仮面ライダーエグゼイド外伝 ヒドゥン・エンディング 仮面ライダースラッシュ 作:ネフェッシュ
「ハイスコアでクリアしてやるぜ!」
...っていい感じにキメ台詞っぽいの言ってみたけど、ちょっと恥ずかしいな。あとこれどうすりゃいいんだ?ていうか、この体、動けるのか?このガチガチの2頭身ボディで?
けど、ゴーレムはすでにこっちに歩いてきている。迷ってる時間はない。行くしかない。そのために俺は腹をくくって仮面ライダー?になったわけだしな。
「ウ、ウオオオオオオオオオッッッ!!!」
俺は全速力でゴーレムに向かっていった――――おおおお!スゲェ!! 俺は走り出した瞬間、いつもの速さの何倍もの速さで走っていた。だが今の一息で既にゴーレムが目の前に迫っていた。ヤベぇ!ここで止まらねぇと正面衝突しちまう!
「おおっと!ストップストップッ!!」 だが、両足での必死の急ブレーキも空しく、俺は見事にゴーレムに突進、いや激突した。
そして盛大に吹っ飛んだ。
「痛っああああああああくない?」
痛くなかった。見た目的に滅茶苦茶堅そうなゴーレムの表皮にぶつかり、吹っ飛ばされた。確かに当たった感触はあるが痛くはなかった。それどころか俺がぶつかったゴーレムの方も俺同様に吹っ飛ばされていた。
「このスーツ、案外強いのか?」 ふざけた見た目に反して高性能なのか...?でもまぁ、落ち着いて考えてみればあんな化け物に対抗する為に作り出されたのだから、それなりの性能はあるはずだよな。
「この強さならイケるぜ!ウオオオオラアァ!」
と、俺はふらつきながら起き上がるゴーレムの腹に思いっきり右ストレートを決めた。当たると同時にゴーレムからオレンジ色の粒子のようなものが出てきて空に消えていった。...なんだ?コイツの血みたいなものか?血が出るということは確実に効いているということだ。
「最初はどうかと思ったけど結構いけるんじゃないの?よし!このまま一気に行くぜ!オラオラオラァァ!!!」
俺はゴーレムにパンチを決めつつ、近づこうとした瞬間。
「気を付けて!来るよ!」 「はぃ?」
叫んだのは、後ろから様子を見ていたナース服の人。いや、でも何に気を付けろ?と思いつつ振り返るといきなり頭に強い衝撃が走った。
「!?!?」見上げるとゴーレムが頭上で両手を組んでいた。丁度プロレスでいうダブルスレッジハンマーのようだった。オタク界隈でいうならオルテガハンマーだ。
さっきまで動きが緩慢だったゴーレムもまるで逆襲と言わんばかりに何度も両手を振り下ろし叩き付ける。その間俺は手で頭上を覆い防戦一方の状態となっていた。
「あー、クソッ痛てぇなこの野郎ッ」と毒づきながら俺はあることに気付いた。それは胸に取り付けられた奇妙なパーツ。一見ゲームのコントローラーにも見える意匠のパーツにあるゲージのようなものが少しずつだが減ってきている。...オイこれもしかしなくても、体力ゲージじゃね?え!?これ体力あるの?!え、まさかの体力制?!え!?え!?どゆこと?!...じゃあ0になるとどうなる?変身解除か?だが、俺はこの時、直感的にもっと別の恐ろしいことが起こる気がした。
...ともかく、自身に体力が存在すると分かった以上、いつまでも攻撃を受けている場合ではない。そう考えると同時に俺は素早く前転し、叩き付けの範囲を逃れた。見ると、体力はもう残り半分を過ぎていた。
「ちと、ヤベぇな。...だがすでに反撃の糸口は掴めてんだよ!!ここから反撃といくぜッ!」
そう宣言すると、俺はゴーレムに向かって再び走り出した。ゴーレムも俺を見据えて拳を構えだした。そして、俺が、間合いに入ると同時にゴーレムは渾身の一撃を放った。
「バカめ!俺の狙いはこっちだ!」
紙一重でゴーレムの拳を空中に飛んで躱し、俺は目当ての場所に着地した。
「俺が狙ってたのはお前じゃなくてコレだよ。」と、隣に合った物を壊した。それは日本刀の試し切りや練習でよく見る畳だった。もしこれが、ギリギリチャンバラを再現しているのだとすればおそらくこれは...
『マッスル化!』 「よしっ!ビンゴ!」
中からイラストの描かれた赤いメダルが登場し、俺の体に入ってきた。やはり畳はアイテムボックスだったか。
「このまま攻撃してもいいけど...もっとだ!」
今度はジャンプして空中に浮いた畳を壊した。すると、
『高速化!』 「お!ラッキー!」
次は自身のスピードを速くするアイテムが隠されていた。
「よぉし、良いかモンスター。お前にこれから一切、反撃のチャンスは回ってこねぇ。今からはずっと俺のターンだ!ウォオオオオオオオオオッ!!!」
俺はその言いつつ、ゴーレムの周りを走り始めた。ヤツはどうやら、速い動きには対応しきれないらしい。このまま相手を撹乱しつつ、相手の死角から強化された攻撃を加える。案の定、相手は俺のスピードにはついてこれずにオロオロと自分の周りを見渡しているだけだった。そこで素早くゴーレムの背後から助走をつけて蹴りを入れた。すると、ゴーレムはつんのめるように前に倒れこんだ。その瞬間に、俺はゴーレムの前方に回って腹に拳を叩き込んだ。
こうなるって来ると一方的なリンチのようにも見えるが、ゴーレムは俺のスピードには追いつけず、やられるがままだった。
「これで...どうだッ!オラァ!」
吹っ飛んでくるゴーレムに対して飛び蹴りを食らわせると、相手は10m程後ろに思いっきり吹っ飛んでいった。その際に公園の木々が3、4折れていったが、後で市から損害請求されないかが心配だ。そんなことを考えているとアイテムの効果時間が切れ、俺の体は元のスーツのスペックに戻っていた。
うーむ、さて、これからどうしたものか。少しずつ相手からオレンジの粒子が消えていき、少しずつ相手の体力が削れていくことは分かるが、何か確実に決める決定打が無いとどうにもならない。うーむ。と悩んでいると、
「す、涼崎君!キメワザを使うんだ!」と、今まで静観していた秋が叫んだ。つーか、キメワザ?なんだその必殺技感あふれる名前は。
「キ、キメワザ?なんだそれ。どうやって使うんだ?」
「ドライバー横のホルダーの一番手前のスロットに...!」
「ドライバー横のホルダーの一番手前のスロットに...あ、これの事か」
「見つけたら、ガシャットをそこに挿すんだ!」
「え、それ大丈夫?変身解除になんない?」 「涼崎君!早く!」 「え?」
ふと、前を見ると先ほどまでダウンしていたゴーレムが復活し、こっちに向かっていた。なるほど、これは急いだ方がいい。
『ガッシュ―ン』 おぉ、抜けた。それでスロットに挿す...
『ガッシャット!』おぉ、入った...なんか買ってきた新作ソフトを初めてハードに入れた時の様な...で、入れましたけどどうすればいいの?何も怒らないよ?
「涼崎君!スイッチを2回押すんだ!早く!!」
もう、ゴーレムはそこまで来ていた。とにかくスロットにあったボタンをカチッと1回押してみた。
『キメワザ!』のアナウンスとともに音楽が鳴り出した。これが所謂「溜め」の状態か。自然と向かってくるゴーレムに対して構えるポーズをとる。
ずんずんと向かってくるゴーレム。向かう先は迷わず俺に突き進んでくる。まだだ。正直ビビってる。今すぐ逃げ出したい。その気持ちを胸にしまって俺はゴーレムと対峙する。
「涼崎君早く!攻撃して!」まだまだ遠い。
「蒼真ぁ!」もっと近づいてこい。
ゴーレムは俺の目の前で拳を構えると、真っ直ぐにパンチを打ち込んできた。今だ、そう思える直感が体を巡った。
『ギリギリクリティカルストライク!』
「ゥオオオラアアアアアアアアアアアアアァァァァッッッ!!!!」
飛んでくる拳を掻い潜り、素早くゴーレムの懐へもぐりこむと同時にきっと生まれてから最速の蹴りを放った。2等身で。
その時どうして、あんな芸当ができたのか、きっと後で振り返ってみても分からないことだろう。
ゴーレムは、そのまま吹っ飛ぶかと思いきや時間が止まったかのように立ち尽くした後、無数の粒子と化してどこかに飛んで行った。...これでよかったのか?まぁ、いいか。今の自分にはそんなことより自宅のベットに入って寝る方が大事だった。なに、バイトまではまだ時間がある。
そう思って、腰のベルトを外し立ち上がろうとした瞬間
「あ、れ?立てねぇ。おかしいな、力が。お...っと...」
おかしい。力が...なんでだ?そ..。れと同時に異...常な眠気が襲...ってきた。くそ。
見る...と、秋達が走って...こっちに駆け...てきた。どうだ...?ちゃあん...と倒せ...たろ?
「す--さき-くん-!!」 「そ-う--!」
二...人とも...何...言ってる...か...全然分か...らん...。あれ、何...だこの...赤い...の??どこ...から出...てんだ?
そこで俺の意識はゆっくりと沈み込むように切れた。
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ー同刻 霧乃木学園屋上ー
「あ~あ。やられちまったぜw。せっかく俺様が命を与えてやったってのによぉ」
学校の屋上は閑散としており、三人の人影を残して誰もいなかった。そのうちの一人、凡そ学校には似合わない大柄な男が双眼鏡を片手に外を眺めつつこぼした。
「フフッ。まだバグスターユニオン状態がやられただけでしょう?まだお楽しみは残ってるわよ?」
その巨漢の隣で艶然と笑う制服姿の女。さらに少し離れたところでノートパソコンを触る眼鏡の男。一見偶然居合わせた生徒と教師が話しているようにも見えるかもしれない。だがもし、これを実際に見ている人間がいれば、誰も生徒と教師の雑談だなんて思いもしないだろう。雑談にしてはその場に流れている空気が談笑しているのではないことを教えてくれる。
「ハッw。あの程度でやられてるようじゃどうせ生き残れはせん」 「あら、手厳しいのね」
「全く。笑い事では済まんぞ!」 「まぁまぁ、良いじゃねぇかw。俺はあまり気が長い方じゃねぇんだからよぉ」
眼鏡の男の怒号に対して、大男が笑いながら応じる。
「マグナ。少しは落ち着いて?」
「これのどこが落ち着けるというんだ?!コイツのせいで我々の存在が向こう側にも知れ渡ったんだぞ!」
マグナと呼ばれた男が焦りを募らせながら大男を指差し、糾弾する。
「ねぇ、マグナ。アレの準備はできているのよね?」
「あぁだが、まだ準備の段階だぞ?!」
「えぇ、構わないわ。焦る必要もないし、ゆっくりと進めていけば問題無いもの」
「へへっ。コイツもこう言ってるんだし、これくらい別に良いじゃねぇかよw」
「貴方もよ。ラーヴァス。貴方の強さは買ってるけど、好き放題はダメ。そうじゃないと計画が狂っちゃうもの。フフッ、安心して?ちゃんと退屈しない遊び場は用意してあげるから。...それに私も早く遊びたいもの。ね?」
「チッ...あぁ分かったよ」 ラーヴァスと呼ばれた男が渋々といった風に承諾する。
「分かって貰えたようで何より」
「しかしよぉ、今思えば、俺たちもあの時のグラファイトの提案に乗るべきだったんじゃねえのか?そしたら、今頃俺たちにとってこの世界は
「『仮面ライダークロニクル』の事か?もう4年も前のことだろう」
「だがよぉ、もし俺たちがあの計画に加担してたらこんな回りくどいことする必要なかったんじゃねぇの?」
「あら、結局『仮面ライダークロニクル』も失敗しちゃったし、グラファイトもラヴリカも死んじゃったんじゃない。それに、私達がしたいのはバグスター同士でのじゃれあいではないでしょう?」
「ヘッ。確かに」 「同感だな」
「慌てなくても大丈夫よ、ゲームはまだチュートリアル。これからもっともっとプレイヤーが集まるもの。そうなれば、私達も思う存分遊べるわ」
「フン。......そろそろだな。俺はもう行く。奴とあって来る」 「えぇ、頼んだわよ」
と、女が言い終わると同時にマグナはモンスター同様、オレンジの粒子となって消えた。
「なら、そろそろ俺も出かけるとするか」
「へぇ、暇人の貴方が?」 「馬鹿言うな。俺だってやるこたあんだよ。イロイロとな」
そう言いつつ、ラーヴァスは先ほどのマグナ同様粒子となって去っていった。
そうして、屋上に一人となった女は、
「まだよね。まだまだ時間が要りそうね、貴方も私もお互いに。でも、ゆっくりでいいのよ。少しずつ、ね?」
「...そうして強くなったら、いつか私を楽しませてね?...頑張ってね。期待してるぞ?涼崎君」