地霊殿の日常    作:Mt.Fuji

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やばい、本当に時間ない...


第十四話

 

一時間ほど説教が続き、ようやく映姫さんの気がおさまったので、あたいは本当の真意を彼女らに伝えることにした。

 

 

「...本当は匿まってほしいわけじゃないんです」

 

 

これを聞いた二人は不思議そうに首をかしげる。彼女らに分かるように、あたいは言った。

 

 

「あたいをペットにしてほしいんです!」

 

 

「ええっ!?」

 

 

小町は驚愕の声をあげた。まあそういう反応するよねやっぱり。しかもこの言い方だとただのドMの変態だと思われるかも...(笑)

 

 

「それって、どういうことですか?」

 

 

映姫さんが真剣な目つきであたいを見た。それを真っ直ぐ見つめ返し、あたいは再び口を開く。

 

 

「先ほども話した通り、あたいは地霊殿を家出してきました。もうあたいはあそこへ帰りたくないんです。だから、あたいをあなた達のところに住まわせてほしいんです」

 

 

地霊殿には自分の居場所がないから、と付け加えようとしたがやめた。今はその理由を言う必要はないはず。あたいはその言葉を胸の奥にしまい込んだ。

 

 

「でも、私らの住んでいる地獄に行くには三途の川を通らなきゃいけない。そこを渡ればお燐は死ぬことになる、一緒に住むのは無理だよ...」

 

 

小町は悲しい表情をして俯いた。

あたいはそんな彼女を見てはっきりと言った。

 

 

「その覚悟は出来てる」

 

 

小町は黙ったまま此方を見た。どうやらこの言葉の意味を理解したようだ。

 

 

「死ぬ気ですか?」

 

 

横にいる映姫さんが此方の意図を探るように聞いてくる。あたいは迷いなく言い切った。

 

 

「そのつもりです」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は互いの目を黙って見つめ合っていた。

 

 

あたいのこの決断に迷いはない。

 

 

この人達と一緒に暮らすためには、三途の川を渡り死を迎えることになる。でも、もうそれしかない。

どうせ地上に友達はこの人達しかいないし、あたいに家なんかない。

 

 

でも、地霊殿に二度といけなくなるのはちょっと寂しいかな...

 

 

しばらくして、ようやく映姫さんは口を開いた。

 

 

「...仕方ないですね。

分かりました、あなたを私たちの家族として迎え入れましょう」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

あたいは深々と頭を下げた。

 

 

「いいんですか!?四季さま!」

 

 

「はい、冥界に住む亡霊にいろいろと頼めば問題ないでしょう... お燐、それでもかまいませんか?」

 

 

「...はい、問題ないです」

 

 

亡霊なんているんだ...さすが幻想郷。

 

 

「ま、かなり突然だけど...

これからよろしくな、お燐」

 

 

小町が手を差し出してきた。

 

 

「うん!」

 

 

あたいは笑顔でそれを握り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お燐!」

 

 

突如自分の名前を呼ばれた気がした。

後ろを振り返ると、案の定見覚えのある人達がいた。

 

 

「さとり様...?」

 

 

やっぱりあたいの行き先はバレていたらしい。

あたいの見た先にはさとり様とこいし様、お空、三月樹さんがいた。

 

 

「なんで黙って出て行くのよ!私、凄く心配したのよ!」

 

 

あたいは何も答えなかった。

 

 

嘘に決まっている。心を読めるくせにあたいの行く場所が分からなかったわけがない。そこで何をするかすら分かってたくせに。

 

 

だから、さとり様に言ってやった。

 

 

「...そんな芝居はいいですよ」

 

 

「分かっていたんでしょ、あたいが何処に行こうとしてたのか、どんな目的があったのか。

心を読めるあなたには全てお見通しですよ...」

 

 

さとり様は表情ひとつ変えない。醒めたような目で此方を見つめるだけだった。あたいは無理やり笑顔を作って言った。

 

 

「あたいのことは放っておいてください」

 

 

「そういうわけにはいかない。あなたは地霊殿の大切な私の家族なのよ。

さ、一緒に帰りましょ」

 

 

彼女も笑顔でそう言った。

 

 

自然と拳に力が入ってしまった。あたいが家出した原因を知っているくせに、まだそんなことを言ってくることが許せなかった。

もう我慢の限界だった。あたいは叫んだ。

 

 

「あたいはあなたたちの家族なんかじゃありませんっっ!!」

 

 

周りの人たちは少し驚いたが、さとり様だけは黙って此方を見ていた。あたいはさらに続ける。

 

 

「地霊殿にはあたいなんか必要なかったんですよ!あなた達とすみれ様で楽しく暮らせば、それでいいじゃありませんか!何か問題でもあるんですか!」

 

 

「...さとり様はそのことを分かっているんでしょ?

だったら今すぐ帰ってください。あたいなんて捨てて帰ってください!!」

 

 

「.....」

 

 

 

ここにいる全員が黙り込む。すぐ横で小町が唾を飲み込んだのが分かった。

 

 

そして、さとり様は再び口を開く。

 

 

「...分かった。地霊殿に帰るわ」

 

 

そう言って、さとり様は後ろに振り返った。すぐに三月樹さんが彼女のもとに駆け寄り、何か話し出す

。なんと話しているのかは聞き取れなかった。

 

 

話が終わると三月樹さんは此方を何度か見た。だが、何も言うことなく帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....」

 

 

急に足の力が抜け、あたいはその場に座り込んでしまった。すぐさま小町が近寄ってくる。

 

 

「大丈夫!?お燐!」

 

 

「う...ん...」

 

 

あたいはなんとか笑みを浮かべた。それを見て、小町はあたいの手を握った。

 

 

「無理しなくても、いいんだよ」

 

 

そのときの小町はまるで母親のようだった。あたいがずっと求めていた暖かさがそこにあった。

 

 

あたいはしばらくの間、小町の胸の中で泣き叫んだ。

 




こいしとお空は今回空気になっちゃいましたw

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