【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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去年の10月の活動報告に書いたありふれss、ついに開始。

……ネタの構想はあったんです。本当に。
ただ色々ss読んだり違うss書いていたらいつの間にかこんな時期になっただけなんです。




奥義0 物語が始まるちょっと前の話

 西暦300X年、地球はマルハーゲ帝国が支配していた。

 マルハーゲ帝国皇帝、ツル・ツルリーナ4世は支配の象徴として、国民の新鮮な毛を直で抜く毛刈りを行っていた。

 そんな暴政に他の国は対抗できず、ただ苦しめられるばかりだった。

 しかし、闇あれば光あり。悪のマルハーゲ帝国に立ち向かう救世主が居た。

 その名はボボボーボ・ボーボボ。

 彼は仲間達と共に幾多の激闘を経て、マルハーゲ帝国を壊滅させた。

 しかし一年後。なんやかんやで蘇っていたツル・ツルリーナ3世が新たな帝国ネオ・マルハーゲ帝国を建国。またも暴政で人々を苦しめるも、ボーボボ達がまあ色々戦って壊滅。

 その後、ピーマンと手を組んだツルリーナ4世が今度は宇宙に帝国を造るも、よく分からない内に壊滅。

そこから数年後に、この物語は始まる。

(※注意:このSSにボーボボの出番はほぼありません)

 

「何故じゃあああああああ!!」

 

 金髪アフロでグラサンの大男、件のボーボボが叫んでいる。が、彼の出番は無いったら無い。

 

「何故じゃああああああああああああああああああああ!!!」

 

 はい、無視してはじめまーす。

 

 


 

 

 とある冬の昼下がり、少女は困っていた。

 少女の名前は白崎香織、中学二年生の女子だ。後に進学する高校では女神と称されるほどの美少女だが、今はその顔を曇らせていた。

 その理由は彼女の視線の先にある。

 

「おいコラクソガキィ! てめぇ何してくれてんだ!?」

「べっちょりついてるじゃねえか!? クリーニング代出せや、おお!?」

「オウッ! オウッ!」

 

 三人組の不良(尚その内一匹はオットセイ)が小さな男の子とお婆さんに絡んでいるのだ。

 原因は男の子の不注意で持っていたたこ焼きをべっとりと付けてしまったのだ。

 男の子は泣きわめき、お婆さんは穏便に済ませようと財布からお札を数枚出すが、不良達の怒りは収まらない。

 

「そんなはした金じゃ足りねえなぁ!?」

「オウッ!」

「財布ごとよこせオラァ!」

 

 札数枚だけじゃ飽き足らず、お婆さんの財布ごと奪おうとする不良達。

 しかしその時

 

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 

 咆哮が、その場の空気を切り裂く。

 声のする方へ香織と不良達が目を向けるとそこには

 

「僕は風だ。風になるんだ……!」

 

 リアカーを引きながら疾走する少年と

 

「そうだハジメ、お前は風になれる!」

「その果てがお前の求める世界だ!」

 

 リアカーに乗った青いプルプルした何かと、オレンジ色の太陽に手足と顔がついた何かだった。

 

(何あれ!?)

「おいハジメ、あれ見ろ!」

「どうしたの首領パッチ?」

 

 香織の内心を差し置いて、首領パッチはハジメに声を掛ける。そこには異様な光景を見て固まる不良達の姿が。

 それを見たハジメは疾走を止める。

 そして

 

「ボボボーボ・ボーボボ、ブルーレイボックス絶賛発売中!!」

 

 さっきまで引いていたリアカーを不良達にむかって思いっきりぶん投げた。

 

「「「「「ぎゃあああああああああ!!」」」」」

(えぇ――――――――っ!?)

 

 いきなり攻撃を喰らい、倒れ伏す不良達とリアカーに乗っていた首領パッチ達。

 しかし次の瞬間、オットセイは起き上がり何を思ったのか、リアカーに乗っていた青いプルプルをモグモグと食べ始めた。

 

「う、嬉しい……。このところてん歴40年近い、俺ことところ天の助をついに食べてくれる人が……!」

 

 そして天の助は感極まって泣いていた。

 

「ゲロマズッ!」

 

 だがオットセイはあっさり吐き出した。

 

「このクソカスがァ――――ッ!!」

 

 その言葉を聞いた天の助は怒りに身を任せ、オットセイを魔剣大根ブレードで叩きのめす。

 

「よくも兄貴を!」

(オットセイが兄貴なの!?)

 

 それを見た不良の内一人が、懐からスパゲッティの麺の束を取り出し殴り掛かる。

 

「おっと、そうはいかねえぜ」

 

 だが不良の攻撃を首領パッチは、ドンパッチソードことネギでガキィンという金属音を響かせながら受け止める。そしてギギギという軋む音を鳴らしながらネギとスパゲッティで鍔迫り合いを始めた。

 

(金属音!? 鍔迫り合い!? ネギとスパゲッティで!?)

 

 香織の内心でのツッコミが止まらないが、世界は彼女に容赦などしない。

 

「くそ、あのオレンジ野郎!」

「そうはいかない。お前の相手は僕だ」

 

 首領パッチと鍔迫り合いを繰り広げる不良を助けようと、もう一人の不良が動こうとするがその前にハジメが立ちはだかる。

 

「おもしれえ。だったら不良殺法、ナイフ拳を喰らえ!」

 

 懐からナイフを取り出し、ギラリと光らせながらナイフを舐める不良。

 しかし

 

「遅いよ」

 

 不良が動くより前に地面から触手が生え、不良を拘束した。

 

「納豆真拳奥義、触手。この奥義は触手を生み出し、自在に操ることが出来る」

「何だと、てめえ真拳使いだったのか!?」

(いや、納豆と触手なんの関係も無いじゃん!?)

「そうだ。そしてこれがお前へのとどめ!」

 

 ハジメは手からパック入り納豆を出現させ、飛びかかって納豆を不良の顔面に叩きつけた。

 すると

 

「納豆真拳奥義、BBB(ビーン・バーン・ブロージョン)!!」

(英語間違ってるよ! 最後はBじゃなくてPだよ!!)

 

 納豆が爆発し、不良が吹き飛ばされた。

 その不良はそのまま首領パッチともう一人の不良、そして未だにオットセイを痛めつけていた天の助に激突し、全員をなぎ倒した。

 その場に立っているのは、この戦いの見物客を除けばハジメ一人。すなわち

 

「僕の勝ちだ!」

 

 勝利宣言をしたハジメは、絡まれていた男の子とお婆さんを慰める。やがて男の子が泣き止み、お婆さんと去っていく。

 その姿を見ながら、ハジメは放置し、倒れていたリアカーを起こす。と同時に首領パッチと天の助も起き上がっていた。

 

「あ、起きたの二人とも? なら帰るよ」

「「その前に制裁じゃあ!!」」

「グバァ!?」

 

 起きた二人はハジメに跳び蹴りを喰らわせた。

 

「何一人で勝利宣言してんだテメ―!!」

「何度もオレらを巻き込むんじゃね――!!」

 

 そのままハジメをボコボコにする二人。

 それを見ていた香織は

 

(あれが、真拳使い……)

 

 と間違った認識を持った。

 実際にはハジメは真拳使いでもありハジケリストでもあるのだが、それを香織が知るのはもう少し先の話。

 物語の開始まで、あと二年ちょっと。

 

 


 

 

 春の陽気で暖かいとある高校の入学初日。入学式を終えて教室に集まり自己紹介を始めたあたり。

 少女、八重樫雫の心にあったのは高校に入学した事によるちょっとした高揚感と、ほんのちょっとの不安だった。

 その不安の原因は今自己紹介をしているこの男。

 

「南雲ハジメ。ハジケリストと真拳使いを兼任してるので、ハジケ勝負したい方は気軽に声をかけてください。あ、趣味はゲームとアニメ鑑賞なんで、そっちの事でもいいです」

 

 ハジメが語った内容にある。

 ハジケリスト。人生かけてハジケまくる馬鹿、焼き肉の種類、カップ焼きそばのかやくの一種など色々な説のあるよく分からない奴ら。雫も存在は知っていたが会うのは初めてである。

 正直興味がある。八重樫流と剣術道場の娘として、ハジメという意味不明な強者に彼女は強い興味があるのだ。

 断っておくが、別に戦いたいという訳では無い。八重樫雫は戦闘狂に非ず。あくまでどうしてそんな力があるのかに興味があるのだ。

 声を掛けたい。が、ハジケリストじゃない自分がハジケ勝負を挑めるわけもない。更に言うならゲームもアニメも見ない雫が話しかけるには、ちょっと話題に困った。

 雫がそうして悩んでいると、いつの間にか自己紹介も終わったのか、身長百四十センチ位の少女が件のハジメに話しかけていた。

 

「南雲君」

「何? 今季アニメのオススメは鬼○の刃だけど」

「いやそっちじゃなくて。鈴もハジケリストなんだ、勝負しようよ」

「いいよ」

 

 鈴に勝負を挑まれたハジメは不敵な笑みで了承する。

 その言葉と同時に教室の窓がいきなり開き、外から天使の様な白い翼を生やし、スーツを着たおっさんが五人、教室に入ってきた。

 

「……審査員かな?」

「そうだよ!」

「いやどう見ても不審者でしょ!?」

 

 雫は思わずツッコミを入れるが、ハジメ達は無視して話を進める。

 

「ルールはシンプルに、よりハジケた方が勝ちでいいかな?」

「僕はそれでいいよ」

「じゃあ鈴から!」

 

 鈴が開始を宣言すると、彼女は一番近くにあった机の中に手を入れてシャンデリアを引っ張り出す。

 

「シャンデリア~、シャンデリア~!」

 

 それを叫びながら振り回し始める鈴。

 

「シャングリラ~、シャングリラ~!!」

 

 そしてシャンデリアを担いで走り始める鈴。最後には

 

「シャングリラ・フロンティア!!!」

 

 教室の天井にシャンデリアを投げ飛ばし、新しい照明を設置した。

 

「どう!?」

 

 ハジケ終わると同時におっさんに結果を求める鈴。

 おっさん達はすぐに結果を出した。

 

「しめ鯖」「しめ鯖」「しめ鯖」「しめ鯖」「しめ鯖」

「やった!」

「いい結果なのこれ!?」

 

 おっさん達の出した結果に喜ぶ鈴。だが(じょうじん)には理解不能だった。

 しかし

 

「しめ鯖一致で満足するなんて。You still have lots more to work on(まだまだだね)……」

「な、何だって!?」

「何で英語なの」

「次は僕の番だ!」

 

 今度はハジメが開始の宣言をし、即座にパック入り納豆を両手に呼びだす。

 するとその2つの納豆の中からそれぞれ、小さなナイフが踊りながら現れた。

 

「今夜はオールナイト!」

「聞いてくれ。俺達のカバーソング、わくわく動物ランドⅡを」

「オウ、イェーイ!!」

 

 そしてなぜかオール宣言。これにハジメもノリノリだ。

 

「「タカサルイヌキジゾウブタイノシシ」」

「ミジ!」「ンコ!!」

「Foooooo!!」

 

 ナイフ達の歌に合わせて踊るハジメ。しかしここで彼はある事に気付いた。それは

 

「納豆両手に持つと踊りにくい!!」

「でしょうね」

 

 踊りにくかった。ので持っていた納豆を両方ともおっさんに投げつけて、ハジメはハジケ終えることにした。

 そしておっさんたちは結果を出した。

 

「鰹節」「鰹節」「鰹節」「くたばれ、ブリキ野郎!」「鰹節」

「1人は最低評価だけど、後は全員満点……」

「あ、あのくたばれブリキ野郎って最低点なのね」

「つまりこの勝負、鈴の負けだよ……ガハッ」

 

 ハジケ勝負はハジメが勝った。

 敗北のショックで、鈴は吐血した。すごく、吐血したい気分だった。

 それを見た雫は慌てる。

 

「ちょっと、大丈夫なの!?」

「ハジケリストだし大丈夫でしょ」

「どういう理屈!?」

 

 ハジメの言葉をガン無視して、鈴の介抱を始める雫。

 一方、無視されたハジメは優しい子なんだな、とちょっと感心していた。

 

 

 この日、八重樫雫は谷口鈴と友達になった。

 物語開始まで、後一年ちょっと。

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