第五話です。風邪をひいてしまったので投稿のペースが少し遅れます。
冬はこれだから嫌い。
俺達は広い広場へ移動した。俺達の対決をききつけたのか、周りのギャラリーも増えてきていた。
「いくらあたしが女とはいえ鬼の四天王の一人だ。さすがにハンデはやるよ」
星熊は右手に持っている杯を此方に見せる。
「あたしはこの杯に入っている酒をこぼさずに戦う。もし一滴でもこぼしてしまったら、あたしの負けだ。それでいいかい?」
まさかここまでの縛りを自らに課すとは、俺も舐められたものである。だが星熊からは、それでも俺に絶対勝てると言わんばかりのオーラで溢れていた。
「ああ、それでいいぜ」
「それじゃあ・・・いくよ」
次の瞬間、星熊の姿が視界から消えた。どこに消えたのか周囲を見渡していたその時、顔面に強打が浴びせられた。俺はそのまま後方へ数メートル吹き飛ばされる。
「おいおい、今のぐらい避けないとだめだろう。それとも、恐怖で足がすくんじまったのかい?」
星熊は酒をぐいっと飲みながら、余裕の表情で近づいてくる。
一発殴られて分かったがこの女、想像以上の怪力である。もしかしたら歯の一つや二つ、折れているかもしれない。
そんなことを考えていたら、今度は腹部に星熊の膝蹴りが突き刺さった。
「がはっ・・・」
俺はこの衝撃に耐え切れず、血を吐き出してしまう。そしてその場に倒れこんでしまった。
鬼熊は倒れこんだ俺の胸倉をつかんで持ち上げた。
「うずくまってんじゃねえよ。そんなんじゃあただのサンドバッグだよ!」
為す術もなく星熊に思い切り蹴飛ばされた。俺の体は後方へ吹き飛ばされ、地面を転がりながらようやく静止した。
体のそこらじゅうが痛い。意識も少し朦朧としていた。はは。ボコボコだな、俺。かっこわりぃ・・・
周りからは野次だのなんだのいろんなものが飛び交っていた。
そのなかでひとつ、聞き覚えのある声がした。
「あきらめないで三月樹さん!立って!立ち上がって!!」
ああ、お燐の声か...そうか、今は星熊との一騎打ちの真っ最中だったな。
朦朧とした意識も、ようやくはっきりし始める。お燐のためにも、自分のためにも、そうやすやすと負けるわけにはいかない。
俺は気合で立ち上がり、再び星熊の正面に立った。
「そうこなくちゃね」
星熊はにやりと笑いながら言った。対する俺は立っているのが精一杯である。気を抜けば今すぐにでも倒れそうだった。
再び星熊が仕掛けた。ものすごい速さでこちらに迫ってくる。だが今度は、星熊の動きを目で捉えることができた。大きく振りかぶった左腕の動きまでしっかりと。俺は腕が折れるぐらいの覚悟で星熊の拳を受け止めた。
「・・・あれ?」
これが思っていたほど痛くない。自分が覚悟していた痛みはこなかった。
星熊は間髪いれずに俺の顔面に向けて蹴りを繰り出す。だが、その動きを見切っていた俺は後ろに下がり、難なく避けることに成功した。
「あたしの攻撃を避けるとは、なかなかやるじゃないか。少し見直したよ。けどね、あんたはここまでだよ」
星熊は一枚の紙切れを取り出した。なんだ?ただの紙切れで一体何をする気なんだ?
俺の疑問に答えるはずもなく、彼女はその紙切れに刻まれた文字を読み上げた。
---四天王奥義「三歩必殺」
勇儀の三歩必殺って、うちのパソコンを「必殺」するときもあるから嫌なんですよね。