【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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実はこの話のサブタイトルの本邦初公開の部分、ここでしか見れない! にするアイデアもありました。
が、もしこのSS以外にありふれ×ボーボボのSSができたら詐欺になるのではと考えボツにしました。


奥義11 本邦初公開。これがハジメの究極奥義!

「納豆真拳究極奥義、聖納豆遊戯場(ハジメゲームプレイング)!!」

 

 ハジメが究極奥義を発動させると、迷宮の最奥であり柱と扉しかない空間が、一瞬で宇宙、ゲーセン、廃洋館、学校、ピラミッド、クイズ番組会場、剣が刺さった台座のある混沌とした世界に変化した。

 

「なんだよ、この光景……!?」

「ここは僕の作りだした世界。この世界は僕が考えた七つのゲームを実際に体験できるのさ!」

「うわ、凄い不安!」

 

 ハジメの説明に得体のしれない不安を感じてしまう蹴りウサギ。しかしハジメはそんなことを考慮する男では無い。

 

「早速一つ目のゲームを発表するよ! まずはアレだ!!」

 

 そう叫んだハジメが指す先には、バニーガールの格好をしたユエが『ロボットゲーム』と書かれたボードを掲げて立っている。

 

「何でバニー!?」

「コンパニオンと言ったらバニーでしょ」

「…………」

 

 ハジメの言葉は蹴りウサギから返答を奪った。それを横に置いてユエはゲームの説明を始めた。

 

「このゲームは皆が書いたイラストを元に材料を使ってロボを作ることができる。皆も早速書いてみて」

 

 そう言いながらユエは首領パッチと天の助にボードとマジックを渡す。そして五秒後

 

「「出来た!」」

「早っ!?」

 

 二人は書き上げたイラストをユエに渡す。それをユエは洗濯機に叩きこむ。

 

「何で!?」

「こうすることで材料が発表される。そして連コイン連コイン!!」

「洗濯機回す意味は!?」

 

 蹴りウサギの叫びとは裏腹に、連コインで回る洗濯機はロボ作りに必要な材料を欲求する。

 その材料とは、卵、鶏肉、ご飯、タマネギ、だしであった。

 

「これで全部」

「親子丼の材料じゃねーか!!」

「だからこれを洗濯機に入れる」

 

 いつの間にかユエの手には親子丼があり、それをダイレクトで洗濯機に入れた。

 

「完成品そのままいった―――――――!?」

 

 そして五分後、ついにロボは姿を見せる。

 それは巨大な丼にご飯を入れ、上にはだしを効かせた卵とタマネギを乗せたものだった。

 

「玉子丼じゃねーか! 育児放棄かよ親どこ行った!?」

「今うまいこと言った」

「玉子丼だけに」

「クソうぜえなこのタッグ!!」

 

 ツッコミを揶揄してくるハジメとユエにキレる蹴りウサギ。

 その後ろでは、完成したロボのコックピット乗り込み早速発進させる首領パッチと天の助の姿が。

 玉子丼は飛び上がり、ヒュドラの元へ向かう。

 それを見たヒュドラは、炎、風、氷を飛ばして攻撃するが玉子丼にいくら直撃しても怯むことは無い。

 

「無駄無駄無駄ァ!」

「オレらのデザインしたこの『インフィニット・タマゴドン』に、そんな攻撃は素麺みたいなもんだぜ!」

「ロボの名前だせえ!!」

「天の助、アレやれ!」

「おう!!」

 

 首領パッチの言葉に応じて、天の助がコックピットにあるボタンを叩く。すると、タマゴドンから巨大な手が何本も生え、ヒュドラの首を一本一本押さえていく。そして白頭に近づき、タマゴドンに突っ込ませる。そして響いてくるのは「クルゥアン! クルゥアン!!」という白頭の悲鳴と、バキボキと何かが砕ける音。やがて、その音が止みタマゴドンがヒュドラから離れる。

 そこにあったのは、白頭を無くしたヒュドラの姿だった。

 

「玉子丼に白頭食われた――――――――――!!?」

 

 蹴りウサギのツッコミを背に、ゲフッと鳴らしながら首領パッチと天の助を下ろして飛び去っていくタマゴドン。

 

「「タマゴドン少尉に敬礼!」」

「結構階級高いな!?」

「さあ続いてのゲームはこれだ!」

 

 敬礼するバカ二人を無視し、ハジメは再びバニーガールのユエを指す。ユエが持っているボードには『ピンボール』と書かれている。

 

「ピンボール!?」

「フリッパー、セットアップ!!」

 

 ハジメが宣言すると、首領パッチと天の助のハジメから見て手前の位置にフリッパーが出現。そのまま二人を打ち出す。

 

「オラオラオラァ―――――――!!」

「ぎゃああああああああああああ!!」

「ハジメテメ―――――――――!!」

 

 しかし二人はヒュドラに命中するどころか、まるで見当はずれの方向へ飛んで行ってしまう。

 

「ユエ!」

「ん」

 

 それを見たユエはロケットランチャーを構え、二人に向かって発射。その爆風で二人はヒュドラの元へ向かう。

 

「そしてボール追加」

「え?」

 

 更にハジメもフリッパーの前に投げ飛ばされ、打ち出され、ロケットランチャーの後押しにより一気にヒュドラの元へ。

 

「「「「協力奥義、バカルテットシンフォニー!!」」」」

 

 そして三人の突撃とユエのロケットランチャーで、ヒュドラに大ダメージを与えた。

 

「もはやピンボール全く関係ねえ―――――――――――!!」

「そして次はこれだ!」

『ホラーゲーム』

 

 ユエがボードを掲げると同時に、周りの光景が色々混じり合ったカオスから薄汚れた洋館へと変わっていく。

 

「ホラーゲームと言ったら廃洋館。ここでは数多のクリーチャーが集い、人間達を襲う! さあ、この恐怖に耐えられるかな!?」

 

 意気揚揚と高らかに叫ぶハジメ。しかし、この空間には現状、吸血鬼、コンペートーもどき、ところてん、蹴りウサギ、ヒュドラとハジメ以外人間はいなかった。

 それに気付いたハジメは軽く咳払いをしてから、言い直した。

 

「この廃洋館のクリーチャーはヒュドラを襲う!」

「えらく限定的になったな!!」

 

 ハジメの言葉と共に数多のクリーチャー達がヒュドラへ向かう。しかし仮にもボスキャラ、ヒュドラはゾンビ達を炎、氷、風の力で薙ぎ払っていく。この状況を見かねてか、クリーチャーの一匹が声をあげた。

 

「フッ、ここは俺に任せな」

 

 そいつは、トンビだった。

 

「ゾンビじゃねーのかよ!?」

 

 飛び出したトンビは、巧みな飛行でヒュドラの攻撃を躱しつつ、一方的にダメージを与えていく。

 

「トンビレーザー! トンビキャノン! トンビーム!」

「トンビ要素どこにもねえ!! トンビームって何だよ!?

「フッ、トンビ要素ならあるさ。俺の見た目だ」

「もはや見た目トンビの破壊兵器だろ!」

「虫型メカって、近未来系ゲームのザコキャラにいそう」

 

 蹴りウサギのツッコミに対し、適当な感想を述べるユエ。それらを差し置いて奥義は次のステージに進んで行く。

 

「お次はこれだ!」

『恋愛シミュレーション』

 

 ユエがボードを掲げたと同時に、ハジメは黒を基調とした軍服に着替え、詠唱を開始した。

 

Wo war ich(かつて何処かで) schon einmal und(そしてこれほど) war so selig(幸福だったことがあるだろうか)

 Ich war ein Bub’,da hab’ ich die noch nicht gekannt.(幼い私はまだあなたを知らなかった)

 Wer bin den ich?(いったい私は誰なのだろう) Wie komm’denn ich zu ihr?(いったいどうして) Wie kommt den sie zu mir?(私はあなたの許に来たのだろう)

 Sophie, Welken Sie(ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ)

 Show a Corpse(死骸を晒せ)

 Briah(創造)

 Der Rosenkavalier Schwarzwald(死森の薔薇騎士)

 

 ハジメが詠唱を終えると同時に、辺りを闇が包んだかと誰もが思う。だがすぐに空に月明かりが灯り、周りを照らす。そこにあるのは確かな安心感。

 ただ一つ不安を与えるところは、その月に恐ろしい顔が浮かんでいることだろう。

 

「何で月に顔あるんだよ!?」

「堕ちろ――」

 

 そして月はハジメの言葉に応じて地上に落ちて行き、最後にはヒュドラを押しつぶした。

 

「奥義、フォールザムーン」

「攻撃のスケール超でけえ――――――――――!!」

 

 しばらくするとヒュドラを押しつぶしていた月は空に戻り、それに伴ってハジメも元の服装に着替え直す。

 

「さて、次のゲームは――」

「それはオレの役目だ――――――――――!!」

「ぐばぁ!!」

「何か飛んできた!?」

 

 ハジメが次のゲームに移行しようとしたとき、なぜか天の助が飛んできてハジメをクロスチョップで吹き飛ばす。

 

「そして次のゲームはこれだ!!」

 

 天の助が叫ぶと、ユエの代わりにバニーガールと化した首領パッチがボードを掲げる。なお、ユエは縛られて動けない。

 

「はぁーい、ここからはユエに変わりましてバニーガールのパチ美がお送りしまーす」

「いつの間にか変わってる!?」

「やめて。私に乱暴するんでしょう! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」

「エロ同人言うな」

 

 妄言を吐いているユエを無視して、首領パッチは『ぬ献上ゲーム3』と書かれたボードを掲げた。

 

「何だよぬ献上ゲームって!?」

「説明しましょう。ぬ献上ゲームとはを」

 

 蹴りウサギの要望に応え、天の助が説明を始めた。

 ぬ献上ゲームとは、空から降ってくるぬをキャッチし、ピラミッドの上に居る天の助様に献上するゲームである。

 この時、一緒に落ちてくるねをキャッチしてはいけない。

 

「うわー、つまんなそう……」

 

 さらに3のみの追加要素として、対戦要素がある。これは、1Pを左、2Pを右に置き左右で対戦が出来る様になった。

 

「これで真のぬ王を決められるのだ!」

「ぬ王って何だよ」

 

 いつの間にか生えたピラミッドの頂上で、ふんぞり返っている天の助に蹴りウサギが白い目を向ける中、1P側にハジメが、2P側にヒュドラが構える。そして決戦が始まった。

 しかし勝負は一方的だった。

 五つの首を持ち、それらをフル活用することで効率的にぬを献上し続けるヒュドラ。さらにヒュドラ本体の巨体を生かし、ピラミッドを登ることなくぬを渡し続けられるのだ。これではいくらハジメのスペックが凄くても勝ち目は無い。

 そのまま逆転劇もなく、順当にヒュドラが勝利した。

 

「おめでとうヒュドラ君。これはぬ王の証だ」

 

 そう言って天の助はヒュドラに、ぬのハチマキとぬのハンカチを渡した。

 ヒュドラはキレて、天の助とハジメに何も言うこと無く攻撃した。

 

「ぐわあああああああああああああ!!」

「何で僕まで!?」

「そして次はこれだ!!」

 

 バニー首領パッチが宣言し、そのまま『クイズゲーム』と書かれたボードを掲げる。その瞬間、クイズ番組のセットが出現し、天の助、ハジメ、ヒュドラの順で解答席に並んだ。そして首領パッチとユエは司会者の立ち位置になっていた。

 そのままユエが問題を読み始める。

 

「早押しクイズです。問題――」

 

 ピンポン、と問題が読まれる前にハジメがボタンを押す。

 

「ハジメ、正解は?」

「越後○菓ぁ!!」

「不正解。じゃあ改めて問題を読むね」

「正直そのネタは来ると思ってたけど、ユエの対応が予想以上に冷てえ……」

 

 ユエのハジメへの対応に蹴りウサギが少しだけ同情しているが、誰も気には留めず話は進んで行く。

 

「問題。不思議の国のアリスの作者名は?」

 

 今度は問題が読み終わった刹那、ピンポンと天の助がボタンの音を鳴らす。

 

「天の助、答えを」

「グリム兄弟!」

「残念。違う」

「嘘だろ!?」

 

 外したことにショックを受け、その場に膝を付く天の助。それを見下しながら今度はヒュドラがボタンを押した。

 

「ヒュドラ、答えを」

「クルゥアン!(ルイス・キャロル!)」

「正解」

「クルゥアン!(やった!)」

「やるじゃねえか!」

「おめでとう。正解したヒュドラには――」

 

 そう言いながらユエは懐をゴソゴソと漁り、目的のものをヒュドラに差し出す。

 

「賞品として、サバ缶二つ」

「ショボッ!?」

「そして回答が一番つまらなかったハジメには、首領パッチから罰ゲーム」

「ああ。オレのターン、ドロー」

 

 ユエに応じてカードを引く首領パッチ。そしてそのまま魔法カードを発動した。

 

「オレは魔法カード、死者蘇生を発動! 来い、究極竜騎士(マスターオブドラゴンナイト)!!」

 

 首領パッチが呼び出したモンスターは、白き体に青き眼を持つ三ツ首の竜の上に、決闘王(デュエルキング)が従える混沌の戦士を乗せた遊戯王で最も高い固定ステータスを持つ最強のモンスターである。

 

究極竜騎士(マスターオブドラゴンナイト)の攻撃、ギャラクシー・クラッシャー!!」

 

 竜にある三つの口と、戦士の持つ剣から出るビームは、やがて一つに混じり合い最強の攻撃としてハジメを襲う。

 だが、その攻撃は強すぎた。攻撃はハジメだけに留まらず、横に居た天の助とヒュドラも巻き添えにし究極竜騎士(マスターオブドラゴンナイト)の強さを示している。

 

「「ぎゃああああああああああああああああああ!!」」

「全員喰らってる――――――――――!?」

「そしてラストはコレだ!!」

『ロールプレイングゲーム』

 

 首領パッチがボードを掲げたと同時に、世界はハジメが最初に造った光景に戻る。そしてこの世界にあった剣が刺さった台座の横には、創造主たるハジメの姿が。

 

「トドメは僕が貰う!」

 

 その言葉と共に、ハジメは剣を台座から引き抜いた。

 その剣は毀れ一つ無く、松明を幾本も集めたかのような輝きを放つ剣だった。まるでかの聖剣のようだ。

 

「納豆真拳超奥義、エクス……」

 

 ハジメは剣を構えながら、ヒュドラに向かって飛びかかる。

 一方のヒュドラは、いままで受けたダメージが積み重なり動く事も出来ずただ最期の時を待つばかり。

 

「カリ―――――――――――!!」

「パチモンじゃねーか!!」

 

 ハジメは剣を振り下ろし、ヒュドラは正しく一刀両断された。

 両断されたヒュドラの死体は、そのまま左右に別れて倒れ伏す。まるでハジメ達に道を開けるかのように。

 

「決着ゥ―――――――――――――――――!!」

 

 そしてハジメは叫ぶのだった。


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