【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義106 過去最長の回想! ハジケリストの茶々入れが光らない

前回までのあらすじ

 

 

 ハジメ達はエヒトを追い詰めた。

 

ハジメ「僕基本的にニコニコで配信されてるアニメはそっちで見るんだけどさ、コメ有りで見たいアニメとコメ無しで見たいアニメが別々にあるんだよね。分かる?」

ユエ「分かる。私なろう原作アニメは大体ニコニコで見てるし」

ティオ「今期じゃとおにまいもコメ有りの方な感じがするのう」

シア(ただの雑談―――――――――――――!!)

 

 そこに現れたのは、なんとミレディ。

 

ミレディ「でも鬼滅とかチェンソーはコメ無しで見たいよね」

ハジメ「そうそう」

シア「どうでもいい話を続行しないで貰えます?」

 

 物語は今、最終局面を迎える!

 

天の助「2歩六」

 

        

        

        

     

     

      

       

       

 

首領パッチ「初手で来たか……!」

シア(何ですかこのクライマックス感ゼロの絵面!? しかもそれオセロですぅ!!

 

 


 

 

「何故だ……何故我がこのような目に……」

 

 膝を地面に付き、息も絶え絶えなエヒトが小さく呟く。

 言葉の意味は純度百の疑問。

 顔色は人影故見えないが、声色だけで意味が読み取れる。

 

「何で、って……」

 

 そして意味を理解したミレディが覚えた感情は、怒りだった。

 羅列することが困難なほどの蛮行を重ねておいて、数えることが不可能なほどの人々を苦しめ、傷つけ、殺しておいて。

 それら全てに、エヒトは罪悪感一つ抱いていないのだ。

 

「お前ええええ!!」

 

 ミレディはエヒトに対し、思わず重力魔法を叩きつけた。

 魔法を受け、まるでのし梅の様に潰されるエヒト。

 彼女の溢れ出す激情に、ハジメ達は声も出ずただ茫然と見ているだけだった。

 彼女が見てきたもの、抱えた思いを想像することはできても、真に理解することはできない。

 すぐ近くにいる筈の彼女が、まるで遥か彼方にいるようだった。

 

「……知りたいか? 我がこんな疑問を抱いている理由を」

 

 一方、エヒトはミレディの重力魔法から即座に抜け出すと、したり顔で目の前の相手に問いかけた。

 

エヒトみ込みますか…

 

踏み込む 踏み込まない

 

「何だこれ!?」

「カリギュラカリギュラ」

「オーバードーズじゃな」

「……いいよ」

 

  蹴りウサギの疑問にユエとティオが答える中、エヒトの物言いに一瞬悩むも、頷くミレディ。

 

「お前がどれだけ邪悪で惨たらしく死ぬべきか、改めて教えてもらおうじゃんか!!」

 

 ミレディの叫びを受けながら、エヒトの回想は始まった。

 

 


 

 

 むかーしむかし、トータスでも地球でもない世界に、エヒトという少年がいました。

 

『昔話が始まっちゃいましたけど!?』

『さらっと重要なこと言ってね?』

 

 この世界は魔法が存在していました。トータスで言う所のアーティファクトが当たり前に存在し、人が自在に空を飛び、転移も自在。寿命も数百年単位で伸びるほどに発展していました。

 エヒトはその魔法の天才でした。

 小学生程度の年齢にもかかわらず、飛び級で大学に入学できるほどに。

 おかげで元々の同級生や、実の親に気持ち悪がられるほどに。

 しかし、エヒトはそんなことは全く気にせず、魔法を更に発展させるために研究に没頭します。

 その過程で、彼にも志を同じくする仲間ができました。生まれて初めてできた仲間、友達にエヒトは喜びます。

 それから一年後、エヒトと仲間達の魔法は理に到達しました。

 これにより、魔法の力で世界そのものに干渉できるようになりました。物質に、生命に、ありとあらゆるものが自由自在です。

 そんな魔法を行使できるエヒト達を、人々は“到達者„と呼びました。

 

 


 

 

「話が長――」

 

 ここで話の長さに焦れたハジメがエヒトに攻撃態勢をとろうとするが、なぜか逆の守備態勢を取ってしまう。

 その訳はすぐに分かった。

 

「ククク……オレは永続魔法レベル制限B地区*1を発動していたのさ」

「そんな!? 首領パッチどうして!?」

 

 突然の裏切りに動揺するハジメ。するとミレディが近づき、首領パッチに何かを手渡した。

 

「予想通りハジケリストが話の邪魔に来たね。あらかじめ首領パッチを買収してて良かったよ。はいこれ、4Bの鉛筆」

「こいつをくれるならオレはハジメをも裏切るよ」

(買収されてる―――――――――!! 鉛筆!?

 

 ハジメが守備表示になったところで、エヒトの話は再開された。

 

 


 

 

 ありとあらゆるものが自由自在になりましたが、エヒト達は研究者のサガであらゆる実験を重ねます。

 結果、やりすぎて世界は崩壊し、到達者以外の人類は滅びました。

 彼らも元の世界では暮らせないと、新天地を探すべく異世界へ転移し、トータスにたどり着き、驚きました。

 なぜなら彼らが転移した当時のトータスは、巨大な魔物が辺りをうろつき、原住民の人間達は洞窟に籠って生活している、彼らから見れば原始人でしかなかったからです。

 エヒト達は魔物を駆逐し、開拓しました。すると洞窟から原住民も出てきたので、ついでに魔法や叡智を授けました。

 

『これが現代知識チートという奴じゃな』

『合ってるか間違ってるか判断に困るラインですね……』

 

 原住民の文明はどんどん進歩し、気づけば彼らはこの世界の地を支配する存在となりました。同時に彼らはエヒト達を神と崇めます。

 また、エヒト達はこの頃に信仰心を力に変換する魔法を開発し、魂魄の強化や昇華をし、彼らは本当に神と呼んで差し支えない存在となりました。

 それから数千年、彼らは真面目に世界を統治しました。

 だがその数千年の間に、エヒトの仲間たちは一人また一人自ら死を選んでいきました。それがなぜかエヒトには理解できません。彼はただ別れを嘆き悲しみます。

 しかし死んだ人々を蘇らせる道は選べません。物理的には可能ですが、心変わりをしなければ再び死を選ぶのは自明の理。そしてエヒトには、仲間の心を捻じ曲げることはできませんでした。

 

『Zzz……』

(とうとう寝る奴出てきた――――――――――っ!!)

 

 仲間が減ってもエヒトには、仲間が育てたトータスの住人を見捨てることはできませんが、彼の仲間はとうとう一人もいなくなってしまいました。

 どうしてこうなったのか理解できないエヒトですがある日、看過できない出来事が彼を襲います。

 それは、トータスの原住民からの信仰がわずかながら減っていることです。エヒトにはこれが我慢できませんでした。なぜなら、信仰が減るということは彼の仲間を、仲間の被造物がないがしろにするということだからです。

 しかしトータスを滅ぼすことは、彼の仲間が育てたものを全て消し去ることはしたくありません。

 ですが、一部位ならいいだろうと彼は少しだけ原住民に災害を振りまきました。

 その時の住人達の悲鳴、救いを求める絶叫はエヒトの心に暗い充実感を与えます。

 同時に彼はこう思いました。この喜びを仲間が知れば、また一緒にいられるのではないかと。

 早速試しに一人蘇らせてみたものの、その仲間はエヒトを哀し気に一瞥した後、再び死の世界へと帰ってしまいます。

 

『ロン! 王手チェックメイト、三十万ゴールド獲得だぜ!!』

『こ、ここでおでんカタルシスコンボを決めてくるとは……流石だね』

(何してんですかこの人達!?)

 

 仲間に拒絶され、エヒトの心は遂に限界を迎えました。

 義務感と義理で管理していたトータスに、仲間を繋ぎとめる力がないのなら最早憎悪しか湧きません。

 なので早速滅ぼそうとしますが、彼の肉体は限界を迎えていました。どんな魔法を使おうと彼の体は遠からず崩壊する運命にありました。

 そこで彼は自らの体を捨て魂魄だけの存在となり、新たな体を作り、それに乗り移ることにしました。

 材料は勿論トータスの住人です。無論、普通の人間ではエヒトの器になれないので、手術で魔物と混ぜ合わせ、新たなる存在にします。この時生まれたのが魔人族や亜人族、吸血族に竜人族などです。

 

『ふむ、妾達が遺伝子組み換え人間だったとはのう……』

『ミュータントヒューマンズ』

『言い方!!』

 

 しかし生まれた存在ではエヒトの器になれませんでした。仕方ないので彼は器が生まれるその時まで待ちます。

 数百年後、遂に器と成れる存在、ユエが誕生しました。

 歓喜するエヒトですが、ユエは彼女の叔父の手で奈落の底に封印され、彼の目から逃れてしまいます。

 怒りのあまり、当時のいくつかの国を滅ぼしてしまうエヒトですが三百年後、再び彼女は地上に舞い戻ります。

 そして紆余曲折の末ユエの体を手に入れたエヒトですが――

 

 


 

 

「こうなったって訳か」

「過去最長の回想じゃんか!!」

「ぶはぁ!?」

 

 話を聞き終えて、無様に跪くエヒトを見下しながら愉悦に入るミレディと、話の長さにキレて蹴り飛ばすハジメ。

 すると、ここで意外な人物が口を挟んできた。

 

「……ハジケリストをさ、何でトータスの住人が知っているのさ?」

 

 なんと、恵理がこのタイミングで割って入って来たのだ。

 ちなみに彼女の横では白竜と融合しているフリードがエヒトを睨んでいる。

 

「まだ融合解けてないんですか!?」

「やば、そういえばいたね……全然描写されてないから存在忘れてた」

「ひでえ!?」

 

 ハジメの発言にツッコミを入れる蹴りウサギの横では、彼に気にも留めずエヒトを見る恵理とフリード。

 彼女の問いにエヒトは律義に答えた。

 

「あれは、ただの偶然だった……」

 

 そしてエヒトは語り始める。以下要約。

 

 

 五百年前、解放者との戦いの最中、なぜかハジメ達の地球から名も無いハジケリストが一人転移してきたよ。

 そいつは解放者に与し、エヒトに戦いを挑んだけど最期には「スーパーマ〇オワールドのをステマアアアアアアアアアア!!」と叫んで爆発四散したよ。

 その時の肉片が風で飛び散り、トータスに少しだけハジケリストが現れ、更にそれに引っ張られる形で少しだけ世界が混じったよ。

 

「そしてそれを知った時思ったのだ、この世界なら皆も楽しんでくれると。また我と一緒にいてクレル違イナito」

 

 エヒトの語り口に混ざっていくのは、明確な狂気。

 徐々に壊れていく。

 口調も、姿も。

 エヒトの影がひび割れていき、最早長くはないだろう。

 だが――

 

「キサマラサエコロセバ、koンドこそトータスを滅ボセru!! サスレba皆、帰って来る!!」

「な、なんで……!? 私まだ重力魔法を使ってるのに……!!」

 

 体の崩壊と反比例するように、エヒトは少しずつ立ち上がっていく。

 その理由をすぐに察したのはハジメだ。

 

「そうか! 限界突破だ!! ここに来て地力を上げたんだ!!」

「ウ、ウソだろ……! あいつまだ強くなるのか……!?」

 

 ハジメの推測を聞いて、絶望感を露わにする天の助。曲がりなりもラスボスが更に強化されたと聞けば、慄くのも無理はない。

 しかし、強化されると同時に狂化されていくエヒトを見ながら、ユエは恐怖とはまるで違う感情を伴ってこう呟いた。

 

「可哀想な人」

 

 ユエの発言の意図が理解できず、状況を無視して思わず彼女に視線を向けてしまうミレディとフリード。

 しかしユエは二人を見返すことはなく、ただ言葉を続けていく。

 

「あなたは結局誰のことも理解できなかった。だから、誰にも理解されなかった。あなたが愛する仲間すらも、誰かの中に入る」

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 ユエの言葉も最早耳に入らず、ただ咆哮するエヒト。

 彼女は目の前の哀れな存在を一瞥すると、ハジメに向けてあることを頼んだ。

 

「お願いハジメ。あいつを終わらせて。あの可哀想な神様に成り果てたエヒトを」

「ああ。ここで終わらせるよ。この戦いも――」

 

 ユエの願いを受けてハジメは頷き、力強く宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

ライブ

【ここで】Vtuberハジのラストダンス!!【終わらせる】

  6人が視聴中・2分前に配信開始

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ほんとですか!? チャンネル    

 

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「――僕のVtuber活動も!!」

「ハジメさんVtuberだったんですか!? チャンネル名パクリだし!!

 

 ハジメの活動終了宣言に、数少ないファンは嘆き悲しんだ。

 

「やめないで――!!」

「ジンバブエドルでならスパチャするぞ――!!」

「オレはぬ円」

「フッ……オレはエリンギでだ」

 

 上から鈴、フリード、天の助、首領パッチの順である。

 

「身内ばっかじゃねーか!!」

「お主らスパチャする気ないじゃろ」

 

 この光景に、蹴りウサギとティオはそれぞれツッコミを入れるのだった。

*1
レベル4以上の表側表示モンスターを強制的に守備表示にする




今回の配信画面を再現した特殊タグは、コトさんの『特殊タグ練習(コピーもこちらで!)』から拝借させていただきました。
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