地霊殿の日常    作:Mt.Fuji

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最近投稿のペースが落ちてますね・・・
がんばらないと!


第十三話

お燐side

 

 

あたいはしばらく泣き叫んだ後、再びリビングに戻った。さとり様や三月樹さんにどうしたのかと聞かれ、トイレですと言った。

 

 

もちろん嘘だ。しかもあたいの目は涙のせいで充血していたはずだから、トイレじゃないことぐらいすぐバレると思っていた。

 

 

でも、二人はそれに気づくことなく立ち去ってしまった。もしかしたら、あえて気づかないふりをする二人なりの気遣いだったのかもしれない。

 

 

しかし今のあたいにとってそれは、よりいっそう自分が孤独だということを強調されたようにしか思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

就寝時間となり、あたいは布団に包まっていた。

窓から外を見てみるとみぞれが降リ注いでいた。おかげで今夜は冷え込むわけだ。

 

 

いつもと何も変わらない。寝るときはいつも一人だし、今夜は少し冷え込んでる以外は何も・・・。

 

 

「・・・」

 

 

とうとう我慢できなくなり、あたいは頭の下敷きになっている自分の枕をとり力いっぱい抱きしめた。

 

 

寂しかった。誰かの暖かさがほしくて仕方なかった。

でも、そんなことをしてくれる人はこの地霊殿にはいない。分かってはいても、それを受け入れられない自分がいた。

 

 

そしてまた、自分の目から涙がこぼれた。暖かさなど全くない、冷たい涙だった。

 

 

 

「独りなんて・・・嫌だよ・・・」

 

 

その言葉は誰にも聞こえることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になった。あたいはいつものように朝食の席につく。

しかし、その光景は昨日と何等変わっていない。あたいは誰とも喋らないまま朝食を終えた。

 

 

とりあえず、あたいは此処から出ようと思った。独りで此処にいるのはもう嫌だった。

 

 

だが、当然行く宛てなどない。地底の妖怪を快く受け入れてくれる人なんて地上にはいないだろう。

どうしようかと悩んでいると、ふと、あたいには一人だけ友達と呼べる頼れる存在がいたことを思い出した。

この前も恋愛相談とか聞いてもらったし、あいつは頼りになる。

 

 

あたいは三途の水先案内人に会いにいくことにした。

 

 

 

 

あたいは荷物を多めに持ち、自分の部屋から出る。さすがに黙って出かけるわけにはいかないので、さとり様に一声かけることにした。

 

 

リビングで読書中のさとり様を見つけると、あたいは声をかけた。

 

 

「さとり様、ちょっと出かけてきます」

 

 

「そんなに荷物を持ってどこにいくの?」

 

 

さとり様は本を読んだまま此方を見ずに言った。この言葉にあたいは声を詰まらせる。

あれ?よくよく考えれば、さとり様って心を読めるよね。あたいの行く場所バレるじゃん・・・

 

 

「あぁ、えーと」

 

 

「まあどこでもいいわ、気をつけていってらっしゃい」

 

 

何か言い訳しようとしていたところ、それを最後まで聞かずにさとり様は言った。

 

 

「・・・はい、いってきます」

 

 

そう返しさとり様を後にした。さとり様は本読むのに集中してて此方を見てないから、あたいの心を読んでいない。なんとか切り抜けられてよかった。

 

 

 

 

あたいは外に出ると、自分の家を振り返った。

そこにはあたいのいろんな思い出が詰まっている。喜び、悲しみ、怒り、苦しみ、それらを共有し合った4人の記憶がある。

でもそれは、あくまで過去のことだ。今は三月樹さんとすみれ様を入れた5人が楽しい毎日を過ごす空間へと変わっていた。そこにあたいの居場所はない。

 

 

気が付くとまた頬が涙で零れていた。それを手でふき取ると、あたいは自分の家だった場所に向かって最後の言葉を告げた。

 

 

「・・・さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あたいのところに来たわけか」

 

 

あたいは死神である彼女、小野塚小町の元へ来ていた。そしてここは彼女の仕事場である三途の川である。今、彼女に事情を説明したところだ。

 

 

「だからさ小町、あたいをしばらく匿まってくれない?」

 

 

「あたいは別にいいんだけど・・・」

 

 

どうでもいいことだが、二人とも一人称「あたい」だ。

どっちが話しているのか分かりにくいから一人称は「私」にしてほしいんだけど・・・

 

 

「事情は聞きました。あなたを匿まってあげましょう」

 

 

あたいが本当にどうでもいいことを考えていたところ、背後から声が聞こえた。

その声に小町は体をビクッとさせる。

 

 

後ろを振り返ると、緑色の髪と手に持っている悔悟の棒と呼ばれる笏が特徴の女性が立っていた。

彼女は小町の上司で死者を裁く閻魔、映姫さんだ。

 

 

「こんにちは映姫さん、急に押しかけてすみません」

 

 

彼女はいえいえ、大丈夫ですと言って笑顔を見せた。あたいは挨拶を済ませ、本題へ入る。

 

 

「あの・・・本当に匿まってもらっていいんですか?」

 

 

「もちろんです。でもそのかわり、条件が一つあります」

 

 

条件とは何か、とあたいは映姫さんに聞いた。まあ、うすうすどんなことかは想像がついているんだけど。

 

 

「このさぼりを監視してもらいます」

 

 

こっそりと逃げ出そうとしていた小町を映姫さんは鋭い目つきで睨み付けた。

相変らず小町は仕事しないなぁ・・・

 

 

「じょ、冗談きついですよ四季様。私はさぼってなんか・・・」

 

 

「はあ!?」

 

 

どうやら小町はまた映姫さんの逆鱗に触れてしまったらしく、お説教が始まってしまった。

こうなると水を差すわけにもいかないので、あたいはしばらく待つことになった。ま、この説教見るのは慣れたからいいけど。

 

 

 

 

・・・映姫さんが落ち着いたら、あたいは本当のことを話すことに決めた。

もちろん、あたいの覚悟も一緒に。

 

 




一応小町は「あたい」より「私」を使う方が多いらしいです。
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