とある少年の波紋疾走   作:イヌガミケ

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第8話「力」

「ったく訳分かんねえ。こっちは自分の身を護っただけなのにどうして怒られなきゃいけないんだ」

 

ツェペリが出て行った翌日。ジョジョは学校で黄泉川に呼び出された。ひょっとしなくても前日の事件のことでだ。やられた不良たちが担任に泣きついたらしい。そのことで小一時間こってりと説教を喰らった。今はその説教から解放された後の帰り道である。

 

「あああ~もう何なんだよ。そもそも先にケンカ吹っかけてきたのはアイツらだっつーの。向かってくるやつをやっつけて何が悪いんだ。黄泉川も黄泉川だが気に食わねえのはあいつらだ。周りよりちょっと優れているだけで相手を見下して教師や上の者には媚を売り、下の者には威張り散らす。典型的なクズじゃないかクソッ!」

 

 悪態をつきながら歩いていた。その鬱憤を晴らすために近くに落ちていた缶を思いっきり蹴り飛ばした。缶は宙を舞い落ちようとした時、曲がり角からツンツン頭の少年が飛び出してきた。ジョジョが声をかけるひまもなく缶は少年の脳天に見事にヒットした。

 

「か、上条……大丈夫?」

 

「ん? ああジョジョか。上条さんはこういうのは日常茶飯事だからね。心配ないよハハハ……」

 

 どうやらジョジョが蹴った缶だとは気付いていないらしい。彼はそのまま黙っていることにした。

 

「おっとこんなことしている場合じゃない!」

 

「? 急いでいるのか」

 

「今日は特売で卵お一人様1パック1円。貧乏学生の上条さんにとって貴重なタンパク源が1円で手に入るチャンスなのですよ」

 

「ああそれなら俺も行くよ」

 

 とにかく鬱憤を晴らしたかった。上条に愚痴って少しでも気分を紛らせたかった。そう考えていたジョジョに対し、上条は悲しそうな表情をジョジョに向けていた。ジョジョの考えを見抜いていたからではない。俺も行く。そのワードに上条は反応していたのだ。

 

「い、いや残り1パックとかだったら譲るから。そこまで生活がヤバいわけじゃないし」

 

 涙目の上条を説得し2人でスーパーへ向かった。

 

 

 

 

 

「へえ。昨日そんなことがあったのか」

 

「それで今日担任に呼び出されてさ、説教喰らったんだよ。俺は何も悪い事してないのにどうして怒られなきゃいけないっての」

 

「……なあ武城」

 

 上条が何か言おうとした時、

 

「離してください!」

 

「いいじゃねえかよ。俺たちと遊ぼうぜ~」

 

 路地裏で4人の男に絡まれている子を見つけた。その光景はジョジョがおよそ1ヶ月半ほど前に見たあの光景と同じだった。あの時は返り討ちに遭ったが今ならやっつけることができるかもしれない。ついでにこのストレスも発散させようと考えていた。

 

「なあジョジョ。お前、ケンカは強い方か?」

 

「えっ、ま、まあ」

 

 急に上条に話しかけられ少しどもったが答えた。

 

「オッケー、それじゃああの子を助けるぞ………おい! お前たち! その子が嫌がってるじゃないか! 離してやれ!」

 

「あぁ? 何だテメェは?」

 

「『離せ』って、このご時世で正義の味方気取りですかぁ~?」

 

「ケガしたくなかったらとっとと帰りな」

 

 ケラケラ笑う不良。だが上条とジョジョは不良たちの警告を無視して近づく。

 

「どうやらケガしてえみてえだな。おいお前らやっちまいな」

 

 リーダーと思われる男が命令する。それを受けて3人の不良が襲い掛かる。上条は最初に襲い掛かってきた不良のパンチをかわし腹にパンチをいれ、うずくまったところへ顔面にパンチをいれる。顎に拳を入れられた1人目の不良はその場に倒れた。ジョジョは足に力を入れとび蹴りを繰り出す。予想外の蹴りに2人目の不良は対応できずに吹っ飛ばされ、地面に頭を打ちそのまま動かなくなった。3人目の不良は飛ばされた仲間で怯んだところにジョジョの顔面パンチ喰らい倒れた。

 

 さっきまで余裕な態度をとっていたリーダー格の男は予想外の状況に慌てて傍にいた女の子を羽交い絞めにし、ナイフを突きつけた。

 

「ひい! く、来るな」

 

 手下の3人があっという間に倒されて動揺しているのか声が上ずっている。

 

「テメエ、ナンパしようとした子を人質にする気か」

 

「うるせえ! お、俺は学園都市で最強になる男だ。1番強ェ人間になって全てを手に入れるんだよ!」

 

 追いつめられて三下みたいに喚き始めた。それを見て上条はやれやれと肩をすくめる。

 

「やれやれ。学園都市最強を目指すお方が人質をとらないと戦えないとはね~」

 

「何っ?!」

 

「強い奴ってのはそんなことしなくても戦えるんだぜ。それにさっきの言葉とか絵に描いたような雑魚キャラみたいだったぞ」

 

「テメェ…」

 

「お? 怒ったか? 悔しかったら1対1で俺と勝負しろ。まぁお前は誰かとつるんだり人質を取らないと何もできないような臆病者だからそんなことできねえだろうが」

 

 あまりにも安っぽい挑発だった。だが追いつめられていたコイツには効果的だったのだろう。

 

「な、ナメやがってェェ!」

 

 女の子を突き飛ばし上条へ向かってくる。

 

「何が学園都市最強を目指すだ。力を自分の事にしか使わねえ奴に、人のために力を使うことができねえやつに上に立つ資格なんてねえ。資格なんてねえ。もし力を自分のためだけに使って何でも思い通りになるって思っているなら」

 

「死ねェェ!」

 

「そんな幻想をぶち殺す!」

 

 不良の顔面にパンチが入り数メートル吹っ飛ばされる。

 

 不良たちを全員倒した後、上条は倒れ込んでいる少女に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい」

 

 少女を介抱していると上条にやられた最初の不良が近くに落ちていた鉄パイプを拾い、上条に襲い掛かろうとしていた。

 

「あ、危ない!」

 

「!」

 

 女の子が気付いて上条が振り向いたが遅かった。

 

「死ねぇ!」

 

 上条は庇うために女の子に覆いかぶさった。そして彼に向かって鉄パイプが振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

TO BE CONTINUED

 

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