とある少年の波紋疾走   作:イヌガミケ

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プロローグは10話までと言ったな。あれは嘘だ。




尺の都合で10話に収まりませんでした<(_ _)>

今回で本当にプロローグは終わりです


第11話「歯車」

ツェペリと別れてから次の日。ジョジョは起きた時に違和感を覚えた。そしてしばらく経って違和感はツェペリがいなくなったからだと理解した。2ヶ月という決して長くはない時間ではあるがマンガのキャラクターと一緒に暮らすという普通では経験できないことだったからか非常に長く感じたのだ。そんな違和感を感じつつも支度をし学校へ向かった。

 

自分の席でボーっとしていると今までの出来事は夢だったのではないかと思い始めた。試しににペットボトルのキャップを開け力を込めて逆さにしてみた。普通なら中の水がこぼれるはずだが口から出ることはなくペットボトルの中に残っていた。

 

「(やっぱり夢じゃないんだな)」

 

「なあ、ジョジョ。今のどうやったん?」

 

「すごいニャ~。もしかして能力者になったんか?!」

 

「ん? ああ、ちょっとした手品だよ」

 

「へえ~……あれ? そういえばいつも付けているマスクはどないしたん?」

 

「えっ!? あ、ああ。もう先生が外してもいいって」

 

黒ピにマスクをしてないことを指摘されジョジョは慌てて答えた。2ヶ月ほどマスクをしていたせいか付いていることが当たり前だったからだ。

 

 

 

 

 

授業が終わり下駄箱で靴を履きかえようとした時、

 

「よぉ~」

 

気だるい声をかけられる。声の方を向くといつぞやの不良がいた。以前ジョジョに絡んだ自称貴重な能力者だ。

 

「……何か用ですか?」

 

「あの時の借りを返しに来たぜ。いくらテメエが強くても1度に5人相手じゃ手も足も出ねえだろ」

 

リーダー風の男は拳を鳴らしながらニヤニヤしていた。よく見ると知らない顔が2人いることに気付いた。やれやれと思いながらジョジョは自分の靴箱に上履きを入れ靴に履きかえた。

 

「無視してんじゃねーぞゴラァ!」

 

不良が足元の靴箱を蹴る。それに反応したのかジョジョが不良たちの方を向く。

 

「ほお、俺とやろうってか」

 

そう言ってジョジョは構えた。その迫力に5人、特に以前やられた3人は思わず後ずさりした。しかし負けじと5人も構えた。が、

 

「……フッ。冗談じゃあねえ」

 

ジョジョは振り返り昇降口に向かって逃げだした。

 

「に、逃げた! 脇目も振らずに逃げた! 追え! 追えェェ!」

 

不意を突かれた不良も慌てて追いかける。

 

 

 

 

 

「ハァ……なんであんなに速えのに……ハァ……ペースが落ちないんだ……」

 

「お前たちとは鍛え方が違うんだよ鍛え方が。じゃあ俺は用事があるからおさらばするぜ。アディオス!」

 

そう言ってジョジョは更にペースを上げる。煽られた怒りで負けじと追いかけるが体がついていかないせいか段々離されていく。よろよろになりながらも走っていたその時、近くに転がっていたアルミ缶が突然爆発した。爆発といっても小さい爆竹が爆ぜた程度のものだったが。疲れ果てていた不良の一人が驚き尻餅をついてしまう。

 

「痛ってェ~!」

 

「何してんだ!」

 

「いやそこのアルミ缶が……」

 

「いいから追うぞ!」

 

急かされた不良は急いで立ち上がり再び追いかけ始めた。その様子を少し離れた路地裏から2人組の男が覗いていた。一人は細身で背が高く整った顔をしている少年。もう一人は彼よりも背が低く、メガネをかけて黒髪のいわゆる「おとなしそうな」少年だ。

 

「す、すごい。今まではこんなことできなかったのに」

 

メガネの少年が喜びの声を上げる。

 

「どうだ? コイツの威力は」

 

背が高い男は自分の携帯音楽プレイヤーを見せる。

 

「すごい、すごいよ! これさえあれば!」

 

「ああすぐにレベルが上がる。あれの比じゃない能力だってすぐに使えるようになる」

 

 

 

 

 

数日後。ジョジョが路地裏を歩いていると、

 

「離してください! 今友達と待ち合わせをしているんです!」

 

「いいじゃねぇか。その友達よりも俺らと遊ぼうぜ」

 

「そうそう。俺らと遊んだ方が絶対ぇ楽しいぜ」

 

ジョジョにとって見慣れた2人が5人の不良に絡まれていた。

 

「だから路地裏の近道は危ないからやめようっていったんです!」

 

「しょ、しょうがないじゃない。普通に行っても間に合わなかったし。それに遅くなったのは初春が――」

 

「そういう佐天さだって――」

 

「お嬢ちゃん達」

 

男の声に2人の少女は固まった。

 

「ケンカはいけないなあ。仲良くしないとねえ。な・か・よ・く」

 

「おい。お前たち」

 

その場にいた全員がジョジョの方を向く。

 

「2人が嫌がってるじゃあないか離してやれ」

 

「やっ、やった! 助けが来たよ初春!」

 

「(あれ? あの人は……)」

 

「何ですかぁ? 正義の味方ですかぁ~?」

 

「いるんだよなあ。こうやって女の子の前で格好つけた姿を見せるやつがよぉ」

 

「おいお前ら。こいつらを逃がさないように押さえとけ。こういうヤツには現実ってのを見せてやらねえとなあ」

 

「へい」

 

リーダーと思われる男が2人に命令した。そしてリーダーを含めた3人が襲い掛かってくる。最初に手下2人が襲ってきたがジョジョがそれをかわしあっという間に手下を倒してしまった。

 

「ほお、なかなかやるじゃねえか。だがそんな弱々しいパンチや蹴りじゃ俺には勝てないぜ」

 

一瞬で2人を倒されたというのにリーダーの男の表情は余裕そのものだった。男はニヤニヤしながら攻撃を仕掛けた。

 

「そうかい。じゃあ弱いかどうかは」

 

ジョジョはそれをあっさりとかわし、

 

「自分の体で確かめやがれ!」

 

拳をみぞおちに叩き込んだ。しかし男は倒れるどころか痛そうなそぶりも見せずに笑っていた。

 

「効かねえなあそんなの」

 

「!」

 

何かある。瞬時に判断したジョジョは後ろに飛びのいた。

 

「(バカなッ! たしかに全力で急所に叩き込んだはずだ!)」

 

「クク。不思議そうな顔をしてるなあ。どれ、冥土の土産に教えてやるぜ」

 

男が上着を脱ぎ出す。中から出てきたのは普通の服ではなく黒いウエットスーツみたいなものを着ていた。

 

「学園都市で開発された衝撃吸収材を応用して作られたスーツだ。パンチどころかバットや鉄パイプで殴ったってビクともしねぇんだよ。つまり今のお前じゃあ俺は倒せないってことだ」

 

「スーツに当たってもビクともしないんならスーツに覆われていない部分を叩けばいいんじゃあないのか? 例えば……顔とか」

 

「……ハハッ。確かにそうだ。だが全ての攻撃が顔に来るって分かっているなら防ぐのはワケない。それにボクシングみたいに腹を殴って顔のガードを下げる戦法は俺には通用しないぜ」

 

男は相変わらず勝ち誇った様子でジョジョを見ていた。有効打がなくて絶望しているかと思いきやジョジョも男と同じようにニヤニヤしていた。

 

「フッフッフ……」

 

「な、何がおかしい」

 

「それじゃあ顔のガードが下がったら自分の負けですって言っているようなもんじゃあないか。それに奥の手のご丁寧な説明は死亡フラグだぜ」

 

「……このォ!」

 

馬鹿にされて怒った男はジョジョへと距離を詰める。

 

それに対しジョジョは迎え撃つ体勢をとった。そしてコオォォォォ~! と奇妙な呼吸音が響いた。

 

「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート! 刻むぞ血液のビート!」

 

ジョジョの体が光り出す。

 

「波紋はお前のスーツを伝わりッ! 体を打ち抜くッ! 仙道波紋『波紋疾走(オーバードライブ)』!!」

 

そして黄金に輝いた拳を突き出した。男は余裕からかノーガードでそれを受けた。拳の衝撃は吸収されてしまったが波紋の衝撃はスーツを貫き男の体に響いた。

 

「ビリッときたぁ!」

 

動きが止まり顔のガードが緩くなったところにジョジョは顔面パンチを浴びせた。男は数メートル後ろに吹っ飛ばされてそのまま動かなくなった。初春たちを抑えていた不良たちはその光景を見てたまらず逃げ出した。

 

「ふぅ……ケガはない?」

 

「は、はい。大丈夫です」

 

「あ、ありがとうございました」

 

「あまり人気のないところは通らないようにね。それじゃ」

 

そう言ってジョジョは立ち去った。

 

「あの人……」

 

「どうしたの初春? 知り合いだったの?」

 

「あの人3カ月くらい前にジャッジメントに来たんです。女の子を助けようとして返り討ちにあったとかで」

 

「返り討ち? でもあの人滅茶苦茶強かったじゃん」

 

「ええ。心なしか雰囲気も別人でしたし」

 

 

 

 

 

「……ということがあったんです」

 

「へえ、その学生証の彼がねぇ。以前見た時はそんなことできるようには見えませんでしたけど」

 

「そうなんです! それに一人は衝撃吸収材を身にまとっていて打撃は効かないはずだったんですけど不思議な光で倒したんです」

 

「不思議な……光?」

 

「えっと……何と言うか……ホントに不思議だったんです。それで効かないはずの攻撃も効いていたし……」

 

「話を聞く限りだと彼はここ数ヶ月の間に能力者になったみたいですわね。どんな能力なのか非常に気になります。今度会った時は直接問い詰めてやりますわ」

 

「ははは……できるだけ穏便にお願いしますね……。あ、白井さん。あれじゃないですか? 写真のクレープ屋さん」

 

 

 

 

 

初春たちを助けた帰り道。ジョジョが歩いているとパン! と何かが爆ぜるような音がした。驚いて音のする方を見るとゴミ箱から少し煙が出ていた。

 

「(何だろう……?)」

 

なぜ煙が出ているのか気にはなったが今晩の献立のために考えるのをやめ、スーパーヘと向かった。

 

 

 

 

 

その様子を――正確には音がしたゴミ箱を見ている少年がいた。

 

「(いいぞ。力が少しずつ成長している。これで……僕をいじめていた奴らを……僕を助けてくれなかった風紀委員を……! ククク)」

 

メガネをかけた少年は不気味な笑みを浮かべていた。まるでこれから何か大きい事を起こそうとしているかのように。

 

 

 

 

 

時は7月16日。もうすぐ夏休みである。そして読み物として伝えられているとある物語が間もなく動き出そうとしている。武城譲治という本来の物語では存在しなかった歯車と共に。科学と魔術と「彼」が交差する時、もう一つの物語が始まる。

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED

 




・この作品での「波紋」について
主人公の武城譲治は格闘と波紋を駆使して闘います。防御の時は防ぐ箇所に波紋を流すことでダメージを小さくし、攻撃の時は相手に波紋を流してダメージを与えます。拳や蹴りの衝撃+波紋の衝撃がダメージとなります。





というわけで11話続いたプロローグもようやく終わりです。プロローグだけでここまで長く続いてしまいましたが最後まで読んでくださってありがとうございました。
次回は小話を挟んだのち、いよいよ原作の本編に入っていきます。拙い文章でまだまだ勉強中の身ですが今後もよろしくお願いします。
                                  
                                  イヌガミケ
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