中野家の実子   作:TL警備員

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この物語は、もしも上杉風太郎に親友がいたら、その親友が恋した女性が母親になったら

と色々な要素が含まれています。受け入れる人だけ読み進めてください


ドッペルゲンガー

 

「「焼肉定食…」」

 

「焼肉抜きで」

 

「焼肉大盛りで!」

 

 

現在、俺たち2人は昼食をとるために食堂にいた。方や、the優等生と言った感じよ堅物。しかし、その隣にいるのはthe不良という感じの金髪男。初見であれば誰もが3度見するレベルの組み合わせだ。しかし、当人達は気にしていない。影から聞こえる会話などには耳もかさず水組んですぐさま並列して歩き始めた。

 

 

「フーちゃん太郎」

 

「ん?」

 

「次の小テストなんだが…」

 

「……焼肉半分」

 

「くっ…!せ、せめて、4分の1…」

 

「あー、ノートなら目の前にあるのにな〜」

 

「分かった!!3分の1でどうだ…?」

 

「交渉成立」

 

「はぁ…相変わらずアコギ商売してんな〜そんなんじゃ女にモテねーぞ」

 

「学生にとって恋愛は時間の無駄でしかない!何度も言わせるな」

 

「へいへい…」

 

 

そう、この以外な組み合わせ通り2人は友達。いや、最早親友である。貧乏学生代表こと、上杉風太郎はこの男にだけは心を許しており、基本的に扱いに慣れている。一方、焼肉の半分は持っていかれると想定し、プラス100円まで払って大盛りにしていた少年は内心ラッキーと思いながら意気揚々と歩いていた。

 

そして少し歩いた所、いつも自分と上杉風太郎が座って食事をとる定位置が見えてきたため、トレイを置こうとする。

 

 

「?」

 

「あの!私の方が先でした」

 

 

通路側の席に座ろうとした風太郎とほぼ同時のタイミングでテーブルにトレイを置いてきた1人の少女。傍から見ればthe美少女なのだが、そのトレイに乗っている昼食を見れば数人は引くだろう

 

その上、少し高圧的な彼女の声、言葉遣いが余計にポイントを下げるに違いない。だが、男は気づいてしまった。その少女はあまりにも似ていたのだ。いや、当然だろう。彼女はあの人の娘だと知っていたから。それでもつい、口から零れてしまう。

 

 

 

「!零奈…さん…?」

 

「!…え?」

 

「あのな!ここは俺達が毎日座ってる席だ。」

 

「っ!関係ありません!」

 

「じゃあ俺の方が早く座りました!おい、お前も早く座れ―――零治」

 

「……」

 

「?どうした?」

 

「いや、何でも…それよりフーちゃん太郎。隣のテーブルとくっつければ問題なくね?」

 

「はぁ?」

 

「あんたもそれでいいだろ?」

 

「座れるのであれば構いません…」

 

 

零治こと―――中野零治は気づいていた。フーちゃん太郎の目の前に座っている女の子はあの5年前の少女だと。それと同時に理解していた。自分の恋した女性。その人の娘だと。

 

 

「そんじゃ」

 

「待て、零治…焼肉、3分の1…」

 

「ちぃ…!美少女との開拓で忘れたと思っていたのに!」

 

「!え?!」

 

「確かにこの女子は美少女だ。だが、それとこれとは別だ!」

 

「えぇ?!?!///」

 

「くそっ!性欲よりも食欲を取るか…!」

 

 

そう、この2人は馬鹿なのである。確かに上杉風太郎は学年随一の頭脳を持ち、全国模試をやらせれば3年を凌ぐとさえ言われているのだが、同学年の女子に対する免疫もその対処も知らないため思った事は口に出すし、それ故に相手も傷つけることもあった。

 

しかし、性格に難アリでも彼のことをよく知るものからはモテた。本人が鈍いため何も無かったが鋭ければ今頃彼女がいるレベルだ。

 

そして、もう1人中野零治はイケメンだ。しかし、残念なイケメンだ。女は取っかえ引っ変え、風太郎同様に思った事は口に出す。そのため特定の彼女を作ったことは無い。

 

そんな彼らの口が災いして真っ赤な顔でオロオロしている1人の少女は気を動転させ、ワナワナと震えた後に2人の後頭部を持った。

 

 

「公衆の面前で…!」

 

「ん?」

 

「へ?」

 

「静かにして下さい!」

 

「ごはっ?!」

 

「ぶふっ?!」

 

 

自分達と食事を共にしようとしていた少女はトレイに乗っていたものから察するに大食いかと思われたが、それだけに留まらず怪力だった。故にテーブルに頭を叩きつけられ情けない声が漏れだしてしまう。

 

周りからヒソヒソと話し声が聞こえるが、そんな事はどうでもいい。そう、そんなの事よりも頭部へとダメージやらこぼれ落ちそうになっている昼食への心配を2人は優先した。

 

 

「零治…」

 

「あぁ…」

 

「「三秒ルール…」」

 

「やめてください!」

 

「「断る!」」

 

 

そんなこんなで少女からおすそ分けを貰い、ようやく落ち着いた昼食へとありつけた。のだが、少女はなんとも不満げに頬を膨らませ2人を見つめる。

 

 

「行儀が悪いですよ、あなた達」

 

「「ん?」」

「何?ながら見をしていた二宮金次郎は…」

 

「…いや、フーちゃん太郎。たしかに俺らは傍から見たら行儀悪いぞ。」

「珍しいな?お前が他人の意見を聞き入れるなんて」

 

「いや、優等生がこんなことしてちゃ他に示しがつかねーだろ」

「他のやつにどう思われようと関係ない。テストの復習をしてるんだほっといてくれ。それに、お前とつるんでる時点で示しもクソもないだろ」

 

「違いね〜わ…」

 

「あの…」

 

 

悲観的な2人。当然だ。2人はの学校でだいぶ浮いている。上杉風太郎は優等生のボッチで友達など作らないと言わんばかりのオーラを放つ成績優秀な優等生。

 

そして、零治は社交的で交友が広いが何分心を許しているのは風太郎だけであって、つるむことはごく稀な不良。そんなふたりに少女は何の躊躇いもなく言葉をかける。

 

 

「なんだ?」

 

「人を見かけで判断するのは宜しくないと思います。見た目は…その、あれですけど…根が真面目なのは私でも理解できますから」

 

「!」

 

 

その言葉は酷く零治の心に響いた。過去に似たようなことを言われたことがあったのだ。それだけじゃない。それを言ってくれたのは、自分の恋した女性だ。そして、その女性に、彼女はとても似ている。

 

 

「その口ぶり、お前は余程バカなんだな」

 

「!はぁ?じゃあなたは人様に馬鹿と言える程に優秀なので、しょうね!」

 

「あ、おい!」

 

 

少女が復習のために風太郎が持っていたプリントを取り上げる。そこだけ見ていれば彼女が悪者なのだが、それ以上の悪党がいた。上杉風太郎はわざとそれを渡したのだ。

 

なんとも性格の悪い事をしていると思う。だが、彼はそういった事をしなければ気が済まない男なのだ。そう、上杉風太郎はこれ以外に特技がない男なのである。

 

 

「上杉風太郎君……ひゃ、100点?!」

 

「あーめちゃくちゃ恥ずかしい!」

 

「わざと見せましたね!」

 

「やめとけ、美少女…」

 

「美少女…?!///」

 

「こいつは、色々とひん曲がってるから…」

 

「ご馳走様でした」

 

「えぇっ?!」

 

 

フーちゃん太郎からすぐさまメールが届く。内容は後処理とその後の用事についてだ。何でも妹から着信があったらしくこの場を離れなければいけなかったらしい。それを瞬時に理解した上で零治は次の行動に出た。

 

 

「…彼は、いつもああなのですか?」

 

「だな…そんな事より…5年ぶりだな…―――五番目」

 

「?!何で、その、呼び方を…?」

 

「まぁ、そういうこった…」

 

「おーい、五月ちゃーん!」

 

「あららー、聞いてた通り…ドッペルゲンガーだ、こりゃ…」

 

「!待って下さい!」

 

「ご馳走様〜。慌てることはねーよ…その内嫌でも、顔を合わせる。」

 

 

こうして、2人は分かれ、零治は先に食堂を出た風太郎を追いかける。そんな時に、風太郎の中である物語が動き出していることにも気づかずに。

 

 

 

これは、ボッチの少年にもしも親友と呼べる者がいたら、その親友が物語に関わっていたら、というifである。

 





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