ドオオオオン!!!
朝、俺は凄まじい爆発音と共に目を覚ます。頭をボリボリと掻きながら、俺はキッチンへ向かった。
予想通り、そこにはお空が・・・って、え?
寝ぼけていたので始めは分からなかったが、よく見るとキッチンが燃えていた。
「やばいやばいやばい!!」
俺は急いで水をくみ出し、消火作業へ入った。
火は何とか消し止められたが、キッチンは全焼していた。
この事件の犯人が笑顔で言うには、
「ガスの火だけだと火力が足りなくてほんの少しだけ・・・って思ったけど、どうやらやりすぎちゃったみたい。てへぺろ☆」
とのことらしい。なお犯人にはおしりペンペン500回の刑が処せられた。
「朝からお空の後始末をさせてごめんなさい・・・この子ほんと言うこと聞かなくて」
さとり様は俺に頭を下げる。
「いえ、いいんですよ。こっちは居候の身ですし、これぐらいはしなければ」
当の本人は尻を真っ赤にして倒れているから、俺の気分も少しは晴れたしね。
「あ、えっと・・・」
さとり様は言いずらいことがあるような、そんな表情をしていた。
「遠慮なく言ってください、さとり様」
さとり様はしばらく悩んでいたが、ようやく口を開けた。
「昼食後、私の部屋に来てくれる?」
「なぜですか?」
「・・・あなたの記憶を取り戻すためよ」
俺は先ほどまでとは違い、真剣な趣で尋ねる。
「俺の記憶を取り戻すって、どういうことですか」
「・・・この地霊殿には記憶を操ることができる人物がいるの。でも、その子からは誰にも部屋に入れないよう言われているわ。
だから、これはあくまでも記憶を取り戻しあなたの心を開かせるため。前者の理由だけではあの子と会うことはできないことを、理解してくれる?」
俺は深く頷いた。
俺の現在地は地霊殿のとある廊下。
そこらじゅうにくもの巣が張り巡らされ、長年誰も使っていないようだった。
そして、この長い廊下の先に扉がある。俺はそこに向かってゆっくりと歩きながら、昼食後さとり様と交わした会話を思い出す・・・
「あの子にはね、記憶を操る程度の能力があるの。」
「記憶を操るってどういうことですか?」
俺はさとり様に尋ねる。
「見るだけで相手の心だけでなく記憶まで読み取り、そしてその記憶を自身の意のままに、消去したり創りかえたりすることができるってこと。
だから、失ったあなたの記憶も蘇らせることもできるはず」
まさか、そんな人物が地霊殿にいるなんて思いもしなかった。
「じゃあ・・・どうして部屋に閉じこもっているんですか?」
さとり様は悲しい表情で俯きながら言った。
「心が読めるだけでなく記憶まで読めるのよ・・・
嫌われたからに決まっているじゃない」
「あ・・・」
俺は後悔した。こんな質問をしてしまったことに。さとり様がそうであったように、彼女も同じだったのだ。
こんなことすぐに分かったのに、さとり様の口から答えを言わせてしまった自分が情けなかった。
「彼女もこいしと同じように自らの能力を封印しようとしたわ。けれど、自らの能力が強大すぎて抑えこむことができなかった。
だから、彼女は部屋に閉じこもり誰とも会わなくなった。私は誰も信用できない、そんな私を助けてくれる人もいない、私は独りこの部屋で死を待つだけだって言ってね・・・」
「それじゃあもしかしてその子は・・・!」
「ええ、死んでいるのかもね」
そんな・・・。誰も信用できず、助けてももらえず、たった一人部屋の中で死を迎えるだけだなんて。そんな悲しい死に方なんてあるかよ・・・
自然と拳に力が入っていた。
「はい、これ」
さとり様は俺に鍵を差し出した。
「これであの子の部屋に入ることができるわ」
「・・・ありがとうございます」
俺はその鍵を受け取った。
「生きていれば・・・もし生きていればよ。わた」
「生きていますよ、絶対。」
俺はさとり様の言葉を遮って言った。
「・・・私からのお願いよ。あの子の心を開けて、部屋から連れて帰ってきて」
「必ず、あの子の心を開けて見せます」
回想終わり。俺はもう一度さとり様の言葉を胸に刻み込む。
そして、扉の前に立った。鍵をあけ、扉に手をかけた。
もちろん、この扉の向こうにいる彼女が生きている保障はない。ただ、俺は信じるしかなかった。
彼女がまだ生きることを諦めていないことを。いつか助けにくる誰かを信じて待っていることを。
俺は意を決して扉を開けた。
そこは薄暗く、見ただけで人が住んでいないことが分かるぐらい酷い部屋だった。
ただそんな部屋の中、一人三角座りでうずくまっている少女がいた。
紫色の髪で黒い第三の眼、間違いない。
古明地さとりのもう一人の妹、古明地すみれだった。
オリキャラ二人目の登場です。
ちなみに、お空はまだまだ懲りません。