地霊殿の日常    作:Mt.Fuji

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お久しぶりです。Mt.Fujiです。
ようやくこの後の展開が思いついたので、投稿を再開します。待たせてしまってすみません。




第二十二話

 

 

さとりの告白プロジェクト、第三弾です。

.....今気付いたけどこれだとまるで自分が告白するみたいね。まあ、その意味も少し含んでる.....いやいや、そんなわけないわ! 

これはこいしの恋を成就させるためのプロジェクト、私には何も関係ないのよ!

 

 

「なにさっきからぶつぶつ言ってるの?」

 

「ひゃあ!?」

 

思わず声をあげた私を見て、こいしは首を傾げていた。この様子だと、どうやら私が何と言っていたかまでは聞き取れなかったらしい。

私はコホンと一つ咳払いをし、話題を本題へと戻す。

 

「料理したことある? こいし」

 

「一応少しぐらいならあるかなー」

 

あら、意外。いつの間にそんなことをしたのかしら? .....どうせただの悪ふざけだと思うけど。

 

「むっ、お姉ちゃん。今失礼なこと考えてるね?」

 

「さあ、どうかしらね」

 

こいしにそう言ってる私だけど、実のところは私もあんまり料理はしたことが無い。現在、この地霊殿のキッチンを支配しているのは三月樹だし、彼が来る前はお燐に任せていたしね。

 

そんなことを話しながら、私達は目的地に到着する。キッチンまで歩いていただけなのに目的地なんて言い方は少し大げさだけど。

 

「とりあえず、私達で一度作ってみるしかないわね.....。こいし、すみれから頼まれている料理って?」

 

「うーんと確か.....焼きサバって言ってたよ」

 

焼きサバ.....? 確かにどんな料理かは想像がつくけれど、あまり聞いたことはないわね。

サバの煮付けとかなら分かるんだけど.....

 

「それって焼いたサバで良いのかしら?」

 

「いいんじゃない」

 

即答.....少しぐらいは悩んでもいいと思うのだけど。まあこいしがこう言っているのだし、仕方ないか。

 

「じゃ、焼きサバを作るわよ」

 

「おーっ!」

 

意気込んで、私たちは焼きサバという料理を作り始めた。

 

 

 

 

 

「できたわね」

 

「うん、できた」

 

正直に言うと、絶対失敗すると思っていた。料理に関してシロウトな私たちが作るのだから、失敗するのも無理はない。お燐を呼んで一緒に作ってもらうべきだったと、少し後悔もしていたぐらいだった。

 

だが、実際は保存庫に合ったサバの切り身を醤油などで味付けしながら焼くだけだった。とても簡単だった。

 

「.....とりあえず、すみれに食べてもらおうよ」

 

「ええ、そうね」

 

この調理法に問題があろうが無かろうが、これが焼きサバという料理では無かろうが、すみれの感想を聞かないかぎりは始まらない。こいしに従って、私達は作った焼きサバを持ってすみれの部屋に向かうことにした。

 

 

 

 

いくら地霊殿が大きな屋敷とはいえ、キッチンからすみれの部屋までは一分もかからない。だが、今このときほど、すみれの部屋が遠いと思ったことは無かった。

一体なぜか.....それは私達の歩みがとんでもなく遅かったからだった。

 

「き、緊張するわね。こいし」

 

「うん.....」

 

なんせ私達二人とも満足に料理を作ったことがないから、緊張するのも無理ない話だった。

五分くらいかけて、ようやく私達はすみれの部屋の前までたどり着く。

 

「じゃあ行ってくる、お姉ちゃん」

 

「ええ.....無事を祈っているわ」

 

あまりに緊張しているせいか、まるで今から戦場に出かける人に掛ける言葉みたいになってしまった。

 

ゆっくりと、こいしは扉を開ける。

私はさっきの言葉通り、祈る気持ちで部屋に入っていくこいしを見守った。

 

「作ってきたよー、すみれちゃん」

 

「おー、結構早かったね」

 

部屋の中からこいしとすみれの話し声が聞こえる。私はそれを聞き漏らさないように、扉に背中を張り付かせて耳を済ませる。

 

「私の頼んでいた料理、ちゃんと作れた?」

 

「もちろん!」

 

こいしは自信満々にそう言い放った。まるでさっきまで緊張していたのかが嘘みたい.....ていうか、もしかして緊張してたの私だけ!?

 

「じゃじゃーん! すみれちゃんが言ってた焼きサバだよー!」

 

ま、まあ.....今私だけが緊張していたことは置いておこう。

 

重要なのは料理の評価。味だけではなくて、見た目も重要なポイントよね。

私が見た限りでは、かなり美味しそうに仕上がっていたと思うのだけど.....

 

「.....」

 

あれ? すみれの反応がない。もしかして、私聞き漏らしたのかしら?

私は扉に耳を密着させて聞いてみる。

 

「ん? どうしたのすみれちゃん?」

 

どうやら、すみれは何も言っていないみたいだった。

もしかして、想像してたのと見た目と違ったとか.....? ええい、こうなっては仕方ない。どんな批判も受けてやるわ! すみれ、遠慮はいらないからダメな部分をいいなさい!

 

「.....ねえ、こいし。私が頼んだのって.....」

 

「え? 焼きサバでしょ?」

 

「焼きそばだよ!!」

 

.....えっ?

まさか.....焼きサバじゃなくて、焼きそば.....?

 

「あー.....間違えちゃった。てへ」

 

なるほど、こいしが聞き間違えたのね。確かに焼きサバって料理はあまり聞いたことなかったし、不思議に思っていたのだけど.....まったく、こいしらしいわね。

 

「てへじゃないよまったく..... まあ間違えたのなら仕方ないけどね。それで、ご飯は?」

 

「ん? どゆこと?」

 

「白飯だよ!!」

 

「え....そんなのないよ」

 

「単品なんて可笑しいでしょ! 彼氏に振舞う手料理が焼きサバって時点で少し可笑しいけど、せめてご飯ぐらいいるでしょ! ご飯ぐらいわ!」

 

「そんな.....私はただ言われたとおり、焼きサバを作っただけなのにー!」

 

「だから焼きそばだよっっ!!」

 

.....だんだん姉妹で漫才してるように思えてきたわ。

でもまあ、焼きサバを一緒に作った私にも責任はあるだろうし、そろそろ出て行って謝るべきかしら?

 

「確かに間違えちゃったけど、私はお姉ちゃんと精一杯作ったんだよ? だから焼きサバ食べてよ!」

 

「私は食べ物の中で魚が一番嫌いなの!」

 

「お願いだよ~食べて~」

 

私が出て行こうか迷っている間、こいしはすみれに自分の作った焼きサバを食べてもらおうと、無理やり皿を押し付けているようだった。すみれはそれを拒否しているのだろう。

 

そろそろ何か起こりかねないと思い、私が扉を開けたときだった。

 

「「あっ」」

 

こいしに皿を押し付けられていたすみれの手が、うっかり皿に当たってしまったようだ。

当然、その衝撃で皿に乗っていた焼きサバは宙を舞う。そして、ほんの数秒後、

 

べちょ

 

という効果音を放ち、焼きサバはすみれの頭に落下した。

 

「「「.....」」」

 

訪れる沈黙、思考が追いついたのは、それから二秒後のことだった。

 

「ぎゃああああ! 私の頭にサバがああああ!」

 

「お、落ち着きなさいすみれ!」

 

すみれは私の言うことも聞かずに、子供みたいにぎゃーぎゃーと喚き散らす。

 

「私の髪が.....サバ臭くなっちゃううううう!」

 

ならないわよ! まあ、一時的にはなるかもしれないけど。

ってかすみれそんなに魚嫌いだったっけ? そもそも、魚嫌いだったことが初耳なんだけど.....

 

「いやああああ!」

 

喚くすみれからサバを取り除き、彼女が落ち着くまでにはかなりの時間がかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞き間違えたのはこいしだけど、一緒に作った私にも責任はあるわ。ごめんなさい」

 

すみれが落ち着いたところで、私は彼女に頭を下げた。

 

「ほら、こいしも謝りなさい」

 

「うん.....ごめんね、すみれちゃん」

 

こいしも私も同様頭を下げる。

 

「まったく! お姉ちゃんたちのせいで私の髪がサバ臭くなっちゃったじゃないですか! どう責任とってくれるんですか!?」

 

いや.....洗えば臭さなんて取れるって。

でも、理由はどうであれすみれはまだ私たちを許していないみたい。どうしようかしら.....?

 

「どういうつもりなんですか! 私に大嫌いな魚料理を出すなんて!  最近出番がない私には、焼きサバ程度の料理で十分ってことですか! あんまりじゃないですか! こんな料理なんて心なんか全く篭っていない、最低な料理でしたよ!」

 

出番がないのは私たち関係無い.....

まあ、それはいいとしても、最低は言いすぎだわ。そこは訂正させないと。

 

「すみれ、今のは少し言いすぎよ。こいしだって、精一杯焼きサバを作ったのだから。

それを最低呼ばわりするのは、いくらなんでも.....」

 

そのとき、私は横にいるこいしの様子が、いつもとは違うことに気付いた。

 

こいしは小刻みに震えながら、歯をぎりりと言わせている。いつも気配すら感じさせない彼女だが、今回は怒っているオーラをひしひしと感じた。

 

「私だって.....お姉ちゃんだって、一生懸命作ったのに、それを最低呼ばわりってどういうこと? 

たまたま聞き間違えちゃっただけでしょ? 食べてもいないくせに、そう決め付けないでほしい」

 

言葉自体は穏やかに聞こえるが、目つきを見る限りどう考えても怒っていた。しかも、私が思うに今回がブチ切れといっても過言じゃないくらい。

このままいけば武力衝突になりかねない.....私が何とか止めないと!

 

「二人とも喧嘩は.....」

 

「「お姉ちゃんは黙ってて!!」」

 

一言で黙らされた。

 

「は、あんな焼きサバなんて最低に決まってるでしょ。絶対に焼きそばのほうがおいしいに決まってるわ。まあ、こいしに焼きそばなんてもの、作れるとは思えないけど」

 

「何言ってるの? そんなの焼きサバのほうがおいしいに決まってるよ。あのシンプルさが理解できないなんて、すみれちゃんはまだまだ子供だね」

 

「へー、言ってくれるじゃない。なら焼きそばか焼きサバのどちらがおいしいか、ここではっきりさせようじゃないの」

 

「いいよ。その勝負のった」

 

何かものすごい速度で話が進んでいったわね.....

でも、これって.....

 

「焼きサバと焼きそばの料理対決をするってこと、よね?」

 

よかった、平和的に解決しそう.....もし弾幕ごっこで決着をつけようものなら、地霊殿が崩壊しかねないわ。

 

「え、何言ってるの、お姉ちゃん?」

 

「え、料理対決じゃないの?」

 

そう言うと、こいしとすみれは私のほうを向き、当たり前のように言った。

 

「「そんなの弾幕ごっこに決まってるじゃん(でしょう)」」

 

「.....」

 

数秒間沈黙した後、私は苦笑いしながら言った。

 

「お願いだから、室内では弾幕ごっこは.....」

 

 

 

 

私の頼みを聞くことなく、この地霊殿は戦場と化してしまった。

ちなみに、この喧嘩が収まったときには地霊殿が半壊していたのは、言うまでもない。

 

 




今回はタイトルネタです。今後またこのネタは使うかもしれません。

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