とある少年の波紋疾走   作:イヌガミケ

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ようやく第2話です。


第2話「学生証(しょうこ)」

時は数時間前まで遡る。

 

「ここはどこだ……」

 

目が覚めると知らない部屋にいた時、諸君ならどうするだろうか?辺りを見回して自分の状況を確認するだろうか? 誰かみたいに

 

「なあ~んだ、夢か……そんじゃゴロゴロしようっと……」

 

と二度寝をするだろうか? 

ジョジョは前者を選んだ。誰かみたいにノンキな性格ではないのだ。周りを見渡したがここは自分の部屋ではないということを改めて理解しただけだった。

 

次にジョジョは部屋を調べた。そこで見つけたのはこの部屋の鍵と思われるものと財布ぐらいでそれ以外に手がかりになりそうなものはなかった。財布の中をさらっと確認したがカードが10枚ほど入っているくらいだった。

 

(ここにいても何も分からないかもしれない……。外に出てみるか)

 

手がかりが他にあるかもしれないと考え、さっき部屋を調べた時に出てきた自分のものであろう財布とこの部屋の鍵を持って外へ出た。

 

外に出てここはマンションの1室であることが分かった。見たことがあるような廊下だと思ったが特に気にもとめずそのまま階段を降りマンションを出て捜索を開始した。

 

しかし風車がある点を除き特に変わったところはなかった。

 

(ダメだ…… さっぱりわからない……)

 

手がかりが見つからず途方に暮れて歩いていたら、

 

「いいじゃねぇかよ~」

 

「イヤッ! 離してください!」

 

路地裏の方から声が聞こえた。声が聞こえた場所を覗くと3人の不良が少女に絡んでいるのが見えた。普通ならここで警察を呼ぶかもしれない。といってもここでは警察ではなく警備員を呼ばないといけないわけだが。ところがジョジョは電話を持っていなかった。連絡手段がない中でジョジョがとった行動とは、

 

「やめるんだ! お前たちッ!」

 

その後、ジョジョが袋叩きにされるのに時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

(ということは、俺はアニメの世界にいるってことになるのか? 何故……というかどうやって2次元に入ったんだ? 2次元に行く方法はいろいろと議論されていたけど――)

 

「ちょっと聞いてるの?」

 

メガネの風紀委員……固法美偉の言葉で現実に戻される。

 

「えっ、ええ! もちろんです!」

 

「じゃあ今私が何を言ったかは分かる?」

 

「えっ……(マズイ……考え事をしてたからまったく聞いてなかった…)」

 

「答えられないみたいね」

 

(ああ…説教の時間が延びるなこれ)

 

そう思っていたら、

 

「固法先輩。説教もいいですけど先にやらなければいけないことがありませんこと?」

 

突然、固法の横に誰かが現れた。ツインテールの桃色の髪に常盤台中学と思われる制服、品があるしゃべり方。白井黒子。常盤台のレベル4のテレポーター。今は上品でいかにもお嬢様という感じに見えるが、実際はただの変態紳士……じゃなくて女性だから淑女という名の変態だ

 

「あら、あなた帰ったんじゃないの?」

 

「忘れ物をとりにきましたの。それよりも先輩」

 

「そうだったわね。えーっと、名前は武城譲治だったわね」

 

「あっ、はい。そうです。みんなからは『ジョジョ』って呼ばれています」

 

「ジョ…ジョ?」

 

「はい。武城の城と譲治の譲でジョジョです」

 

「まあ、随分と変わったあだ名の由来ですねえ」

 

「ええ、まあ」

 

もちろん彼が今思いついたあだ名だ。黒子が思ったように苗字と名前をまたいであだ名をつけることはほとんどない。しかも譲治という名前ならそのままジョージと呼ばれるのが普通であろう。彼がこのあだ名にしたのには理由がある。特殊な呼び方でキャラの濃いとあるの世界の中ででキャラを立てたいという気持ちと「ジョジョ」という言葉に対する憧れがあったからだ。「ジョジョ」と呼ばれてみたいという憧れが。しかし現実の世界で『ジョジョって呼んでくれ』とは堂々と言えることではない。物語の中でなら、そう考えていた。

 

「なるほど。面白い由来ね。それじゃ学校はどこ?」

 

「がっ、学校ですか?!」

 

「そうよ。見たところ高校生みたいだけど、どこの高校?」

 

「そ、それは……」

 

ジョジョは焦っていた。とあるの世界に自分の本来通うべき高校などあるわけがないからだ。

 

(年齢的に1年生。しかも今は4月1日。ならばッ)

 

「いやあ、実は名前を覚えていないんですよォ~ほらまだ学校も始まってないですし」

 

「……あなた自分がこれから通う学校の名前も知らないんですの?」

 

苦し紛れで出した返答に白井がツッコんでくるが、

 

「そうなんですよ! なんかぱっとしない名前だったんで。常盤台とか有名なところならすぐ言えたんですけどねぇ」

 

「常盤台は中学校ですし女子校ですのよ」

 

「そうでしたね、アハハ……」

 

「それじゃあ、学生証は?」

 

「えっ」

 

「学生なら持ってるでしょ?学生証。それがあればどこの高校かはっきり分かるんじゃない? 学生証は学園都市に来た時に配布されるから持ってるはずだからねえ?」

 

物腰を柔らくしているが固法は鋭い眼光をジョジョに向けていた。

 

再びピンチに陥ってしまった。口でなら誤魔化しは効くが今度は物的証拠を出すように迫られた。

 

(マズイ……かなり怪しまれている。このままだと学園都市への侵入者として捕まる。下手すれば学園都市から追放される。そうなったら終わりな気がする。そんな気がするッ! なぜ俺はこの世界にやってきたのかどうすれば帰れるのか。もし追放されたら永久に分からなくなりそうだ。……こうなったらヤケだ。今朝財布を確認したらカードが数枚入っていたからどれかそれっぽい1枚を渡して注意がカードへ向いている隙に逃げよう。そうなると1番厄介になるのは黒子だが不意を突けば何とかなるだろう)

 

「ああ確か財布の中に……」

 

そう言って囮のカードを選ぶために財布を漁っていると、彼の手が止まった。彼の目に入った1枚のカード。それを取り出し固法の前に出した。固法たちはそれを見る。狙い通りにカードに注意は向いているがジョジョは逃げなかった。いやッ! 逃げる必要がなくなったのだッ! なぜならッ!

 

「確かに知らない名前の学校ですねえ」

 

学生証が入っていたからだッ!

 

「念のため調べてみるわ」

 

疑う固法は近くにあったパソコンで学生証に書かれたIDを入力する。モニターにはジョジョの顔写真、生年月日、所属の学校などがでていた。

 

「確かにこの学校の生徒で間違いないわね」

 

その後順調に話は進み、調書はとり終わった。

 

「今日はもう帰っていいわよ。明日は入学式でしょ」

 

そう言われてジョジョは第177支部を後にした。

 

 

 

 

 

帰り道ジョジョは考えていた。

 

(どういうことだ? 学生証はあったから難を逃れることはできたけど、どうしてこれがあるんだ? 学生証もそうだが固法がパソコンのモニターで確認している時に後ろからこっそり覗いてみたが確かにデータベースに俺の記録があった。つまり俺は学園都市での存在を公式に認められているということになる。だとしたら俺は何者なんだ?)

 

あれこれ思考を巡らせていたが

 

(手がかりがなさすぎるな…。考えるのは後にしよう。今はここでどうやって生活していくかを考える方が重要だ。とりあえず明日は入学式があるらしいからその準備でもしようか)

 

とりあえず現在の目的が見えたジョジョは最初にいた部屋へと帰って行った。

 

 

 

 

 

「妙ね……」

 

第177支部からの帰り道で固法が呟いた。

 

「どうかなさいましたか?」

 

「ええ、ちょっとね。さっき調書をとったあの武城譲治の事でね。」

 

「あの殿方が何か…、もしやあの方にホの字で――」

 

「そうじゃなくてッ! ……なんか怪しいんだよね」

 

「アタシが話している時は特に怪しいところはなかったのに調書をとるために名前とか聞いた途端、挙動不審になったのよ。まるで自分の事を知られるのを恐れているような」

 

「ですが、ジャッジメントのお世話になるのが初めてだったから緊張していたという可能性も……」

 

「もちろんおかしいと思ったのはそれだけじゃじゃないわよ」

 

「……と言いますと?」

 

「学生証よ」

 

「学生……証?」

 

「あなたも見たでしょう?彼が学生証を出し渋っていたのを」

 

「確かに見ましたがあれはどこにしまったかを思い出していたのでは」

 

「確かにそうもとれるわね。……話は変わるけど白井さん。普段あなた学生証はどこにしまってる?」

 

「何ですの藪から棒に。……学生証なら財布に入れてますわよ」

 

「初春さんは?」

 

「私も財布に入れていますよ」

 

「……あの固法先輩。それとさっきの話と何の関係が?」

 

「アタシの推測なんだけど、ほとんどの学生は学生証を定期入れや財布のなかに入れていると思うの。ちなみにアタシも学生証は財布の中に入れているわ。それで彼も結果的には財布の中に入っていた。」

 

「何かおかしい点でも?」

 

「普段学生証を財布の中に入れている人が学生証の提示を求められたら。真っ先に財布の中を確認するでしょ? もし見つからなかったらその時に初めてどこにしまったのかを思い出すと思うの。でも彼の場合は逆だった。考えてから学生証を見せた。まるで見られることに都合の悪いかのように」

 

「まさかその学生証が偽物だと」

 

「それはないです」

 

初春が間に割って入ってきた。

 

「どういうことですの?」

 

「固法先輩が確認した後、もう一度学生証のIDから彼のデータを調べたんですけど改ざんなどをした形跡がどこにもなかったんです」

 

「……つまりあの学生証は」

 

「正真正銘本物の学生証。したがって彼はれっきとした学園都市の人間という事になるわね」

 

「? ちょっとまってください。だとしたら」

 

「ええ、ここでもう一つの疑問。なぜ彼は本物の学生証を出すのをためらったのか。どうしてわざわざ怪しまれる行動をとったのか」

 

「確かに気になりますね」

 

「といっても推測でしかないから頭の片すみにでもおいといてね。あ、じゃあアタシはこっちだから」

 

「お疲れ様ですの」

 

「お疲れ様です」

 

3人はそれぞれの家路についた。

 

 

 

TO BE CONTINUED




最後まで読んでくれてありがとうございました。
物語が動くのはまだ先になりそうです。
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