【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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前話のネタを少しだけ改訂しているので見ていない方は読んでいただけると嬉しいです。話の筋は特に変わっていないので見なくても支障はありません。

……ネタにしておいてあれですが、売っちゃったホンダのオデッセイって実話なんですか?


奥義18 ブルックの町にて

パチダムパチバトス・ルプスレプスに乗って移動していたハジメ一行は、ようやく遠くに町が見えてきた。このまま歩いて行けば問題なく町まで着くが、その前にハジメはシアにある物を渡す。

 

「シア。町に入る前にこれを付けて」

「これは、首輪ですか?」

 

 渡した物は首輪だった。なぜ渡すかと言うと、亜人族が人間族の町にいればそれだけで目立ち、しかも奴隷でなければ超重ギガンティスを運ぶ紫ピク○ンの如く男が集まり、彼女を我が物にしようとするだろう。

 

「例えがよく分かりません!!」

「ピク○ン百匹集ってる状況をイメージすればいいから」

 

 だが首輪を付けていれば、シアを欲しがる男達は誰かの奴隷だと思い、手を出そうとはしない。

 

「ということだから、付けて」

「えぇ……でも……」

 

 ハジメの説明に納得はするが、奴隷扱い、というより仲間が嬉々として奴隷を囲うような人と思われたくないシアは難色を示す。

 しかし、何を勘違いしたのか天の助が話に割り込んできた。

 

「分かった。デザインが不満なんだな。ならこれはどうだ!?」

 

 そう言って取り出したのは、ところてんだった。正確に言うなら首輪みたいな形状をしたところてんだった。

 

「嫌ですよこんなヌメヌメしそうな首輪!?」

「えっ!?」

「そうだぜ天の助。お前それ常温で放置してたら発光するじゃねえか」

「何でできてるんですかこれ!?」

 

 ところてん(?)で出来た首輪を地面に叩きつけるシア。それを見て天の助はショックを受けるが、そんなことはどうでもいいとばかりに次は首領パッチが首輪を出す。

 

「じゃあオレのはどうだ? たまに杉山さんの声が聞こえるけど」

「誰!?」

『覚悟はいいか? 俺はできてる』

(ブチャラティ?)

「ASB版」

「普通に怖いですぅ!」

 

 再び首輪を叩きつけるシア。そしてバカ二人が勘違いしていることにやっとツッコミを入れた。

 

「それ以前に私はデザインを理由に首輪を嫌がってるわけじゃありません! というか奴隷でも無い亜人族が居ると目立つって言いますけど、首領パッチさんや天の助さんの方が明らかに目立ちそうじゃないですか!!」

「じゃあシアは首領パッチ達と同じ扱いでいいの?」

「えっ」

「武器にもするし盾にもする。そして存分にハジケてもらう。そんな風に扱うけど、いいの?」

「…………」

 

 カチャカチャ

 

 ハジメの脅しに屈したシアは無言で首輪を付けた。

 

「「オレらってそんなレベルで拒否されるような扱い受けてる?」」

「間違いなく」

 

 そしてバカ二人の問いに、ユエは無情な答えを返した。

 

 


 

 

 首輪で一悶着あったものの、遂に町の門まで辿り着いた。すると、門の横にある門番の詰所から門番らしき男が出てきて、ハジメを呼び止める。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

「食料の補給がメインです」

 

 ふ~ん、と気の無い相槌をする門番にステータスプレートを持っているバカ三人は大人しく渡す。ハジメと天の助のステータスプレートは見られても特に問題は無かったが、首領パッチのを見た途端目を瞬かせ、遠くにかざすなどして何度も見直している。

 

「あ、やべ」

 

 それを見た首領パッチが思わずやっちまった、と言わんばかりの声を出した。

 唐突だが、ステータスプレートにはステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能がある。戦闘を生業とする者からすれば、情報漏洩は致命的だからだ。その機能をハジメと天の助は使っていたのだが、首領パッチはすっかり忘れていた。

 ちなみに、これが現時点の首領パッチのステータスである。

 

===============================

首領パッチ オレ達は永遠になれない刹那だ レベル:ぶっちゃけアリ○ール

天職:決闘者(デュエリスト)

筋力:ゴリラ以下

体力:ベニクラゲ位

耐性:タスマニアデビル四十五匹分

敏捷:チーターと互角だったら良かったのに

魔力:ハゲタカよりはあるんじゃない?

魔耐:あの時のあいつと同じだな、お前は……

技能:シャイニングドロー・積み込み・状態異常耐性・ハジケリスト[+キング]・言語理解?

===============================

 

「いやどういうことだよ!!」

 

 そして門番は吠えた。それは、長年この町で過ごしてきた住人でも聞いたことがないであろうの叫びだった。

 が、ハジメとしてはこれ以上グダグダと足止めを喰らいたくは無いので門番と馴れ馴れしく肩を組み、こう言った。

 

「ステータスが文字、そんな時もありますって」

「どんな時だ!?」

「煩いな。早く入れろよ」

 

 いい加減イライラしてきたハジメに凄まれ、門番はツッコミを放棄した。

 その後、ユエやシアのステータスプレートの提示を求められたが、ユエは紛失、シアはサンバ・カーニバル係だから無いと説明し、通行の許可を得た。

 

「サンバ・カーニバル係ってなんですか!?」

「すみません。素材の換金場所って分かりますか?」

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むならギルドで聞けば、簡単な地図をくれるからそれで分かるぞ」

「ありがとうございます」

「応! 我等、冒険者ギルドに進撃せし!!」

「トラトラトラァ!!」

 

 こうしてハジメ達はこの町、ブルックへと入って行った。

 

 


 

 

 冒険者ギルドに着いたハジメ達は、躊躇なく入口のドアを蹴破り中へと飛び込んだ。

 

「素材換金の時間だああああああああああああああああ!!」

「魚。私は魚! フィッシュなのよ!!」

「ブルック名物ところてんはいかがっすかー!!」

 

 換金する用の樹海の魔物の素材を振り回しながら叫ぶハジメ。魚の真似をしながら飛び跳ねる首領パッチ。ところてんを勝手にブルック名物にしながら売りさばこうとする天の助。ハジケリストとしては普通の光景だが、周りには迷惑だ。

 

「うるさい」

 

 ドパンドパンドパン

 

 なのでいつもみたいにユエがバカ三人を射殺し、ハジメが持っていた素材を引ったくりそのまま受付嬢らしきおばちゃんに突きだした。

 

「素材の買取お願い」

「いや、それはいいけど。あんたの仲間は大丈夫なのかい?」

「大丈夫だ、問題ない」

「そうかい……。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

「え?」

 

 ユエの疑問に、おばちゃんは簡素に答えてくれた。

 おばちゃん曰く、冒険者であれば素材の買取額が一割増になり、さらにギルドと提携している宿や店は一割程度は割り引いてくれたりするそうだ。

 

「で、どうする? 登録するかい? 登録には千ルタ必要だよ」

「えっと……」

 

 おばちゃんの言葉に悩むユエ。千ルタ、日本で換算するなら千円位は素材を売ることで払えるとは思うが、そもそもユエはステータスプレートを持ってない。無論再発行はしてもらえるが、その場合自身の特異性が一切合財表に出てしまう。だから

 

 ドパンドパン

 

 ハジメに二発銃弾を撃ち込んで、ユエは身体を揺さぶって起こしにかかった。

 

「ハジメ起きて。冒険者登録にはステータスプレートがいるから」

「起こす気ありますか!?」

「グ、ガガ……」

 

 ユエの言葉で起き上がるハジメ。しかし様子がおかしい。肌は青白くなり、目は白目をむき、言葉も覚束ず涎を垂れ流している。

 

「ニンゲン、クウ……」

 

 そう、ハジメはゾンビになってしまったのだ。

 

「キアリー! キアリー!」

「それ毒消しの呪文ですよね!?」

「我ハコノ世ノ闇ヲ知リ、ソシテ染マッタ者……」

「ハジメさん闇堕ちしてる――――――――――っ!?」

 

 その後、五分くらいかけてハジメは元に戻った。その間に首領パッチと天の助も復活し、とりあえず三人は冒険者登録をすることにした。

 

「本当はシアにクイーンズブ○イドの聖なるポーズをさせようかと思ったけど、文章でさせても今一つだからやめた」

「そんな裏話暴露されましても……」

「こう言っておけば、イラスト投稿サイトに誰かが聖なるポーズをしたシアを投稿するかもしれない」

「願望が浅ましい!!」

「ならここはオレと天の助が聖なるポーズをするしかないな」

「ああ」

 

 そう言うと二人は足を広げ、M字開脚を見せようとした所で

 

「キモイんだよコラァ!!」

「「グバァ!!」」

 

 ハジメが蹴り飛ばして阻止した。

 その後、持ち込んだ素材は四十八万七千ルタで買い取られ、その内三千ルタを使いバカ三人は晴れて冒険者となった。

 そして門番が言っていた地図を貰い、それを見ながら宿屋に行き今日を終えた。

 

 


 

 

 翌日、ハジメ達は町に出ていた。旅の荷物の準備の為だ。必要なのは食料品関係と薬関係、そしてシアの衣服だ。この内食料品と薬関係はハジメと天の助に任せ、ユエ、首領パッチ、シアの三人は服を買いに行くことにした。

 ギルド受付のおばちゃん、本名キャサリンから貰った地図にはおすすめの服屋一つとっても普段着用、礼服専門店、冒険者や旅人用の店と分けて記載されている。痒い所に手が届く実にいい地図だ。

 三人は早速とある冒険者向きの店に足を運んだ。ある程度の普段着もまとめて買えるという点が決め手だった。

 その店は品ぞろえ豊富、良品質、実用的、されど見た目も忘れずといういい店だった。

 ただそこには――

 

「あら~ん、いらっしゃい♡ 可愛い子達ねぇん。おねぇさん嬉しいから、た~っぷりサービスしちゃうわよぉ~ん」

 

 化物が居た。身長二メートル強、全身がムキムキのマッチョで劇画家と思うほど濃い顔。禿頭の天辺には一房の長い髪が生えており、ラー○ンマンみたく三つ編みで纏めてある。

 

「「ヒイイイイィィィ!!」」

「」

 

 ユエと首領パッチは怯えて抱き合い、シアに至っては絶句している。それにも関わらず化物は物凄い笑顔で身体をくねらせながら近づいてくるので、ついユエは呟いてしまった。

 

「……人間?」

「だぁ~れが伝説級の魔物すら裸足で逃げ出す、見ただけで正気度がゼロを通り越してマイナスに突入する様な化物だゴラァァアア!!」

「って首領パッチが言ってました」

「え、オレ!?」

 

 恐怖のあまり仲間を人身御供にしてしまうユエ。しかしこの化物は平等だった。

 

「連帯責任!!」

「「グバァ!!」」

 

 化物からラリアットを喰らい、ダメージを受ける二人。特にユエは腰の辺りから上半身と下半身が分裂し、上は天井に突き刺さり、下はそのまま倒れ伏した。

 

「大惨事起きてる――――――――――!?」

「心配しないで」

 

 天井に刺さったユエの上半身を見ながら叫ぶシアに、下半身が唐突に話しかけた。そして出てきたのはまさかの愚痴である。

 

「ユエさんの下半身が喋ってる!?」

「あんな奴いなくてもいい。男なんていっつも顔か胸しか見てないんだから、あっちはあっちで幸せにやると思う。でもメインキャラのユエの座は下半身である私が貰う。これからの時代は下半身オンリー系ヒロインが来る」

「それ多分妖怪かなにかですよ!!」

「そんなことは言っちゃ駄目だぜ」

 

 下半身の無茶苦茶な発言に待ったをかける存在が。声がした方向を見ると、それは首領パッチの天辺に生えているトゲだった。

 

「トゲまで喋るんですか!?」

「トゲ太先輩……」

「オレは尻派なんだ。上半身だけの女の子なんて、そんなの寂しいだろ?」

「先輩がそうまでいうなら……。私、普通の女の子になります。とうっ!」

 

 トゲ太先輩の言葉を受け、一つに戻る決断をした下半身は天井に刺さっている上半身の元へジャンプし、合体した。

 その瞬間、辺りが一瞬だけ光に覆われ、晴れた時そこにいたのは、二メートル半位のゴ○ラだった。

 

「何で!?」

「と思った?」

 

 シアがツッコミを入れた後、ゴ○ラの背中に実はあったジッパーが開かれ、中から元のユエが現れた。

 

「私、復活」

「着ぐるみだったんですか!?」

 

 そしてユエの復活を見届けたトゲ太先輩はの魂は天に上り、あるべき所へ帰って行った。

 

「トゲ太先輩は何者なんですか!?」

「ただの、トゲさ」

 

 シアの疑問に首領パッチはドヤ顔で応えるが、当然シアは納得しない。でも聞いてもまともな答えが返ってくるとは思えないので、シアは諦めた。

 

「というか、私のお店で騒がないでほしいわぁん」

「「「ごめんなさい」」」

 

 化物に凄まれ、三人はハジケまくったことと人外扱いしたことを必死に謝罪し許しを得た。

 その後、シアの服を見事に見立ててもらったので、化物改め店長のクリスタベルを三人は見直し、人って見かけじゃないんだなぁ、と心の底から思ったという。

 そして別行動していたハジメ、天の助と合流し宿をチェックアウト。

 目指すはライセン大迷宮、旅の再開だ。

 

「何最後だけ綺麗に締めようとしてるの?」

「つーかオレ、最近全然ハジケてなくね?」

 

 ハジメと天の助の不満には、そっと蓋をして。

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