次の日からジョジョは能力を得ようと必死に能力開発の勉強をしたが能力の「の」の字も現れなかった。しかし、黄泉川によるマラソンや組手によって少しずつ変わっきていると感じていた。彼女もジョジョの成長を実感し、
「ジャッジメントの素質があるかもしれないじゃん」
と言うほどであった。
そして約2週間後経った頃。彼は今とある銀行にいた。元々あった金銭が底を尽いてしまったのだ。どうしようか悩んでいたら学園都市の学生には奨学金が支払われていることを思い出し、銀行にやってきたのである。この奨学金はレベルの強さで額も変わる。ジョジョはレベルが0なので支給される金額も微々たるものであるが、それでも1ヶ月分の食費ぐらいはあるので最低限の生活をしていく分には困らない。
現金をおろし銀行を出ようとしたその時、
パンッと乾いた音が銀行の中に響いた。音がした方を見ると黒い格好をした男が右手をかざしていた。その手の先には黒光りする物……拳銃が握りしめられていた。
「動くな!」
男が叫ぶ。周りの人たちは最初は状況を理解していなかったが目の前の男が強盗だと分かると次第に恐怖を感じるようになった。男が銀行員にバッグを押し付けた時、突然ブザーが鳴り始め、入り口と窓のシャッターが全て降りた。カウンターにいた銀行員の誰かが防犯ブザーを押したのだ。
「テメェ、なにをしたァ!」
強盗がバッグを押し付けた銀行員の胸ぐらを掴む。
「(! チャンスだ。今アイツの注意はこっちには向いていない。一気に近づいて片付けてやる。おそらく走ってもブザーがけたたましく鳴っていているから足音には気付かない。銃を持っているけど不意を突けばいけるだろう)」
ジョジョはタイミングを見計らって強盗へと走り出した。狙い通り強盗はジョジョの接近には気付かず、気付いた時には既に目の前まで迫られていた。そしてジョジョの体当たりをくらい床へ倒れた。すかさずジョジョは落とした拳銃の弾を抜き、黄泉川に教わった抑え込みをかける。
「(よしッ! これで事件解決ッ!)」
ジョジョは強盗を取り押さえて安心していた。だが彼は気付かなかった。後ろから近付いてくる人の気配を。
ゴッ! と鈍い音を立ててジョジョは倒れた。強盗はもう1人いたのだ! 後ろから不意打ちをくらい床に倒れるジョジョ。同時に抑えていた強盗の拘束も解かれる。ジョジョを殴った男は手に警棒を持っていた。
「ったく。何てこずってんだよ」
「す、すいません…」
「謝る暇があるならさっさと金をつめろ!」
倒れていた男は立ち上がり銀行員に再び催促を始めた。
「テメェ…」
フラフラとジョジョ立ち上がり警棒を持った男を睨みつけた。
「へぇ、さっきのをくらってまだ意識があるのか」
「最初から人質のフリをしていたのか!」
「ああそうさ。本当はあいつ1人に全部やらせるつもりだったんだが、邪魔が入っちまったんでね」
やれやれと肩をすくめる。
「お前。見たところ無能力者みたいだが……」
「……それがどうした」
「俺は能力者だ。レベル3のな。レベル0のお前が俺に立ち向かったところで勝ち目は無いだろう。だからよ、そのまま横になっててくれないか? 俺だって無暗に傷つけることはしたくないさ。あ、さっきのはお前が抵抗したからやったんだぜ。大人しくしてるなら何もしない。」
「へっ、誰が強盗の言うことなんか!」
「……そうか。なら……」
男は警棒を握りしめ、
「横に寝かしてやるよ!」
ジョジョに向かって突っ込んできた。しかしジョジョは動かなかった。後頭部を殴られて意識が朦朧としていたからか! 恐怖で足がすくんでいたからか! いやッ! ジョジョは待っていたのだッ! 男が近づいてくるのを! ジョジョは黄泉川に教わった技で警棒を奪い、投げ飛ばすことに成功した。この状況を見て誰もが制圧の成功を確信していた。しかしッ!
「やれやれ」
ゆっくりと男が立ち上がった。
「ったくよぉ……。俺はなぁ、お前みたいな奴が大っ嫌いなんだよ! 能力がねえ癖にいきがる奴がよぉ! 自分は何か特別な力を持っているって考えて主人公ぶっている勘違い野郎がよおォ!」
さっきまでの余裕な表情とは打って変わって怒りの表情をあらわにしていた。
「教えてやるよ。格の違いってやつをよおォ!」
そう言って男がポケットからパチンコ玉ほどの大きさの鉄球を数個取り出してジョジョに向かって投げた。鉄球は重力に従って落ちることなくゆっくりとジョジョに向かって一直線に飛んでいく。
「(鉄球の動きが不自然だ。これが超能力か! ……だが動きが遅く回転もかかってない鉄球なんて叩き落としてやる!)」
一番近くの鉄球めがけて警棒を叩きつけた。鉄球は下に落ちると思われたが向きを変えずに直進し警棒を砕きジョジョの体に命中した。更に叩き落とすはずだった他の鉄球も容赦なく襲い掛かる。
ミシッ! とジョジョの体から音が鳴り、そのまま後ろに倒れた。命中した鉄球は更に動き続け、シャッターを貫いた。下手に踏ん張っていたら鉄球がジョジョの体を貫いていただろう。
「ガッ…ハッ……」
のたうちまわるジョジョ。鉄球は胸に2発、右足に1発喰らっていた。
「これが格の違いってヤツだ」
倒れているジョジョに男は歩み寄る。男は勝ち誇っていた。そして立ち上がろうとするジョジョに蹴りを入れ、更に追い打ちをかける。
「テメエらみてえな無能者は俺みたいな能力者の下で這いつくばっているのがお似合いなんだよ。ちょうど今みたいにな!」
男に蹴り続けられる中でジョジョは後悔していた。警棒を奪ったときに勝ち誇らなければよかったと。あの時すぐに動けないようにしておくべきだったと。
「さて、そろそろ止めといきますか。殺しはしないが……能力者にはむかったことを後悔させてやんよ」
男が再びポケットから鉄球を取り出しジョジョに向けて放とうとしたその時
轟音とともに破れたシャッターの穴から電撃のようなもの流れ込み、鉄球を放とうとした男を貫いた。鉄球を放とうとした男は黒こげになりその場に倒れた。そしてそれを見た相棒の男はすっかり腰を抜かしていた。
ジョジョは薄れゆく意識の中でシャッターの外に立っていた人間を確認した。茶色いショートカットの髪に灰色のスカート、白のブラウスその上にサマーセーターの恰好。見えたのは一瞬だったが誰がやったのかはすぐに理解できた。
「(……ビリビリ……か………)」
そのままジョジョの意識は途切れた。
TO BE CONTINUED
ご精読ありがとうございました。