【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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そう言えばこのパロはやってなかったな、という話


奥義101 妹が作った痛い二次小説『どきどき☆お嬢様のお金稼ぎ大作戦』

「格の違いを見せてやるだって……?」

 

 鈴パッチの助の言葉に静かな憤怒を以て応える恵理。

 彼女は地面に両手を叩きつけたかと思うと、即座に地中から大量の動く死体が現れ、地表を覆う勢いで鈴パッチの助の眼前を埋め尽くす。

 更に恵理は偽物作成(リューゲ・マッヘン)拡張(エアヴァイテルング)で大量の武器を作り、それぞれの死体に持たせる。

 これぞ降霊術+偽装闇拳の複合技。大量の兵力を用意し、更に大量の武器を持たせるという酷くシンプルで、それでいて中々破るのは難しい戦法だ。

 

「だったらやってみせなよ! この物量相手にさぁ!!」

 

 そう思っているのか、恵理は鈴パッチの助をあざ笑いながら、得意気な態度で挑発する。

 

「はぁ……」

 

 対する鈴パッチの助はつまらなさそうに息を吐き、直後に指をパチン! と鳴らした。

 すると、どこからともなく恵理が呼び出した死体と同数程度の執事が現れ、死体の群れをオーラやエネルギー波で蹂躙していく。

 

「執事の戦い方が予想外!!」

 

 まさかの戦法に驚く蹴りウサギ。

 一方、恵理は苦虫を嚙み潰したような表情で鈴パッチの助を睨むも、当の彼女はどこ吹く風だ。

 

「だったらこれはどうだ!! ボクの最強技を受けてみろ!!」

 

 すると、今度は恵理が宙高く跳び上がり、そこで奥義を発動する。

 

「偽装闇拳究極奥義、偽物作成(リューゲ・マッヘン)・――」

 

 恵理が宙に右手の人差し指を掲げると空に巨大な岩が現れ、箒のように尾を引き、地上へと落ちてくる。

 この岩を人は一般的にこういうだろう。

 

「――流星(メテオーア)!!」

 

 恵理が作り出した偽物の流星は、一直線に鈴パッチの助に向かう。

 対する鈴パッチの助は、いつの間にか傅いていたメイドから一本の武器を受け取った。

 

「聖魔究極支配斧、ラケットアックス」

「テニスのラケットじゃねーか!!」

「そんなもので!!」

 

 驚く蹴りウサギと対照的に、恵理は怯むことなく鈴パッチの助に見る。

 対する鈴パッチの助は、ラケットを鞘に納まっている刀のように腰の位置まで持っていった後、奥義を発動する。

 

「お嬢様真拳奥義、腑流素印具(フルスイング)!!」

「とんでもない当て字が飛んできたぞ!?」

 

 鈴パッチの助が居合抜きの要領を以て全力でラケットアックスを振るうと、流星は原子核の一つ一つに至るまでバラバラに切り裂かれ、完全に消滅を遂げた。

 

「どういう仕組みで!?」

「さてと」

 

 ラケットの一振りで流星を消滅させた鈴パッチの助は、恵理を一瞥して話しかける。

 

「お望み通り、格の違いを見せてさしあげましたが」

「あ……あぁ……!?」

 

 鈴パッチの助の態度に怯えるしかできない恵理。

 さっきの究極奥義は間違いなく、彼女が出せる最大威力の技だったのに、それを事も無げに破られたのだ。

 こんなはずじゃなかったのに。

 仕えたくもない神に下って、人間であることを捨てたのに。

 それでもボーボボはおろか、その仲間二人にすら太刀打ちできないなんて。

 

「うわあああああああああ!!」

 

 だとしても、諦める訳にはいかない。

 恵理は聖剣の偽物を作り出し、鈴パッチの助へと斬りかかっていく。

 これが無謀であることは誰の目にも明らか。しかし、恵理に戦わないという選択肢は存在しない。彼女が選んだ道は、決して軽々と捨てられるものではない。

 

「最後まで諦めないその意気やよし。ならばわたくしも、全身全霊で応えてさしあげますわ! お嬢様真拳究極奥義、どきどき☆お嬢様のお金稼ぎ大作戦!!」

 

 鈴パッチの助が究極奥義を発動すると、辺りの景色が切り替わる。

 そう。これは領域支配系奥義なのだ。

 

 

 

 

 

どきどき☆ 

 

   お嬢様のお金稼ぎ大作戦

 

 

 

お嬢様開始

 お嬢様終了

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 ここはよくある剣と魔法のファンタジー世界。

 そしてここは埼玉県川越市。

 物語はここから始まる。

 

「ふふふ。やっぱりVtuberプリン君の配信は最高ですわ~!」

 

 川越のどこかにある東京ドーム十個分の広さを誇る豪邸の一室にて、鈴パッチの助は自室のベッドに寝転がりながら、推しのVtuberの配信をだらだら見ていた。

 Vtuberプリンとは、アバターがデザートのプリンであることと、ダンティボイスが売りの男性Vtuberである。

 過去には抱き枕カバーが畑で栽培されたこともある*1ほどに、女性人気が高いのが特徴だ。

 

「おっと、スパチャを投げないといけませんわ。そうですわね……」

 

 ここで鈴パッチの助はスパチャの額に一瞬悩むも、直ぐに決断した。

 

「五千万円投げますわ!!」

 

鈴パッチの助

    ¥50000000

いつも最高でございますわ~!!

 

「これでよしですわ!!」

 

 スパチャを投げた満足した鈴パッチの助は、その後配信終了まで見終わると同時にそのまま就寝した。

 そして翌日、彼女は父親に呼び出されていた。

 

「さて、鈴パッチの助や。呼び出された理由は分かっておるな?」

「全く心当たりありませんわ」

 

 父親の問い詰めを素知らぬ顔で躱す鈴パッチの助。

 これは誤魔化しているのではなく、本気で思い当たる節がないのだ。

 そんな彼女に、父は怒り狂いながら理由を叫んだ。

 

「貴様が、スパチャとやらに一日で五千万円も無駄遣いしたからだああああああああ!!」

「む、無駄遣いですってえええええええええええええええええええええええええええ!?」

 

 父の言葉に心底驚く鈴パッチの助。

 彼女にとって、あのスパチャは無駄遣いなどでは決してない。

 しかし、父の怒りは収まらず、そのままの勢いで襲い掛かった!

 

 

鈴パッチの助父が襲い掛かってきた!

鈴パッチの助父の攻撃! 正拳突き!!

鈴パッチの助は145689751252157452455697541355メートル吹き飛ばされた!

恵理は526352884157086354158756326820メートル吹き飛ばされた!

 

鈴パッチの助は敗北した……

 

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 父の正拳突きを受け、すさまじい勢いでビルや家の壁、山をも貫き吹き飛ばされ続ける鈴パッチの助。

 それほどの攻撃を受けても、いずれは勢いが落ちて止まるのが摂理。

 彼女は気づけば、どこかのコンビニの壁に叩きつけられ、ようやく地上に復帰した。

 

「許しませんわお父様……ってあら?」

 

 鈴パッチの助視点では理不尽な暴力に対し、必ず仕返ししてやると心で誓う彼女。

 しかしここで彼女は、いつの間にか懐にしまわれた手紙を発見したので、早速読むことにする。そこにはこうあった。

 

『鈴パッチの助へ。

 お前は勘当だ。手段は問わないが五千万円稼いでくるか、私を超える力を修行で手に入れるかしない限り帰ってくるな!!

父より』

「か、勘当ですってえええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 仕方ありませんわね。ここはアルバイトで稼ぐことにいたしますわ」

 

 恐るべき決断力で思考を切り替えた鈴パッチの助はバイトを探す為、スマホを起動し検索する。

 それから五秒後、こんなバイト求人を見つけた。

 

『株式会社KOROSHIYA。現在殺し屋募集中。未経験者歓迎。殺る気さえあればどんな人材でも雇います。ウチのモットーは「殺して楽してガッポガッポ」です』

「これですわ!!」

 

 どう考えても怪しい上に求人のやる気もなかったが、とにもかくにも早速連絡し、翌日面接をすることとなった。

 そして翌日。面接官は強面でサングラスをかけた、まさしく歴戦の殺し屋と言わんばかりのオーラを放つ、四十代ほどの男だった。この会社の社長である。

 社長は早速鈴パッチの助に質問した。

 

「ワイが問うのは二つだけや。一つ目はズバリ、殺しの経験や。あるんか?」

「ありませんわ!!」

「ほ、ほんまに未経験者が来たやてえええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ええ度胸や」

 

 社長は驚くも、すぐに未経験ながらこの業界に飛び込んでくる鈴パッチの助の度胸を評価した。

 続いて彼はもう一つ問う。

 

「それで、ウチの会社を選んだ理由はなんや?」

「御社のモットーに共感したからですわ!!」

 

 鈴パッチの助の迷いない返答に、社長はまんざらでもない笑みを浮かべながら続けてこう言った。

 

「ええやろ、あれ?」

「最高ですわ!!」

「よっしゃ! 採用や!! 早速今日から仕事してもらうで!!」

 

 そう言って社長は懐から一枚の人相書きを取り出し、鈴パッチの助に見せる。

 そこにはバーコードハゲでしょぼくれた雰囲気をした、五十手前のオッサンの顔写真があった。

 

「新入りに始末して欲しいのは、この男や。名前は矢鱈喪手流(やたらもてる)

「この方を? なぜです?」

「ああ、こいつのナリはこんなだが、配信者? とかいう職業で女性人気を持っているらしくてな。そいつを利用してファンの女を食い漁った挙句、場合によっては金を集ったりしているらしい」

「面白いクズですわね。どんな無様な命乞いが聞けるか楽しみですわ」

 

 ターゲットの情報を聞き、殺意を滾らせる鈴パッチの助。

 そのままの勢いで殺しに行きそうな彼女に、社長はそっとある大砲を手渡した。

 

「これはンゴエャッヨ砲。アメリカ軍をも上回る地上最強の兵器にして、ウチの支給武器や」

「ふむ」

 

 ンゴエャッヨ砲を右手に装備した鈴パッチの助はそれを一瞥すると、満足気な笑みを浮かべ、人相書きに書かれていたターゲットの住所へと向かう。

 そして一時間後、彼女はあっさりと目的地に到着した。

 目の前に広がるのは、東京ドーム五個分の広さを誇る大豪邸。しかし、彼女からすればここは実家より狭い、なんてことのないただの家だった。

 

 ピンポーン

 

 とりあえず家のインターフォンを鳴らす鈴パッチの助。彼女の辞書に作戦だとか潜入だとか、そんな言葉は存在しなかった。

 

『どちら様でしょうか?』

 

 中からインターフォンごしに応対してきたのは、声からすると十代の女性だった。鈴パッチの助は単刀直入に用件を言う。

 

「ここの主を殺しに来ましたわ」

『本当ですか!? ではどうぞこちらへ!!』

 

 中の人に歓迎され、あっさりと豪邸のエントランスに入る鈴パッチの助。

 そこで待ち受けていたのは、様々な年齢層の女性の集団と、その中心に佇む一人の男だった。

 男は人相書きにあった顔写真と同じ顔であり、彼が殺しのターゲット、矢鱈喪手流であることは一目瞭然だ。

 喪手流は鈴パッチの助に話しかけた。

 

「クックックッ……随分と可愛い子が来たもんだ。どうだい? 殺し屋なんてやめて、僕のハーレムに加わらないかい?」

「面白い命乞いですわね。一刻も早く消し飛ばされたいと見えますわ」

 

 喪手流の言葉を一蹴し、迷うことなくンゴエャッヨ砲を彼に向けて構える鈴パッチの助。

 しかし、彼の次の言葉に彼女は酷く動揺することとなる。

 

「いいのかい? 僕を殺せば次の配信が視聴できなくなるよ? この僕こと、Vtuberプリン君の配信をね!!」

「な、なんですって……!?」

 

 なんと、喪手流の正体はプリン君の中の人だったのだ。これにはさしもの鈴パッチの助もショックを隠せない。

 なにせ、ずっと推してきた相手が女ファンを喰うクズ男だったのだから。

 しかし彼女は何かを決意したような強い目をすると、毅然と目の前のターゲットを睨む。

 

「あなたが私の最推しであるプリン君であるというなら……」

 

 そして鈴パッチの助はンゴエャッヨ砲の引き金に手を掛け、宣言した。

 

「推しの汚らわしい姿など見たくありません!! 思い出の中で、じっとしていただきますわ!!」

 

 

鈴パッチの助はンゴエャッヨ砲を発射した!

喪手流のファンは999602567485000人吹き飛ばされた!!

 

 

「そ、そんな……僕の肉壁(ファン)達が……!?」

「これで終わりですわ!!」

 

 

鈴パッチの助はンゴエャッヨ砲を発射した!

喪手流を102547AC6975554BB箇所骨折させた!!

喪手流は生命活動を停止……死んだのだ。

余波で恵理に9999のダメージ!

恵理は気絶した!!

 

 

 そしてその日の夕方。鈴パッチの助は夕焼けが見える崖の上で、一人佇んでいた。

 

「お金とは……考えて使わなければならないのですね……」

 

 彼女が得た教訓は、お金の使い方であった。

 物事には裏表がある。無論、表が綺麗だからと言って裏が汚いと決まっているわけではない。しかし、同時にその可能性も考えなければならないのだ。

 あなたが手に持つそのお金は決して、どこからから無数に生えてくるものではないのだから。

 

 

どきどき☆お嬢様のお金稼ぎ大作戦 終わり

 

 


 

 

 ボンッ

 

 奥義が終わり、元の世界に戻ったと同時に融合は解除され、三人は元の姿に戻った。

 しかし鈴だけが顔に脂汗を浮かべ、やたらと疲弊した姿を見せる。同じく融合していた首領パッチと天の助には何も起きていない。

 これはシンプルに、体力と身体能力の問題だ。

 前提として、融合戦士になると素材となった者は体力を消費する。それは二人でもそうであり、三人が融合するとなれば更に負担は大きくなる。ハジメやユエが融合解除されても平常を保っているのは、彼らのスペックが高いからだ。

 そしてずっと戦いずくめだった首領パッチや天の助と違い、鈴はトータスに来るまで戦いを生業としたことがない。故に、いくらエターナルで多少修業しても歴戦の戦士にはかなわないのだ。

 なので彼女は疲弊し、今や片膝を地面について息切れしている。

 

「ハァハァ……鈴はエリリンと一緒に後で来るから、先にエヒトの所行っててよ」

「その程度の戦闘力では今のエヒトを相手にはなれないぜ! 砂漠と化していくこの世界の中心で、お前の墓を建ててやる!!」

「まだまだ弱え癖に頑張りやがってよ。今宵の月の様に」

(なに言ってんだこいつら)

 

 疲れ切り、自らを置いて行かせようとする鈴に対し、天の助と首領パッチの二人は迷いなく頷き、この場を去っていく。

 一方、蹴りウサギは流石に見捨てるのも後味が悪いので一匹残り、倒れている恵理と鈴の様子を見ることにした。

 これにて3バカvs恵理の戦い、決着!

 

「ところでお前ら、ハジメのいる場所分かんのか?」

「ハジータの気を感じる……なんて気だ。オラワクワクしてきたぞ!」

*1
奥義51参照

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