仮面ライダージオウ×Fate/Grand order The KING order   作:リョウギ

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第11話「0690:繋ぐ想い、繋ぐ手のひら」

「ハァッ‼︎」

 

イクサの拳、蹴りが書文へと牙を剥く

が、それを最低限の動きで悉く受け流していく

 

「ふっ、」

 

突き出された拳を丸め込むように書文が捻り上げ、ガラ空きになったイクサの腹部に発勁が打ち込まれる

 

「ガッ⁉︎」

 

怯んだイクサに、更に連続して拳が叩き込まれていく

 

「ケェイ!!」

「ごはっ!!」

 

書文の渾身の発勁がイクサを大きく吹き飛ばす

 

「……見込みが外れたか。中々に良い目はしているが、全く満足はいかんな。実になっていない」

 

残念そうに書文がため息を吐く

腹部を押さえながら立ち上がったイクサが書文を睨む

 

「言ってくれるな、爺さん……というか、アンタも大概バケモンだな」

「可可ッ、化け物とは。己を限界まで高め、更に高みを目指した境地、これぞ人間業ではあるまいか?」

 

愉快そうに笑いながら書文が構えを変える

 

「興は冷めた。だが、一応あの帝の命ではある。一つ冥土の土産に馳走してやろう」

 

老師の姿がぶれる

瞬間、その姿はイクサの眼前にー

 

「なっー」

「ー噴ッ!!」

 

老師の踏み出した脚に地面がひしゃげ、大地が揺れる

その拳が、イクサを打ち据える

 

「ー七孔噴血、撒き死ねぇい!!」

 

必殺の一撃、イクサの白亜の装甲が、その拳の前にひしゃげ崩れる

 

「がはっ……」

 

音也の悲痛な喀血と共に、その体が項垂れた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ギャリィィィィン!!

サイキョージカンギレードとジカンジャックローが火花を散らす

ゲイツリバイブが弾き上げた隙に、三蔵の棒術がジオウIIを打ち据える、がその棒を掴み上げ、三蔵を蹴り飛ばしゲイツリバイブを斬りとばす

 

『無駄じゃ!!』

 

ギィン!!

更に振り返ったジオウIIは後方からのネクロムと龍馬の射撃を跳ね返す

 

「くっ」

『妾の予知能力の前に不意打ちなど無意味。貴様らが束になろうが、意味などない!!』

 

「ーならその予知よりも早く動くだけだ!!」

《リバイブ、疾風‼︎》

 

ゲイツリバイブ疾風の一撃が背後からジオウIIを強襲する

 

『小癪なァ!!』

 

サイキョージカンギレードを振り回し応戦するが、ゲイツリバイブ疾風の高速移動には届かない

高速攻撃に翻弄され、遂にジオウIIが大きく吹き飛ばされる

 

『何故じゃ……何故貴様は、妾に逆らう!? 貴様も確信したのだろう!?常磐 ソウゴが魔王になることを!!その運命を!!』

 

よろよろと立ち上がりながら、ジオウIIが叫ぶ

 

「確かに、俺は貴様の言葉に迷った。ソウゴが、オーマジオウと成り得る可能性を排除できるなら、と」

 

「だが、その迷いならもう断ち切った。ソウゴは、最低最悪の魔王になるはずがない。俺は、もう迷わない!!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

数分前 サンゾウの修練場

 

ぼろぼろになりながら、ゲイツリバイブは立ち尽くしていた

 

(ソウゴ……アイツが、魔王に……)

 

見据える先にはジオウIIが立っている

 

(これが、俺が止められなかった結末……)

 

ジカンジャックローを構える。だが、まだ迷いは晴れない

ゲイツの脳裏には、ソウゴと友として過ごした日々が巡る

 

『俺がもし魔王になったなら、ゲイツが止めてくれる』

 

(……あの約束一つ、果たせないのか……)

 

ふと、ゲイツはその日々を見つめ直す

残酷ながら、それでも誰かを守るために力を使ったソウゴ

自分を殺そうとする相手をも笑って迎えるソウゴ

王になる夢を楽しそうに語るソウゴ

 

(ーなんだ、答えはもう、出ているじゃないか……)

 

ゲイツリバイブはジカンジャックローを構え、そして

ーそれを放り捨てた

 

『……何をしているのですか?』

 

サンゾウがゲイツに問いを投げかける

 

「……見ての通りだ」

『諦める、ということですか?』

「違うな。この試練、これが答えだ」

 

ゲイツリバイブがサンゾウに向き直る

 

「お前は、魔王を倒せと、俺の倒すべきものを倒せと行った」

 

ゲイツリバイブがジオウIIを見やる

 

「ならば、コイツは倒さない」

『何を言っているのです?貴方が対峙している彼こそ、最低最悪の魔王のはずですよ?』

「違う」

 

ゲイツリバイブがきっぱりと否定する

 

「ジオウは、ソウゴは、最低最悪の魔王にならない。なるはずがない。ヤツは、最高最善の魔王になる男だ」

 

「だからこそ、俺が倒すべき相手はここにはいない」

『………』

 

ゲイツリバイブの言葉にサンゾウは沈黙する

次の瞬間、ジオウIIの姿が崩れ、サルと豚と河童の面を付けた三人に変化、その珍妙な三人が何やら喜んだような様子を見せる

 

「な、なんだ……?」

『合格です。明光院 ゲイツ』

 

サンゾウが静かに告げる

 

『貴方は、確かに道を見失った。果たすべき使命を果たせなくなった』

 

『だが、その中で貴方は新しい道を見つけた。そこに、真なる信念を貫き通す覚悟を持って』

 

サンゾウがゲイツリバイブを見据える

 

『貴方は今、それを思い出した。次こそは見失わないように、貴方の道を行きなさい』

 

サンゾウの後ろに並んだ三人も頷く

 

「わかっている。もう、迷いはしない」

 

それにゲイツリバイブも頷きを返す

 

『さぁ、行きましょう。貴方の友、そして私の友が待っています』

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

《リ・バ・イ・ブ‼︎ 剛烈ゥ‼︎》

《フォーゼ‼︎》

 

剛烈に変身し、サイキョージカンギレードを受け止めたゲイツリバイブがジカンジャックローにフォーゼライドウォッチを装填

 

「ソウゴの力、返してもらうぞ‼︎」

《スーパーのこ切斬‼︎》

 

雷光を纏ったのこの一撃がジオウIIを大きく吹き飛ばし、玉座へと叩きつける

 

『がっ………!?』

 

ダメージを受け、変身が解除された武則天の手からソウゴの《天命》が滑り落ち、逃さずゲイツリバイブが掴み取る

 

「ソウゴ‼︎」

 

ゲイツリバイブがソウゴに《天命》を投げ渡す

その手に収まったそれはソウゴの胸の中に消え、腰にはジクウドライバーが戻ってくる

 

「ありがとう、ゲイツ」

《ジオウII‼︎ ジオウ‼︎》

「変身‼︎」

 

戻ってきたドライバーにジオウIIライドウォッチを装填、ぐるりとドライバーを回す

 

《ライダータイム‼︎》

《仮面ライダー‼︎ ライダー‼︎》

《ジオウ‼︎ ジオウ‼︎ ジオウII‼︎》

 

女帝ではない、正真正銘のジオウIIが、ここに戻ってきた

 

「戻ってきたー‼︎」

『はっはっは‼︎ おんしの友も大したヤツじゃのぅ‼︎』

 

喜ぶジオウIIの肩を龍馬が叩く

 

「うん、頼りになるヤツだよ」

 

ジオウIIと龍馬がゲイツリバイブたちに並び立ち、武則天を見据える

 

『くっははははははは!! もう勝ったつもりか?愚か者ども!!』

 

よろよろと立ち上がり体勢を立て直しながら、武則天が哄笑する

 

「往生際の悪いヤツだ……」

 

ゲイツリバイブたちは油断なく得物を構え直す

 

『酷吏ども‼︎ここに‼︎』

 

女帝の号令と共に玉座の間に酷吏たちが現れる

その数数十名

 

「今更数を集めたところで、どうするつもりだ?」

『簡単なことよ……』

 

『洗礼をくれてやるのじゃ』

 

と女帝の目の色が変色し、不可思議な痣が顔に浮かび上がる

同時に周囲の酷吏たちの首筋に半透明な牙のようなものが突立ち、何かが注入されていく

 

「なんだ……⁉︎」

 

噛まれた酷吏たちはしばし苦しそうにもがくと、その体から自らの皮膚を引き裂き、灰色のヒビ割れた体表を持つ白い面を被った怪人の姿を露わにする

 

「ぎゃてぇ⁉︎ なんなのこれ⁉︎」

 

流石の事態に三蔵も驚きの声を上げる

 

「なんだこいつらは……⁉︎」

 

油断なくガンガンキャッチャーを構え直し、周囲に蠢く酷吏だった怪人たちを睨みつける

 

『ーレジェンドルガ』

 

女帝が愉快そうに告げる

それと同時に、女帝の側に別の4体の怪人が姿を現わす

植物のようなもの、ミイラのようなもの、蛇が人型になったようなもの、悪魔の石像のようなもの

どれもまるで神話に名を連ねるような姿を為している

 

『タイムジャッカーとやらが妾に与えた仮面ライダーの力が、《天命》を操る力だけじゃとでも思うたか?』

 

ジリジリと迫る怪人ーレジェンドルガたちに背中合わせに纏まったジオウIIたちが身構える

 

『鏖殺せよ、妾の眷属たちよ』

 

ジオウIIたちに、レジェンドルガたちが殺到した

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『噴ッ‼︎』

「ィヤァッ‼︎」

 

裂帛の気合いと共に白い影が打ち合う

かたや麗しい戦乙女

かたや剛健な怪力無双

見た目は違えど、共に槌を構え、暴風のごとき戦闘を繰り広げている

 

ガギンッ!!ギィンッ!!

 

重たいながら鋭い一撃が弁慶を襲い、鈍重ながら隙の無い技が秦良玉を襲う

 

「ハッ‼︎」

 

秦良玉の足払いが弁慶を捉え、僅かに体勢を揺るがす

 

『ムゥッ⁉︎』

「獲ったッ‼︎」

 

大上段からの一撃が弁慶に迫る

 

ガギンッ!!

 

必殺の一撃は、弁慶がどこからか取り出した十字槍に防がれた

 

「ッ!?」

 

予想外の防御に秦良玉が硬直する

隙はその一瞬で十分だった

 

『ムゥン!!』

ズドンッ!!

 

弁慶の大槌の一撃が秦良玉の鳩尾を捉えた

 

「ガッ……!?」

 

必殺の一撃に喀血、秦良玉が膝をつく

纏っていた白いパーカーが解け、《天命》に戻り砕けた

 

『最後の一撃、動きは十分だが鋭さが欠けていた』

 

倒れた秦良玉を背に弁慶が呟く

 

『いくら豪傑の力を纏おうとも、そなたの道に背くならば、それはそなた自身の力に劣るというものよ』

 

項垂れ、消えゆく秦良玉は静かにそれを聞く

 

『ー次があるならば、十全たるそなたと死合おうぞ。秦良玉よ』

秦良玉を置いて、弁慶が玉座へと向かう

 

「……そうか、私も……迷っていたということか……」

 

消えゆく秦良玉の顔には、自嘲気味の笑みが浮かんでいた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「おわっと⁉︎」

 

蛇型の怪人ーメデューサ・レジェンドルガが蛇を伸ばしてジオウIIへと攻撃、なんとかサイキョーギレードでそれを弾いていくが、酷吏レジェンドルガたちがその手にしがみつく

 

「ちょっ、邪魔⁉︎」

『ハッ‼︎』

 

動きの止まったソウゴに天井からターザンロープのような要領で降りてきた植物型ーマンドレイク・レジェンドルガの蹴りが命中し、吹き飛ばされる

 

「ぐわっ‼︎」

 

《リバイブ、疾風‼︎》

「ハァッ‼︎」

 

疾風に変身したゲイツリバイブは石像型ーガーゴイル・レジェンドルガに攻撃していく

 

『スピード対決では負けん‼︎』

 

と、それに応じ見た目に似合わない高速機動でガーゴイルが応戦してくる

 

『フンッ‼︎』

「ぐぁっ!?」

 

ガーゴイルに集中していたゲイツリバイブの背中をミイラ型ーマミー・レジェンドルガの包帯ムチが打ち据え、撃墜する

 

《ダイテンガン サンゾウ》

《オメガウルオウド》

「ハァッ!!」

 

背に負った戦輪ーゴコウリンで酷吏レジェンドルガたちをネクロムが薙ぎ払う

その背後から酷吏レジェンドルガが飛びかかる

 

「やぁっ!!」

 

それを三蔵が棒で貫き撃破する

 

「助かった」

「気にしないで‼︎」

 

笑顔で答える三蔵だが、息が既に上がっている

 

『くそッ、キリが無いゼヨ……‼︎』

 

拳銃で酷吏レジェンドルガたちを倒しながら龍馬も疲弊した様子で悪態をつく

先程からそれぞれで酷吏たちや他のレジェンドルガを撃破しているネクロムたちだったが、一向に数が減らない

続々と酷吏が玉座に駆けつけ、レジェンドルガ化しているのだ

 

『くっふふふ、手も足も出ないようじゃなぁ♪』

 

玉座に腰掛け、武則天が余裕の笑みを見せる

 

「くっ‼︎」

 

ネクロムと龍馬が武則天を狙い撃つが、酷吏レジェンドルガたちがその身を盾にしそれを防ぐ

 

『ゼヨ……やはり取り巻きが邪魔ゼヨ……‼︎』

「だが、数をこれ以上減らすことは……」

 

「ならこちら側の数を増やせばいい」

 

《カメンライド ナイト‼︎》

《カメンライド ギャレン‼︎》

 

二発の発砲音、同時にネクロムたちの前に二人の仮面ライダーが姿を現わす

一人は、黒衣の騎士のような仮面ライダー。仮面ライダーナイト

一人は、銀の鎧を纏う赤いライダー。仮面ライダーギャレン

 

《トリックベント》

《ジェミニ》

 

それぞれの武器にカードをリードした二人。ナイトの姿が五人に、ギャレンの姿が二人に増える

増加した仮面ライダーたちは酷吏レジェンドルガたちをそれぞれ押し込んでいく。増加速度が撃退速度に負けてきたのか、武則天の前に空きができていく

 

「アンタは…⁉︎」

「仮面ライダーディエンド⁉︎」

 

玉座の間の入り口付近でディエンドライバーを構えていた青い怪盗が驚くゲイツリバイブたちに諸手を上げる

 

《ジカンデスピア‼︎》

《ヤリスギ‼︎》

 

気を取られたジオウIIの目の前に迫ってきたメデューサの蛇を仮面ライダーウォズのジカンデスピアが弾く

 

「我が魔王に手を出すとは、随分と恐れ多い怪人だ」

「ウォズ⁉︎無事だったんだね」

「遅くなってすまないね、我が魔王。少し別件があったからね」

 

ウォズはディエンドを見やる。ディエンドは肩を竦めながら目を逸らし、ガーゴイルを撃ち抜く

 

「ィヤァッ!!」

 

天井からツタでぶら下がっていたマンドレイクのツタが切り裂かれ、地面に落ちる。その目前に立っていたのは、二刀を携えた女剣士

 

「なんだかグッドタイミングだったみたいね。無事そうでなにより」

「アンタ……確かローマの時に…」

「自己紹介がまだだったわね。新免武蔵……宮本武蔵、セイバーのサーヴァントよ」

「え、アンタ宮本武蔵だったの!?」

 

間の抜けた会話を続ける二人に迫るマンドレイクのツタ、だがそれも大盾に弾かれ、なますに切り裂かれた

 

「ソウゴさん‼︎」

「ソウゴ‼︎」

 

駆け寄ってきたのは、マシュとツクヨミ、そしてジャック。さらにー

 

『今こそ‼︎怒りの音楽を奏でる時!!』

 

白黒パーカーの人影が指揮をするかのように音符を操り、周囲の酷吏を吹き飛ばす

 

「ツクヨミにマシュも、無事でよかった……なんか増えてるけど」

「はい、あの方たちは私たちに協力してくれてる人です」

「ちょっと色々あってね……」

 

疲れたようにツクヨミが呟く

ウォズの手を取り、立ち上がったジオウIIの目の前には、目的や生き方は別々ながら繋がった仲間たちが集まっていた

 

「なんだか、超行ける気がする!!」

 

メデューサにウォズの連撃が迫る。蛇を伸ばし応戦するも、それら全てが弾かれ、ガラ空きになった胴にジカンデスピアの連撃がクリーンヒットしていく

 

「ハァッ!!」

 

よろめくメデューサにダメ押しとばかりに武蔵の連斬が突き刺さる

驚異的な生命力を持つメデューサでも、これらの攻撃のダメージは再生しきれない

 

「合わせよう、宮本武蔵」

「応とも‼︎」

《フィニッシュタイム‼︎》

 

ウォズがタッチパネルを操作、武蔵がその瞳を光らせ刀身に闘気を迸らせる

 

「フッ‼︎」

「セヤァッ!!」

 

ウォズの光の槍がメデューサを貫き、動きを止めたその体に武蔵の神速の光刃が二度三度その身を引き裂いていく

 

『ガッ、ァァァアッ!?』

 

全身からエネルギーをスパークさせ、メデューサは崩折れ爆散した

 

 

『ヒャッホウ!!』

 

天井に張り巡らせたツタにぶら下がり、マンドレイクがジオウIIへと連続攻撃を与える

 

「くっ‼︎このっ‼︎」

 

ジカンギレードを振り回すが、マンドレイクは嘲笑うかのようにひらひらと躱す

と、調子に乗っていたマンドレイクが見えない壁に衝突した

 

『!?』

 

「ー捉えました!!」

 

霧が晴れるように現れたのは、巨大な十字盾

マシュがその盾を以ってマンドレイクを捉えていた

 

「目に見えるものばかり信用してはいけないよ。特にー」

 

マシュの背後が霧のように揺らぎ、白いフードの魔術師が姿を現し、愉快そうに微笑む

 

「ー僕のような、魔術師がいる時はね」

「ハァッ!!」

 

マシュがその盾をフルスイングし、マンドレイクを直上に吹き飛ばす

これ幸いとツタを伸ばそうと手を伸ばしたマンドレイクの眼前、天井の梁に碧眼が煌めく

 

「解体するよ?」

 

梁を蹴り跳躍したジャックがマンドレイクを微塵に切り裂き、その胸にふた振りのナイフを突き立てる

 

「ライダーの人、あとはお願い、ねッ!!」

 

その腹を蹴り飛ばし、ナイフを抜きながらマンドレイクを直下に吹き飛ばす

 

「オッケー、任された!!」

《ジオウサイキョー!!》

《フィニッシュタイム‼︎》

 

その先には、サイキョージカンギレードを構えたジオウIIが

退避しようとするが、もう遅い

 

《キング・ギリギリスラッシュ!!》

「どりゃあッ!!」

 

突き上げた剣からジオウサイキョウの文字が刻まれたエネルギーブレードが噴出、マンドレイクを貫き爆散させる

 

「おっとと、よっと」

 

落ちてきたジャックをジオウIIがキャッチする

 

「ありがと、ライダーの人」

 

と、ジャックが笑顔を見せ、その小さな手でジオウIIとハイタッチした

 

 

「彼には、このライダーが相性が良さそうだね」

《カメンライド レイ‼︎》

 

ディエンドライバーから白い、熊のようなシルエットのライダーが召喚される

 

『行こうか。華麗に、激しく』

 

白いライダー、レイのベルトに収まるレイキバットが吐き捨てる

 

《ウェイクアップぅ!!》

 

凍りつくような音色の笛音と共に、レイの両腕に厳重に巻かれた鎖ーカテナが解放、熊のような剛健なクロー展開される

同時に、レイから凄まじい冷気が放出、目の前のガーゴイルーとその相手をするゲイツリバイブ剛烈に迫る

 

「なっ、貴様ッ⁉︎」

 

突然の巻き込みに狼狽しながらもゲイツリバイブが脱出を図る

それをガーゴイルが羽交い締めにしようと手を伸ばす

 

「ムダだ‼︎」

《のこ切斬!!》

 

その腕はあえなくジカンジャックローののこ刃に弾かれる

よろめいたガーゴイルに冷気が到達、そしてクローを床に擦り付けながら迫るレイが同着する

 

「フンッ!!」

 

氷像と化したガーゴイルが、その剛毅な一撃に粉々に粉砕される

仕事を終えたレイはホログラムのように消失した

 

「貴様……ッ!」

 

平気でゲイツリバイブを巻き込もうとしたディエンドにくってかかる、がそこに酷吏レジェンドルガたちが雪崩れ込んでくる

それを受け流しながらディエンドが涼しげに答える

 

「僕はあくまで利害が一致しているからここにいるだけだ。せいぜい背後と懐に注意したまえ」

 

酷吏レジェンドルガを斬り飛ばしながら、ゲイツリバイブが吐き捨てる

 

「そっちこそ、巻き込まれないように気をつけておくんだな」

 

《ムサシ‼︎》

《決闘‼︎ズバッと超剣豪‼︎》

『くっ⁉︎』

 

二刀を手に取り、武則天がガンガンキャッチャーと棒を受け止める

 

「貴女の作り出したこの国、確かに幸せかもしれない」

 

三蔵が武則天へ語りかける

 

「迷ったり、行き止まりに当たったり、そんなことが無いんだもの。迷ってばっかりの私には魅力的だわ」

『ならば何故邪魔をする⁉︎ 貴様もこの幸せに共感している身の上で!!』

 

振るわれる二刀を棒でいなしながら、その二刀を押さえ込む

 

「ーその先に道が無いからよ!!」

 

三蔵が凛とした声で叫ぶ

 

「この国は確かに迷わない。不幸にもならない。でも、歩む道はずっと同じまま、違う道には絶対に行かない」

 

「確かに、迷うってすごく不安だわ。行き止まりに当たるのもすごく嫌な気分になるし……」

 

「でも、それでもその先には新しい道や、新しい仲間、そして新しく前に進んだ自分がいるの‼︎」

 

二刀を弾きあげ、三蔵の押さえ込みを武則天が脱する。そこからの剣撃を三蔵が受け流す

 

『じゃが誰しもがその先には行かぬ!! 迷い、立ち止まり、そのまま堕ち行く人間がほとんどだ!!』

 

二刀を打ち鳴らし、周囲への斬撃でネクロムと三蔵を吹き飛ばす

 

『人は弱い!!弱いからこそ不確定だ!!その弱さを取り除き盤石さを得た我が周が完璧でないはずが無かろう!!』

 

「違う!!」

 

ネクロムの叫びと共にガンガンキャッチャーの光弾が武則天へ着弾する

 

「確かに、人間は弱い。未来に怯え、迷い道を誤る。私も、かつてそうだった」

 

ネクロムが己の右手を見つめ、その手に力を込める

 

「だが、人の想いは繋がる。道半ばで倒れ、その道を見失った者の想いを受け継ぐ誰かがいる!!」

 

ネクロムが立ち上がり、ガンガンキャッチャーを構え直す

 

「人は一人じゃない。誤ちを止めてくれる友がいる。見失った道へ背中を押してくれる人がいる!! 絶望の未来を変えゆく想いを繋げる者がいる!!」

 

三蔵をちらりと見やり、ネクロムが続ける

 

「ー迷子になって泣き言をあげたら叱ってくれるものもいる」

 

「武則天、道を違えた貴女を正す友がいないならば私が貴女の友となり貴女を叱ろう。平穏と幸福を祈るその想いを繋げる者がいないならば私が繋ごう‼︎」

 

メガウルオウダーを立ち上げ、シークウェンスを起動する

 

「哀しき女帝よ。私たちの、そして己自身の、心の叫びを聞け!!」

 

《ダイテンガン サンゾウ》

《オメガウルオウド》

 

メガウルオウダーのサンゾウゴースト眼魂の力が放出、赤、黄色、緑三色のエネルギーが溢れ、ネクロムの前にサル、ブタ、カッパの面を被った三人の奇人の姿を取る

 

「力を貸してくれ」

 

ネクロムの呼びかけに気合十分と三人が頷く

 

「悟空‼︎ 悟能‼︎ それに悟浄まで‼︎ あなたたちも一緒だったのね‼︎」

 

目を輝かせながら肩を抱き寄せてきた三蔵に驚いた様子を見せながらも、三人も嬉しそうな様子を見せる

 

「共に行こう、三蔵法師」

「うん‼︎御仏パワー全開で‼︎」

 

五人が構える

それを苛立った様子で眺めた武則天は頭を搔きむしり叫ぶ

 

『黙れ、黙れ黙れェ!!』

 

武則天の叫びと共に、玉座の間に飾られていた《天命》たちがその身に集まり、巨大な後光、いや孔雀のような羽根をその背に展開する

 

『諸共に滅べ!!愚か者どもが!!』

 

印を結び、その目前に作り出した目のような黒い紋章にエネルギーを貯めて放つ

 

「みんな!!受け取って!!」

 

三蔵が手にした錫杖を放り投げる。するとそれは3つに分かれ、棒、馬鍬、宝杖へと変化し、三人の弟子たちの手に収まる

それを手にした弟子たちは顔を改め、エネルギー弾に突撃。悟能、悟浄が受け止め、悟空の一撃がそのエネルギーを霧散させる

 

『ッ!?』

 

武則天が狼狽する

その目前にはエネルギーのもやから飛び出したネクロムと三蔵が

 

《ダイテンガン サンゾウ》

《オメガウルオウド》

 

「五行山ー」

 

その背に緑に煌めくエネルギーの紋様、金色に煌めく御仏の後光をそれぞれ纏い、その力をそれぞれの左腕と右腕に集中させる

 

「ハァッ!!」

 

「ー釈迦如来掌ォ!!」

 

碧に輝く拳、金色に煌めく掌が武則天を捉え、天井へと叩きつける

 

『が………ハァッ……!?』

 

羽根から《天命》を零し、玉座へとその身体が墜落していく

 

 

『ヌゥン‼︎』

『おぉわッ!?』

 

マミーが龍馬を掴み上げて力任せに放り投げる

 

『ミスター龍馬!! ジャジャジャジャーン!!』

 

吹き飛ばされた龍馬に代わりベートーベンが応戦、しかし放出した音符は全て包帯で弾かれ、ベートーベンもあえなく吹き飛ばされる

がら空きになったその先、ランを庇うツクヨミにマミーが包帯を飛ばす

 

「きゃっ‼︎」

「伏せて!!」

『フンッ!!』

 

その包帯を白い偉丈夫が大槌を以って防ぐ

 

『ナイスタイミングじゃ!!弁慶!!』

『我だけではないぞ‼︎』

 

と、ツクヨミとランの頭上を白い影が飛び越え、マミーの胸に拳を叩きつける

 

《イ・ク・サ・ナ・ッ・ク・ル》

《ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

叩きつけたそのナックルからエネルギーが迸り、マミーを焼き尽くした

 

「音也‼︎ 無事だったのね‼︎」

 

見慣れたその白いライダーの背を見たツクヨミとランが安堵する

 

「………」

 

イクサはそんな二人を一瞥すると、玉座の方を睨みつける

 

「……音也?」

 

ツクヨミはそんなイクサになんとなく違和感を覚えた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

数分前 西門前

 

「ー終わったな」

 

項垂れたイクサに李書文が静かに告げる

その拳を、イクサの腹から引き抜きー

ーとその腕をイクサの左手が掴み上げた

 

「ー何?」

「まだ……終わってねぇぞ爺さん……!!」

 

《イ・ク・サ・ナ・ッ・ク・ル》

《ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

がら空きになった老師の腹にエネルギーを纏ったイクサナックルが叩きつけられる

 

「ぐっ!?ぬぅぅ……ッ!?」

 

直撃を受けた老師。だが、倒れない

左腕を引き抜き反撃に移ろうとするが、その手はホールドされて動かせない

 

「貴様ッ!?」

「まだ倒れねぇか……なら、倒れるまで……ッ!!」

 

イクサナックルをドライバーに引き戻し、エネルギーをリチャージしもう一度撃ち込む

 

「ガッ!?」

 

まだ、李書文は倒れない

 

「オラァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

更にエネルギーをリチャージ、渾身の一撃が李書文を穿つ

老師の身体が吹き飛び、門へと叩きつけられる

 

「……ガッ……」

 

喀血し、老師が倒れる

イクサも変身が解除され、ボロボロの音也が姿を現わす

 

「……見事だ……よもや、儂が慢心していようとはな……」

 

門にもたれ、その身体を光の粒子に崩壊させながら李書文が愉快そうに笑う

 

「いや、アンタは……強い。俺は、諦めが悪かっただけだ……」

「違いない。やはり、運命などアテにはならぬな……」

 

老師は懐から《天命》を取り出し、握り潰す

 

「アンタも持ってたんだな……それ……」

「最後まで儂には無用であったよ。やはり儂には、この拳しかないのだ……」

 

疲れたように呟いた李書文は、そのサングラスを取り、鋭い目で、しかしどこか穏やか目で音也を見、笑う

 

「………楽しかったぞ、音也」

 

それだけ残し、李書文は消滅した

 

「爺さんめ……言うだけ言っていきやがって……」

 

さすがのダメージに音也がよろめき、倒れるー

が、その肩を誰かが支え上げた

 

「………オマエ……‼︎」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』

 

獣のような怒声を上げ、玉座から武則天が立ち上がる

 

「しぶといヤツだ……」

 

『アークキバットォオ!!』

 

武則天の呼び声に応じ、どこからか小さなコウモリのようなものがその手に飛んでくる

 

『はいドロン、ドロン〜噛ませて〜』

 

武則天の手に収まったアークキバットは小さな牙を剥く

 

『ガブッ』

 

その牙を武則天は自身の左手に押し当てる

同時にその顔に奇妙な紋様が走る

 

『グァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』

《ウェイクアップ!!》

 

アークキバットが逆さまに腰に収まると同時に荘厳な、かつ禍々しい音色が響き、その体が宙に浮く

武則天の小さな身体がボコボコと黒く泡立ち、徐々に肥大化していく

2m、3m、4m、どんどん巨大化し、その体が徐々に変質していく

 

『な、なんじゃあアレ!?』

『……なんと、面妖な……‼︎』

 

細腕は鋭い鉤爪を備えた巨腕になり、肩口からさらにもう一対の腕が生えてくる

か脚は4本に増加、ケンタウロスのような人馬体型に変化

更に頭は凶悪な獣のようなソレに変化。元からフードを貫き伸びていたヤギのようなツノが更に巨大化して悪魔のような形相となる

最後にその背から巨大な一対の翼が生え、天井を覆い隠す

 

【この力まで使う羽目になろうとはなァ………!!】

 

禍々しく変質した声で女帝が吠える

その体表では、無数の目が蠢いている

 

「でっか……‼︎」

「ソウゴさん!!」

「我が魔王!!」

 

マシュの鋭い警告と共に轟音がジオウIIたちの横から迫る

巨大な腕のなぎ払いが、ジオウIIたちを吹き飛ばす

 

「ぐぁっ!?」

「ッ!!」

「クッ!?」

 

間一髪、マシュが防御したおかげでジオウIIとウォズは大事には至らなかったが、ボロボロだ

 

「このッ!!」

《リバイブ、疾風ゥ!!》

「シャァっ!!」

 

ゲイツリバイブ疾風とジャックが共にその背後に迫るが、一度の羽ばたきが両者を吹き飛ばし、壁に叩きつける

 

【無駄じゃ。その程度、蚊が止まるほどでもないわ】

 

哄笑する女帝の顔にディエンドの射撃と武蔵の斬撃、ベートーベンの音符が命中する。が、ビクともしない

 

【攻撃とは、こうするものじゃ!!】

 

武則天が天を仰ぐ

同時にその背から火球が噴出、流星群のように降り注いでいく

 

避けられるはずもなく、ジオウIIたちは満身創痍で床に転がっていた

 

【クハ、クハハハハハハハハハ!! どうじゃ!?これが妾の力!!これぞ運命というわけじゃ!!】

 

女帝の哄笑が響き渡る

 

「違う……」

 

ジオウIIとゲイツリバイブがよろよろと立ち上がる

 

「運命なんかじゃない……‼︎」

「ああ……そうだ。こんなもの、ただの貴様のわがままだ!!」

【負け惜しみとは醜いなァ、魔王ども。貴様らから滅ぼしてくれよう】

 

女帝の巨大な腕が伸びる

 

「ー負け惜しみ、か。確かに負け犬の遠吠えだな」

 

イクサがよろよろと立ち上がり呟く

その視線は、しっかりと女帝を捉えていた

 

「……だが俺は、今のオマエよりもその2人の小僧の方がカッコよく見えるぜ……」

 

イクサがゆっくりと、その背後の通路を振り返る

 

「ー音也、オマエはどう思う?」

 

「あぁ、憎たらしいがオマエと同感だな」

 

そこに現れたのは、ボロボロながらもどこかカッコつけた男ー紅 音也だった

 

「え……じゃあ、あのライダーの中には⁉︎」

 

音也がイクサになっていると思っていたツクヨミがイクサを見やる

イクサはその手で爪を立てるような仕草をし、おどけながら返す

 

「ーなんでもない、ただの“はぐれ狼”だ。お嬢さん」

 

【クッハハ‼︎ たかだか一人増えた程度で何が変わる?】

『一人は一人でも、伝説の男一人だがな』

 

どこからか聴こえてきた高潔な声が女帝に答える

と、ジオウIIたちに伸ばしていた巨腕が紅い小さな影に突撃され弾かれる

紅い影が女帝の目前に躍り出る

ソレは鮮血のように紅い体を持つコウモリだった

 

『滅ぼす、とは、かつてキングに滅ぼされた死に損ないが滑稽な言い回しだな』

 

コウモリはそう吐き捨てると女帝の顔に頭突きをかまし、音也の下へ飛んでいく

 

「運命、ソイツは確かにあるのかもしれん。かく言う俺も運命の出会いに二度、いや三度も巡り合ったわけだからな……」

 

にこやかに、懐かしむように音也が告げる

 

「だがな、従う運命は選ぶ権利がある。お先真っ暗な運命なら俺はゴメンだ」

 

「そんなもんは、真っ向からぶっ潰す。ソレが、俺たち人間ってものだ」

 

『前説は済んだか?音也』

「急かすなよ、もう終わりだ」

 

音也が、右手を掲げる

 

「力を貸せ、コウモリもどき‼︎」

 

『あぁ。喜べ、久々の絶滅タイムだ』

 

紅いコウモリーキバットバットII世がその手に収まる

 

《ガブリ》

 

キバットバットII世の牙が、音也の左手に突き立てられる

少し苦しそうな表情を見せる音也の顔にステンドグラスのような紋様が現れる

静かな、それでいて荘厳な音色と共にその腰に真紅のベルトが出現する

 

「変身」

 

ベルトにキバットバットII世が収められる

音也の身体が泡立ち、その姿を変える

真紅に黒の彩りが入った王の如き鎧、人間の為ではない。ある種族の王の為に作られた正しく王の鎧

黒いマントを閃かせ、女帝を睨む

 

「ーお仕置きの時間だ、デカブツ」

 

音也ーダークキバが駆ける

 

【小賢しい!!】

 

女帝の巨腕が迫る。が、ダークキバはソレをマントでいなしその腕を駆け上がる

 

《ウェイクアップ・ワン‼︎》

「ハァッ‼︎」

 

夜闇に煌めく拳が、女帝の顔面に叩きつけられる

 

【カハッ!?】

 

体勢を崩した巨体が、宮殿の壁にめり込む

 

「すごい……」

 

それを見つめていたジオウII

その意識が、あの白い世界へと誘われた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「運命運命と、なんじゃあやつは!! 妾の名で気持ちの悪いことをほざきおって……‼︎」

 

突如響いた甲高い声がソウゴを迎える

振り返ったその先には小さな少女の姿があった

中国の王族のような、布面積の少ない服を纏った紫のツインテールの少女はぷりぷりとした様子で手にした教鞭を手のひらで打っている

 

「待ちくたびれたぞ‼︎ 次代の魔王とやら‼︎」

 

「キミが、本物の武則天?」

 

「何やら不敬な言い回しじゃが今回は不問にする‼︎ その通り。妾こそ聖神皇帝にして中華唯一の女帝、武則天である♪」

 

武則天は小さい胸を張りながら得意げに答える

 

「其方が王を目指しておるのは知っている。故に問おう、常磐 ソウゴ。其方は、運命を信じるか?」

 

「俺は……運命とか難しくてわかんないな」

 

照れたような様子でソウゴが答える

 

「でも、俺が王様を目指しているのは、俺がそうありたいと願ったからだよ。未来で俺がオーマジオウになるからでも、そう運命づけられてるからでもない。俺自身の夢なんだ」

 

ソウゴが胸を張って答える

武則天はそんなソウゴを険しい顔で睨む

そして、満足したように微笑み頷いた

 

「ー其方には、聞くまでもなかったことか」

 

武則天はその手にライドウォッチを取り出し、ソウゴに渡す

 

「妾から教えられることは一つ。運命に抗え、ソウゴ。星読みが決めた?そうなる運命?知ったことか。そんな陳腐な運命の一つや二つ、己の努力と研鑽で塗り替えよ。王であろうとするならば、それくらいはしてみせよ」

 

「わかった。ありがとう、武則天」

 

「わかったならば行け、魔王。あのニセモノをお仕置きしてこい。……そして、救ってくれ。アレでも、妾の国の大切な民なのだ」

 

武則天の願いに、次代の魔王はしかと頷いた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

現実に戻ってきたジオウIIの手に、新たなライドウォッチが煌めく

ジオウIIはそれを一瞥、ゲイツリバイブに差し出す

 

「ゲイツ、今回はそっちに預けるよ」

 

ジオウIIから渡されたウォッチを見つめ、ゲイツリバイブがその顔を見据える

 

「今回は、ゲイツの方がムカついてるだろう?」

「………あぁ、そうだな」

 

ゲイツリバイブが頷き、そのウォッチを起動する

 

《武則天‼︎》

 

ドライバーにウォッチを装填し、ぐるりと回転させる

 

《キング‼︎ アーマータイム‼︎》

 

音声と共に、ゲイツの背後に紫の高貴な様のアーマーが出現。その手の教鞭を一度鳴らすと、ゲイツの体へと装着される

紫紺のマントを揺らし、ゲイツのマスクに《ぶそくてん》の文字が刻まれる

 

《武則天‼︎》

 

「ー祝福しむぐっ⁉︎」

 

「ー祝え‼︎ 全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者」

 

「ー我が魔王、仮面ライダージオウがここに、新たに王を学んだ瞬間である‼︎」

 

意気揚々と祝福を述べようとしたマーリンを顔面を掴んで引き下げながら、ウォズが祝福を述べ、ジオウIIに一礼する

 

「あれ、今日はゲイツでも言うんだ」

「不本意だが、アレに私の仕事を取られるのは癪に触るからね」

 

と倒れたマーリンを殺気満々に睨みながらウォズが答える

 

「悪かったな不本意で……」

 

悪態をつきながら、ゲイツが叩きつけられてきた巨腕を弾く

 

【何故、何故貴様が妾の力を使えている!!】

「お前の力じゃない。これは、あるべき王が持つ力だ」

【黙れ、黙れ黙れ黙れェ!!】

 

怒声と共に、アナザー武則天の火球が迫る

 

「フッ‼︎」

「ハァッ‼︎」

 

降り注ぐ火球を駆けつけてきたネクロムとダークキバが砕く

 

「なんだか知らんが、手ェ貸すぜ」

「助かる」

 

ネクロムはその手にネクロムゴースト眼魂を握り直す

その眼魂が、金色に煌めいた

 

「今こそ、私が想いを繋ぐ番だ‼︎」

 

《絆‼︎ カイガン‼︎》

《バースト‼︎》

《俺がバースト‼︎ 絆ファイヤー‼︎》

《繋げてみせるぜ!人の想いを‼︎》

 

メガウルオウダーから飛び出した金色のパーカーにネクロムが包まれる。その姿が、金色に煌めく炎に彩られた

 

《フィニッシュタイム‼︎》

《コクミツ・タイムバースト‼︎》

「ハッ‼︎」

 

必殺技の起動と共にゲイツが跳躍、アーマーの肩パーツが外れツボの形に合体し、アナザー武則天の足元に紫の液体をぶちまける

 

【やらせん!!】

「それはこっちの台詞だ」

 

ダークキバの言葉と共にアナザー武則天の四方にコウモリのような紋章が出現、その体を押さえつける

その一瞬で広がった紫の液体がアナザー武則天の体を飲み込み始める

 

【グッアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!】

 

もがくアナザー武則天、だが沼からは抜け出せない

 

《ウェイクアップ・ツー‼︎》

 

《ダイテンガン》

《絆‼︎バースト‼︎ オメガウルオウド》

 

ダークキバが紋章を足場に跳躍、ネクロムの右脚に金色のエネルギーが集まる

 

「フッ‼︎」

「ハァッ‼︎」

 

ダークキバの夜闇の如きエネルギーを纏った蹴りと、ネクロムの黄金に煌めく蹴りがアナザー武則天の身体を貫く

 

「ハァッ!!」

 

最後に、ゲイツのキックがその胸を貫く

アナザー武則天の巨体が泡立ち、大爆発を起こす

爆煙が晴れたその中には、女性をその腕に抱いたゲイツが立っていた

 

「……終わったみたいだな」

 

ダークキバがふぅ、と安堵のため息を吐いた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

王都から離れた丘

紅 音也は夜闇に煌めく街を遠目に眺めていた

 

「この時代も、悪くないもんだな」

「おじさん」

 

不本意な呼ばれ方ながら、自分への呼びかけに応えて音也が振り返る

そこには、音也から渡された上着を持ったジャックとランが立っていた

 

「これ、ありがとう」

「ん、ありがとな。あと俺はおじさんじゃなくてお兄さん、な?」

「ねぇ、音也おじさん」

「だから……まぁいい、なんだ?」

 

ジャックが少し照れた様子で音也に顔を向ける

 

「わたしたちも、変われるかな?」

「……どうだかな。ま、お前がそう望むなら、変われるかもしれん」

 

キザったらしく言いながら、音也が笑う

 

「オトヤ、わたし……まだわからないの」

 

ランが音也に顔を向ける

 

「音楽は好きなの、でも、わたしの音楽なんて、考えたことなくて…」

「………」

 

それを聞いた音也は、ケースからバイオリンを取り出し構える

 

「よぅく、聞いておけ。特別だ」

 

奏でられたのは、穏やかで優しい旋律

まるで母に包まれているかのような優しい音色

 

その音色に、ジャックもランも目を閉じ聴き入っていた

演奏が終わる

 

「ーCircle of Life、繋ぐはずがなかった想いを、時を越えて繋いだ音楽だ」

 

音也がバイオリンをしまい、ケースを肩がけに持ちながら笑う

 

「今度は俺が、お前にこれを繋げてやる」

 

そう言った音也の身体がうっすらと透け始める。ジャックも同様に

 

「行っちゃうの……?」

「あぁ、俺を待ってる世界と、女たちがいるからな」

 

飄々と答える音也を見据えて、ランが涙を堪えながら声をあげる

 

「わたし、見つけてみせるから!! わたしの、わたしの心の音楽!!絶対に!!」

 

「見つけて、会いに行くから!!」

 

そう叫んだランを驚いたように見つめていた音也だが、その小さな頭をわしわしと撫でて微笑む

 

「俺に惚れるなら十年は早い。その間に、お前の音楽を見つけてみせろ。いつまでも待っていてやる」

 

そう言い残し、音也とジャックは消滅していった

涙を流し、それでも笑って前を見た少女。その近くの木陰にもう一人の人影が覗く

 

「ー相変わらず、食えない野郎だな」

 

薄いサングラスをかけ直した男ー次狼はそう薄く微笑んだ

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ありがとね、みんな。色々お世話になっちゃった」

 

崩れた玉座の間で、ソウゴたちに相対した三蔵が微笑む

 

「助かったのは俺の方だよ。短い間だったけど、ありがとう」

 

ソウゴが三蔵に手を差し出す

その手を、三蔵が優しく握り返す

 

「アランくん、キミにもお礼を言わないとね」

「気にすることはない。貴女とは違うが、貴女から私は大切なものを教わった。その恩を返したまでだ」

 

その手に握るサンゾウゴースト眼魂をアランが見つめる

その手を三蔵が握る

 

「たこ焼き、美味しかったわ。貴方の想い、きっと私も伝えてみせるから」

 

体の消滅が進んだ三蔵が、再び皆に皆に向き直り、元気いっぱいに手を振る

 

「じゃあね、みんな‼︎ 御仏の加護がありますように‼︎」

 

満面の笑顔を残して三蔵が消滅していった

 

「私も、あるべき場所に帰るようだな」

 

透け始めた自らの手を見てアランが呟く

アランはソウゴに向き直り、その手を取る

 

「ソウゴ。お前に私が貰った想いを託す」

 

優しい微笑みを浮かべてアランが続ける

 

「その心に従え。そして、良き王になれよ。ソウゴ」

 

その言葉を残し、アランの姿も消えていく

その温もりがまだ残る手を見て、ソウゴは頷いた

 

「この時代ももうじき元に戻るようだな」

 

ゲイツがソウゴと並びながら呟く

 

「残すところあとの歪みは4つかな。さて、次はどこの時代にー」

 

瞬間、世界が揺らぐ

 

「うわっ⁉︎地震⁉︎」

 

あまりの振動にソウゴたちが膝をつく

一行の目前、玉座があったはずの空間が割れた

 

「なんだ、アレは……⁉︎」

 

割れた空間から、鋭い爪が飛び出し、穴を広げ、巨大なあぎとが顔を出す

ワニのような凶悪さを持つソレは、世界を揺るがすような咆哮を上げた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『ーここが、余の生きた時代よりも遥か未来か。食いがいのありそうな新天地であるな……』

 

暗がりの中、手綱を握る巨体が愉快そうに笑う

 

『初めよう。これなるは征服、遍く総てを手に入れるこの余の、征服王の蹂躙である!!!!』




次章予告

時の壁を食い破り現れたのは、時を喰らい進む異形の列車
それを駆るは、新たなるスーパーアナザーライダー

『余の蹂躙は終わらぬ!!この世の果て、その総てを喰らい尽くすその時まで!!』

タイムマジーンで押し切り、辿り着いた次なる時代に広がるは大海原

「海賊が征服で負けてたまるかってンだ‼︎ 気合い入れてけテメェら‼︎」
「奪うってのは別にいいけど、食い漁るのはボクらとしてもいただけないな。だよね、アン」
「えぇ、夢の無い略奪にわたくしたちの海原を荒らされるのはたまりませんわ」

海賊、スーパーアナザーライダー、ジオウたち
更に新たなレジェンドたちを交え、争奪戦は加速する

「さて、お仕事と行きますか‼︎」
「悪いが、押し通させてもらう‼︎」

次章 仮面ライダージオウ King order
B.C.336 蹂躙征服大海 ズルカルナイン・オケアノス

「勝負に勝つなら奇計など不要。十全に備え、ただ当然に勝つのみだ‼︎」
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