ビルが立ち並ぶオフィス街であるここは、ハジメが作り出した世界
ここにいるのはエヒトを除けばハジケリストのみ。
この街の中心でハジメは、両手を大きく万歳して意気揚々と叫ぶ。
「さあ、これが最後の
とてもいい笑顔で皆に呼びかけるハジメ。
しかし誰も返答をくれなかった。
「このダラズが!!」
「!?」
とりあえず手近にいたエヒトを殴り飛ばしながら、他の皆はどうしているのかを探すハジメ。
「Zzz……」
するとすぐにぬのパジャマを着て、布団に入って寝ている天の助の姿を見つける。
「おっしゃあ! 激レアモンスターところ天の助撃破するぜ!!」
直後、ハジメの横を首領パッチが、天の助目指して駆け抜けていく。しかし――
「テスタメント!!」
「ぐはっ!?」
ティオが横からタックルで首領パッチを止める。
その横では、いつの間にか鈴が天の助に向けて毛を逆立てながら威嚇をしていた。
「フシュールルルル!!」
「だったら、こいつを取って来い!!」
そんな鈴を見て、ハジメは首領パッチのトゲを一本引き抜いたかと思うと、叫びながら全力で投げた。
「分かったニャイ――――ン!!」
即座に跳び上がってトゲを追い掛けようとする鈴。だがその前に――
「甘えるな――――――――!!」
「「へぶっ!?」」
ハジメは鈴と天の助にラリアットを喰らわせた。
そこに首領パッチがタクシーに乗ってやって来た。
「ヘイピザラーメンお待ち!!」
「「ぎゃあ!?」」
エヒトとハジメを轢きながら。
そんなことには構わず首領パッチはタクシーから降り、持ってきたピザラーメン*1をハジメ達に振る舞う。
「ぷるぷる……僕悪いピザラーメンじゃないよ……」
しかし当のピザラーメンは食べられ、自らの生が終わることに恐怖していた。
「森へお帰り……」
「ひゃっふー! あざーす!!」
怯えるピザラーメンに優しくするティオだが、当人はその言葉を聞いたと同時にジャイロ回転でこの場を去っていった。
「ジェットのせいで歯車がズレたか……」
消えていくピザラーメンを見ながら呟く天の助。
その横では、逃げた食料を名残惜しそうに見つつ、茫然とした首領パッチが口を大きくあけながらこう思った。
(腹が、減った)
ポン
ポン
ポ ー ン
「がはっ!?」
一方、ここまでロクにハジケについてこれていないエヒトだが、特に何もされていないのに唐突に血を吐く。
「な、何だこれは……!? 何故我が血を吐いている!?」
「それはこの世界の効果さ」
戸惑うエヒトに対し、ハジメは得意気な笑みを浮かべて説明を始めた。
「ここは僕が作り出した精神を解放させる世界。その為に原点に回帰してもらうことになってるんだけど――」
ここでハジメはエヒトを一瞬横目で見たかと思うと、すぐに目を伏せてまた話を再開する。
「――体に別人の魂が乗り移っている状態を、原点なんていうわけないよね?」
「き、貴様……」
「ましてや前回の攻防で、お前の体にユエが残っていることは分かっている。だったら、取り戻せるってことなんだよ! 僕からすればさぁ!!」
「貴様あああああああああああああああああああ!!」
エヒトの余裕などない、憎悪のみが乗った叫びが辺りにこだまする。だがハジメは意にも介さない。
それどころかさらなる怒りを冷たく籠めて、エヒトに強く言い放った。
「怒った? だけどこっちはこんなものじゃない……まだ怒り足りないぜ!!」
「警部殿警部殿」
怒るハジメに対し、心持ちテンション高めな首領パッチが後ろから声をかける。
ハジメが振り向くと、そこには首領パッチ、天の助、鈴、ティオの四人が各々ジョジョ立ちしながら、一人ずつこう叫んだ。
「シケイダ!」
「ドラゴンフライ!」
「マンティス!」
「グラスホッパー!」
「スキャラブ!!」
最後にハジメも乗っかったと同時に、五人は円陣を組みながらブツブツと何事かを呟く。
『アリアリアリアリアリアリアリアリアリ……』
しかし今度はいきなり全員が万歳したと同時に叫んだ。
『レイディーバード!!』
「があああああああああああああああああ!?」
エヒトが受けたダメージの余り絶叫したかと思うと、ユエの体から光で構成された人影が飛び出す。
それを見た瞬間ハジメは直感した。あれはエヒトだと。
「おのれイレギュラー! おのれ南雲ハジメ!!」
「ようやく名前を覚えてくれたね! そして――」
裏付けは、人影の言葉が取ってくれる。
「これでようやく、直接納豆を浴びせられる!!」
ハジメは納豆を取り出し、糸を伸ばしてエヒトへ攻撃した。
「納豆真拳奥義、真・四国革命無双!!」
「ぐわあああああああああああああ!!」
ハジメがエヒトに攻撃を当てたと同時に、この世界は崩壊した。
「ハジメさん達が戻ってきたですぅ!!」
その状況下でも一番目を引いたのは見覚えのない光の人影と、元の大きさに縮んだユエだ。
ハジメ達は平然と立っているが、ユエと人影は地面に這いつくばっている。
「ユエが縮んだ!? 何で!?」
「ユエさん!!」
シアは即座にユエの元へ駆け出し、介抱を始める。
介抱を受けながらユエはシアを安心させるために語り掛けた。
「ハロー! そして……グッドバイ!」
「テレポートさせられそうですぅ!!」
当然の如くツッコミを入れるシアだが、ここで彼女は目の前のユエが元に戻ったことを確信した。
「ユエさん戻ったんですね!!」
「体は乗っ取られていたけど私見てたよ……」
安堵するシアに対し優しく語り掛けるユエは、ここでスマホを懐から取り出して言葉を続けた。
「これでぼっち・ざ・ろっくのアニメを」
「体乗っ取られてる状況でアニメ見てたんですか!?」
突飛な発言に驚くシアを尻目に、ユエは立ち上がり人影、エヒトの元へ向かう。
たどり着くとユエはエヒトを見下しながら呟いた。
「今度こそたどり着いた……」
しかし呟くのはここまで。ユエは叫ぶ。
「叔父さんの仇!」
ご愛読ありがとうございました。
味音ショユの次回作にご期待ください。
「勝手に完結させるなよオイ!?」
「ここで打ち切ったら伝説すぎるじゃろ」
突然の凶行に蹴りウサギとティオが慌てるが、ここで首領パッチがユエの肩に手を置きながらやさしくこう言った。
「バカ。こういう時に言うことは決まってんだろ」
そして首領パッチは叫んだ。
「寝るぞ――――――――――っ!!」
「打ち切りで天丼したですぅ!?」
「新装版読んだらこの話の後いきなり絵が変わるから結構ビックリするよね」
首領パッチの台詞に驚くシアと、適当なコメントをするハジメ。
一方、エヒトは未だ這いつくばりながら蠢いていた。
「おのれ……おのれ……!」
あろうことか自分を無視して好き放題騒ぎ立てるハジメ達に対し苛立ちを隠せないエヒトだが、ダメージが大きく立ち上がることができない。
「フンフ~ン、コーディネイトコーディネイト♪」
更には、天の助によって『ぬ』グッズでコーディネイトさせられる始末。
キィン
するとここで、どこからか風切り音が小さく響いた。
思わず辺りを見回す一行だが、答えはすぐにやって来る。
「スーパーミレディちゃん……」
なんと、空からライダーキックの姿勢でミレディが降ってきたのだ。
「キィ――ック!!」
「「ぎゃああああああああああああああ!?」」
そのままの勢いでエヒトと天の助を吹き飛ばしながら、ミレディは着地。即座にエヒトに向き直ってこう話しかける。
「久しぶりだね、エヒト。随分と無様になったね」
「それは……お互い様だ……」
ミレディの言葉に息を絶えさせつつもなお皮肉を飛ばすエヒトに対し、彼女はおおよそこの場に似つかわしくない満面の笑みを浮かべながら進み始めた。
「わぁい! エヒト神様だいすき!」
一歩。
「皆の崇める理想の神!」
また一歩。
「何者にも代えがたい神!」
そして足を止めたかと思うと、さっきまでの笑みを全て消し、能面のような無表情で冷たくエヒトを嘲った。
「覚悟は済んだかよクソ邪神」
「何で決め台詞までパロネタなのさ」
「作者の語彙力の問題でしょ」