仮面ライダージオウ×Fate/Grand order The KING order   作:リョウギ

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一応注意書きです

現FGOでは1.5部の真名を伏せたサーヴァントたちの真名は既に公開されており、そこまで留意することではないとして、この話では真名が伏せられたサーヴァントたちも真名で登場させています

ネタバレとして気になる方はご注意ください


第3章
第8話 「0690: 運命を支配した女」


華やかな灯りが溢れる中華風の商店街

人々の喧騒が溢れるその商店街から少し離れた路地裏

 

「………ここ、どこなのかしら……?」

 

1人の女性僧侶が壁にもたれ途方に暮れていた

傘と錫杖を脇に置き、纏った法衣を少しだけ緩めて、体育座りのような姿勢で座り込んでいる

何やら道にでも迷ったのか、正に途方に暮れているといった様子である

 

「サーヴァントとして呼ばれたのはわかるんだけど、ここ中国みたいなんだけど私が知る雰囲気と少し違うし、なんだかマスターも見つからないし……」

 

ぐぎゅるるるるるるるる……

 

盛大な腹の虫が僧侶のお腹から響く

 

「お腹空いたなぁ……」

 

お腹をさすりながら寂しそうに呟く

 

「うわぁーん‼︎ 悟空ぅー‼︎」

 

と半べそで僧侶が弱音を吐いていると、その路地に人影が新たに姿を現す

 

「腹が減っているのか?」

 

僧侶が見上げた先に立っていたのは、不思議な容姿の青年だった

いや、不思議というよりも格好が時代にあっていないといったら良いのだろうか

白のシャツとズボン、その上から緩い緑のセーターを着ている

僧侶が彷徨ったこの街の時代には明らかにチグハグな様子だ

 

「あ、いや、その……」

ぐぎゅるるるるるるるる……

 

流石に恥ずかしかったのか、弁明しようとする僧侶の言葉を腹の虫が遮る

 

「はぅう……」

 

顔を赤らめながら腹を押さえる僧侶を不思議そうに眺めながら、青年は手を差し出す

 

「心配するな。こちらへ」

 

正直なところ、初対面だし、何よりも怪しい見た目な青年に警戒していないわけではなかった

だが、彼女の第六感的なものは彼に邪なものを感じなかったのだ

青年の手を取り、膝を払いながら立ち上がった僧侶は青年の案内に従ってついていく

 

「少し待っていてくれ。すぐに焼き上げる」

 

青年に案内されたのは街から少し離れた場所にあった一本の木、その下に設営された小さな屋台だった

その前のベンチを示し、僧侶を座らせると、青年は屋台に戻り何か作業を始めた

 

しばらくベンチで待っていると、屋台から香ばしい匂いが漂ってきた

あまりに美味しそうな匂いに、思わず垂れそうになったヨダレを拭う

 

「待たせたな。丁度材料の調達が終わっていたから良かった」

 

と屋台から出てきた青年は僧侶に紙パックを渡す

その中には、ソースと鰹節で彩られた丸い焼きものが8個入っていた

屋台から漂っていたのと同じ香ばしいいい香りが鼻をくすぐる

 

青年からパックを受け取るが早いか、焼きものの1つに刺さっていた串を使って早速1つ頬張る

 

「あ、そんな勢いで頬張ったら……」

「あっ、あふっ⁉︎」

 

焼きたてアツアツなために口を火傷しかけたが、じっくり噛み締めて飲み込む

 

「何これ……すごく美味しい!!」

 

僧侶は目をキラキラと輝がせながら二個目、三個目とー流石に懲りたためふーふーと冷ましながら、頬張っていく

 

「気に入ってくれたようでなによりだ」

 

隣に腰掛けた青年が美味しそうに食べる僧侶の様子を見て微笑む

 

「こんな美味しいものをいただけるなんて、お釈迦様に感謝しなくちゃ……これ、なんて食べ物なの?」

「これは、たこ焼きという食べ物だ。私の、恩人から教えてもらった思い出の食べ物なんだ」

 

と、自分用に作ったたこ焼きを心底美味しそうに頬張りながら青年が懐かしむように答える

 

「へぇ〜……暖かい人だったのね、その人」

「何故、そう思うんだ?」

「このたこ焼きを食べてたらなんとなくわかるわ。それに、その人のことを話すあなた、とてもいい顔してるから」

 

その言葉に、どこか気恥ずかしそうにしながら青年は手元のたこ焼きを嬉しそうに眺める

 

「そうか……フミ婆の想いが、また伝わったということだろうか? それなら、なによりも嬉しいものだ」

 

じっくりとたこ焼き味わい、完食した僧侶はしっかりと手を合わせた後、青年に向き合う

 

「改めまして、たこ焼きを恵んでくれてありがとう、優しいお方。修行中の身ながら、道に迷った挙句行き倒れたところを助けられるなんて失態を見せてしまってごめんなさい…」

「構わない。困ったものがいるなら、助け合う。何より私の心が、助けるべきだと、そう示してくれただけだ」

 

頭を下げる僧侶の顔を上げさせながら、青年が自分の胸に手を当て笑顔で答える

 

「道に迷った、と言っていたな。提案なのだが、行く当てが無いなら、私と共に来てくれまいか? 実のところ、私も気がついたらここにいたから、ここのことはほとんどわからないんだ」

「そうだったのね!私も、ここには呼び出されてきたのだけど、本来ならいるべき人がいなくて困ってたの。わからない同士だけど、1人より2人の方が見えてくるものがあるかもしれないしね」

 

「改めまして、私はサーヴァント・キャスター、玄奘三蔵。三蔵法師って方がわかりやすいかしら? 他の人からはよく三蔵ちゃんって呼ばれてるわ」

 

と手を差し出す三蔵。どこか驚いた様子でその顔を一瞬見た青年だったが、笑顔でその手を握り返す

 

「私はアランだ。しばらくの間だが、よろしく頼む」

 

「アランくんね、よろしく‼︎」

 

くぅ〜……

と、何やら気の抜けた音が響く

その音源は三蔵のお腹だった

 

「………おかわり、いるか?」

 

苦笑しながら問うアランに、赤面してうつむきながら、小さく三蔵が頷いた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

690年 中国 武周

 

首都 皇帝宮 聖神皇帝玉座の間

 

『ふむ……何やら面妖なものが見えたのう……』

 

荘厳なる装飾に彩られた部屋の最奥、羅盤のような装飾を背にこしらえられた玉座に腰掛けた何ものかが、誰へとも知れずに呟く

玉座に腰を下ろしていたのは、黒地に金の装飾の入ったフード付きのローブを纏った女性

被ったフードからはヤギのような捩じくれたツノと、女性のものである艶やかな紫の髪が伸びている

フードの下の目を桃色に一瞬光らせ、再び呟く

 

『あの妙ちきりんな籠に乗った連中、アレか?貴様らが、んーと、ヅオーとか呼んでおった……』

「恐れながら、ジオウですね、陛下」

 

どこからか現れたデューマーがハットを下げ、礼をしながら答える

 

『あーうん、それじゃそれ。あの魔王とやらが、妾の時代にやってきたということかの?』

 

フードから覗く髪を揺らしながら女帝がどこか愉快そうに問う

 

「はい、その通りです」

『そうか、くっふふふふふふ♪ それは面白くなってきたのう』

 

フードの下から愉快そうな笑みを見せながら肩を震わせて笑う

 

『秦良玉、ここに』

 

「はっ、ここに」

 

女帝の招集に応じ、白い装束を纏い、同じく白い長槍を携えた女性がデューマーの隣に現れ、跪きこうべを垂れる

 

『これよりそなたに見せる一行、この者らをここに。拘束は必要ない。丁重に歓迎せよ』

「よろしいのですか?そこな者曰く、その一行はともすれば、この周の平穏を覆しかねない存在。そのようなものを、この宮殿に招いてしまっても……」

『構わぬ。彼奴らも妾の良きこの国への客人。もてなさねば帝たる妾の器が廃る』

 

肘当てに肘をつきながら女帝は妖艶に微笑む

 

『それに、妾の国を知れば、覆すことを考えることすらやめるであろうよ。何も、問題はあるまいて』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「おお……すげぇ……‼︎」

 

そこかしこを見回しながらソウゴが唸る

一行が歩いているのは、タイムマジーンにより導かれた先、690年の中国王朝・武周の首都

その大通りを散策している

 

「あまりキョロキョロしてたら怪しまれるわよ、ソウゴ」

「ゴメン、つい珍しくて……」

 

ツクヨミの指摘にソウゴが少し照れながら答える

 

ソウゴが唸るのも、無理はない

その街はかなり栄えていた

当世風の町並みで、ローマのような異常建築は見られない

行き交う人々は皆笑顔で、仕事に奔走していたりと様々だ

今まで訪れた時代とはまるで違う。時代が歪んでいるのもわからないほどだ

ただー

 

「………あのパーカーのようなものはなんなんだ?」

 

ゲイツが不思議そうに呟いたように、行き交う人々は一人の例に漏れず色とりどりのパーカーを羽織っていた

下の服は当世風の普通の服なので余計に浮いている。いや、むしろパーカーを着ていないゲイツたちの方が逆に浮いてしまっている

 

「たしかに妙な服装だよね……この時代には明らかにそぐわない」

「これが、この時代の歪みのようなものなのでしょうか……」

 

周囲を不思議そうに見回していたソウゴの存在もあり、徐々に注目を集めてきた一行

だが、それとは別に行き交う人々が何故か道を開け始める

 

「ー常磐 ソウゴと、その仲間で間違い無いですね?」

 

割れた人垣から現れたのは、白い装束に身を包んだ女性

その手には白い長槍が握られている

後ろに女官を侍らせているのを見るに、ただのいち市民ではないことは確かだろう

 

「ーだったらどうする」

 

無警戒に歩み出ようとしたソウゴをゲイツとウォズが制しながら、女性を問いただす

と、女性はその手の槍をどういう原理か、消失させ、ソウゴたちに礼をする。合わせて後ろに控える女官たちも慇懃に礼をする

 

「我らが帝が、あなたがたをお待ちしております。これより、宮殿までご案内いたします」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

白装束の女性と彼女が従えた女官に先導され、ソウゴたちは宮殿に向けて歩を進めていた

 

「警戒を解いていただき、感謝します。無用な戦闘は私たちも望んでいなかったので…」

「いやいや、俺たちもできれば話し合いで解決できるならしたかったからさ、お礼を言うならこっちだよ」

「よかった。お優しい方なのですね、ソウゴ殿は。申し遅れました、私はサーヴァント・ランサー、真名を秦良玉と申します」

 

改めて、と白装束の女性ー秦良玉が礼をする

 

「やはり、キミはサーヴァントだったんだね」

「そちらも、サーヴァントのようですね。はい、私は護衛として帝に召喚され、使役されています。もっとも、平和なこの国ではほとんど仕事がないので、このように帝の勅令を受けるものとしての雑用がほとんどですがね」

 

はにかみながらも秦良玉がそう紹介する

 

(おい、いいのか?こいつについて行って……罠かもしれんぞ)

 

ソウゴの襟首を掴み、引き寄せながらゲイツが耳打ちする

 

(たしかにそうかもしれない。でも、向こうが歓迎してくれるなら今は従ってた方がいいと思う。秦良玉の言う通り、この国は歪んでるとは思えないくらい平和だし、もしかしたら話せばわかる人かもだし)

(どうだかな。ここの王、ウォズが会ったデューマー曰くスーパーアナザーライダー達が物分かりがいい相手とは思えないがな……)

 

ゲイツのこの危惧はもっともなところもある

ソウゴとゲイツは、今まで何体ものアナザーライダー達と戦ってきた

多くは、ライダーの力を歪んだことに用いているものだったが、中には同情に値するもの、話のわかるものもいた

だが、どれも結果として歪んでいた

 

『医者が救ってくれないなら、俺が救うしかない』

 

死に近づく息子の為に、多くを犠牲にしようとした者

 

『ふざけるな…何の為に、何の為にここまでやってきたと思ってんだァァァァァァッ!!』

 

希望に生きてきた中で、絶望に阻まれ壊れてしまった者

故に、話が通じるということはつまり安全、善良とはならないのである

 

(確かにそうだけど……話を聞くだけでも、やってみようよ)

 

能天気なのか、大者なのか、ソウゴは怪訝そうなゲイツにそう答え、笑顔を見せる

そんなソウゴにため息をつきながらも、心配そうな視線をよこしていたら、一行の目の前には件の帝が控える部屋への豪奢な扉が現れていた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『遠方、いや遥かな未来からよくぞ参った。常磐 ソウゴ、及びその友達よ。この国、周を代表して聖神皇帝たる妾が歓迎しよう♪』

 

ソウゴ達が部屋へ入るや否や、部屋の奥に存在する玉座からローブをまとった女帝が立ち上がりながらソウゴ達に声をかける

 

「えっと、あんたがここの王様?」

 

『いかにも。妾こそ、この周を治める聖神皇帝・武則天である!!』

 

ローブを翻し、腰に手を当てながらふふん、と自慢げに女帝が答える

 

「武則天……確か、中国唯一の女帝だったような……」

『ほほう、ほほう‼︎ 妾を知っておるのか〜♪ 勤勉じゃのう、そなた♪』

 

ソウゴの言葉に上機嫌そうに武則天が小躍りする

 

「といっても、それしか知りませんけど……」

 

と恥ずかしそうにソウゴが頬をかく

 

「ここまで呼び出して、用件はなんだ?」

 

ソウゴに並び出ながら、ゲイツが警戒心たっぷりに武則天を睨む

 

『そう怖い顔をするでない、明光院ゲイツよ。何も取って食おうとは思ってはおらぬ』

 

フランクにゲイツを制しながら、武則天が更に歩み出る

 

『妾の用件は簡単じゃ。この周の修正は諦め、他の歴史のみ修正せよ。その交渉の為にここまで呼んだのじゃ』

 

扇子で口元を隠し、妖艶に笑いながら武則天は答える

 

「………何?」

『端的に言えば、この歴史は見逃せという訳じゃ』

「ふむ、聞きたいことは色々あるが、随分と消極的な提案だね…今までの王達とは大違いだ」

 

マーリンが言った通り、仮にも王である武則天の発言としては随分と消極的な話である

 

『勘違いするでない魔術師、妾はそなたらを脅威としている故に矛を交えるのを避けると言ってる訳ではない。必要のない争いはいらぬ故の提案じゃ』

 

マーリンにため息を返しながら武則天がやれやれと首を振る

 

『常磐 ソウゴよ、そなたは妾の国を見たのじゃろう?』

「うん。秦良玉に案内されてるあいだに見てきた。なんというか、すごく平和な感じだった。みんな笑ってたし」

『そうじゃろう、そうじゃろう♪ 妾が制定した《天命統治》は完璧じゃから、当然のことじゃがな〜』

 

と胸を張りながら自慢げに武則天が微笑む

スッ、と手招きをすると、部屋の壁から白い球体飾りが脱落し、武則天の手の中に飛んでいく

よく見ると眼球にも似ているそれを愛おしげに撫でながら、ソウゴたちに示す

 

『この珠には、時代に名を残した英傑、偉人たちの魂、技術があまねく保存されておる。これが、妾が天命と呼ぶものじゃ』

 

側に控えていた秦良玉に武則天が目配せする。それに頷いた秦良玉は武則天が手にした《天命》と似たものをその手に取り出し、起動する

 

《ベンケイ‼︎》

 

すると、その《天命》が消失。首元に大きな数珠を巻いたような白いパーカーが出現し、秦良玉へと装着される

同時に、その手には大きな槌のような新たな武器が現れる

 

「フッ!!」

 

秦良玉がその武器を振るい、舞う

その細い体からとは思えない風圧を放ちながら武器は振るわれ、その震脚は宮殿すら揺らしかねないほどの振動を放つ

一通り舞った秦良玉は、そのパーカーを脱ぎ《天命》に戻して礼をする

 

『見ての通りじゃ。秦良玉は素早く、冴えた槍の技を持つ英霊。それだけでも十分じゃが、この通り《天命》を使えば、生前身につくことのなかった力強さを身につけることも簡単にできるのじゃ♪』

 

自慢げに話す武則天の周囲に、複数の《天命》が集まる

 

『豪傑だけではない。学者、芸術家、なんでも時代に名を残したものならば妾がここに使役し、人々に与えることができる』

 

『それにより、人々は約束された《運命》を手に入れる。未来に不安を抱くことも、露頭に迷うこともない、約束された安寧を死するその時まで約束され、幸福に生きることができる』

 

『作物も、学者の《天命》を持ったものの研究により、安定した無尽蔵かつ効率的な供給、配分が約束されておる。故に、誰もが幸福でありながら、誰も飢えない』

 

武則天は更に妖艶に笑う

 

『さて、改めて問おうか。妾の国の、この時代の何が歪んでおるのかの?』

 

武則天の問いに、ソウゴが言葉を飲み込む

家畜同然に人間が扱われていたウルク

消費する換えのきく物品として民が扱われていたローマ

今までの歴史の歪みとは違う、誰も悲しんでいないし、あるはずの幸福を取り上げられていない

武則天の言う通り、完璧なのだ、この国は

 

「それは………」

 

答えにつまるソウゴの前に、ゲイツとウォズが歩み出る

 

「御託はそれだけか? どういう形であれ、貴様が歴史を歪めているのは紛れも無い事実だ。ならば、ここで倒すことは変わらない」

《ゲイツ‼︎》

「珍しくゲイツくんと意見が一致したね。我が魔王の覇道を邪魔するなら、どんな存在であれ倒さねばならない」

《ウォズ‼︎》

 

二人とも、ドライバーを装着しライドウォッチを起動して臨戦態勢だ

 

「二人とも…‼︎ もうっ‼︎」

《ジオウ‼︎》

 

渋々とソウゴもウォッチを起動し、変身準備をする

それを注意深く武則天が眺める

 

「変身‼︎」

「変身」

「変身」

 

《仮面ライダー‼︎ジオウ‼︎》

《仮面ライダー‼︎ゲイツ‼︎》

《スゴイ‼︎ジダイ‼︎ミライ‼︎ 仮面ライダーウォズ‼︎ ウォズ‼︎》

 

三人のライダーが同時に変身、それぞれの武器をージオウだけは渋々と構える

 

「……ッ‼︎」

 

秦良玉が槍を構え、三人を睨みつけるが、それを武則天が制する

 

『良い、丁度良い機会じゃ。妾が何故この時代の修正を諦めよと言うのか、もう一つの理由を説明するにはな♪』

 

武則天が側に浮遊する《天命》を一つ手に取り、起動する

 

《ムサシ‼︎》

《決闘‼︎ズバッと、超剣豪‼︎》

 

《天命》から赤いパーカーが出現、武則天のローブと一体化してそのフードを赤く変色させる

 

「ハァッ‼︎」

「フッ‼︎」

 

その隙を見逃さず、ゲイツとウォズが攻撃を仕掛ける

 

ギャリィィィィン!!

 

『くっふふふ……♪ 遅いのぉ』

「何……⁉︎」

「ッ……⁉︎」

 

確実に隙を突いた攻撃、しかも双方向からのそれを、武則天はどこからか取り出したふた振りの刀で防ぎ、押さえる

そのまま流れるような勢いで二人を弾き、斬りとばす

 

「バカな……ッ‼︎」

『次はこやつじゃ』

 

《ニュートン‼︎》

《リンゴが落下‼︎ 引き寄せまっか⁉︎》

 

新たな《天命》からパーカーを解放、吸収。そのフードを水色に変化させる

 

『ほっ』

「くっ⁉︎」

 

ジカンデスピアを構えて突撃せんとしたウォズを右手から放つ斥力で押さえ拘束、逆に体制を立て直さんとしていたゲイツを左手からの引力で引き寄せ、掌底を連打し弾き飛ばす

 

『ほれ、ドーンじゃ♪』

 

愉快そうに、斥力で拘束した二人を自分の正面に引き寄せて衝突させ、吹き飛ばす

 

「クソッ、ロクに近づくこともできん……⁉︎」

「なら、拘束するまでだ‼︎」

《フューチャータイム‼︎ 仮面ライダークイズ‼︎クイズ‼︎》

《ツエスギ‼︎》

《フィニッシュタイム‼︎》

 

フューチャーリングクイズに変身したウォズがその力を解放、ジカンデスピアの杖モードから?型のエネルギーを展開して武則天を拘束する

 

『ほほーう、なるほど。これは面白い……じゃが、無駄じゃな♪』

《フーディーニ‼︎》

《マジいいじゃん‼︎すげぇマジシャン‼︎》

 

新たな《天命》から紺色のパーカーを装備した武則天は全身を鎖に変化させ、拘束から脱出する

 

「これもダメなのか……ッ」

『では、王らしく決めてみるかのぉ♪』

 

《ツタンカーメン‼︎》

《ピラミッドは三角‼︎ 王家の資格‼︎》

 

《天命》からシアン色のパーカーを解放、それを装備した武則天はその手に大鎌を取り出し、振りかざすと逆ピラミッド型のエネルギーを生成

 

『そーれぃ♪』

 

ゴルフのような要領でそのピラミッド型エネルギーを二人に向けて弾き飛ばし、爆発させる

 

「ガッ‼︎」

「ぐぁっ‼︎」

 

吹き飛ばされた二人は強制的に変身解除される

 

「ゲイツ‼︎ウォズ‼︎」

 

ジオウが吹き飛ばされた二人を助け起こす

 

『くっふふふ〜♪ どうじゃ?妾のこの力。これが、運命をも支配した妾の力じゃ』

 

自身の纏った天命を解除し、武則天が微笑む

油断なくこちらを睨むジオウにすら余裕を見せながら

 

『妾は誰にでもなれる、妾が望めば誰もを英傑にできる。これほどまでに盤石で、絶対なる国家、これが何故否定されねばならんのじゃ?』

 

それを聞いてもなお、ゲイツとウォズは彼女を睨む

 

『……残念じゃな。降りかかる火の粉は払わねばならぬ』

 

残念そうに嘆息する武則天が、ちょいと手招きをするとその後方に女官がズラリと整列する

しかし、秦良玉が引き連れていた女官とは違う。血の滲んだような不気味な衣装を身にまとい、顔を布で隠したものだ

その手には、皆棍棒が握られている

 

『酷吏、そのものらを始末せよ』

「ハッー」

 

酷吏と呼ばれたものたちは、ジオウたちに向けてジリジリと迫ってくる

 

「くっ‼︎」

 

振り下ろされる棍棒をジオウとマシュが防ぐ

 

「一旦退こう‼︎」

 

酷吏たちを弾き飛ばし、入り口へと一行が逃げていく。酷吏たちはそれを執念深く追跡していく

その様を見ながら、武則天はくふふ、と愉快そうに微笑んだ

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

逃げていく中、散り散りになっていく一行

 

「ハァッ、ハァッ……クソっ……‼︎」

 

ゲイツも脚を引きずりながら、路地へと逃げ込む

その外の通りを酷吏たち数名が通り過ぎていく

 

「今までのスーパーアナザーライダーも、強敵ではあったが……あの武則天とやら、一筋縄ではいかんな……」

『お褒めにあずかり光栄じゃな♪』

 

と、ここで聞こえるはずのない声が響く

 

「……ッ!!」

 

振り向いたその先、路地の奥から黒ローブの女帝が姿を現わす

思わずライドウォッチを構えたゲイツのその手を、女帝の細い指が包む

 

『これこれ、警戒するでない。安心せい、先のはそなたと話をするためのお膳立てじゃ』

「……何?」

 

武則天が驚くゲイツに妖艶に微笑む

 

『妾は、貴様らの処断など考えておらぬ。本気ならば、秦良玉やら他の妾が呼んだサーヴァントを差し向けておるわ』

 

ゲイツたちへの追撃に手心を加えていたことを、堂々と宣言する武則天。ゲイツから離れると、扇子を広げその口元を隠し続ける

 

『明光院 ゲイツ、そなたは常磐 ソウゴの運命を変えたいと思わぬか?』

 

「なんだと……⁉︎」

『卑弥呼の《天命》でそなたらのことはよく知っておる。常磐 ソウゴが、いずれ最低最悪の魔王ーオーマジオウへと変ずることも、そなたらはそれを望んでおらぬことも、な?』

 

動揺を見せるゲイツに武則天は微笑みながら続ける

 

『そなたは、妾のこの国をどう思っておる?』

「……完璧だとは思う。だが、この歴史は歪んだ歴史だ。この時代がある限り、俺たちが生きる未来は崩壊したままだ。だからー」

 

『歪んだこの時代が正史になりうるとしたら?』

 

武則天の紡いだ言葉に、ゲイツが固まる

 

『おや?考えたことなかったのか?もし妾らスーパーアナザーライダーの作り出した時代が修正されず、確固として確立されたらどうなるのか』

 

武則天の言葉から、その未来を予測したゲイツが言葉を飲み込む

 

『簡単な話じゃ。妾が新たなオーマジオウの代わりたる王となる。ソウゴとは違う形でな。タイムジャッカーとやらが妾に伝えた内容が事実ならば、そうなるじゃろうな』

 

扇子を弄びながら、武則天は続ける

 

『もっとそなたの為にわかりやすく言おうか? 妾のこの国が残れば、常磐 ソウゴが最低最悪の魔王となる未来は潰え、幸福なる未来が残る。どうじゃ?こうすれば、わかりやすかろうて』

 

武則天の言葉に、ゲイツは大きく揺れていた

武則天の言った言葉は、真実なのだ

タイムジャッカーたちがアナザーライダーを作り出す目的は、『オーマジオウに代わる王を生み出し、歴史を変える』ため

それは、スーパーアナザーライダーも同じなのだ

今までのように修正されてきた歴史は、ともすれば、ゲイツたちの妨害がなければ、2018年、2068年にも続き得る世界である

この世界、この完成された世界が、修正されなければー

 

(ソウゴは、魔王になることは絶対になくなる……‼︎)

 

それは、ソウゴを友としたゲイツにとって悲願とも言えることだった

 

『取引をしよう。明光院 ゲイツ』

 

武則天がゲイツに歩み寄る

 

『常磐 ソウゴよりジクウドライバーを奪え。それが妾の手に渡れば、妾が次代の王として歴史が決定されよう』

 

女帝は妖艶に微笑む

 

『それをしてくれたならば、そなたらの安寧は約束しようぞ』

 

『賢いそなたならば、後はどうするべきか……わかるじゃろう?』

 

女帝の甘い囁きが、ゲイツの耳をくすぐる

 

「………俺は……‼︎」

 

ゲイツはその拳を力強く握りしめた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「追手は……撒けた?」

 

路地裏に積まれた木箱の影からジオウが顔を覗かせる

追ってきていた酷吏たちは姿を消している

 

「はぁ〜助かった……」

 

脱力しながらジオウが路地に座り込みため息をこぼす

 

「みんなとはぐれちゃったな……早く見つけないと……」

 

変身解除しながら、ソウゴが膝を払って立ち上がる

 

ザッ……

 

「……ッ⁉︎」

 

路地裏の奥から聞こえてきた足音にソウゴが身構える

薄暗がりから現れたのは、よく見知った顔だった

 

「なんだ……ゲイツか。無事でよかった〜……」

 

現れたのはソウゴの大切な友人、明光院 ゲイツだった

 

「ゲイツだけでも出会えてよかったよー」

 

と、ソウゴが言葉を詰まらせる

ゲイツの様子が違ったからだ

今まで閉じかけていた距離を、突き放すかのような冷たい視線

 

まるであの時、オーマジオウになるソウゴを殺そうとしていた時と同じようなー

 

「ゲイツ……?」

「ジオウ、ジクウドライバーを渡せ」

 

唐突な要求にソウゴが眉をひそめる

 

「………渡さない、と言ったら?」

「………力ずくでも奪うまでだ」

 

冷徹に言い放ったゲイツはライドウォッチを取り、起動させる

 

《ゲイツ‼︎》

 

「変身」

《ライダータイム‼︎》

《仮面ライダー‼︎ゲイツ‼︎》

 

静かに変身を終えたゲイツはソウゴを睨みつける

 

「ージオウ。お前を、今ここで倒す」




第三章 武周編開幕しました‼︎

話も軌道に乗ってきて、様々な謎や真相が現れてきます
次回もお楽しみにしていてください!
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