魔界都市の幻想郷   作:量産機

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変な話です。まあ、これまでも全部そういう話でしたが。


がっこう

 <新宿>における公的教育施設は少ない。四谷第六小学校と四谷第二中学は魔震で壊滅。

 特に第六小学校跡地は近辺に“技術町”が出来たせいで、とても子供を通わせられる環境ではない。理論上、幼稚園児でも撃てる45口径ハンドマシンガンのバーゲンセールなどやっている地域には、流石に区民でも子供を近付けさせぬ。近年、青い帽子を被り巨大なリュックを背負った銭ゲバ河童が出没するとの噂もある。

 

 それでも公的教育を望む声はあり、区は第二級の安全地帯、高田馬場に小学校と中学校を建設した。また、区内の各地に私立校・塾が作られた。その幾つかは、怪異現象の末廃校になったが、生き残った所へ今日も子供・若者は元気に通う。下校時に射殺されるかも知れない。授業中、呪われるかも知れない。友達が突然ヤク中になるかも知れない。

 だから、なんだと言うのだ。青雲の志は、今一瞬を生きる事に全てを燃やすのである。

 

 上白沢慧音が、いつ<新宿>において教師の資格を得たのかはよく分かっていない。

 彼女は幻想郷においても特に人間に近い存在であり、人里の守護なども自発的に行っていた。魔界都市、でも人と関わる仕事を選んだのだろうか。

 

 しかし魔界の小学校は、幻想郷の寺子屋より厄介だった。

 休み時間、廊下でぼうっと日陰に隠れている子がいた。長時間、日光に当たると死んでしまうため、十二時間効果のある対光防護スプレーをかけ、なおあまり外には出られない。

 そんな事情を知っていたから、慧音は優しく話しかける。

 

「どうした? いつもより顔色がより青いぞ」

 

 男の子の種族は、皆肌が青い。興奮すると更に顔が青くなる。恥ずかしそうに顔を伏せる彼に、しゃがみこんで視線を合わせた。

 

「悩みでもあるのか?」

「‥‥はい。C組の朝子ちゃんが‥‥」

「何かあったのか」

「いいえ、その‥‥ぼく、あの子の血が吸いたくて」

 

 吸血鬼、ではないが彼の一族は吸血行為で好意、というかキスをする。かなりませた子供である。慧音は苦笑した。

 

「あまり恋路を急ぎ過ぎると、人生損をするぞ」

「で、でも、この間朝子ちゃんと話をしたら」

「したら? 楽しかったのか、良かったじゃないか」

「違うんです、僕の事、食べたいって」

 

 カニバリズム、ではない。相手の一部を喰う事で、相手との絆を永遠にしようという儀式。朝子は学校にも魔女っ子帽子をかぶって登校する、代々魔術士の家系だった。

 この小さなカップルはどうも早熟過ぎるのではないか。慧音は真っ青になって照れる少年を、心配そうに見つめた。

 結局、朝子にも話を聞いて、もう少し大きくなってから“食べる”様に説得した。年を取るごとに人の心は変わる。幼い事の恋心など実らないものだ。

 別れ際、朝子から自分の家で摘んだという花を貰った。

 

 小さな恋路以外にも数々のトラブルがあったが、慧音はそれらをなんとか処理してのけた。この程度、日常茶飯事である。

 職員室に戻ると、教員が一人いるのみだった。

 

「肝山先生? 他の先生方は?」

「今、校庭で妖物排除団体が抗議活動を行っていて、皆鎮圧に向かってます。僕は電話番で」

 

 これもあまり珍しくない。職員は皆格闘、銃撃、霊の技、どれも鍛え上げた猛者ばかりである。肝山は眼鏡姿の冴えない男だが、これでも忍者の一族だった。

 

「じゃあ、私も向かわないと」

「慧音先生も万が一、に備えて待機して欲しいと教頭が」

「そうですか‥‥」

 

 万が一、とは教師陣が全滅した時、生徒達を一人でも多く逃す殿軍役である。相手がどんな手を用いるか分からないからだ。

 肝山が湯気の立ち昇る湯呑を渡してくる。それには口を付けず、慧音は無人の職員室を見渡した。

 

「嘘、ですね」

 

 緊急時、職員室には最低四人は待機する決まりだった。何処かから、血の香りがする。

 

「ええ、嘘、です」

「このお茶にも何か入ってますね?」

「たっぷり、と」

 

 静かに湯呑を置き、席を立つ慧音。隣の席の田畑先生の棚が少し空いている。そっと開けてみると、中には丁寧に折りたたまれた教師が入っていた。骨でも抜かれたのか、平ぺったくなっている。

 動じず、慧音は出口へと向かった。意外にも、素直に扉は横へスライドしたが、向こう側にも職員室が広がっている。

 

「逃げられませんよ。かつて桶狭間で今川方の大軍を迷わせたのは‥‥」

「肝山先生の祖先が作ったこの結界、ですか」

 

 慧音は能力で“歴史”を読み取った。この場合、肝山の実力がはったりで無い事を確認するだけだったが。

 

「しかし、子孫がその技で何をなさるおつもりです?」

「貴方が欲しい」

 

 慧音は微かに足がふらつくのを感じた。

 

「たっぷりと入れた、と言いました。香りだけでも効く様にね。飲んでいれば今頃意識も無かったろうに」

 

 慧音は急いでスカートのポケットを探り、解毒剤を取り出そうとする。

 

「お探しの物はこれかな」

 

 肝山の眼鏡が光り、その手に種々のカプセルを入れたケースが握られている。

 

「忍びのスリの腕は如何」

「‥‥女一人に、随分と手の込んだ事だな」

 

 女教師が棚に片手を突いて身体を支えながら、幻想郷では誰もが使う技、弾幕の一撃を掌から放とうとする。殺傷力は低いが、命中すれば昏倒は免れない。慧音はあまり銃を好まないため、今でもこの技を使っている。

 

「無駄ですよ、撃ってごらんなさい」

 

 青い魔力弾が飛び出て、相手に届く前に四散した。肝山は眼鏡の縁を押さえながら立ち上がる。

 

「この眼鏡、には多少の魔の技を無効化する刻印が施してある。貴方みたいな方を相手にする程度には役立つ」

「‥‥下衆。情けないやつ」

 

 慧音の手足から力が抜けていく。後ずさった瞬間、転んで尻もちをついてしまった。

 

「ずっと狙っていたんですよ、慧音先生の事」

「肝山‥‥」

「そんな凛とした顔して、優しい顔で子供に接して‥‥」

 

 息を徐々に荒くしつつ、男が慧音ににじり寄る。身を低くして、強烈に自己主張する女教師の胸に手を伸ばした。

 

「そしてこの身体、みーんな欲情していたんですよ。僕が一番乗り、だ」

「け、け、けだもの‥‥」

「全くだね、アホじゃないかな」

 

 聞きなれない声に、肝山はギョッとした。その尻をもんぺを履いた足が蹴飛ばす。

 忍の技を無駄に精魂込めて使用していた男は、床の慧音の胸の中に望み通り、飛び込む形となった。

 もんぺにサスペンダー、という奇妙な服装。その上から今は作業用のエプロンを身に着けている銀髪の女、藤原妹紅はその様子に冷笑した。

 

「がっつくねぇ。まあ慧音の胸はみんな一度は揉みたいと思う逸品だし無理ないか」

「‥‥ブハッ!」

 

 豊かかつ温かみと香りの中で溺れていた肝山だが、顔を離し、なんとそのまま跳躍して天井の小さなスプリンクラーを掴んだ。蜘蛛じめた仕草で、突然現れた女を天井から睨む。

 

「何者だ」

「通りすがりの可愛い掃除夫だ、なおここは四十八のバイト先の一つに過ぎない」

「軽口を叩くと痛い目を見るぞ」

 

 肝山が口をすぼめ、鋭く息を吐いた。妹紅がエプロンを脱いで素早く巻き取ろうとする。

 が、布がたちまち四散した。含み針、ではなく、息そのものが鋭い刃と化したのだ。

 妹紅の手も切り裂かれ、血塗れになる。

 

「貰った!」

 

 天井を蹴り、隠していた二本の苦無を両手に飛び掛かる肝山。妹紅は慌てず、負傷した手を無造作に振った。血が飛び、肝山の顔面に貼り付く。それこそ弾幕の様に。

 瞬間、血が燃え上がった。身をかわした妹紅の脇を通り、床へ激突するかと思われたが器用にとんぼを切り、見事着地した。しかも、妹紅の首筋に深々と苦無を突き刺している。

 

「あーれー」

 

 ふざけた声を残し、妹紅は絶命して倒れた。苦無には刺した相手の体内に強烈な毒を注入する仕掛けが施されている。肝山は燃えた眼鏡を捨てた。

 

「何だったんだ、こいつ‥‥結界をどう抜けたかは知らないがこれで終わりだ」

 

 次の瞬間。素早く慧音の両手が男の顔を掴んだ。渾身の頭突き、学校中の生徒が恐れる体罰、などではない必殺の一撃が鼻目掛けて叩き込まれた。肝山は顔面を陥没させ、失神する。

 彼が倒れると同時に職員室の扉が開き、他の先生が次々と飛び込んで来た。結界が消失したのである。床から妹紅が起き上がり、首の関節を鳴らしながら呟いた。

 

「全く、二度死んだよ。あーあ忍術だかニンポーの無駄遣い」

 

 妹紅が血をまき、燃やして肝山の視界を奪った時、慧音に自分の解毒剤を投げ渡していたのだ。そして、その後確かに彼女は死んだ、様に見えた。いや、これが不死身ではないが“死なず”の蓬莱人の戦い方、であった。

 結界が職員室に施されている、と分かり大騒ぎになった時も、躊躇無く持ち歩いている即死級の毒薬を飲んだ。魂、だけになって強引に職員室へと入り込んだのである。普段は大型拳銃を使って死ぬのだが、慧音の小学校の掃除夫をしている時は遠慮していた。

 

「妹紅‥‥そこまでしなくても」

「おや、こいつに貞操差し出したかった?」

「それは! 嫌だけど! ‥‥ていうかなんで知ってるんだ? 途中で入ってきただろう」

「被害者の一人のスマホが外の先生のに繋がったままだった」

 

 顔を赤くして慧音は怒鳴った。

 

「とにかく! 幻想郷より死ぬ頻度が増えてるじゃないか! 幾ら再生するからって無茶をするんじゃない! 後四十八なんて、バイトかけもちし過ぎだ!」

「はーいはい、本当は十二だよ。それじゃ私は掃除があるんで」

 

 ひらひらと手を振りながら、妹紅は去っていく。

 

 

 忍者、の末裔の下衆を警察に引き渡し、警察の事情聴取を受けた後、慧音は夕暮れの道をタクシーで急いだ。

 今日は満月。どうしても赴かねばならない場所だった。

 

 

 その古ぼけた学校は、夜だというのに窓に光があった。

 正門の前で、ねじり鉢巻きに腹巻といういつの時代から現れたか、という中年がタクシーから降りる慧音を見つけて手を振った。

 

「おぉーい、先生!! こんな大事な日に遅刻かよぉ」

「済まないゲンさん。昼間の学校で事件に巻き込まれてな」

「なんでぇ、我が〇◇×夜間中学の花、上白沢慧音大先生を巻き込むたぁふてぇ野郎よ。俺が一丁今から成敗してやる」

「行くなゲンさん。今日は、とても大事な日だろ? ‥‥ていうか、もう呑んでるのか」

 

 時代錯誤の中年からは既にアルコールの匂いがした。そして、何故か夜間中学の名前は聞き取れない。慧音は、その辺りは気にしていなかった。

 

「おうよ! 先生とパーッと飲る、最初で最後の機会だ。前祝い、だぜ」

「‥‥そう、だな」

 

 教室には紙で作られた花々で装飾が為されていた。リボンを張り巡らした中に、ごつい面々が酒杯片手に騒いでいる。

 顔が半分機械の大男、中年女顔負けの化粧をしたネグリジェのオカマ、額まで入れ墨で埋め尽くしたやくざ、車椅子の上で身体を植物に包まれた青年。巨大な単眼の娘。

 魑魅魍魎がこれから百鬼夜行でも起こすのか、と思い違う事無かれ。彼らは皆、<新宿>の夜間学校の生徒達だった。慧音は一年間、彼らをきちんと教育してきた。

 サイボーグのハチ、は機械部分と生体の接合が悪く、よく宿題を忘れ慧音に頭突きを貰っていた。

 オカマのトミエ、は作文の授業で見初めた“男”の事を熱く生々しく朗読し、全員を嘔吐させた。

 ヤクザのミチオ、は顔に似合わず夜道を帰る慧音をいつも護衛していた。一度、不審人物と間違われて住民に通報されたが。

 植物に包まれた青年クリスは、実は寄生植物が本体である。実を付けると一番に慧音へ差し出していた。味は渋かったが。

 単眼の娘テンは、幼いころからの薬物投与で額に第三の眼が開き、いつしかそれが顔の大半を覆っていた。いつも慧音に目薬を差すのを手伝って貰った。

 そして、ゲンさん。ずっと大工の下っ端をしていた、という。ある日、道端で慧音に突然、土下座して頼み込んできたのは彼である。文字の書き方読み方を教えてくれ、と。

 彼に導かれるまま、この古ぼけた学校に着いた。慧音は自身が元々、半分人ならぬ身である。教室の異形の者達を見ても驚く事は無かった。そして、この学校に“罠”はない、と分かっていた。

 昼間は子供達、夜間はこの学校で異形の者達を相手にする生活が始まった。

 

「先生があん時よぉ、俺の頼み聞いてくれんかったら、俺達はずーっと平仮名も書けねぇままだったぜ」

「アタシはもう、彼への思いを文に出来ただけで満足!! んー本当は都庁の上から大声で叫んでやりたかったけど」

「薄気味悪い事言うねぃ、この街の怪異を増やすつもりがおどれは。先生が迷惑するぞ」

「そーだそーだ」

 

 大騒ぎの最中、テンが慧音の前で正座し、改まった。

 

「先生、お話があるの」

「うん? 言ってみなさい」

「私ね、その、先生が好き」

 

 しーんと室内が一瞬、静まり返り、その後口笛と爆笑、拍手が鳴り響く。

 

「いいぞテンちゃん!」

「ほーれ先生、答えにゃ女がすたるってもんよ!」

「抱き着け―! キスしろー」

「バーカまだ先生が返事しとらんじゃろが!」

 

 慧音も姿勢を正し、静かに頭を下げる。

 

「済まない。私はまだやりたい事があるのだ。それまで独り身でいようと思う」

 

 テンちゃんの巨大な単眼に涙がたちまち溢れた。ハチが無言でバケツを渡してやる。

 

「‥‥いいんです。今日、この場で告白出来たから、私満足。駄目だってわかってた。これで、もういいの」

 

 滝になった涙がたちまちバケツを満たしていく。

 

 

 空に満月が姿を見せ始めた頃。一同は肩を組み、慧音を囲んで「仰げば尊し」を歌った。

 そして、部屋の中を片付け、全員が椅子と机を整頓し着席する。

 

 慧音はしばらく席を外していたが、やがて教室に戻って来た。

 その頭部には長い二本の角が生え、うち一本には赤いリボンが結ばれている。服の色も青から緑へと変わり、顔つきがやや厳しくなっていた。

 教壇の前に立ち、クラス全体を見渡してから、宣言した。

 

「これより、卒業証書を授与する」

 

「天野ハチ!」

「はい」

 

 サイボーグの大男が席を立ち、ギクシャクとしながらも慧音の前に来た。ワーハクタクが眼を閉じ、両手をかざすと宙に光の粒子が現れ、それが一枚の紙へと変化する。

 

「2XXX年、3月14日、弁天町」

 

 年度と日付、それと<新宿>の地名、だけが読み上げられた。

 背筋を伸ばしながら、ハチは不思議な卒業証書を受け取った。すると、深々とお辞儀をする彼の姿が消えていく。

 そうして、次々と生徒達が消えて行った。

 

 最後。ゲンさんと慧音だけが教室に残っていた。

 

「先生、ありがとう。本当にありがとう。さっ、送るよ」

「ゲンさんは卒業しないのか?」

 

 慈愛に溢れた、普段ワーハクタク状態では見せない微笑みだった。

 

「ここじゃあ、先生が怪我しちまうよ。早く、下へ降りようぜ」

 

 部屋の中から、机や椅子が消えていく。そういえば、先刻飲んでいた酒の瓶や飾りつけも、どこへ片付いたのだろう。

 ゲンさんに手を引かれ、慧音は校庭にいつの間にか来ていた。この学校が<新宿>の何処にあるのか、慧音は未だに知らない。帰り道も、“何か”が示す通りに帰っていただけだった。

 

「なぁ、先生はどうやって俺達を“卒業”させたんだ?」

「簡単だ。皆の歴史を読み取り、それを今夜、私がワーハクタクへ変化した時に創り上げて渡した。つまり、思い出させた」

 

 一旦言葉を切り、悲しそうに慧音は顔を歪めた。

 

「何処で死んだ、かを」

「それを分かってて、ずっと俺達にものを教えてくれていたんだよな」

 

 ニコニコと子供の様に屈託なく笑うゲンさん。最後に残った彼もまた、自分が何処で死んだか分からない誰か、なのだろうか。

 

「ゲン。198x年9月13日、四谷第六小学校」

 

 最後の卒業証書が手渡された。だがゲンさんは消えない。

 

「さあ、先生。さよならだ」

 

 そう言って、慧音の背中を叩く。足が強制的に動き、身体が校門へと運ばれていく。

 

 

 行くな、行かないで、もっと教えて、遊ぼうよ、せんせい。

 

 

 校庭のあちこちから、声がした。

 

「振り返るな! 門まで走れ!」

 

 ゲンさんの声だけが唯一、正常に耳へ届く。何かが慧音の足を掴んだ。地面から大量の手が現れ、次々と慧音に向かってくる。あっと言う間に、校門までの道を不気味な手の群が塞いでしまう。

 

「こら、やめねぇか。これ以上迷惑かけんじゃねぇ」

 

 消えた筈のミチオが、木刀で手を払いのけた。

 

「もう先生は帰るんだから、邪魔しちゃ駄目」

 

 トミエが“男”らしく豪快な足さばきで、手を蹴り飛ばし、クリスが車椅子で新たに湧き出る手を踏みつぶしていく。

 

「先生、行って、早く」

 

 テンちゃんがバケツの涙をぶっかけると、慧音の眼前に道が現れた。走る、いや飛行能力まで使い慧音は校門をくぐろうとした。

 重々しい鉄の扉が動き、獲物を挟もうとする。それを、ハチが頑強な体で受け止め、押し開けた。慧音はついに門を潜り、外に出た。

 

 振り返ると、古ぼけた学校が薄らぎ、消えていくのが見えた。中で誰かが手を振っている。慧音が振り返す間もなく、全てが消えた。

 周囲は夜風の寒い荒野だった。ここは<新宿>の何処なのだろう。まずは、近くの“夜間避難所”を探さなければならなかった。そこからなら妹紅に連絡も出来るだろう。生きて辿り着ければ、だが。

 

 とぼとぼと歩き出した慧音は、かつて幻想郷の寺子屋で教えていた子供らは、今元気だろうか、と思った。

 

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