信じて』

 

 

 

 

 

「…っ!?」

 

 

鞠莉の金色の眼が彼の記憶の奥底にあった親友の眼とダブり、偶然にも彼女の言葉が親友の言葉と重なる。

瞬間、体全身に力が入らなくなりサトウはその場にストンと崩れ落ちた。

 

 

 

「だ、大丈夫!?サトウッ!!」

 

 

 

突然その場にしゃがみ込んだ使用人の姿に、鞠莉は慌てて声をかけ手を差し伸べるがサトウはその手を優しく払った。

 

 

 

「……す、すみません。ちょっと貧血を起こしてしまったみたいで…今日のところはこの辺で。お嬢様も長旅でお疲れの事ですし、この話はまた今度にでもしましょう。」

 

 

 

そう言うと、サトウはゆっくりと立ち上がりぎこちない笑顔のまま、「申し訳ありません。」と逃げるようにリビングを出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり…パパとママから聞いた通り。サトウの心の中には"トージョーノゾム(東條望)"がまだトラウマとして残ってるのね…。」

 

「でも、サトウ。私は"彼女の様"にはならないから。だから心配しないで…見届けて欲しいのよ。」

 

 

 

使用人の出て行ったリビングの片隅で、小原家令嬢は1人そう呟くのであった。




やべぇ…ギャクの書き方が思い出せん。
次回は、シリアス薄めでお届けします。多分。
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