仮面ライダージオウ×Fate/Grand order The KING order   作:リョウギ

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第5話 「0064:集う猛者たち」

ガァン‼︎ガン‼︎

キッ、キィン‼︎ キィン‼︎

 

射撃音と擦過音がリズミカルに響き、薄暗い部屋を火花が照らす

 

片やシアンが闇に映える怪盗

片や美麗な剣技を魅せる剣豪

 

どちらも一歩も譲らない、ハイレベルな交戦が続いていた

 

(のらりくらりとこちらの剣をいなしてる。一撃はそんな重くないけど、これはこれで厄介な手合いね……‼︎)

 

加速した思考の中、武蔵は冷静に相手を分析する

『あの人物を、死なない程度に斬りふせる』

武蔵の《天眼》は、その一点の未来だけを見据えていた

 

(何ものかはわからないけど、厄介な相手だ。隙らしい隙を見せてくれないね)

 

ディエンドはディエンドで隙を見せない武蔵に攻めあぐねている

武蔵のような《魔眼》こそなくても、彼は彼で数多くの世界を巡り磨いてきた《眼》があった

 

「ー隙ができないなら作るしかあるまい。達人には達人、侍には忍者、と言ったところか」

 

とベルト脇のホルダーから2枚のカードを取り出し、ディエンドライバーに装填していく

 

《カメンライド 斬鬼‼︎》

《カメンライド 風魔‼︎》

 

武蔵に向けて引き金を引く

武蔵は咄嗟に防御姿勢をとるが、飛来したのは弾丸ではなく、2人の人影

 

かたや、筋骨隆々とした肉体を持つ音撃弦の名手 斬鬼

かたや、神速の絶技を操るニンジャゲーマー 風魔

 

ディエンドは、ライドカードから仮面ライダーを実体化させたのだ

 

斬鬼と風魔は各々の得物を構え、武蔵へと斬りかかる

 

「くっ⁉︎」

 

大上段から斬りかかる斬鬼の一撃を弾き、隙を突いて放たれる風魔の苦無や手裏剣に対処、2体の挟撃を受け止め弾く

 

(忍者は恐らく脆い、ならばー)

 

この窮地すら武蔵の天眼は活路を絞り作り出す

風魔を蹴り飛ばし、斬鬼の一撃を弾くのではなく受け流しその体を懐へと引き込み、膝鉄を一撃

 

「ィヤァッ!!」

 

怯んだ斬鬼を十字に切り裂く。切り裂かれた斬鬼はその姿を歪ませ、消失する

 

「ーそれを待っていたよ」

 

《カメンライド アビス‼︎》

《アタックライド クロスアタック‼︎》

 

ディエンドが新たにロードしたのは新たなライダーを召喚するカードと、召喚したライダー達に必殺技を放たせるアタックライド

ディエンドの側に召喚されたアビスがバイザーにカードを装填

 

《ファイナルベント》

 

ロード終了と同時にアビスの背後から契約モンスターの巨大鮫アビソドンが出現、その危険を察知した武蔵がアビスに向けて斬撃を構えるがー

 

《キメワザ‼︎ ハリケーンクリティカルストライク‼︎》

 

それを阻止すべく、風魔が必殺技を起動。手にした短刀を回転させ、武蔵に向けて投擲する

 

「くっ⁉︎」

 

投擲された短刀は回転しながら武蔵の周囲を包囲、竜巻を形成し行動を縛る

 

「はっ‼︎」

 

そこにアビソドンから強烈な水圧を伴った水流が放たれ、竜巻と同化し激流となる

 

「 南無、天満大自在天時空ー 」

 

封殺したと思われた武蔵の凛とした声が響く

瞬間、水竜巻が弾け、中から4の刀を構えた仁王が姿を現わし、豪剣を振るう。たまらず風魔とアビスが吹き飛ばされ、ディエンドもその剣圧によろめく

仁王の姿が収束、一筋の光が天を突く

その光を構えるは、“空”に至らんとする剣豪

 

「 ー往くぞ、剣豪抜刀‼︎ 伊遮那、大天衝!! 」

 

剣豪の絶剣がディエンドに迫る

咄嗟にアビスと風魔を呼び寄せ、盾にする

2体のライダーはあえなく両断され霧散、衝撃にディエンドが顔を覆う

 

キィィィン‼︎

 

次の瞬間、ディエンドの目に映ったのはーこちらの首筋に刀を添える武蔵の姿

視線だけでこちらを切り裂きかねない鋭い眼光には、恐らくこれからの逆転すら正面から打ち破る未来が映っているのだろう

 

「……降参だよ。僕の負けだ」

 

ディエンドがディエンドライバーを下げ、両手を上げる

武蔵はそれを聞いてもまだ油断なく刀を突きつけていたが、ディエンドが変身解除し、元の青年ー海東 大樹の姿に戻ったのを見てようやく刀を納めた

 

「……では改めて、あなた……」

「僕の名前は海東 大樹だ」

「ありがとう。改めて海東くんが知っていること、洗いざらい話してもらうわよ」

「構わない。代わりに、と言ってはなんだがキミとカルデアに起きたことも話してはくれないか?」

「こちらにそれを話すメリットは?」

「できる限りキミに協力することを約束しよう。信じて貰えるかはわからないが、僕自身この異常事態を好ましく思っていないからね。恐らく僕とキミの利害は一致すると思うんだが?」

 

それを聞いた武蔵は少し思案するような顔をした後、海東の顔ーというよりも瞳をじろじろと見つめる

 

「ーうん、あなたを信じましょう。あなたは確かに悪いことはする人だけど、それでも芯のある信念を持ってることはあなたの目を見てわかりました。今はあなたの信念を信じましょう」

 

と今までの警戒が嘘のように朗らかに笑って武蔵が答える

バツが悪そうな顔をしているが内心海東も一息つく

 

「……約束通り、まずは僕から話そう。僕は世界から世界へ旅を繰り返しながらお宝を集めている怪盗なんだが、今回僕はカルデアという組織に目をつけた」

「いきなり聞き捨てならない言葉が出てきたけど……カルデアの何を盗むつもりだったの?」

「隠し立てしても信用を損なうだけだから答えよう。僕が狙っていたのは、とある宝具さ。とびきりに貴重な、ね」

 

不敵に笑いながら海東は答える

 

「まぁ、残念ながらその宝具はそこにはなかった。無駄足だったわけさ」

「あなたがカルデアって言葉に反応したのってまさか……」

「違うよ。重要なのはここからさ。カルデアから僕の友人がいる世界に帰ってきた時、世界が歪む異変は起きていた。そしてー」

 

「それと同時に、ひとまず繋げていたカルデアとのパスが完全に途絶えていた」

 

武蔵が驚いた顔を示す

 

「何それ……私と同じじゃない……世界が急におかしくなって、だからカルデアに戻ろうとしたらマスターとのパスも、カルデアとのパスも途絶えてて……」

「……なるほど、キミもこれ以上は知り得ない、ということか」

 

海東が残念そうに呟く

 

「ぐ……それを言われたら痛いわね……」

「気に病む必要はない。先にたどり着いたウルクで、ある程度の情報は得られてるからね」

「それなら、あなたの方は何か策があるのかしら?」

 

武蔵の問いに薄い笑みを海東が返す

 

「ああ、あるとも」

 

その笑みにどこか嫌な予感を見出してしまう武蔵であった

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ドムス・アウレア・ユグド 剣闘士控え室

 

「あぁ〜………疲れた……」

 

備え付けの割と上等なベッドにソウゴが飛び込み、脱力する

ブーディカが一行に加わった後、岩石で作られた巨像が現れ、先の言葉通りに控え室に通されてから数日

ソウゴたちは毎日毎日闘技場に駆り出されていた

 

「こうも毎日だと、流石に参ってくるな……」

 

近場の椅子に腰掛けたゲイツも疲れた声を漏らす。入り口付近の壁にもたれかかっているウォズや、その向かいの壁に寄りかかって腰を下ろしているマシュも疲労が滲んでいる

相手として現れるのは件の黒影のような仮面ライダーもどきとも言うべき戦士たちばかりでそんなに強いことはないため、苦戦こそしていないが、それでも何度も繰り返されると非常に疲れがたまる

 

「みんな〜広間のゴーレムから水もらってきたよ〜」

 

と、ブーディカとツクヨミが水が並々と入った金色のボトルを手に戻ってくる

この闘技場内の経営はなんと無人で、人の代わりに岩石で製造された人形ーゴーレムが食事などを用意している。それらは剣闘士であれば無料であるらしい

 

「で、何かわかったことある?」

 

皆で机を囲み、水を飲みながら休むのを兼ねてソウゴが問う

 

「……何か、と言われても、正直なところ何も分からんとしか言えないな……」

 

ここ数日の連戦は試合の頻度こそ異常ではあるが、最初に観戦したものと大きく差があるものはなかった

異常なのは参加者の方で、最初のあの試合もそうであったが女性や子供、果ては老人まで紛れ込んで戦っているのだ。熱狂に飲まれているのか、仮面ライダーもどきに変身しているものは皆年齢性別関係なく血気盛んに打ち合っている

 

「女子供まで参加させるなんて時点でロクでもないことしてるってのはわかるんだけどね。ほんと、あの皇帝は何を考えてるんだか…」

 

険しい顔をしたブーディカが嘆く

 

「ともかく、今は試合に出続けるしかないと僕は思うがね。あの皇帝も、勝ち星が多い剣闘士には自分とのエキシビションマッチを認めているようだし、それに選ばれれば曲がりなりにも皇帝との直接の対面が叶うからね」

 

煮詰まった場にマーリンがありあわせながらも提案を示す

確かに試合のたびにわざわざアナウンスしてまで「勝ち星が多い剣闘士は余との直接対決に招待しよう‼︎ 期待して励むが良い‼︎」とあの皇帝は公言している。となると一番手っ取り早い手段はそれしかないだろう

 

「今はそれしかなさそうだね……よし、それじゃしっかり休んで次の試合も勝たなきゃ……」

 

話し合いが終わったや否や、再びベッドに倒れこもうとするソウゴだが、そこをウォズが制止する

 

「休息はもう少し後にしないかい?我が魔王」

「え〜……なんで?」

「先程、ゴーレムが提示していたマッチ表に書いてあったのを見たが、どうやらこの後の試合に《チームシャルモン》という強豪チームが出場するようだ。勝ち星を稼ぐためには、見ておいた方がいいと私は思うんだが…」

「確かに……そのチームにもちょっと興味あるし」

 

ウォズの提案にしばし気だるそうにしていたソウゴではあったが、好奇心が勝ったのか、すぐにベッドから起き上がる

 

「じゃあ、観に行こうか」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

コロセウム廊下

ウォズの提案を飲んだソウゴに結局みんな同意し、その強豪チームを観に行くことになったために観客席へと向かっていた

 

「ねぇ、ブーディカってもしかして子供好きだったりする?」

 

一行の最後尾をのんびりと歩くブーディカにソウゴが声をかける

 

「え?そう見えるかな?」

「うん。最初見た時に女の子庇ってた時も本気で怒ってたし、さっきも子供が酷い目にあうことが許せないって言ってたし」

「でも、それって普通じゃない? 子供が酷い目にあうのを許せる人の方が少ないだろうし、何より私が見たソウゴたちはそんな人達じゃないだろうし」

「うん、俺もゲイツもツクヨミも、多分ウォズやマシュ、マーリンも、子供があんな風にされるのは許せないと思ってる」

 

きょとんとした顔のブーディカにソウゴが柔和な表情をむける

 

「でも、その気持ちを言葉にまで表してたブーディカは、きっとこの中でもその思いが強いんだろうなーって思ってね」

 

あっけらかんと言ってのけたソウゴにブーディカは少し驚いて、すぐに微笑む

 

「あはは、中々鋭いね王様。その通りだよ」

 

懐かしむような表情になったブーディカが歩きながら続ける

 

「私にはね、2人の娘がいたんだ。これがすごく可愛くてね、いつも一緒にいたくらいには愛おしかった」

 

と、ふとブーディカの表情が曇る

 

「ーでも、2人とも病気で死んじゃったんだけどね。母の私よりも、早くに」

 

そのブーディカの悲しげな言葉に、ソウゴの表情もばつが悪そうに曇る

 

「………なんか、ごめん」

「いいよいいよ、気にしなくて。過ぎたこと、変えようのない過去だもの。ブーディカ(勝利)なんて名前なのに、自分の娘の病気にすら勝てなかったなんて、情けない母親だよね」

「ーそんなことないよ」

 

自嘲気味に笑うブーディカの言葉をソウゴが遮る

 

「……俺、小さい時に父さんと母さんが死んじゃってさ。バスの事故に巻き込まれて、俺だけ生き残って、おじさんがここまで育ててくれたんだ」

 

ソウゴの告白に、今度はブーディカが言葉を失った

 

「物心ついた時は、俺にはおじさんしか家族がいなくてさ。父さんとか、母さんが、俺のことどう思ってたかとか、愛してくれてたのか、よく覚えてなくてさ」

 

悲しげに話していたソウゴだが、一転、ブーディカを見て微笑む

 

「初めてブーディカと会って話した時さ、すごく暖かいな、って思ったんだ。母さんって人を知らない俺だけど、なんだか母さんみたいだなって」

 

柔和な表情を浮かべながらソウゴが続ける

 

「だから、ブーディカともう少しいたかったんだよね、多分。直感とか言ってたけど、実はただのわがままだったのかも」

 

ソウゴのその言葉を聞いて、朗らかな笑みを浮かべながらブーディカがソウゴの背を叩く

 

「いいじゃない、わがまま。せっかくの王様なんだもの。それくらい、きっと許してもらえるよ」

 

いつの間にか見えてきた観客席の入り口を背に振り返り、慈愛に満ちた、それこそ母のような笑みを浮かべる

 

「ありがとね、ソウゴ。こんな私を、お母さんみたいだなんて言ってくれて」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

闘技場 観客席

 

「もう少しで開始、と言ったところか」

 

階下の闘技場を眺めながら一行が各々目線を動かす

そこにはもう既に何人か剣闘士が集まっており、その腰には当たり前のようにあのベルトが巻かれている

 

「ん?あの2人……」

 

何かに気づいたブーディカが声をあげる

その視線の先にいたのは、何やら目立つ二人組だった

 

「……なんだあれ」

 

その二人組のー正しくはその片方の異様さに思わずソウゴが声をあげる

 

かたや、筋骨隆々とした大男。ノースリーブの奇抜な衣装に身を包んだその男は、何やら艷っぽいポーズで闘技場の端に立って辺りを見回している

かたや、メガネをした見るからに軟派な雰囲気の青年。こちらはどこか緊張した面持ちで闘技場の剣闘士たちを見つめている

 

「おー、あの2人に目をつけるとは、いい目してるなァ」

 

2人に注目していたソウゴたちに、その横から声がかけられる

視線を移した先には一人の男が立っていた

何やらぼろぼろの黒いロングコートを羽織り、ヒゲを蓄えたダーティな雰囲気の男は愉快そうにこちらを見て微笑んでいた

 

「食うか?」

 

と男が差し出してきたのはゆで卵。呆気にとられながらもそれを受け取ったソウゴは軽く会釈を返す

それを満足そうに眺めた男は闘技場に視線を戻すとどこからか生卵を取り出し、観客席の手すりで割ってそのまま口に流し込む

 

「まぁ見てな。退屈な連中が多いこのお遊びの中でも、かなり見応えがあるのはアイツらだからな」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……これ、何回続くんですかね凰蓮さん?」

 

件の二人の片方、メガネの青年が隣に立つ大男に伺う

 

「さぁてね、ほんと流石のワテクシも嫌になるほど連戦させてくるわね……」

 

凰蓮と呼ばれた大男がはぁ、と優雅にため息をつきながら答える

 

「まぁでも、この久しぶりの高揚は悪くないわね」

 

と微笑むと同時に、けたたましい鐘の音が響く

 

『試合、開始である!! 今宵も血湧き肉躍る決闘を!!』

 

あの皇帝の明朗な声が響く。それに続き、周りの剣闘士たちが次々と変身していく

 

「さぁ、城乃内のボウヤ。行くわよ」

 

凰蓮は城乃内と呼ばれた青年の肩を力強くはたきながら激励、その手に刺々しいフルーツをかたどった錠前を構え、解錠する

 

《ドリアン‼︎》

 

「ってて、はい!凰蓮さん‼︎」

 

城乃内もその手にドングリが描かれた錠前を構えて解錠

 

《ドングリ‼︎》

 

解錠に続いて、二人の頭上にそれぞれドリアンとドングリの形をした鎧が出現する

 

《ロック、オン‼︎》

 

二人が同時に腰のベルトー戦極ドライバーに錠前ーロックシードを装填、凰蓮は荒々しくも華麗に、城乃内はぎこちないながらも精一杯に胸を張って構えを取る

 

「「変身!!」」

 

二人同時に、ドライバーのカッティングブレードを下ろし、ロックシードを解放する

 

《ドリアンアームズ‼︎》

《ミスター……デーンジャラース‼︎》

 

《カモン‼︎》

《ドングリアームズ‼︎》

《ネバーギーブアーップ‼︎》

 

解放と同時に鎧が二人に降下、鎧が二人に重なると同時にその体に緑と茶色のボディスーツが装着される

それに続き、被った鎧が展開、装着され、その変化が完了する

 

かたや、ドギツイ緑のスーツに同じく緑のゴツい鎧、ロックシードになっていたドリアンのように全身に鋲が打たれ、実にトゲトゲしい見た目に、モヒカンのような世紀末風な兜がトドメを刺している

 

ー凰蓮・ピエール・アルフォンゾが変身する。その名もアーマードライダー・ブラーボ

 

かたや茶色い地味なスーツと重厚な鎧に身を包み、この時代によくありそうな丸っこい兜を装着している

 

ー城乃内 秀保が変身する。その名もアーマードライダー・グリドン

 

この闘技場に数多溢れるもどき、ではない

ある振興都市で、戦い抜いた正真正銘の仮面ライダーである

 

「さぁ‼︎ 張り切って行きましょうか、ボウヤ‼︎」

「こうなりゃヤケだ。やってやるよ、何度でも‼︎」

 

ブラーボが両の手に携えたノコギリードリノコを振り打ち鳴らし、グリドンが手にしたハンマーードンカチに拳を打ち込み、剣闘士たちへと殴り込んでいく

 

ブラーボたちの実力を知ってか、首級を上げようと考えた剣闘士4人が彼を取り囲む

 

「はぁ、4人がかりとはなってないわね……かかってきなさい。一人一人鍛え直してあげるわ‼︎」

 

まず突撃してきたのは長槍を持った2人

リーチを活かしてドリノコのリーチ外から攻撃するが、片方の槍をドリノコで押さえつつ、その勢いそのままに受け流しもう片方にぶつけて吹き飛ばす

2人を相手する隙を狙ってか、背後から鎖鉄球が襲来するが肘鉄でそれを弾き振り返り、弾いた鉄球を踏みつけ持ち主を拘束すると立ち上がりかけていた槍持ち2人にドリノコを投げつけ再度ダウンを取る

 

「ハァッ‼︎」

 

4人の中で一番の重装甲だったハンマー使いが武器を失った隙を狙い、ブラーボにハンマーを振り下ろすがその一撃は腕をクロスさせて止められる

 

「甘い、甘いわね‼︎ そんな連携じゃワテクシには届かなくてよ‼︎」

 

腕を押し上げ、ハンマー使いを吹き飛ばしたブラーボは新たにドリノコを取り出し、そのがら空きの腹に斬撃を叩き込み、吹き飛ばす

 

《ドリアン、オーレ‼︎》

 

その隙にカッティングブレードを2回倒し、ロックシードのエネルギーを解放、ドリノコに緑色のエネルギーが充填されていく

動きの止まったブラーボめがけて槍使い2人が飛びかかる

 

「アン‼︎」

 

その2人を一刀のもとに切り捨て、同時に振り向き鉄球使いに狙いを定める

 

「ドゥ‼︎」

 

ドリノコにチャージされたエネルギーがドリアン型に収束、それを振りかぶり、鉄球使いに二度、三度と叩きつけ吹き飛ばす

 

「トロワ‼︎」

 

最後にようやく起き上がったハンマー使いに二刀のノコギリが大上段から叩き込まれる

一瞬のうちに、4人の剣闘士たちが昏倒させられてしまった

あまりに鮮やかな戦いに観客席から割れんばかりの歓声が降り注ぐ

 

「フフッ、Merci(メルシィ)〜♪」

 

それにブラーボはご機嫌に手を振って答えた

それを尻目にグリドンは3人を相手に少し押され気味であった

 

「くそっ……‼︎」

 

同じハンマー使いに押され闘技場の壁に叩きつけられる

 

「くぅっ……パティシエ、舐めんな‼︎」

《ドングリ、スカッシュ‼︎》

 

カッティングブレードを倒し、エネルギーを解放。無理やりに突撃を振り切ったグリドンの痛撃がハンマー使いを吹き飛ばす

そこに槍使いが乱入、二度三度とグリドンに槍を叩きつけ、流石の猛攻にグリドンがよろめき、膝をつく

 

「ハァッ!!」

 

その肩口に更に槍の一撃が叩きつけられる。が、グリドンは待ってましたとばかりにその槍を押さえ込む

 

「ヘヘッ、そんなもんかよ。初瀬ちゃんの方が、まだ速いし強かったぜ!!」

《ドングリ、スパーキング‼︎》

 

最大レベルまで解放されたロックシードのエネルギーでグリドンのドンカチが輝き、それをお返しとばかりに身動きを封じられた槍使いに何度も何度もラッシュで叩き込む

たまらず倒れこむ槍使いそれを見届けたグリドンは立ち上がりながら振り返り、遠くで構える短剣使いを睨む

 

《ドングリ、オーレ‼︎》

「これ、でも、くらえ‼︎」

 

ハンマー投げの要領で、ドンカチが短剣使いに投擲され命中

不意の一撃に短剣使いはあっけなく倒れふす

 

それを見たグリドンは脱力し、地面に大の字に寝転がる

 

「はぁ〜やってやったぜ……」

 

太陽が視界に映る中、そこに緑の影が割り込む

 

「ナイスファイトだったわよ、ボウヤ」

 

とブラーボが手を差し伸べる

 

「ありがとうございます……凰蓮さん」

 

しっかりと握ったグリドンを助け起こして、2人は変身を解いて試合終了のアナウンスを背に闘技場を後にした

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「すごい……‼︎」

 

ブラーボとグリドンの戦闘を見ていたソウゴが思わず声を漏らす

 

「ああ、だがそれよりも、あの2人のあの雰囲気と装いは……」

「ええ、ソウゴの時代のものだと思う。ということは……」

「なるほど、ウルクで出会った彼のように力になってくれるかもしれないということだね」

 

ウルクで遭遇した壇 黎斗神。彼はサーヴァントのように召喚された存在で、かつ仮面ライダーでもあった

あの2人もこの時代に召喚されたライダーである可能性は大いにありえる

 

「うーん、私にはよくわかんないんだけど、とにかく仲間になってくれる可能性があるってことかな?」

「はい。……まぁ黎斗神さんは、なんというか、かなりアレでしたけど……あの2人の方なら、話を聞いてくれるかもしれません」

「そうと決まったら、早速話してみよう‼︎」

 

ソウゴの言葉にゲイツたちも同意し、早速移動を始める

 

「あ、おじさん。卵ありがとう。美味しかったよ!」

「おう。なんだか知らんけど頑張れよ〜」

 

卵を渡してきた男にお礼をしてソウゴが最後に観客席を後にする

それを笑顔で見送った男は闘技場に視線を戻し、先の試合で蔦に包まれ消えた剣闘士の残した黒いロックシードを睨む

 

それはまるで水面に沈むかのように、するりと地面に消えた

 

それを獲物を狙うような目で睨む男は、新しく卵を取り出して割り飲むと闘技場に背を向ける

 

「ー臭うの(・・・)は、下か?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

件の2人はロビーから控え室に続く廊下ですぐに見つかった

駆けてきたソウゴたちを訝しむように眺める凰蓮に対し、城乃内は驚いたようにソウゴを見る

 

「凰蓮さん‼︎ アレ‼︎あの格好って⁉︎」

「落ち着きなさいボウヤ」

 

明らかに取り乱した城乃内を凰蓮が制してソウゴたちを迎える

 

「ボウヤ、この時代の人ではないみたいだけど、何ものかしら?」

「はじめまして。俺、常盤 ソウゴ。王様を目指してる」

「明光院 ゲイツ、こいつの友人だ」

「同じく友だちのツクヨミです」

 

一行を代表して三人が挨拶をする。案の定というか、ソウゴの王様云々には2人とも不思議そうな顔を返してはいたが

 

「ソウゴのボウヤにゲイツのボウヤ、あとツクヨミちゃんね。ワテクシはシャルモンって店でパティシエをしている凰蓮・ピエール・アルフォンゾ。こっちはパティシエ見習いの城乃内 秀保」

 

と凰蓮が丁寧に挨拶を返す

 

「へぇ〜おじさん、パティシエしてるんだ。それであんなに強いのか……」

 

ソウゴの無遠慮なおじさん呼びに凰蓮の顔が引きつり、城乃内の顔が青ざめる

 

「2人は、この時代に呼ばれてきた感じ、でいいのかな?」

「⁉︎ この状況について何か知ってるのか⁉︎」

 

ソウゴの問いに城乃内が喜びの表情を見せる

 

「うん。多分だけど、この時代の異変を解決したら2人とも帰れると思う。この前の人もそうだったし」

「やった……やりましたよ凰蓮さん‼︎ これでやっと沢芽市に帰れる……」

 

泣きながら喜ぶ城乃内に対し、険しい表情のまま話を聞いている凰蓮

 

「だから、2人にも協力してほしいんだよね。なんとかあの皇帝に会わなきゃならないから、この後の試合なんとか協力してー」

 

「お断りするわ」

 

ソウゴの提案を、凰蓮はきっぱりと断った

 

「お、凰蓮さん!?」

 

城乃内にも想定外だったのか、素っ頓狂な声を上げる

 

「なんで……」

「アナタが、試合を投げろと言ったからよ。ソウゴのボウヤ」

「いや、投げろなんて一言も……協力して勝ち上がろうってー」

「それはつまり、ワテクシにアナタたちという対戦相手を見逃せ、と言っているようなものよ。それは、ワテクシのプロ意識に反するもの」

 

にこやかながら、凰蓮はきっぱりと言い放つ

 

「貴様……そうしないと歪みの解決ができないんだぞ⁉︎」

「その証拠はあるのかしら?」

 

声を荒げるゲイツに凰蓮が反論する

 

「ワテクシたちも、あの皇帝陛下に出会えるまで勝ち進んでなんとかしてもらうつもりだったわ。たしかに、進む先は同じよ」

 

凰蓮の目が鋭くなる

 

「ーでももし、皇帝陛下を打ち破った人のみが帰れるなら?その場合、アナタたちを手伝ったワテクシたちが全くの無駄骨になってしまうじゃない?」

「……それを言われたら、たしかに苦しい所だね……」

 

一利ある凰蓮の反論にマーリンも思わず苦笑する

確かに、皇帝の撃破がこの歪みの修正に必要という確証はない。偶然にもウルクがそうだっただけ、という説も十分にありえる

 

「でも、協力くらいなら……」

 

「ワテクシのプロ意識にそもそも反する、とも言ったはずよ、ソウゴのボウヤ。アナタの目指す王様は、そんなだれかの意思を無下にするような王様なのかしら?」

 

「………ッ‼︎」

 

自身の夢を、ある意味否定するかのような物言いにソウゴが拳を握りしめる

 

「………あんたは、試合を捨てるつもりはないってこと?」

「えぇ、そうよ」

 

「ーなら、俺はあんたを打ち負かす。俺は、あの皇帝に言わなきゃならないことがあるからな」

 

なんとも言えない凄みを込めた声でソウゴが凰蓮に言い返す

それを聞いた凰蓮は、怒るどころか笑みを浮かべる

 

「ワテクシに合わせて、真正面から説得ってわけね。そういうことなら、大歓迎よ」

 

睨み合う2人。それをどこからか見ていたのか、あの皇帝の明朗な声が響く

 

『素晴らしい‼︎ 余のお気に入りの両者が、互いの信念でぶつかり合う‼︎なんとも美しく、面白い‼︎』

 

パチパチパチと大袈裟な拍手の音も混ざっており、尋常じゃなくテンションが上がっているようだ

 

『それを聞いては皇帝としては黙っておれぬ。よし、明日の試合はそなたらの直接対決としよう。他の剣闘士は交えぬ。正真正銘の決闘を約束しよう』

 

『勝ち残った方には、望み通り余との謁見をその場で許すとしよう』

 

皇帝は高らかに笑いながらそう締めくくった

 

「話のわかる皇帝陛下で助かったわね〜♪」

 

心底嬉しそうに凰蓮が小躍りする

そしてソウゴを見据え、凄みを効かせた声で宣言する

 

「全力でかかってらっしゃい。王様」

 

「望むところだ」

 

ソウゴが不敵な笑みを凰蓮に返した

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

凰蓮との決闘が決まり、夜も更けた闘技場

その最下層

 

「………なんだか雰囲気が一気に変わったわね」

 

周囲を伺いながら、武蔵が呟く

海東と共に降りてきた最中は、コロセウムの内装としてありふれたーとはいえ全面金ピカで目がチカチカしたがーものであったが、ここはまるで雰囲気が違う

多数のよくわからない機械やコード、パイプが伸び、さらに中央にはエレベーターらしき筒が天井と床を貫いている

 

「コロセウムの内装は、どこに行っても丁寧な地図があって迷わずに移動ができた。だが、外見からわかる通り、このコロセウムには巨大な《幹》が存在している」

 

海東も周囲の機械を見渡しながら呟き、中央のエレベーターに向かう

 

「地図では侵入禁止になっているこの、下層へのエレベーター。つまり、下層はデッドスペースどころか、何かが存在していると考えていいだろう」

「これだけのものを見たら頷かざるを得ないわね……」

 

武蔵が感嘆の声を漏らす

 

「さて、あとはこのエレベーターをなんとかするだけだが……」

 

と海東が振り向き、武蔵にディエンドライバーの銃口を向ける

反射的に手を上げるが、その銃口が自分ではなくその背後を捉えていることに気づき、同じく振り返り刀を構える

 

「何ものだ?」

 

海東の問いに、エレベーターフロアの入り口の暗がりから、人影が姿を現わす

 

「キミは……⁉︎」

 

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翌日

闘技場には、4人の人影が2人ずつに分かれて向かいあっていた

 

筋骨隆々なパティシエの凰蓮率いる チームシャルモン

王を目指す少年とその友人 常盤 ソウゴと明光院 ゲイツ

 

互いの意地をかけた2チームが睨み合っていた

 

「ごめんゲイツ。付き合わせちゃって」

 

決闘ということで、ソウゴが連れて行ける仲間はただ1人。一行の中でソウゴが指名したのは、友人であるゲイツだった

 

「何を謝る必要がある。お前の友人なんだ。これくらいはいつでも付き合ってやる」

 

ソウゴの謝罪に、仏頂面ながら優しい言葉を返すゲイツ

凰蓮を睨みながら、腕を鳴らす

 

「ーそれに、俺もアイツには思うところがあったしな」

 

ゲイツのやる気満々な宣言にソウゴが微笑む

 

「よく逃げずに来たわね‼︎ まずはそこは褒めてあげるわ」

 

凰蓮がドライバーを装着し、城乃内も渋々と準備する

 

「俺は王様にならなきゃいけない。これが越えなきゃならない壁なら、俺は逃げない‼︎」

 

ソウゴとゲイツもドライバーを装着

両者睨み合う

 

その間に、一陣の風が流れる

 

それを合図に、動く

ソウゴ、ゲイツはライドウォッチを

凰蓮、城乃内はロックシードを

互いに突きつける

 

『 変 身 ‼︎ 』

 

4人の声が重なる

それぞれの姿が、仮面ライダーのそれへと変化する

 

それを見た観客たちが割れんばかりの歓声をあげる

 

熱狂に茹だった闘技場に負けじと、高揚した声で凰蓮が高らかに叫ぶ

 

「さぁ!! はじめましょうか、破壊と暴力のパジェントを‼︎」

 

決闘の火蓋が、今切って落とされた




はい、ローマ編2話、できました‼︎
おまたせしました……

ここで少し業務連絡、なんですが
感想でご指摘いただいたゲイツのソウゴの呼び方なんですが、ソウゴを友達認定した後もジオウ呼びだったことを私自身把握していなかった故に、今までこの作品でのゲイツのソウゴの呼び方は「ソウゴ」でした
ですが、それを把握した上でもこの作品ではゲイツのソウゴへの呼び方は「ソウゴ」で通したいと思ってます
ソウゴ呼びがあの時の特別なもの、というのもわかります。でも、私としてはゲイツとソウゴの縮まった距離をこの場では描いていたいのです
ワガママなお願いだと思いますが、ご了承頂けるとありがたいです

では、次回もお楽しみに、です‼︎
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