第十話です。次の投稿まで少し間が空くと思います。
「またあなたですか」
俺は再びすみれがいる部屋へ戻ってきた。そして今、彼女に呆れられたところである。
「そこに一人でいてもどうにもならんだろう。だから外へ出よう」
俺は手を差し伸べる。しかし、すみれは俺の手を弾いた。
「嫌です。あなたが何度言おうと、私は外に出る気などありません。
そしてあなたと会うのも、私は嫌なんです。早く出て行ってください」
それ以降、彼女は口を聞かなかった。
やむを得ず、俺は部屋を後にした。
その日からは、俺は暇さえあれば彼女の部屋に行き、外に出るよう説得するようになった。
しかし、彼女は一向に部屋から出ようとはしなかった。
そんな毎日が数週間続いたある日のこと、俺はいつものように彼女の部屋に行った。
「今日も来たぜー。強がってないで、そろそろ折れたらどうなんだ?」
「・・・もう我慢の限界です。言っても分からないあなたにはこうするしかありません!」
すみれはいきなり弾幕を放った。
俺は自らの能力で、弾幕を吸収し無効化した。
「そうでした・・・あなたの能力は弾幕を吸収するんでしたね」
彼女は妖力を高め、先ほどよりも強力な弾幕を形成し始める。
「そこまでするほど、俺とは会いたくないのか・・・」
「ええ会いたくないです。私は誰とも会いたくありません。私は独りがいいんです!」
言うしかなかった。こんなことを言えば、きっと彼女は傷つき、俺は最低野郎になるだろう。でも、そうするしかなかった。
「じゃあなんで・・・自決しないんだよ」
「!?」
彼女の動きが止まる。
「こんな部屋に独りでいるだけだったら生きている意味ねえじゃねえか・・・
だったら、いっそ死んだほうが楽になれるんじゃねえのかよ」
この言葉を聞き、彼女は震えていた。拳に力が入っているのがわかる。
弾幕を放つのをやめ、此方に向かって歩いてくる。
「そんなことを私に言うために、ここへ来たんですか・・・?」
そして彼女は、容赦なく俺の顔を引っ叩いた。
「あなたという人は、最低です・・・」
彼女の目からは涙が零れていた。
俺という奴は、本当に大馬鹿野郎だ。二回も顔を叩かれるし、そして二回も少女を泣かせてしまった。
自分でいうのもなんだが、どうしようもないくらいの屑だと思った。もしこれをさとり様が聞いていれば、俺はただでは済まなかっただろう。
・・・でも。いや、だからこそ、俺は彼女に伝えることができる。
「違う・・・」
「は?声が小さくてよく聞き取れないんですが」
俺はありったけの声で叫んだ。
「俺がお前に死ねっていうためにここに来たわけねえだろっっ!!」
すみれは言葉を失っていた。俺は続ける。
「誰にも助けてもらえずたった独りで死んでいく、そんなことが許されるわけねえだろ・・・
お前だって、まだ生きることを諦めてねえんだろ!自分を助けてくれる誰かを信じて待ってるんだろ!?」
「・・・違います!私は待ってなんかいません!私なんて、独りで死んでいく運命なんですよ!!」
すみれは涙を流しながらも、負けじと大声で叫んだ。
「私を助けてくれる人なんて・・・誰も・・・いないんですから・・・」
すみれはとうとう、その場に崩れ落ちてしまった。俺はそんな彼女にハンカチを差し出す。
「・・・だったら、俺がお前を助けてやるよ」
「でも・・・私は能力のせいでみんなから嫌われるんです・・・私に味方してくれる人なんて・・・」
「この地霊殿の奴は、お前を嫌ったりしないさ。それに、もしものときは俺がお前を守ってやる」
「ほんとですか・・・?」
涙を拭き終わった彼女は、俺の目を真っ直ぐ見つめる。俺も、彼女の目を見つめ返した。
「ああ、本当だ」
俺はすみれに手を差し出した。
「外に行こう。こんなところに閉じこもってないで」
すみれはしばらく動かなかった。
そして、恐る恐る手を伸ばし、ようやく俺の手を握った。
「・・・はい」
部屋を出ると、俺を待っていたかの様に、さとり様がいた。
「聞いてたんですか」
「ごめんなさい。けれど、気になって仕方なくって」
全部聞かれていたのか・・・やば、あとで殺されるかも。
俺がそんなことを考えている中、すみれはさとり様の姿を捉えていた。
「おねえちゃん・・・?」
するとその時、彼女の第三の眼が再び光りだした。
この光・・・俺と会ったときと同じ?・・・まさか!
俺はこの光を知っていた。これは、すみれが記憶を読み取る時に起こる光である。
ということは、すみれは今、さとり様の記憶を全て読み取っていることになる。
つまり・・・
「嫌わないで嫌わないで・・・いや・・・いや・・・!」
「落ち着け!落ち着くんだ!!」
「どうしたの!?すみれ!」
さとり様の記憶を読み取ったことで、すみれは心の奥深くに閉じ込めていた自分のトラウマを、思い出してしまったのだった。
「いやぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
彼女から莫大な妖力が溢れ、暴走した。
なんか三月樹に主人公補正かけ過ぎたかもw