どうか暖かい目で見守ってください。
「んん.....」
俺はゆっくりと目を開ける。目の前には見知らぬ天井が広がっていた。
「.....」
寝起きでボケてるからなのかは分からないが、今の状況がまったく理解できない。
とりあえず、俺は体を起こしてみた。
「イタっ.....」
急に激痛が走ったので、俺は自身の体に視線を向ける。俺の体は包帯でぐるぐる巻きにされていた。
.....まあとりあえず冷静になれ俺よ。よし、今思っていることを口に出してみようか。
「なんじゃこりああぁぁ!!」
なんで俺包帯でぐるぐる巻きなんだよ!それにここどこだよ!あぁもう分かんないこと多すぎだよ!!
この状況があまりにも理解できなさすぎて発狂していると、部屋の扉がゆっくりと開いた。入ってきたのは、桃色の髪の毛が特徴の女の子だった。
「目が覚めてくれたのは嬉しいけれど、少しうるさいわ」
俺はこの女の子を見て、一瞬で状況を理解することができた。
え、なぜだって?だってこの女の子、目が3つもあるんだよ!しかもこの大きい方の目、俺の方めっちゃ見てるし!
これらのことから、これは夢だと誰だって分かるだろう!
「というわけで寝よう。早く夢から覚めてほしいぜ.....」
「ちょ、ちょっと!なんで二度寝するのよ!」
「いや、だって目が3つもある女の子が目の前に立ってるんだ。こんなの夢に決まってるだろ」
「私はさとり妖怪っていって、第三の目をもつ妖怪なの!」
妖怪っていっちゃったよ.....それじゃあますますこれが夢だって言ったようなもんじゃないか。
「妖怪とかいるわけねぇし.....つまり夢確定だな」
そう言うと目の前の少女はため息をついてしまった。なんか罪悪感を感じるな.....
「はあ.....とりあえず自己紹介するわ。私は古明地さとり、この地霊殿の主よ。あなたの名前を教えてもらえるかしら?」
こいつ強引に話を進めやがった.....
「.....春夏秋冬三月樹(ひととせみづき)だ」
「わかったわ。なら三月樹、今から一から説明するからよく聞いてちょうだい」
どうやら一から説明してくれるらしい。まあ夢とは分かっているが、だからといって説明を拒否するのはあまりに可哀想だろう。俺は話を聞くことにした。
「ここは幻想郷、人びとから忘れ去られ幻想となったものが集まる場所。だから人以外にも、妖怪、神、仙人などもいるわ。つまり私のような妖怪がいても、おかしくないの」
「なるほど。幻想郷にはお前みたいなやつがたくさんいるってことはわかった。(本当はいまいち分かってないけど)じゃあここが幻想郷である証拠は?」
「.....」
あっさりそこで黙るのかよ!うーん、予想以上にあっけなかった。もう少し粘ると思っていたんだが。
「幻想郷?そんなのあるわけねえじゃん。ていうか幻想っていってる時点でここが現実じゃないっていってるようなものじゃねえか。嘘をつくにしても、もうすこしマシな嘘にしてほしいなーさとりちゃん」
あまりに早く論破して面白くなかったので、ちゃん付け呼ばわりしてバカにしたのがよほど頭にきたのか、さとりちゃんは声を荒げる。
「わかった!私があなたの頬を全力でしばいてあげる!それで頬に痛みが走れば夢じゃないって証明できるんじゃないかしら!?」
正直、俺は別に女の子のビンタぐらい大したことないと思っていた。でも彼女の振り上げた腕が誤って壁に当たったとき、その壁が思い切り凹んだのだ。これを見て俺は態度を一変した。
「わかりましたこれは夢じゃないです現実ですここは幻想郷ですだからビンタはやめてええ!その威力で叩かれたら顔吹き飛ぶから!!」
俺が少し涙目になりながら自分の行為を詫びたので、彼女は手を降ろしてくれた。
「まあ、わかってくれたのならいいのだけれど.....話を進めるわ。どうしてあなたはあそこに倒れていたのかしら?」
「.....倒れてた?」
「あら覚えてないの?あなたはこの地霊殿の前で倒れていたのよ。しかも傷だらけで」
倒れてた.....?なるほど、怪我をして倒れていたから包帯でぐるぐる巻きにされていたのか.....
よし、それは理解した。じゃあ、どうして倒れていた.....?
考えれば考えるほど、俺は怖くなっていった。どう考えても、俺はあれになったとしか考えられないからだ。
「もうひとつ質問するわ。あなたは一体何者?」
もう認めるしかなかった。俺は記憶喪失になっていたのだ。なぜここで倒れていたのか、どうして傷を負っていたのか、俺が本当に人なのか、全く分からない。自分の名前以外、何も覚えていないのである。
「わからない.....自分の名前以外は覚えてないんだ.....」
「記憶喪失.....かしら?まあそんなことだろうとは思っていたけど。ってことは当然住む家とかはない?」
「.....自分の家はあるかもしれないが、どこにあるかは分からないな」
このとき、俺はなぜ彼女が家の話をしたのか不思議に思っていた。そして次の彼女の一言に、俺は度肝を抜かれることになる。
「なら、私の家族になりなさい」
いや、まあ俺にとってはありがたい話ですけども。
読んでくださりありがとうございました。
アドバイスなどあれば、よろしくおねがいします。