Eltoria Trilogy Side A&K 作:宮永 悠也
さてさて、今話はついに、この第一部の主役のひとりであるキリエのお話です!
Reflection・Detonationの事件でのトリガーとなってしまったキリエ…。
事件終了後のエルトリアヘ戻った彼女の葛藤を自分の完全なオリジナル展開で描いていきます!
では、本編をどうぞ!
…今日は北の地域の土壌調査なのですが…
「あ、ごめん!ママの手伝いを頼まれてて!」
…そうだったんですね♪分かりました♪…
・
…キリエ、ご飯できましたよ?…
「ごめん!今手が離せなくて!後で食べる!」
…ん♪分かりました♪頑張って下さいね♪…
・
…キリエ、水質調査の資料で聞きたいことが…
「後で文書にするからそこに置いておいて!?」
…あ、はい。分かりました。…
・
…キリエ、今日は?…
「あ…。今日もちょっと調べ物が…。」
…ん。分かりました…
・
…今日は?…
「ごめん!」
・
…一緒に…
「ごめん。」
・
…今日も?…
「…ごめん…。」
・
・
・
・
・
《本当に…、ごめん…。》
キリエ「……最近、そんなのばっか……。」
東の地域の土壌調査。
元は広大な森がそこにあったであろう残骸があちらこちらに見て取れる。
葉も落ち、枝も折れ、根も枯れた幹を留めることしか出来ない程弱りきっている。
留まりきれず折れた幹は、腐葉の海に漂うように倒れ込み、永く空を仰いでいたことを思わせる。
そんな枯れ木の群がおびただしく並び、存在している中、より空虚な私がそこにポツンと立っていた。
ふらついている訳でも、疲れた訳でもないのに私は枯れ木のひとつに手をつき、寄りかかっている…。
空虚であるというのに間違いはない…。
けれど、私の中には空虚を埋める為に施された淀んだ空気がそこにあった…。
淀んだ感情、後悔や責任、罪の意識…。
どれも心を埋めるには値しない物ばかりが私の中に存在している…。
後悔…。
もうしないと決めた。そう努力しようと願った。
責任…。
これからも背負っていくと決めた…。そう誓った。
罪の意識…。
消えた…、乗り越えられた…、はずだった…。
後悔…、責任…、また繰り返し頭へと流れる。
罪の意識が今でも心にベッタリと張り付いている。
それをトリガーに後悔や責任の重さが心にまた深く刻まれていく…。
キリエ「ん………。」
地球であった、あの事件…。
あれがあったからこそ、私は変わることが出来た。
無謀で我が儘だった私を救ってくれた。
絵本のような何でも叶う世界が無くても、希望を与えてくれる存在がいてくれるんだとも教えてくれた。
心が折れかけて、でも立ち上がって、同じように苦しんでいた大切な親友を助けることが出来た…。
その
そんな大変なことがあって、大切なことを教わって、だからこそ乗り越えられたと思ってたんだ…。
けれど………。
やっぱり私の周りの現実は、おとぎばなしのようにはいかないみたい…。
改めて
取り戻せた平穏、新たに増やせた仲間、希望。
何もかもがきっと、良い方向へ向かっていってる…。
私も、それが嬉しくてたまらない。
諦めず、今まで努力してきたことがやっと報われようとしているから…。
それを今ではみんなも共有して、助け合っている…。
なのに……、
「これでほんとに良いのか?」
「今こんなに幸せで良いのか?」
という言葉が心にのし掛かっている。
罪の意識が拭いきれていないことを、
最初は気のせいだと思ってた…。
あんなに大変なことの後だし、余韻はそりゃ残るよねって…。
そんな軽い気持ちとして心の隅にただ置いていた。
けれど、これがそんな軽い物じゃないことに、今は気付き苦しんでる…。
だから私は…、アミタに…、お姉ちゃんに…。
同じことをしてしまっている…。
もうすれ違わないように、歩み寄ってお互いを助け、気遣えるようになろうって…。
少なくともアミタはそうしてくれている…。
今まで、いつもならひとりで行くような危険な場所にも私に声を掛けてくれるようになった。
今までアミタが私をそこへ連れて行かなかったのは、全部私の為…。
「頼られないのは頼りないと思っているから…。」
そんな醜いトゲを、私はずっと胸に刺したまま、
それのなんて馬鹿なことか…。
今でもそんな自分があったことが嫌になる…。
今ではアミタが私の気持ちを優先してくれて、一緒に行こうと誘ってくれる…。
けれど…、何故か私はそうしようとしない…。
伸ばしてくれた手を掴まず、引っ込める…。
前とは逆…、でもこの痛みは同じもの…。
自分の中の醜い
その痛みが消えないまま、塞ぐことのないまま、もう1ヶ月近く経ってしまっている。
ほんとは変わるべきなのに…。
私が手を取れば済む話なのに…。
キリエ「……そろそら戻らなきゃ…。」
ここら一帯のデータは既に収集済み。
何なら小一時間前に終わってる。
土壌の調査や植物・動物の繁殖状況…。
それら含め、サンプルの摂取も問題なく終えられた。
ただ、戻ったらいつも通りの《フリ》をしなきゃダメだから…。
私は変わったんだって、もう何ともないよって、証明するために笑わなきゃならない。
それが今は辛くて…、少し心の準備をしなきゃ笑うことも出来なくなってる…。
今はそれに必死になってる…。
みんな変わってるのに、私だけ変われてない…。
それを悟られたくなくて、知られたくなくて、隠し続けてる…。
それが悪いことだって知りながら…。
キリエ「こんなことなら…。戻って来るんじゃなかった…、かな…。」
目頭が熱くなる。
自分で呟いておきながら、知らない誰かに核心を突かれたように心を
私の本心は、「ここに戻りたかった」に決まってる…。
けれど、
心と気持ちの相反に、私は今…、苦しんでる…。
ご愛読ありがとうございますm(_ _)m
作者の宮永悠也です♪
さて、今回のキリエのお話。
第4話目にして、ようやく描きだしたキリエのお話ですが、今話はすごく特殊に描いてます。
というのも、キリエの台詞がすごく少なくて、ほとんどがキリエの心の中での描写、心象描写を多く取り入れているという所です。
この描写自体は、先の作品や本作の各話でも使っているのですが、特殊というのは、キリエ本人の心理描写であるにも関わらず、どこか第三者が語っているような描写にしたという所です。
これには少し拘りがあって、確かに所々に「私」とキリエ本人が思っているという描写にはしているのですが、少し他人が語っているように見えるという感じにもしています。
これは、多重の心理描写を示唆させて、キリエの動揺や混乱を表すために使っています。
上手く表現するのが難しかったのですが、何とか形になっていると思います( ;∀;)
しかも、今話は少し短めですね。
長々と心理描写を使っていますので、簡潔にまとめずに書きなぐったようにしてるのもキリエの不安定な心理描写と捉えて頂ければ幸いです( ̄▽ ̄;)
今回のこの特殊な書き方だと、長々としすぎているので読むときに大変であるのを考慮させて頂いて敢えて短くしたというのが本心ですが( ̄▽ ̄;)
次話は、もうひとりの主役、アミティエの話を描きたいと思っています♪
ではまた次話でお会いしましょう♪
感想や質問、誤字脱字のご指摘など受け付けておりますので何卒…。m(_ _)m