仮面ライダージオウ×Fate/Grand order The KING order 作:リョウギ
2068年
歴史改変により生じた歪みはこの時代の何もかもをも歪ませていた
ーある一人を除いて
ノイズ走る荒野に、かの存在は一人佇み空を見上げる
ふと何を思ったか己の手を一瞥。その手にもノイズが一瞬入るのを目撃する
「…常磐 ソウゴ。その試練、超えてみせよ。その先こそが、私が待つ玉座となろう」
ノイズの走った手を握りながらー最低最悪の魔王、オーマジオウはそう呟いた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ピチョン
落ちた雫の音を耳にし、硬いベッドの上でソウゴは目を醒ます
「ん………?ここどこ⁉︎」
見慣れない景色に跳ね起きる
カビ臭いその部屋には、簡易ベッドと食事台しか存在しない
出入り口らしい場所には鉄格子があり、封じ込めるはずのそれは何故か開け放たれている
「え……確か俺って……」
と寝ぼけまなこをこすりながらこれまでのことを思い出す
ソウゴはローマの異変を仲間やブーディカたちと協力して解決、歴史の修正が始まる中、新しく白いライドウォッチに提示された年代に行くべくタイムマジーンに乗り込みー
そこで記憶が途切れている
悩むソウゴの耳に入り口の鉄格子がキィキィと軋む音が響く
「来い、ってことかな……?」
硬いベッドから起き上がり、鉄格子から外へ出る
その先には、長い廊下が続いている。向かって左へ続く廊下のみ、その壁にロウソクが道伝いに灯されている
そのロウソクに従って、ソウゴは道を歩んで行った
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
道を抜けた先、そこには薄暗い広間が広がっていた
「……ここは……?」
かなり広い広間ではあるが、その先には入り口同様の鉄扉がある
ガァアン!!
「うおっ!?」
瞬間、ソウゴの後ろの入り口が凄まじい勢いで締められる
慌てて扉を叩くが、硬く閉ざされ開かない
「いや、嘘でしょ……⁉︎ ちょっと⁉︎だれか⁉︎」
流石に狼狽えたソウゴが扉を引っ張ったり押したりするが開く気配は無い
と、その背後ー広間の中央付近から気配がする
振り返ったそこには、黒いオーロラのようなカーテンが広がっていた
そこから、一枚のカードのようなエネルギーが現れ、そこから一人のスーツ姿の壮年の男が現れる
「助かった……あの、誰だか知らないけど助けー」
「商品価値の無いゲームは……絶版だ……」
ソウゴの助けを無視して壮年の男は、その腰に緑のバックルを装着する
《ガッチャーン……》
「変身……」
《ガシャット……》
《バグルアップ》
壮年の男の姿におぞましい怪物の姿が重なる
《天を掴めライダー‼︎ 刻めクロニクル‼︎》
《今こそ時は、極まれり!!》
その男の直上からカード型のエネルギーが降り注ぎ、その姿を変化させる
禍々しい大剣と盾を携えた、黄金の鎧を纏う赤い目の魔神
ーその名を、ゲムデウスクロノス
「ウソ……マジで……⁉︎」
驚くソウゴにゲムデウスクロノスはその大剣を向け、ジリジリと迫ってくる
「やるしかないか……‼︎」
ソウゴも決意を固め、ジクウドライバーを装着、ゲムデウスクロノスの攻撃を避けながらドライバーを回転させる
《ライダータイム‼︎》
《仮面ライダー‼︎ジオウ‼︎》
変身を完了させたジオウはジカンギレードを振り大剣を弾きゲムデウスクロノスへ斬りかかるだが、盾でいなされ更に大剣での攻撃で吹き飛ばされる
「いってぇ……‼︎ だったら‼︎」
と、対抗してライドウォッチを取り出し、竜頭をノックする
が、その手に握った黒いウォッチは起動しない
「……え?ウソっ⁉︎」
狼狽するジオウに容赦なく大剣が叩きつけられる
ゲムデウスクロノスからの容赦ない攻撃にジオウはあえなく吹き飛ばされる
「ぐぁっ‼︎」
よろよろと立ち上がるジオウは更にライドウォッチを取り出すが、どれも黒く変色していて反応しない
「くそっ、なんで……⁉︎」
「ここは、己自身と人間の罪に向き合う場所。己の力以外は使えやしないさ」
老獪な声が響く
ゲムデウスクロノスの目前に、どこからか一人の男が現れ、ゲムデウスクロノスの蹴り飛ばす
「……あんたは……?」
「ここで名なんて大した意味は無い。そうさな……」
男が腰をなぞると、そこに白いドライバーが出現
「ーゼロスペクター。そう呼んでもらおうか」
男はその手に、新たに紫の装飾が為された眼球のようなものを取り出し、スイッチを入れてドライバーに装填する
《アーイ‼︎》
《バッチリミロー‼︎バッチリミロー‼︎》
「ー変身」
ドライバーのレバーを押し込む
《カイガン‼︎ スペクター‼︎》
《レディゴー‼︎カクゴ‼︎ ド・キ・ド・キ‼︎ ゴースト‼︎》
瞬間、男の姿が黒い影のようなスーツに変化、更にドライバーから出現した黒と紫のパーカーが飛翔、ゲムデウスクロノスを吹き飛ばしながら男に装着される
ゼロスペクターはそのフードを下ろすとその3本ヅノを備えたマスクを露わにし、ゲムデウスクロノスへと攻撃を仕掛けていく
大剣による攻撃をいなし、その身に的確に打撃を与えていく
「どうした?コイツを倒さねば、この先への扉は開かんぞ?」
ゲムデウスクロノスを吹き飛ばしたゼロスペクターはソウゴを焚きつける
「なんだかわからないけど、これなら‼︎」
ゼロスペクターに続きゲムデウスクロノスへと攻撃を加え、ダメージを与えていく
大剣攻撃をいなしながら痛打を叩き込んでいくゼロスペクター
盾を強引に弾きながらジカンギレードで攻撃を加えていくジオウ
「ハァッ‼︎」
「フンっ‼︎」
2人のパンチが同時にゲムデウスクロノスのベルトを穿つ
「ぐぁああああぁあぁああああ!?!?」
ベルトをスパークさせながらゲムデウスクロノスがもがく
「何故だ……!?何故運営たる私がァ!?」
「運営として、神にでもなったつもりだったのか」
ゼロスペクターがドライバーのレバーをノック、ジオウがドライバーを回転させる
「随分と傲慢な話だな」
《ダイカイガン‼︎ スペクター‼︎》
《オメガドライブ‼︎》
《フィニッシュタイム‼︎》
《タイムブレーク‼︎》
ゼロスペクターの背後に目のような模様が出現。エネルギーとなって右脚へと収束する
同時にゲムデウスクロノスの周囲をキックという文字が包囲する
「ハァァァァッ‼︎」
2人のキックがゲムデウスクロノスを穿つ
「ぐァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
断末魔の叫びを上げながら、その体が爆散する
その様を見届けながら、ゼロスペクターは己の拳を見下ろす
「親であることを盾にしていた俺が、言えたことではないだろうがな。俺も、また傲慢だった」
ひとりごちたゼロスペクターは変身を解除する
「あんた……ゼロスペクターだっけ?ここは……」
「ここは監獄塔。人間の罪を知る塔だ」
ゼロスペクターを名乗る男は、そう答える
「傲慢、お前が目指す王様とやらに一番縁が深い罪じゃないか?」
「たしかに……でも俺は、そんな王様になるつもりはないから」
ソウゴの答えに一瞬呆気に取られたような顔をし、ぷっと吹き出す
「言い切るか、面白いヤツだ」
ギィィ……と次の廊下へと続く扉が開く
「ついてこい。次なる亡霊が、俺たちを待っている」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次の階へと続く階段を上りながらゼロスペクターを名乗る男がこの監獄塔について話していく
「ここは言わば、罠のようなものだ」
「罠?」
「あぁ、その通り。この監獄塔にお前を閉じこめ、彷徨える罪の亡霊にお前を殺させる為に」
ゼロスペクターを名乗る男の言葉にソウゴも息を呑む
「薄々気づいているだろうが、ここは夢のような場所だ。だが、それでも殺されればお前は死ぬ」
「死にたくなければ、勝ち続けろ。それだけだ」
男はそう皮肉っぽく笑うと、階段の先の扉を開いた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
扉をくぐった2人。お約束のように入り口の扉は硬く閉ざされる
そして、先程同様に黒いオーロラが現れ、中からカード型のエネルギーと共に白い服の男が現れる
「何かはわかりませんが、私は忙しいのです。手短に済ませましょう」
《ユートピア‼︎》
手にした黄金のメモリを起動、それを腰のドライバーへと装填
その姿を怪人のそれへと変貌させる
《理想郷》の怪人ーユートピア・ドーパントへと
ユートピア・ドーパントは手にしたステッキをソウゴと男に向ける
「なるほど、コイツらを倒していくしかないってことか……‼︎」
《ライダータイム‼︎》
《仮面ライダー‼︎ジオウ‼︎》
《カイガン‼︎ スペクター‼︎》
《レディゴー‼︎カクゴ‼︎ド・キ・ド・キ‼︎ゴースト‼︎》
ジオウとゼロスペクターに変身した2人はユートピア・ドーパントへと突撃する
ジカンギレードでの斬撃を、どういう力かステッキで押さえ込みいなしていく
「あれ……?なんか力が、抜けて……?」
『ユートピアの力ですよ。アナタの、王を望む希望、実に素晴らしい力になりますね』
ステッキでジオウをいなし、脱力したジオウを突き飛ばす
「厄介な力だな」
フラつきながら押し戻されてきたジオウを無情にも脇に突き飛ばし
ゼロスペクターが拳をユートピアに突き出す
悠々とその拳をユートピアが掴み上げる
『無駄です。アナタの意思が強ければ強いほど、私の力に……ッ⁉︎』
今までの余裕と打って変わって焦った様子でゼロスペクターの拳を掴む腕を引き下げる
『……バカな……生きる希望がない……? 貴様、一体何者だ⁉︎』
「何者でもない。顔のない亡霊だ」
《ダイカイガン‼︎スペクター‼︎》
《オメガドライブ‼︎》
ゼロスペクターの背後に目のような模様が再度出現。今度はそのエネルギーが右の拳へと収束していく
ユートピアも負けじと黄金のエネルギーを収束させた拳を突き出し、2つの拳が衝突する
拮抗していたように見えたが、ユートピアの拳がスパークして爆ぜ、ユートピアの体も崩壊し始める
『何故……何故だ……⁉︎ また私は、否定されるのか……⁉︎ 私の愛を……⁉︎』
「情念は人を強くしていく。だが、それは道を逸れれば途端に罪と化すんだろうよ」
素の白服の姿に戻ったユートピアは狂ったように静かに笑う
「お前も、人を愛することを、罪と言うのか……」
ドライバーから抜け落ちたメモリが弾けると共に、その姿が泡のように霧散していった
「ある意味、こいつは色欲の獣だったのか」
変身を解除しながら、ゼロスペクターを名乗る男は白服が消えた場所を眺める
「……自ら一度手放したソレを求めてやまない、それもまた色欲ということになるんだろうな」
変身解除したまま伸びていたソウゴを助け起す
と、疲れではなく急な眠気が襲ってくる
「どうやら今回は、ここまでらしいな」
閉じていく瞼の向こうで男が続ける
「だが、お前の魂はここに囚われている。いずれまた、ここに誘われるだろうな」
その言葉を最後に、ソウゴの意識が途切れた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「う……ん?」
ソウゴが目を覚ました先にあったのは、見慣れた白服の背中
「お目覚めか、我が魔王」
声をかけてきたのは今や見慣れた預言者ーウォズであった
「ウォズ、えっと……」
「目が覚めたのね、ソウゴ‼︎ よかった……あなた、タイムマジーンに乗り込むと同時に眠っていたのよ」
操縦桿を握るツクヨミが振り返りながらソウゴに声をかける
「そうだったのか……なんだか変な夢を見たような……」
「丁度良かった。我が魔王、そろそろ目的の時間に到着するよ」
ウォズがソウゴを助け起す
念のために、ソウゴが確認したディスプレイには次なる歪みがある年代が表示されていた
0690と