久々に6000字超えました。
後、この小説には関係ありませんがファイナルファンタジーSの二次を投稿しました。
下にリンクをはるのでよかったら読んでください。
【完結】ファイナルファンタジーS 都市伝説編
前回までのあらすじ
ハジメ「これが僕達の……絆の力だああああああ!!」
エヒト「そうか……我に無かったものは、これか……」
ハジメ達はエヒトを倒した。
シア「こんな熱血展開ではなかったですよね!?」
ユエ「むしろ実際が最終決戦でも平常運転過ぎた」
エヒトが消滅した。それは長い戦いが終わったことを示す。
その事実にシアと鈴は大盛り上がりだ。
「「やった――――っ!! ついにエヒトを倒した―――――――――っ!!」」
盛り上がる二人に対し、天の助は神妙な顔をしながら小さくこう呟く。
「こうして邪神は倒され、盤上の駒であるが故に生まれる悲劇はなくなったのですね。一件落着です」
(((なぜか天の助が締めた――――!?二度目だ――――!?)))
唐突な天の助の纏め発言に、ハジメ、ユエ、首領パッチの三人が内心でツッコミを入れていると
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「な、何ですか!?」
辺りにいきなり地響きが鳴る。
「皆落ち着いて! こういう時こそ落ち着いてこの状況でやるべきことをやるんだ!!」
「この状況でやるとなったら――」
ハジメの言葉を受けて考える首領パッチ。
彼が最終的に出した結論とは
「ゼル伝だな」
「どういう思考でそうなったんですか!?」
首領パッチはSwitchを取り出してゲームを始めた。
「今やると初代の難易度高すぎね?」
「初代の後で神トラとか夢島やると大分ブラッシュアップしてるのが分かる」
「ゲーム談義している場合じゃないんだけど!?」
首領パッチに続いて天の助とユエまでゲームを始めるのを見て、今度はミレディがツッコミを入れる。
しかし、ハジケリストの思考を理解するなどできないと知っている彼女はツッコミを諦め、代わりにどこからか一本の矢を取り出し、ハジメに投げ渡した。
「なにこれ? 光の矢?」
「ゼ〇ダはもういいよ! これは“劣化界越の矢„で、使えばここから脱出できるよ。まあこれくらい世界が崩壊してないと使えない欠陥品だけど、トータスに戻るくらいはできるはずだから」
「成程! じゃあ早速、チェストオオオオオオオオオオオオ!!」
「そんな気合入れなくてもいいんだけど」
ハジメが貰った矢を早速、物凄い勢いで叫びながら近くにぶん投げると、投げられた先の空間が歪み、辺り一面漆黒の闇が広がる深淵が生まれた。
「あの中に入ればいいからね」
「あんまり入りたくない」
「怖いわ! あんな暗がりにアタイみたいなヒロインが入ればどうなるか……!!」
「ホタルでも放し飼いにするか」
「わがまま言わない!! ホタル!?」
広がった深淵に引き気味のハジメ、ビビる首領パッチ。そして何とか光源を作ろうとする天の助。
そんな三人に向けてミレディはツッコミを入れながら、他の皆の方も見て別れを告げる。
「ほら行った行った。世界を救った立役者がダンジョンと運命を共にするなんて締まらないし、後はミレディちゃんに任せてさ」
ミレディに促される形で深淵へと歩を進めるハジメ達だが、まるで彼女だけはここから出るつもりがないようなセリフが気にかかった。
「……ここで死ぬ気?」
「うん」
気になったユエの問いに何でもないように答えるミレディ。
だがすぐに慌てて理由をつけ足した。
「いや、自殺って訳じゃないからね!? 神域の崩壊に何も対処しなかったら、トータスの方に大きな影響が出て危ないからどうにかするってだけだし」
「それでもミレディさんは死ぬんでしょう!? そんなのダメですぅ!!」
ミレディのあっけらかんとした物言いに対し、シアは力づくで阻止しようと手を伸ばすが
ジャラララララララ
どこからか伸びてきた鎖に拘束され、彼女は一瞬で動けなくなる。
鎖の出どころはすぐに分かった。
「偽装闇拳奥義、
「エ、エリリン!? なんで!?」
なんと、シアを拘束したのは恵理である。
これに鈴は心底驚く。否、彼女だけではない。声こそ出さなかったが、驚いたのは他全員も同じだった。
一方、鈴の問いに対する恵理の返答は素っ気ない。
「別に」
その返答にシアは怒り、拘束を解こうと力を入れる。
「こ、こんなのすぐに……!」
「やめておけ」
しかしフリードがシアの行動を止めた。
「何でですか!?」
「ここが奴の死に場所だからだ」
「そうそう。そもそもミレディさんはとうの昔に死んでるんだから、気にしなくていいの。ここにいるのは只の魂の搾りカスでしかないしね」
シアの涙すら混じった叫びに対し、フリードとミレディはなんてことないように返す。
「ミレディ……」
ミレディの言葉を聞き、思わず彼女に手を伸ばそうとするハジメだが、すぐに思いとどまり、血が出るほど拳を強く握りしめたかと思うと、静かに問いかけた。
「
「さっきからそう言ってるでしょ」
何を、という主語を省いた問い。だが二人の間では、ここで置いて行っていいのかと最後の確認をし、拒否したとはっきり伝わっていた。
「……皆行くよ」
ミレディに背を向けて深淵へと歩くハジメ。その姿にシアは何も言えなかった。
本当は止めたいはずだと、彼女はよく分かっているからだ。
「ごめんね。こんな自己満足に付き合わせちゃって」
「自己満足じゃと?」
ハジメの背中に謝罪するミレディに、ティオが思わず気になった言葉をオウム返しにする。
「そ、自己満足。ずっと昔に仲間とした“悪い神を倒して世界を救おう„っていうおとぎ話みたいな約束を果たしたいだけだよ。ここで全力を使わなきゃ、約束は果たせない。だから君達は、ミレディちゃんを犠牲にしたなんて思わなくていいのさっ」
「そうかよ」
「じゃあな」
「なんかあっさり!? まあいいけどさ!」
ミレディの言葉を聞き、言葉少なく去っていった首領パッチと天の助。シリアスなこの場に、彼ら二人の居場所はなかった。
「じゃあねミレディ。色々、世話になったね」
「あなたがいなければ、きっとこの戦いはもっと辛かったと思う」
「さらばじゃ」
「あの、鈴はこの人のことほとんど知らないから、何言えばいいか分からないんだけど……ありがとう?」
「別に去っていくときに何か言い残すルールとかないよ?」
前三人の感謝はさておき、鈴の発言にはツッコミを入れるミレディ。それを聞いて四人は深淵へと飛び込む。
四人の次にシアは何か言おうとするも結局何も言えず、ただ目尻に涙を浮かべながら頭を下げ、鎖を力業で破壊してからハジメ達を追い掛ける。
「あっさり壊されるのもなんだかなぁ……」
「いや帰りなよ。君も、そっちの魔人族も」
シアの腕力に自分の技があっさり破られたことに思うところがある恵理と、何もせずハジメ達を見送ったフリードに対し、忠告気味に口を出すミレディ。
しかし忠告された二人はそれを鼻で嗤いこう続けた。
「何を馬鹿なことを。邪悪に手を貸した愚か者が生き長らえるなどあってはならない。エヒトが倒れた今、手を貸した我等も死なねばこの話は大団円にはならん」
「ボクはそこまで殊勝じゃないけど、まあ死に場所には丁度いいかなって。あ、そうだ。ほら、さっきあの兎人族止めてあげたじゃん。その恩返しと思って一緒に死なせてよ。死に場所奪われる辛さは知ってるし」
「確かに恩はあるね……」
二人の言い分を聞いたミレディは、それはそれは良い笑顔を浮かべ、二人へこう返答した。
「でも、や~だよっ!」
ゲシッ
ミレディは二人を深淵へと蹴り飛ばした。
「恩は返すよ、仇でね!!」
「貴様ァ!!」
「二人とも若い身空で死ぬなんて言うもんじゃないよ! 現世にいればいいこともあるんだから! 五百年粘った挙句、他人任せで約束を果たしたミレディちゃんが言うんだから間違いなし!!」
「微妙な説得力だな!!」
「もっと言うこと考えたら?」
ミレディの自虐とも激励ともいえない言葉にツッコミを入れている間に深淵への穴は完全に閉じ、フリードと恵理の二人はロクに反論もできないまま神域から姿を消す。
ここに残るはミレディ一人だけとなった。周りに誰もいなくなったことが原因なのか、彼女の瞳には映る筈のないものが映った。
「ははは……そんな……」
ミレディの視界に入ったものは、かつての仲間達。
解放者を名乗り、後に反逆者として扱われた、彼女が何より愛した存在。
既にこの世にいない筈の、大切なもの。
走馬灯だろうか。幻覚だろうか。
どうでもいい。
彼女は視界に映る真偽も、自らの崩壊も気にせず、ただ喜びのみを全身で表しながら叫んだ。
「みんなぁ、たっだいま――!!」
「ここは……」
さっきまで崩壊していく神域にいたはずのミレディは、今の光景に戸惑う。
彼女の眼前では、人間とは思えない謎の存在達が、何やら漫画でしか見たことないような、奴隷がグルグル回す棒を押している姿がいくつもあった。
「いや……何、ここ……?」
「ここはハジケリスト墓場」
ミレディが戸惑っていると、右横からいきなり声がした。
彼女が声の出どころを見ると、そこには地面に座り込んで一人でオセロをやっている、二メートル程の大きさの4B鉛筆が居た。
鉛筆は彼女の戸惑いなど気にせず解説を続ける。
「現世で一流ハジケリストだった奴らのみが来られる、地獄の最終就職所だ」
「何だお前!?」
ミレディは鉛筆のオセロを蹴り飛ばした。
「うわあああああん!!」
泣き叫びながらオセロを直す鉛筆を尻目に、ミレディは辺りを見回す。
「いやはや、天国に来れるとは思っていなかったけど、まさかこんな変な地獄に落ちるとはねぇ~」
「全くだよ」
どこか感慨深げに呟くミレディに対し、後ろから同意する男の声が響く。
彼女が振り向くとそこには、懐かしいような、さっき見たような不思議な感覚の男――
「君のおかげで僕は、不本意ながらハジケリスト扱いだよ」
「オー……くん……」
オスカー・オルクス。ミレディの仲間の錬成士にして、彼女にとっては一際特別な青年。
そしてもう一人。
「いやぁ~、私はオルくんって元からハジケリストだったと思うな~」
メイド服を着た、巨乳の美人。だがヘラヘラしているその様は愛嬌というよりウザさが先立ってしまう。
「ベル……」
メイドの名前はベルタ・リエーブル。ミレディの前の解放者のリーダーであり、彼女が解放者となるきっかけとなった女性で、彼女が生まれて初めて心を許した人間でもあった。
「やっほ~、ミレディたんひっさしぶり~! 私の後を継いで解放者のリーダーやってくれたんだって~? オルくんから聞いたよ。もう私ビックリ! あんなにちっちゃかったミレディたんが今はこんな……」
嬉しそうに話していたベルだったが、ミレディの姿を見ると噴き出すのを我慢しながらこう続けた。
「こんな、面白い感じになってまで……ぶはっ!!」
「ゴーレムだよ! というかそこは最後まで我慢してよ!!」
結局噴き出したベルにキレるミレディ。とても数百年ぶりにあったと思えない二人のやり取りを見て、思わずオスカーも笑っていた。
笑う二人に憤りながら、ふとミレディは疑問を呈す。
「あれ? そういえば他の皆は? いないの?」
ミレディの疑問に、さっきまで笑っていた二人は表情を変え、気まずげに視線を逸らす。
しかしいつまでもそうはしてられないと観念したのか、代表してオスカーが説明を始めた。
「ミレディ。昔はこのハジケリスト墓場にも解放者の仲間は沢山いたよ。君がここに来るのを待つためにね。でもここのシステムのせいで皆あるべきところへ進んでいったんだ」
「あるべきところ?」
「ああ」
オスカーの説明でミレディに新たな疑問が生まれた所で、今度はベルが説明を引き継ぐ。
「ここは本来ある程度在籍したら、記憶を消した状態で生まれ変わらせることになっているらしいの。いわゆる転生って奴ね。そこに当人の意識は関係ない。例えここに居たいといくら叫んでも、時が来れば本来は転生させられるのが運命」
「……じゃあなんでベルとオーくんはここにいるの?」
「「気合で頑張って」」
「精神論!?」
まさかの根性という返答に驚くミレディ。
一方、ベルは昔を懐かしむ。
「懐かしいわ……無理矢理転生させようとしてくる管理人相手に抵抗した日々が」
『ぎゃああああああ!? 俺の現世もここまでか……! 一足先に転生させてもらうぜ……!!』
『アパーム! 弾持って来い弾!』
「何この回想!? 戦場じゃん!?」
二人の発言にツッコミを入れまくるミレディだが、それでも彼女は状況を理解した。
ここで二人が自分を迎えてくれたことがイレギュラーで、本来あってはならない事態であることを。
「そっか……もう会えないんだ……まあ二人に会えただけでも良かったよ。ならミレディちゃんもしばらくここに居てから転生ってことになるのかな」
「いいや、そうじゃないさ。君はもう一度トータスに降りて欲しい」
「……はい?」
オスカーの突然すぎる言葉に心底驚くミレディ。
しかし彼は彼女の言いたいであろうことを理解したうえで無視し、説明を続ける。
「君が来る前に皆で話し合って決めたんだ。もしエヒトを倒すことができたとしても、その後の世界を見ることはここにいる誰もできない。だけど誰か一人くらいには見て欲しいって」
「だからって何で私に――」
「君が一番ふさわしいって、皆意見が一致したんだ」
「そうよミレディたん。あなたが五百歳越えのお婆ちゃんになってまで頑張ったんだから、その後の成果も見て欲しいって、皆がそういったのよ」
「お婆ちゃんは余計だよ!!」
ベルの発言に怒るミレディ。それに加え、彼女は疑問を呈す。
「大体生き返るとか言われても、そんなことできるの!?」
「おいおい、僕らは神代魔法に加えて概念魔法にたどり着いた解放者だぞ? それに加えて仲間まで沢山いた上に、五百年も時間があったんだ。君一人くらいならなんとでもなるさ」
そう言ってオスカーは宝物庫からあるものの取り出す。
それは金髪ポニーテールの華奢な、十四歳くらいのメイド服を着た美少女だった。彼女の正体にミレディはすぐ気が付く。
「これミレディちゃんの体だよね!? しかも何で十四歳の頃なの!?」
「いや、十九歳の頃の君の姿を覚えている人、あんまりいなかったから……」
「殴るよ!?」
ボカッ!
オスカーを殴ったミレディは、そのままベルに向き合って言う。
「そして聞きそびれたけど、ミレディちゃんにメイド服着せたの誰!?」
「オルくんよ」
「知ってた!!」
思わず地面を殴るミレディ。オスカーがその隙を突いて彼女のうなじにの差込口を錬成し、ケーブルを彼女と取り出した彼女の肉体を繋ぐ。
「なにこれ!? ナニコレ!?」
戸惑うミレディ。しかし次の瞬間不思議なことが起こる。
なんと、彼女はゴーレムの体から生前の体へと精神が移動したのだ。
「えぇ……どういうこと……?」
「それが通信ケーブルの力さ。体の中には最近までちょくちょく生きながらここに来る、黒髪に黒いコートの少年の生命力をちょろまかして入れてある。君なら多分、五年くらいはその体で現世を生きられると思う」
「何か知ってる子が出てきた気がする」
オスカーの説明に思わずツッコミを入れるミレディ。
しかしすぐに諦めたような表情になると、溜息を吐きながら二人に向かって話す。
「だけどもうしょうがないな~。皆ミレディちゃんが大好きだから、こんなプレゼント用意してくれたんでしょ? だったらしょうがないから受け取ってあげなきゃね! その代わり!!」
ここでミレディはオスカーとベルの二人をビシッと指差し、勢いよく叫んだ。
「思い出話たっぷり用意するんだから、二人ともちゃんと待ってないと許さないからね!!」
ミレディの言うそれがどれだけ無茶ぶりなのか、オスカーとベルはよく分かっている。
それでも二人は気軽な態度でこう返答した。
「はいはい、分かってるよ」
「もうミレディたんったら、私がいないとそんなに寂しい?」
からかうような態度の二人に背を向け、ミレディは現世へと向かって歩いていく。
二人はそんな彼女の背に、最後の言葉を掛けた。
「「いってらっしゃい」」
「いってきます!!」
次回、最終話