文:菊地秀行 絵:平松尚樹
ニャンコ、戦争へ
を参考にさせて頂きました。
新宿、戸山都営住宅、別名、「陽気な人達の棺」。
“魔震”発生前は公営住宅ながら老朽化と住民の高齢化が進み、それでいながら当時の行政はほぼ放置状態であった。この頃から、一部の空き部屋に人々の無関心に隠れ、僅かではるが吸血鬼の者達が隠れ住んでいたとの説もあるが、確証はない。
最高危険地区にして特別居住区域に指定されてはいるが、区民との関係は良好であり、彼らのために食料となる献血や人工血液が提供され、一方で吸血鬼達も強力な治癒力を持った自らの血液の提供を救急外来などに提供したり、闇が伝える魔の技を以て新宿のイベントを盛り上げたりしている。
この戸山住宅の駐車場に一台のバンが駈けこんで来た。コウモリ達がじっと監視する昼間でも薄暗い中、“新宿にゃんこ組合”と可愛らしく書かれたバンのドアが開く。
中からは赤毛をお下げに結んだ娘と、緑の帽子を被った女の子が現れた。二人とも、灰色の作業着に身を包んでいる。腕に“区委託業”の腕章を巻いていた。
そして、この二人頭部から見慣れないものが二つ、生えている。猫耳、だ。本来人の耳のある部分は、髪で隠れて見えない。
「ここがレミリアちゃん達の新しいマンションだって?」
緑の帽子の子が工具箱程度のケージを降ろしながら、薄気味悪そうに周囲を見渡す。
「うん、この間ようやく区の許可が下りたんだって。夜香さんは前からいいって言ってたんだけど、お役所は新しい吸血鬼がファミリーで移住なんて、て事でモメたんだってさ。なんか以前、中国からこわーい女が“新宿”に攻めてきて、警戒してるんだって」
赤毛の娘は答えながら、穴の空いた作業帽を懐から取り出し、猫耳を出して被る。
「全く人間は気が小さいね」
「まあここではおゼニを出すのはあちら。幻想郷とは少し違うよ」
三つケージを出し終え、バンのドアを閉めた時である。突然赤毛の娘の顔に緊張が走り、素早く自動拳銃を抜いていた。25口径のベレッタだが、中にはこの娘しか作れないちょっとした弾丸が込められている。緑の帽子の子は素早く腰を屈め、つま先立ちになり指を猫の如く構えている。その先端で、何かが光った。
「お待ちしておりました。新宿にゃッ‥‥にゃんこ組合様ですね?」
その男は静かに、足音も立てず先刻まではコウモリ達と無人の車しかない駐車場へ現れていた。薄暗い周囲の中、更に闇が結集した様な雰囲気をまとい、それでいて顔ははっきりと見える。黒い瞳が二人の娘を見据え、真っ赤な唇が美しく言葉を紡いだ。
ただ、“にゃんこ”という言葉は少しいい慣れないのか噛んでしまった。それを二人はポカンとして見つめていたが、赤毛の娘はすぐに拳銃をしまい飛び跳ねんばかりの笑顔を作った。
「いやん、夜香さん!! 相変わらずいいお・と・こ!!」
「え、何お燐ちゃんそのリアクション‥‥?」
くねくねとしなを作る相方、火焔猫燐を奇妙な物を見る視線で見る、帽子の子。
「いやー以前ね、あたいの勤め先に屍さんと退治したっていう化け物の死体引きとってくれって言われてさー。その時以来忘れられないのさ!!」
お燐は火車という死体運びを行う妖怪で、死人など日常茶飯事で量産されるこの“新宿”は地獄どころか天国の様な場所だった。だがいちいち死体を幻想郷までネコ(用具名)で持ち帰るのは大変だし、警察や遺族からもクレームが入る。そこで八雲紫とお燐の崇神のさとりが話し合い、更に区とも交渉して、お燐を区の清掃局に就職させた。彼女は各種免許を取得、毎日死体のある所へ嬉々として自動車で赴き、女子医大近くの“火葬所”や曙橋駅跡の地下墓地、その他アンデッドが闊歩する場所でも平気で行くのである。何故ならお燐は怨霊や死体を操る能力を持ち、怨霊達と会話まで出来るので、オカルト絡みの厄介事の解決も頼まれる事がある。
ただ、本人はあまり便利屋として使われるのも困るので、緊急事態でもない限り区を通して仕事を受ける様にしている。
その関係で屍やメフィストにはよく会うのだが、夜香には一度だけしか会っていなかったりする。そして、恐るべき美貌の魔界医師より、自分達妖怪寄りの輝きを持つ吸血鬼に惹かれたのである。
愛想を振りまく相方を見つめて、緑の帽子の妖怪、橙が小声でボソっと呟いた。
「‥‥せつらさんの方がカッコいいもん」
彼女は秋せんべい店でバイトする傍ら、この“新宿にゃんこ組合”の代表も務めているのである。当然、ひいきは新宿一の人探し屋であった。
そんな二人を苦笑しながら見つめていた夜香だが、彼女らがバンから降ろした荷物が少ない事に気付いた。手で運べるケージが三つ。それだけである。
吸血鬼の視線に気付いたのか、橙が自信ありげに微笑んだ。
「お任せ下さい。我が組合は今回の仕事のために組合の最も腕利きを連れてまいりましたから」
「‥‥これは失礼を。疑っているわけではないのですが、貴方たちだけとは思わなかったもので」
「いいえ、きちんといますよ。他に頼もしい組合員が」
ケージから、猫の低い鳴き声が聞こえ、夜香は美しい瞳を丸くした。
公団住宅の敷地内は冷え冷えとしている。夜香に先導されてきた二人は、途中で意外な相手と遭遇した。
「ありゃ、紅魔の門番じゃない」
「どうもお燐さん、橙ちゃん」
紅美鈴、であった。幻想郷では、紅魔館の門番をしていた女妖怪である。主のレミリアが戸山住宅に別宅を構え移り住んだため、彼女も供をしたのだが、この戸山住宅には元々侵入者用に門番を立てる習慣などない。しかし、大切な仕事があった。それは昼間、吸血鬼達が寝ている隙を狙う食人鬼などの妖物、そして区内にも区外にもいる、過激派ヴァンパイアハンターらの襲撃から棺を守る仕事である。
まさに紅美鈴の天職、であった。現地の警備員と幻想郷から連れて来た警備妖精達と連携し、昼間住宅内を巡回した。
当初は、一部の吸血鬼達から白い目で見られた。美鈴という女は妖怪としても素性が明らかでない。いまいち格も高くなさそうで、性格も物腰も穏やか。主のレミリア、その従者の十六夜咲夜ですら、任せてよいのかと内心疑問に思っていた。
夜香は見抜いていた。
ある日、呪術を使い空間を捻じ曲げて外部から潜入したテロリストがいた。全身ににんにくを染み込ませた呪を刻み、寸鉄帯びず己の拳を武器にする。貫き手で棺の蓋ごと心臓を貫通する腕前だった。三人の曲者が侵入し、一つの棺を貫いたところで警報装置が作動。
他の棺から飛び起きた者達へ、口の中に含ませていたにんにくのエキスを拭きつけ、肌に吸血鬼が発する蕁麻疹を起こさせる。そのまま撲殺しようとした時、背後から一人の曲者の首に一瞬の風が吹いた。
何事か、と振り向いたその曲者の視線は突然下へと落下し、二度と事態を把握する事が無かった。二人の仲間は瞬時に新たな敵が現れたと認識し、素早く攻撃目標を変えた。
二方向からガードの構えを取りつつダッシュする。
一撃の手刀で曲者の首を斜めに断ったその女は、無造作に頭を回した。まずかぶっていた帽子が一人の男の顔に飛び、ぴったりと吸い付いた。更に紅く長い髪がバサリと広がり、もう一人の男の身体に触れる。45口径の銃弾程度なら防ぐ特殊皮膚が、複数の刃物が当たったように引き裂かれ、男は上半身を傷だらけにして血を撒き散らした。女は己の髪を凶器とする程の腕だった。その差を悟る前に、喉元へ正確な蹴りが撃ち込まれた。靴底が首を一撃でへし折る。
最後に残った男が帽子を引きはがした時。顔面、鳩尾、股間、にほぼ同時の一撃が叩き込まれた。死んだか意識を失ったか分からないざまで倒れる男に、紅美鈴は告げた。
「貴方だけは警察に引き渡します」
美鈴の絶妙な手加減で、命だけが助かった曲者だがすぐに新宿警察の苛烈な取り調べを受け、アメリカのヴァンパイア・ファミリーが戸山住宅の勢力減を狙った黒幕だと自供した。やがて曲者は裁判前に、留置所で謎の死を遂げた。突然鼻から血を吹き出し、腹部の内蔵が潰れ、最後に股間を押さえて倒れたのである。
夜香はこの後、直々に美鈴と言葉を交わした。単純に褒めただけではないらしいが、レミリアとも交渉して彼女を戸山住宅の警備員として正式に雇ったのである。
二人は、今美鈴に先導されて住宅の中を歩いている。かつて“魔震”で一度は廃墟になった建物が、見た事もない滑らかな石材で作り直されている。なのに遠くから見ると昔ながらの公団住宅だ。
そんな場所で、この幻想郷で居眠りばかりしていた門番の女が生き生きと働いている。
本来妖怪は闇にじっと潜み人の恐怖となりそれを食らって存在するものなのに、有り得ない事が起きてしまっている。お燐は横から女の顔を盗み見たが、美鈴からは何も読み取れない。いつもの様に穏やかである。
「ふふ、どうかしましたか?」
「いーや、なんでもないさ。ただね」
「向こうじゃ居眠りか立ってるだけ、だったから?」
お燐は二の句が継げなかった。一瞬、だが美鈴の口の端に残虐な笑みが浮かんだのを見逃さなかった。
「私は別にこちらで偉くなったわけではありません。今も心はお嬢様の門番。ただ、よく身体を動かせるとスッキリします」
「‥‥そんなあんたの手に余る事態、てわけ?」
「私だけではありません。吸血鬼の方々にも」
戸山住宅の奥に、従来のものを改造した多目的の大部屋がある。夜間に皆がレクリエーションをしたり、集会で話し合ったりする目的で作られたのだが、ここにある厄介な妖物が住み着いたのだという。現在はパチュリーが結界を張り、簡単に外部へ移動出来なくしている。
大部屋のドアは不気味な未知の重金属で出来ていた。これはパチュリーがドアそのものを結界化させたためである。ノブはドクロになり、奇妙な煙を吐き出している。外から無理に開けようとすると、対象を食いちぎり炎で焼き尽くすのだ。
美鈴は白い骨にしか見えない物をノブの口に突っ込んだ。嘔吐する様な奇妙な音がして、ドアがズレる。美鈴は隙間に飛びつき、歯を食いしばって扉をずらした。
「私が押して止めてる間に入ってください」
「えぇ!? 」
「早く! 200㎏あるからあまり長く持ちません! 成功したら中から電話!」
橙とお燐はケージを抱えながら急いで部屋に飛び込んだ。その背後で扉がうるさく閉まる。
中は真っ暗だった。しかし、二人は猫の力で瞳を変化させ、中を見渡す。
広い部屋中に、互いを相食らってる物が蠢いていた。そして、侵入者へ一斉に目を向ける。
「さぁ、お仕事だよみんな」
橙達はケージを置き、その扉を開いた。
中から、茶虎、でっぷりしたブチ、不機嫌そうな黒、の三匹の猫達が現れる。蠢いていた者達は、一瞬凍り付いた。
そして、一斉に金切り声を上げて襲い掛かって来た。それは、紫色のネズミだった。
茶虎の前足、そして口元が煌めいた。ネコ科特有の猛ダッシュでネズミに飛び掛かり、その前足と口に仕込んだ特殊な刃で次々両断してしまう。捕食ではない、殺戮だった。
ブチは両目を微かに輝かせると、でっぷりした身体の両脇から小型のランチャーを幾つも飛び出させた。僅かニ㎜にも満たない弾丸だが、次々とネズミ共を粉砕していく。目に仕込まれたセンサーと連動して射撃しているのだ。更に楊枝程度の大きさのマイクロミサイルまで飛び、一気に群を吹き飛ばす。
ネズミ共はただのネズミではない。魔界シンジュクネズミという、市ヶ谷の遺伝子工学研究所を脱走したサンプルの成れの果てである。食欲、凶暴性だけでなく新宿の妖物の例にもれず進化した。このネズミ、毒性の強い細菌を保持しているだけでなく、ある種の瘴気を身体から放っており、普通の人間をうつ病にしてしまう程精神にダメージを与えるのだった。目下区でも何とかして絶滅させるべく一大プロジェクトを計画しているが、その前に意外な救世主が現れた。猫である。猫にだけはこのネズミの細菌も瘴気も一切効かず、その肉を食らっても異常を起こさなかった。
ただ、猫という気ままな生き物をどうやって統率するのか。しかもただネズミにけしかければいいというものでもない。その区域のネズミを狩り尽くす、猟犬の真似事をやらせないといけないのだ。
そんな時である。ある一人の猫耳を持つ少女が、武装した猫と共にあるビルで魔界ネズミを全滅させたというニュースが新宿を駆け巡った。
八雲藍が、秋せんべい店のバイトの甘んじていた橙に入れ知恵をしたのである。
橙は新宿の一風変わった猫達と付き合いがあった。
茶虎のクウ。爪と牙が戦闘時には生体ブレードへと変化。筋肉や神経にも強化措置が施されている。
ブチのフク。太った身体に火器を仕込んでいる。なんと体内にナノマシンで弾薬を作る機能まで備えており、材料のありそうなとこで寝ている時、彼は身体に武器を蓄えている。
この二匹、“新宿にゃんこ組合”の稼ぎ頭であった。新宿の猫が仕事をするための組織。
幻想郷で橙が上手く出来なかった、猫のための楽園、というには物騒過ぎるが、新宿の猫達は橙の言葉(猫翻訳)に耳を貸し、彼女に協力した。彼らが何故、武装した猫になったのかは明らかではないが、そのままではやがて捕まり、殺処分されるところだった。
魔界都市式ではあるが、今猫達は仕事をしているのである。橙自身も、手の爪で近寄るネズミを切り裂いていく、当然彼女とお燐にもネズミの害毒は無い。
ネズミ共は不利を悟ると橙達から距離を取り、またしても互いを食らい合い始めた。追い詰められての自滅、ではない。このネズミは共食いもするが、追い詰められるとその共食いの性質が変化するのである。
相手を食った一匹の身体が膨れ始めた。その身体に他のネズミが食いつき、また膨れていく。これを繰り返す内どんどん巨大なネズミと化していくのだ。手足はもはや熊よりも太くなり、身長は天井にぶつかる程、前足は歪んだ禍々しい爪がでたらめに生えている。
そして、身体から放つ瘴気も激しくなった。数は一匹だけになってしまったが、この形態になると対装甲ライフルの特殊貫通弾ですら即死しない。厄介なのは再生能力まで備えている事、そして、これは戦うために変化したのではなく、囲みを突破して逃げるための姿なのである。逃げおおせたら何処かで倒れ、その身体から子ネズミが分裂していくという、滅茶苦茶な生物だった。
今まで何もしなかった黒猫が前に進み出た。なんと、この巨大形態になっても猫達には魔界ネズミが獲物としか見えていない。吸血鬼達も力を奪われる程の瘴気や細菌も、猫には通用しない。ただし、その理由は全く不明で未だに解明されていない。
黒猫の首輪から、ビー玉台の球体が幾つも落ちた。それは床を不規則に転がっていく。
赤い閃光が走った。首輪から放たれたレーザーが球体に反射し、それを繰り返して巨大ネズミを撃ち抜いていく、大したダメージではない、が巨大ネズミの集中は乱される。
そこへクウが突進し、牙と爪で体を切り裂く。フクはじっと何かを待ち構えている様だ。
ふと、ネズミの舌が急激に伸びてクウに巻き付いた。口の中へ吸い込まれる前に、轟音が響いて舌を青い炎が焼き切った。お燐の銃弾である。なんと、ゾンビフェアリーを弾丸に憑依させてあるのだ。ただのベレッタの25口径が、誘導の霊力弾ランチャーになっているのである。
「一発貸しだよ! さあ決めちゃいな!」
「分かってる!!」
フクの背中から少し大きな砲がせり出し、黒猫のレーザーが反射されて巨大ネズミの両目を焼き、クウが離れた瞬間。砲弾が腹に直撃した。ネズミの口と目から炎を吹き出す。
新宿署装備課の平平助がかつて開発した、二重炸裂談。拳銃サイズの弾丸が敵の体内を数万度の炎で焼き、トドメに爆発するという代物である。それをこの猫は切り札として、威力は大分劣るが隠し持っていたのだ。橙が宙に魔方陣を描き、それを押し出す様にして放ち、ネズミは霊力で出来た球体の中に閉じ込められた。同時に内部で爆発が起き、ネズミは炎の中に消えた。
「後は徹底的に部屋の清掃と、ネズミの侵入経路の検査を行ってくださいね」
お燐が夜香の顔をチラチラと盗み見しながら、手帳にサインを貰う。無論、私用の方である。
「承知しました。まさかあれほど大発生してるとは思わなくてね。パチュリー殿の知恵で奴らをあの部屋におびき寄せて封じたまではいいが、部屋を破壊せず駆除するのは大変でお願いした次第。もしまた現れたらお頼みしたい」
橙は愛想よく笑った。
「どうぞどうぞ、当組合はネズミ退治から凶悪犯の始末までなんでも承ります!」
ケージから「さっさと帰って休ませろ」とでも言いたげな不満そうな鳴き声がした。吸血鬼の若き長は、興味深そうに猫達を見つめる。
「猫達は古より不思議な魔力を持ち、私も何度か彼らの力を目にした事がありますが‥‥この猫達は一体?」
「“魔界都市”ですからね。猫も武装する時代なんです。ただ、一回だけ火星の開拓基地から変なFAXがうちに届きまして」
「?」
「えーと、俺様の戦闘スタイルをパクりやがったな海賊ども、著作権侵害で‥‥というところで送信が止まっちゃって。しばらく後、うちのバカが悪戯で送信したので一切無視してください、なお返信には応答しません、だって」
「‥‥礼儀を知らない者達、と言うべきなのですかね。困った事があれば、今度はこちらが相談にも乗りますよ」
猫の式娘は少し視線を逸らした。
「ありがとうございます」
(‥‥ごめんなさい、本当は、せつらさんに頼りたい‥‥)
お燐は今回こそ区を通しての依頼だったのと、橙が戸山住宅へ行くのが初めてだったので付き添ってくれた。彼女は橙を組合本部の前で降ろすと、手を振ってバンで去っていった。
組合本部、といっても雑草も生えない空き地にやや大きなプレハブを幾つか無理に繋ぎ合わせた建物、それと誰の物かも分からないパイプや土管が大量に積んである。
“新宿にゃんこ組合”という名札だけが建物のドアに、ある筈だった。
ドアが綺麗に無くなっている。橙はケージを置き、皆を出した。猫達もただならぬ様子に気付き、橙の周囲を囲みながら本部へ近付く。扉は強化プラスチック製だが、中央からへし折れて建物の中に倒れていた。
中は滅茶苦茶に荒らされていた。猫達の部屋である箱、保護猫の入る頑丈なケージは叩き割られ、遊び用の柱やクッションは引き裂かれ、外部連絡用の多機能PCも叩き潰されている。
そして、中に常時詰めて(ゴロゴロして)いる筈の猫達は一匹も見当たらない。半端な強盗程度なら跡形もなく全滅させる物獣の如き連中である。
言葉を失った橙だが、足を軽くクウに撫でられた。肩にクロが飛び乗る。
<大丈夫だ、俺らがついてる>
三匹の声なき言葉に気を奮い立たせた橙は、まずお燐に連絡した。スマホの向こうで、火車はまず警察に連絡しろ、と助言し、自分も用事を済ませたらすぐに駆け付ける、と言った。
その時、内部を調査していたフクが大声で何かを知らせた。一人と二匹はその場へ急ぐ。
壊された物の陰に、全く毛のない、ピンク色の肌をむき出しにした猫が震えていた。
「ジョニー‥‥? 無事だったのね!」
しゃがみこんだ橙の声にビクッと身体を震わせたジョニーだが、すぐに差し伸べられた腕へと飛び込んだ。
「教えて頂戴、一体、何があったの? みんなは何処へ連れていかれたの?」
ジョニーは怯え切った声で訴えた。
<奴が来た! ここまで奴が来た!! もう逃げられないんだ!>
まるで要領を得ない言葉。だが橙は、ジョニーが恐れる存在に心当たりがあった。
「心配しなくていんだよ。もう、あの国はないんだ。ジョニーを追いかける奴なんていないんだよ」
<違う、本当に奴が来たんだ! みんな連れてかれた! 俺は、俺は、俺だけは何故>
急に、空気が冷え込んだ。戸山住宅のそれとは違う。もっと恐ろしい、猫の要素を持つ橙にも大きく圧し掛かるプレッシャー。彼女は、震えながらも破壊された扉の方を見た。
赤い、赤い服だった。帽子から靴まで、皆赤い。作業着らしかったが区の何処の会社のものでも、ましてや公務員でもない。
そして、なんと醜悪な顔だろう。中年男、と分かったが目は大きくギラギラと光り、歪み切った笑いが張り付いている。
「探したぞ、猫ども。さあ、帰るんだ」
のっそりと太り気味の身体が入って来る。橙は逃げなくては、と思ったが足がまるで動かない。肩に乗ったクロが威嚇の声を出した。
クウが怒りの咆哮を上げ、殺人を可能とする程の爪と牙で飛び掛かった。だが男は簡単にその身体を宙で掴んでしまう。
「忘れたか? お前らを作ったのは我々だ! そして‥‥」
空いた片手から何かが投げられた。武装を展開したフク、橙と肩に乗っていたクロがまとめて絡めとられてしまう。網は機械的に動き出し、完全に一人と二匹を封じてしまった。
「戦場から逃げ出すお前らを幾度捕まえた事か。昔を思い出すわい!!」
汚らしい笑いが部屋中に響いた。赤服は網に近付くと、スマホを取り出そうとしている橙を蹴りつけた。安全靴の先端が食い込み、妖怪の身とはいえ式猫は体液を吐き出しながら痛みに苦しんだ。
「猫の分際で人の姿などしおって、思えば貴様の様なのが猫を扇動したのかも知れんな」
赤服の手元で、ジャキンと音がした。クウが必死の一撃を与えたのだ。だが赤服は血の一滴も出さない。普通の人間なら手首が落ちるのを、腕が少しズレただけですぐに元の位置に戻った。握った力はそのまま、でだ。
懐から出した黒光りする金属の輪を、赤服はクウの首にはめ込んだ。
「貴様らは兵器の分際で人に逆らうのか」
そのまま、赤服はクウを地面に叩き付けた。更にその身体を持ち上げ、近くの窓に叩き付ける。耐久ガラスが割れて、クウは血塗れになり外へ放り出された。
橙が涙を溢れさせながら叫ぶ。
「やめて、やめてよぉ!!! 一体誰!! なんで猫をそんなの虐めるの!!」
「い・じ・め・るだと? この人間もどきが!」
赤服は橙の入った網を片手で掴み、持ち上げた。意外にも、そのぎらつく目に涙が光っている。
「貴様如きに、わしらの苦しみが分かってたまるか!! いつまでも続く隣国との戦争、それを解決したのが、アニマル・ソルジャー!! 猫を始めとする動物兵士だ! 人も死なず、従順でどんどん量産できる素晴らしい兵器だった!」
赤服は突然網にパンチを食らわした。クロが首輪から球体を落とし、背後からレーザーを浴びせたためこれを気絶させたのだ。この赤服自身、相当な強化改造を受けている様だった。レーザーを受けても気にもしていない。
「それがある日、生意気にも反乱を起こしおって!! 鎮圧はされたが全ての動物兵士製造施設、研究者が全て消し飛んでしまったわ! おかげでわしらはまた人間同士で殺し合いだ!」
鼻水を垂らして泣きながら、赤服は網を外へ投げ捨てた。
「おかげで、ワシの家族も知り合いもみんなどこかへ行ってしまった!! みんなお前らが黙って戦っておれば良かったのだ!! 人間のために死ねは良かったのだ!!」
橙も泣いていた。悔しかった。赤服に欠片も同情していなかった。彼女は唇を噛みちぎり、痛みで自分を奮い立たせた。
「だからなんなんだよ!」
「うん?」
「あんた達に猫の言葉が分かれば、こう言われたろうさ! ザマアミロ、てね!!! 泣けよ、もっと泣け!! あたし達はお前らの墓に花なんか供えてやるか!! 後ろ足で砂かけて、大笑いに笑ってやる!!」
「何処かの保護団体みたいな台詞をほざきおって!! 貴様は人間社会の敵だな!!」
「私も猫だ!! この子らのために怒って何処が悪い!!!」
赤服は網の中の橙を蹴りつけた。何度も、何度も。橙は痛みで意識が遠のいていく中、少しだけ笑っていた。
(藍しゃま、橙は猫の敵に最後に言ってやりました‥‥。紫しゃま、八雲の一員になる前に倒れる愚かな孫の式をお許しください。そして、せ‥‥)
空を切る音がした。赤服の蹴ろうとしていた足が膝から飛び、空き地の隅にボトリ、と落ちた。
「困りますねぇ、その子、うちの店の稼ぎ頭なんですよ?」
どこか間延びした声、だった。赤服の傷口から一瞬青い液体が噴出したが、すぐに止まる。片足だけで微塵もバランスを崩さず、その狂気と脂に満ちた顔が声の主を見る。途端に、殺気が消え、呆然となった。薄気味悪い事に赤みまでさしている。
黒衣の手が、血塗れで転がっていたクウを抱き上げた。まだ、猫は息があった。
クウもフクもクロもそしてジョニーも、赤服の話が本当なら戦争に使われるために改造された兵器だった。そう簡単に死ねる身ではないのだ。
赤服の頭に、背後から何かがぶつけられた。正気に返った彼は足を拾い、押し付けた。
数秒も経たず脚は繋がった。血塗れの猫を撫でながら、ゆっくりと空き地の隅っこに横たえた姿が、少し指を振ると首を拘束していた金属輪が切り落とされた。
赤服の眼が再び憎悪に燃える。背後から、彼と同じ服を着た男女が四人。手に猫達が入った網を持っている。
「‥‥貴様、自分が何をしたか分かっているのか?」
「はぁ」
「猫兵器などを助けおって。そいつらは人間を裏切った出来損ないだ。わしらはこの出来損ないどもを連れ戻し、研究材料にして、我が国を復興するのだ。わしらの無くした物を取り戻す邪魔をするのか!!」
「‥‥はぁ、それは大変ですね」
「そしてその邪魔をするという事は、人間を裏切るという事だ!」
黒衣の青年は苦笑しながら頭をかいた。この空き地の風景で浮くどころか、彼の周囲が一つの絵画としても成り立ちそうな美貌だった。
意識を失いかけていた橙がその顔を見た途端、衝撃で感覚が戻ってしまい痛みと感慨で涙があふれ出た。血反吐を吐きながら叫んだ。
「せつらさん」
秋せんべい店の主にして、新宿一の人探し屋であった。
「橙ちゃん、今日ちょっと店番頼もうと思ったんだけど、電話に誰も出なくてね」
「はは、御免なさい‥‥」
赤服の仲間の二人が袋を捨て、猛然とダッシュした。両手から、猫を拘束するのに使った輪が鎖付き四本、放たれる。せつらは身動きもせずそれを首と両手、右足に受けた。
しかし、赤服達がそれを引っ張ろうとした時、輪は両断され、鎖もバラバラになった。
「お返しします」
手に掴んだ輪の残骸を優雅に宙へ放った。と、それらは赤服達の首に何故か形を戻しながら吸い付き、凄まじい圧力で締め上げた。
特殊金属の拘束具を切り裂き、その破片をもう一度繋いで相手の首を締めあげる。
この技、全て太さ千分の一ミクロンの“妖糸”が編み出しているのだった。赤服二人の首がぐしゃり、と潰れた後、切断され地に落ちた。
三人に減った赤服は、リーダーの合図で新しい網を取り出した。更に彼は橙に近付き網事彼女を踏みつける。
「人探し屋。この化け猫を殺されては困るのだろう? この猫兵器どもを回収させれば、わしらは引き上げる。同じ人間同士じゃないか。たかが、猫だ」
せつらは面倒臭そうに答えた。
「貴方の国の戦争て、誰が起こしたんでしたっけ?」
「は?」
「人間だった筈だぞ?」
突然、赤服の足元から橙が跳ね起きた。妖怪とはいえ複雑骨折、内臓にあたる器官の破裂まで起こしている彼女が。そのままフクとクロを抱え、せつらの足元まで走る。妖糸が密かに網を断ち切り、橙の妖力を一瞬だけ活性させるツボを強く刺激したのだ。
そして、今、せつらの何かが変わっていた。
「“私”にとってはどうでもいい事だがな、お前は店のバイトを殺そうとした」
「お、お前は一体誰だ!! 先刻までは人間だったろう! そうだ、人間に決まってる!」
残っていた二人の部下の赤服が高くジャンプした。捕獲用の網を上空から投げつける。
無論それらはせつらに近付く前にバラバラになったが、直後、隠し持っていた二本の鞭、合計四本が打ち付けるのではなく、先端が突き刺さる様に飛ぶ。自動車の車体をも貫く技だった。
微かに足を動かしただけでせつらはそれを回避し、逆に地面に突き立った鞭へ軽く指を振る。瞬時に鞭は綺麗に縦に両断され、持ち主も真っ二つに裂けて落下した。
残ったリーダーは舌打ちして逃げ出そうとした。
そんな時、組合敷地へ突っ込んで来た自動車がある。霊柩車、だった。それはリーダーを正面から思いっきり弾き飛ばして停車する。
中からお燐と、新宿署の鬼刑事にして“凍らせ屋”屍刑四郎が現れた。
「いやー車ってやっぱ凄いね。アタイの“ネコ”じゃこうはいかないや」
「‥‥間違いねぇ、通報にあった赤服の一人だ」
ドレッドヘア、眼帯に花を大量に散らした上着、という異様な刑事の横で、お燐がビクッと震えた。
赤服達が全員、ゆっくりと立ち上がった。首を両断された二人は自ら頭を戻し、こきこきと関節まで鳴らしてみせた。縦に両断された二人は、なんとそれぞれの左右が間違って癒着しているのにも関わらず、ニヤリと歪んだ笑いを見せ合う。車に弾かれた程度のリーダーなど、哄笑しながら折れた全身の骨をはめ直していく。
屍は巨大なリボルバー、“ドラム”を抜いた。お燐にはそれが何処から出て来たのか、全く分からない程巨大な拳銃だった。いきなり、巨大な轟音が響き、リーダーの肉体は大穴を空け、ついでのお燐は腰を抜かしてへたり込んだ。しかし汚い笑みと共にその傷はすぐに再生していく。次は頭。吹き飛んだが、肉片が集合して再生した。
「人探し屋の糸に関わっていては千日手でな、一旦撤退しようとしただけだよ、刑事さん、あんたはまともな人間の様だな?」
「馴れ馴れしいぞ、アンデッド野郎が」
「これはわしらの誇り、いや執念だ。それだけの物を背負っているからな!」
「どうせ南米辺りの呪術師から買った程度の物だろう、随分と安い誇りだぜ。“新宿”ではな」
屍は呼吸を整え始めた。古代武術“ジルガ”の使い手でもある彼は、自らの拳から強力な生体エネルギーを直接流し込んで、赤服達の再生能力を破壊しようと考えたのだ。
だが、震える手がそれを遮った。
「刑事さん、あたいを“区民刑事”にしてくれる?」
区民刑事、とは“魔界都市”独特の制度で警察官が犯罪者との戦いで手に負えない、と判断した時に丸二十四時間、刑事の資格を与える事が出来る。屍は少し不機嫌そうな顔をした。
「余計な手出しはいらねぇ、隠れてろ」
「あいつに相応しい裁きを、あたいなら与えられる、と言ったら?」
屍は少し考えてから素早く懐から、“区民刑事”の証の金色のカードを取り出し、お燐に渡した。
「五分で済ませろ。それとあとで署に同行してもらうぞ」
「三分で充分!!」
お燐は、再び集合して身構える赤服達の前に単身立った。リーダーは露骨に侮った顔をする。
「また猫か。擬人化などしおって、そうすれが人並みの存在になれると思ってるのか!!
猫、猫、猫!! 猫など人間の道具だ! 幾ら殺そうがどうしようが、わしらのために世界はあるのだ!!」
「まあ、一理あるね。あたい達猫も世界は自分を中心に回っていると思ってる」
「ふん、利いた口を」
「そうだね、じゃあ、みんなにも聞いてみようか!」
腕組みをするお燐の眼が怪しく、青く輝いた。赤服達の周囲に、ぽつり、ぽつりと青い火の玉が灯り始め、ゆっくりと周囲を回り始めた。一人の赤服は、そこにはっきりと見た。
かつて徴猫に抵抗して、殴り殺した猫の顔を。
「みーんなさぁ、この人達に言いたい事があるんだよね? 遠慮はいらないよっ!」
今や火の玉は何百と周囲を覆っていた。屍は渋い顔をしている。
「エグい真似しやがるぜ」
これから何が始まるか、彼には理解出来た。別の位置で事態を見守っていたせつらと橙、そして解放された猫達も。
リーダーを始め、赤服達に一斉に青い火の玉が張り付いた。燃やしているのではない。
何かしらの方法で不死者になりえたその身体を、生きながら食らっているのだ。肉だけではない。精神に自分が受けた仕打ちを見せつけ、その痛みまで押し付けた。
お燐の怨霊や死体を操る能力は、恐るべき復讐劇を盛大に演出したのだった。
偶然だったが。お燐が帰って来た時屍が来ていたのである。
赤服達は区外のネコカフェなどを荒らし回り、三日前、歌舞伎町の獣人系風俗を襲った。獣的特徴の生体改造の従業員は皆殺しにされ、皮をはがれ店内に晒された。殺されなかった店員は、かつて“新宿にゃんこ組合”に仕事を頼んだ事があった。
お燐と鉢合わせした時、彼女の携帯が鳴り橙から本部が荒らされていると連絡があったのだ。屍のパトカー(お燐には最初、何故か巨大な“ネコ”に見えたがすぐに霊柩車に戻ったという)に無理矢理同乗して、駆けつけたのである。
今、赤服達は女子医大付属病院廃墟近辺にある、“火葬所”に転がされている。ここで焼かれながらも、彼らはまだ死んでいない。お燐曰く、いつかは全て食い尽くされてようやく本当に地獄行きだろうが、アンデッドになったせいで時間がかかる、という。
重症の橙、そして猫達はメフィスト病院に担ぎ込まれた。
猫を治療しろ、とせつらに言われた美しき医者は眼を丸くしたが、すぐに了承した。元々、狼男族や生体改造を受けた人間が、獣の姿のままで運ばれてくるケースも多いのである。
患者は、猫又の式一人と、猫サイボーグ達だった。白い美貌の医師の腕は、彼女らを見事に救ったのである。
入院中の橙をせつらが見舞いに来ていた。先刻まで、主の八雲藍が来ていたのだが、美しい人探し屋が来た時、少し顔を赤らめながらも気を遣って出て行ったのだ。
「せつらさん、お見舞いのせんべい、ありがとうございます」
「気にいってくれると嬉しいな、あの医者に何もされてないだろうね?」
「いいえ、『女なのが残念だ』とは仰ってましたが‥‥どういう事なんでしょう」
「そのまんまさ。気にしちゃ駄目だよ」
「‥‥ねぇ、せつらさん? 私達、いや、私はきっと数に入れちゃいけないんだろうけど、あの赤服のおじさんの言ってた事て、正しいんですかね?」
「猫って、所詮、人間の‥‥」
猫又は言葉に詰まった。泣くまい、決して泣くまいと歯を食いしばった。
返って来た返事は、声色が違っていた。
「人間と猫は違う。外の世界では、きっと永久に対等の立場にはならないだろう。だが、“魔界都市”なら、武装した猫達が自分達を守りながら生き抜いていっても不思議ではない。‥‥いつか、“私”の敵になる事もあろうがな」
橙ははっと顔を上げた。そこには、いつものせんべい屋の店主の顔があった。
「ようこそ、魔界都市新宿へ。バイトとネズミ退治、続けてくれるよね?」
今まで我慢していた涙がどっと溢れまがら、橙はにっこりと笑った。
今回は少し補足をさせて頂きます。
「ニャンコ、戦争へ」からの設定とオリジナル部分。
某国:人間の代わりに猫を兵士として利用する事を考え、実行に移した国家。何処かの国と長い間戦争をしており、相手国も猫を戦争利用している様だ。
(作中設定)猫だけでなく、あらゆる動物をサイボーグ化して戦場に送り込み、世界で初の「人間の死なない戦争」を生み出し、ノーベル平和賞まで時の首相は受賞した。が、後に動物兵士の反乱で軍需施設を全て破壊され、改造施設や研究者も全員死亡。隣国との戦争に敗北し滅亡する。
猫:人語を話し、人間の兵器を操る器用さと知能を持つ。小銃を持っている挿絵がある。
(作中設定)身体に武器を仕込んだサイボーグ。一応人語は分かるが、話す事は出来ない。作中では出てこないが隊長格の動物がいて、これらが人間の指令を受けて作戦通り運用される。兵器として扱われているため、兵士などの権利は一切ない。
新宿に居る猫達は、国が亡びてから危険な存在として動物兵器が虐殺されたため、逃げつつ遥か海を渡り移住してきた。
赤服:作中に登場する作業員。人間への反乱を仲間達に説いて回る猫を捕らえにきた男。
自分も猫を飼っていて、三十年生きて国に尽くしたという嘘を主人公に吐いた。
(作中設定)本人。元々動物兵士の管理官で、彼らを鎮圧するための訓練なども受けていた。国が滅亡して家族は死亡したり離散、この悲しみは本物だったりする。恨みから闇社会で無茶な生体改造を受け続け、いつしかアンデッドになり動物兵器を再び集めるという妄執に囚われた。五人の部下はオリキャラ。
橙の叫び:作中、ダブという猫が叫んだ台詞がモデル。
ジョニー:ダブがモデル。なおダブは戦傷兵で、外見は太った猫だがそれは作り物。本体は焼けただれピンク色の地肌がむき出しになっている。
火星からのFAX:絵本とは関係ない。レーザー猫クロのモデルは、「敵は海賊」シリーズのアプロで、本人がどういうわけが似た奴がいると悪徳請求をしたところ、相棒達にバレて阻止されたという小話。