Eltoria Trilogy Side A&K 作:宮永 悠也
エルトリア トリロジー第一部1話始まります!
第一部プロローグでもお話しましたが、この第一部ではアミタとキリエの話を重点的に書いていきます♪
いろんなキャラの視点でナレーション部分が変わったりするので読みづらいかもですがご了承ください( ̄▽ ̄;)
では第1話もどうぞごゆっくりお読みください♪
機械音[ピッ…、ピッ…、ピッ…、ピッ…]
ベッド周りの研究設備の機械音と、生命維持の機械音が呼応しているように音を静かに反響させている。
ベッドには痩せ細った男性、科学者のグランツ・フローリアン博士が眠っています。
惑星エルトリア、この星が長い間抱えてきた【死蝕】の研究をしていた折に、その影響で病の床に伏せてしまったと私は聞きました。
彼の健康状態を計る計器を閲覧、その旨を伝えます。
ユーリ「ん…。数値は良好…、
ベッドへと近付き、屈みこんで問う。
体を起こす動作ないまま、顔だけをこちらへ向けてグランツは静かに答えていく。
グランツ「ん…♪ユーリが治療を行ってくれてから…、大分身体が動くようになってきたよ…♪以前は身体を起こすことさえも不可能に思えたけどね…。今では大分楽になった…♪」
ユーリ「もう少し回復が進めば、皆と一緒にテーブルで食事することも出来ると思います♪それまではこのまま安静を保ちつつ回復を進めていければ♪」
グランツ「うん…♪そうするよ…♪」
彼は私に優しく微笑みかける。
以前までは、意識を取り戻すことさえ困難とされていましたが、今では多少弱々しくも意識があり、言葉も交わせています。
私の名前は、ユーリ。
ユーリ・エーベルヴァイン…。
彼、グランツの病を緩和、治療する為に現在も努めています。
グランツの笑顔に、置場所のない罪悪感を胸に感じる…。
原因はシンプルで、だけど簡単には言い表せない…。
ユーリ「………。」
グランツ「ユーリ…?」
ユーリ「あ…、すみません…。その…、、、」
やっぱり思うように声が出せなくなる…。
口が重くなり、胸に抱えていた物も同時に重くなる。
何とか会話を途切れさせないように考えを働かせるけれど、やっぱり上手く言葉に出来なくて…。
グランツ「……、あの日のこと…、遠い宇宙の果てでのこと…、エレノアから聞いているよ…。大変だったね…。ユーリ…。」
ユーリ「あ…。い、いえ…、私は…。アミタやキリエ…、それに、皆さんに大変なご迷惑を掛けてしまいましたから…。」
そう…、地球でのことだけじゃない…。
私は、あの日にも…。
エルトリアを離れたあの日にも…、私は止められなかった。
あの日は彼を止められず、あの子に何も説明できないまま…。
そして今度は自分すら止められず…、いろんな人に迷惑をかけた…。
あの事件が終わって、ここへまた帰ってきた後でも、いろいろな罪悪感の渦に包まれ続けている。
大きすぎる私の力が…、それを利用されて抗えなかった私の弱さが…、いろんな人を傷付けたから…。
グランツ「でも…、いろんな事があったからこそ…、ユーリはここへ戻ってきてくれて…、僕や、エルトリアの未来に再び可能性を与えてくれている…♪」
ユーリ「あ……。」
私の心を読んだかのようにグランツは言の葉を重ねた。
優しい微笑みが私の心にじんわりとあたたかさを与えてくれる。
グランツ「僕にはそれで十分さ…♪過去を振り返って、それがどうしようもなく辛いもので…、償いきれない過去であったとしても…。それを未来の為に活かせている君達は…、本当に素晴らしいと僕は思う…♪過去を振り返ったまま、未来への道を閉ざしてしまうより…、ずっと大変で、素敵なことだ…♪」
ユーリ「ん…♪」
グランツ「ベッドでずっと寝ていた僕に云われても…、説得力はないかもしれないけどね…。はは…。」
いや、その言葉にどれ程救われただろうか…。
弱々しく紡がれた言葉…。けれど、胸に抱えていた重いわだかまりをひときわ軽くしてくれる。
そんな魔法を彼は私に…、いや、私だけじゃない。
みんなにも…、この広い星にさえも…、彼は【救い】を与えてくれようとしている。
私には、そんな彼を再び元気にする大切な仕事がある。
必ず彼を…、この星の為に…、ううん…、、。
これは言葉にしたい…。
はっきりと、彼の前で堂々と…。
ユーリ「アミタやキリエ、そしてエレノアの為にも…、私が必ずグランツを元気にします…♪必ず…♪」
グランツ「ふ…♪ありがとう♪ユーリ…♪」
ユーリ「はい♪」
優しい笑顔でグランツはまた微笑んでくれる。
けれど、先程のような胸の重みは感じない。
今の言葉は、恥じることなく、迷うことなく出た自然なものだったから…♪
開閉音[ギィィィ……。]
ユーリ「あ……。」
扉の開閉音。
そちらへ目を向けると、扉の前にエレノアが立っていた。
手には植物の苗が植えられた鉢を持って…。
ユーリ「お帰りなさい♪エレノア♪」
エレノア「ただいま♪ユーリ♪調子はどうですか?」
グランツ「ん…♪徐々に徐々にだけれど、回復していってるみたいだ…♪頑張れば皆とテーブルを囲って食事をすることも出来るかも…、と。ユーリが話してくれたよ…♪」
エレノア「良かった…♪」
心からほっとしたようにエレノアは微笑む。
私も同時に微笑んで、エレノアの持つ植木鉢へと視線を向ける。
ユーリ「エレノア、それは…?」
エレノア「試作の改良緑化ナノマシンを使った結果ですよ♪2週間前後で花の苗が芽を出し、汚染の影響にも負けない根を土壌に張っています♪これはその一歩です♪」
グランツ「そちらも順調なようだ…♪ユーリやディアーチェ達が持ち帰ってくれたデータや魔法が、エルトリアに新しい風を運んでくれている…♪それがこうやって垣間見れてすごく嬉しいよ…♪」
ユーリ「ん♪」
辛い過去を経て、悲しいすれ違いをして…、けれどその先にある未来を私達は生きている…。
未来の為に…、誰かの為に…、
自分達が出来る全てを用いて守り救いたい。
そんな想いが、今もこの星には生きている。
私も…、この星に生きるひとつの命として…。
今度は必ず…、救えるように…♪
エレノア「ユーリ、博士の所には私がいますから、少し休憩にしませんか?」
ユーリ「あ、はい♪えっと、ディアーチェ達の所へ行ってきます♪休憩もその後で♪」
エレノア「そうですか♪ついでと言っては何ですが、改良ナノマシンのサンプルを届けてくれますか?ほんとは帰ってきた時に見せる予定だったのですが…。」
ユーリ「はい♪分かりました♪きっとみんなも喜びます♪」
第1話をご覧いただき、ありがとうございます♪
えー、前書きでアミタとキリエのお話を重点的にと銘打っておきながら、ご覧いただいたように、この1話はユーリ視点の回です( ̄▽ ̄;)
そして次の回もディアーチェ達の回なので、アミタとキリエの回を随分とお待たせするような形になってしまいます( ̄▽ ̄;)
構成上よーく考えた結果なのでそこはお許し頂ければ幸いです(*TーT)b
それでは2話目もがんばって書いてゆきます♪
それではまた次話でお会いいたしましょう♪