珍しく曇った空の下、
黄土色の土が広がる荒野に、二人はいた。
一人は“黒髪”で、もう一人は“銀髪”。
そして、二人の目の前には、鋼を纏った群衆が気を奮い、猛進の雄叫びを上げていた。
しかし、二人は怯むことも、そしてためらうこともなかった。
二人は、迫りくる鋼の群衆を慣れた手捌きで鎮めていった。
一人は、血によって紅く染まった槍をうならせ、鋼の殻を溶かし、心臓を貫く。
もう一人は、一丁のアサルトライフルを構え、鋼を的確に撃ち殺す。
そうして鋼の群衆は一人、また一人と減らしていった。
そして―――――
標的がいなくなったことを確認すると、“黒髪”は槍に滴る血を振り払い、“銀髪”のもとへ向かった。
「...ムダ撃ち多すぎじゃないか? 今日は5発もカスったぞ?」
“黒髪”は不満そうな表情を浮かべながら槍の石突を地面に突き刺した。
「あら、それはあなたが無茶をするからでしょう?」
魔導士のような厚いローブを着た“銀髪”はアサルトライフルからマガジンを取り外すと右肩に負い紐をかけた。
「ぐぬぬ... 確かに同時に十人相手は無理があったかもな...」
二人の周りには、血まみれになった剣や盾、そして鋼の死体、中には高い値が付きそうなロケットが、ひどくぐちゃぐちゃになって地面に転がっていた。
「さ、行きましょ。ここに残るのはあまりよくないわ。」
“銀髪”はそう言うと、懐から一冊の分厚い本を取り出し、無作為にページを開いた。
開いたページには魔法陣が浮かび上がり、淡い紫色の光を徐々に強めていく。
「なあ、ハニエル。」
「どうしました?」
「この戦争って、いつから始まったんだろうな...」
ハニエルと呼ばれた銀髪の少女は淡い光を放つ本を地面に置き、
「さぁ... 分かりません。」
顔をうつむかせ、そう答えた。
「でも、どんな戦争にも必ず“最期”はあります。まるで命を持った人間が生き、やがて死んでいくように――――― 」
「...そっか。」
“黒髪”は気の抜けたように目を見開いた。
「最期...ねぇ...」
「まだ何か不満ですか?ノヴァード。」
ノヴァードはゆっくりと目をつむり、
「別に。もしかしたら、最期はもうじき来るんじゃないかなぁ―――――
って思っただけさ。」
そう呟くと、目を開け、鮮明に描かれた魔法陣に静かに念じた。
すると淡い紫色の閃光が勢いを増し、二人の体を包み込んだ。
そして、光が収まった頃には、二人の姿は跡形もなく消えていた。
黄土色の土が広がる、ひどく汚れた荒野に、
再び、静寂が戻った。
[あとがき]
ep.1からはまじめに書きません。
ええ!そうですとも!