【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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今回で二章は終了です。なのでまたも文字数は少な目です。
また、せっかくなので質問コーナーを活動報告に設けてみようかと思います。
需要がない? 聞こえんな~(ウ○グル獄長風)


奥義23 締めまでつくづく騒がしい

 ハジメが希望の花を咲かせていると、特に前触れもなくいきなり上方の壁の一角が光を放ち始めた。早速その場所に向かおうとするが、ハジメがまだ死んでいるのでユエが蹴りを入れて起こそうとする。しかし、ハジメは蘇生しない。

 仕方がないので、今度は天の助が呼びかける。

 

「おーい、早く起きろー。起きないとお前がこの前買ったプリンをオレが食っちまうぞー」

「そんなんで起きるんですか?」

「まだだ……! まだ終わりじゃないぞ……!!」

「最終決戦みたいなテンションで起き上がってきたですぅ!?」

 

 銃弾を受け、血まみれの上体はふらついている。それでもなお、強き意志がハジメを支えるかのように立ち上がり、倒れることは無い。そのままハジメは、天の助が持っていたプリンを引ったくり貪り喰らう。その様は正しく獣。

 

「こ、このプリンはたまらなく……、うまいぞおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 そしてハジメは、プリンの美味さで傷を治した。

 

「味で!?」

「よし、じゃあとっととこの迷宮の神代魔法と攻略の証貰おう」

「ん」

「さっさと行くか」

 

 ハジメの言葉にユエと首領パッチが同意し、光っている場所を目指す。場所が上方なので足場代わりに立方体を飛び石の様に伝って行こうとすると、最初の立方体がそのまま移動し、あっさり目的地の手前に辿り着く。

 刹那、壁の光が消え、代わりに奥へと続く通路が現れた。そのまま立方体は通路を移動し、最後に辿り着いた場所には

 

「やっほー、さっきぶり!」

「あ、ミレディ」

「どうする? 処す? 処す?」

「私何かした!?」

 

 いきなり首領パッチに処されかけているミレディが居た。彼女は首をブンブンと横に振りながら叫ぶ。

 

「私は処されないからね! はいこれ攻略の証!! そしたら魔法陣に入った入った! 神代魔法あげるから!!」

「慌ただしいですぅ……」

 

 ハジメにこの迷宮攻略の証であるライセンの指輪をハジメに渡してから、シッシッとハジメ達を地面に刻まれている魔法陣の中に追いやって、そのまま魔法陣を起動させる。そのまま特に何かが起こる訳でもなく、あっさり全員が神代魔法を手に入れた。

 

「これは……、重力魔法?」

「そうだよ~ん。私の魔法をかわいがってあげてね!! って言いたいけど、適性があるのはそこの金髪ちゃんだけだね。他は全員ダメダメだね。さながらパンジャンドラム」

「パンジャンドラムって……」

「W○T実装はよ」

 

 どこか遠い眼をする天の助とハジメをよそに、ユエは一人不満気な表情を見せる。

 

「ミレディ」

「何、どうしたの金髪ちゃん?」

「いくら重力魔法を使っても、私の胸が大きくならないんだけど。どういうこと? 消費生活アドバイザーに電話入れろってこと?」

「……重力と豊胸関係なくない?」

「胸にメロン詰めるか?」

 

 ユエの言葉を聞いて本気で戸惑うミレディと、明らかに馬鹿にしている笑みを浮かべている首領パッチ。ユエは首領パッチからメロンをひったくり

 

「ふんっ!」

「ぐはぁ!!」

「私も!?」

 

 二人の頭をかち割った。

 

「よ、よくも私に向かって……! これでもくらえっ!!」

 

 ミレディが怒りを見せた途端、天井から紐が降りてきてそれをそのまま引く。すると部屋が中央を中心に蟻地獄のような構造となり、中心には穴が開き、さらに外から大量の水が流れてくる。これが意味するところは――

 

「べ、便所みたいに僕らを流す気か!?」

「ふざけるな……。オレは食品だ! 便所に流される廃棄品じゃね―――――!!」

 

 何かのトラウマがあるのか、ミレディ以上に怒り狂った天の助がジャンプで彼女の元へ向かう。しかし

 

「さっせなーい!」

 

 ミレディが右手を突きだすと、重力魔法が発動し天の助はそのまま地に落ち這い回ることすら許されなくなる。どうやら数倍の重力で押さえつけられているらしい。

 

「あ、そうそう。これ他の迷宮が書かれた地図ね。よかったら使って」

 

 いよいよ流される、という段階でミレディが地図をハジメに投げ渡す。そしてハジメ以外の全員が流され、いよいよ残りは彼一人となった。

 

「待ってミレディ!」

「……何?」

 

 そのタイミングでハジメが話しかけ、ミレディは怪訝な表情で彼を見る。そして掛けられた内容を聞いても、怪訝な表情は変えない。

 

「もうちょっと、何かフラグ的なセリフ無いの!? せっかく解放者が意識繋いでるって設定なんだから!!」

「編集みたいなこと言いだした……」

「せっかく過去にハジケリストが居たって設定あるんだから、実は過去に転移した僕がそいつみたいな設定用意して、その伏線匂わせてミッシングリンク繋ぐ役するとかさぁ!!」

「君と私は正真正銘初対面だし、それ私に言われても困るよ」

「……え? じゃあ何でわざわざそんな設定を――」

 

 ドパンドパンドパン

 

 ハジメのクレームがいい加減ウザくなってきたミレディは、躊躇なく銃を撃つ。その結果死体となったハジメは、抵抗など出来る訳もなくただ流されていった。

 

 


 

 

 ハジメ達が流されてからどれだけ経ったか。どこかの泉でいきなりゴゴゴゴという音が響いたかと思うと、刹那、大量の水が噴水の如く吹き上がり、その水に乗ってユエ、首領パッチ、シア、天の助、ハジメの順で泉から飛んでくる。

 地上に脱出したハジメは、いの一番に皆を心配する。

 

「皆大丈夫!?」

「いや一番危なそうな人に心配されましても!?」

 

 でも死体だ。

 とはいえハジメが死体なのもいつものことなので。ハジメの蘇生を待てばいいだけの筈だが、不幸にもこの場には彼ら以外の人間がいた。

 

「きゃあああああああああああ! 死体―――――――――――!?」

「あら、この前の……」

 

 ブルックの町で首領パッチとユエ、シアが世話になった服飾店の店長、クリスタベルとハジメ達が泊まった宿屋の看板娘、ソーナ・マサカである。

 この二人は現在、冒険者の護衛を付けながら隣町からブルックへと帰還中だった。クリスタベルは服飾関係の素材を取りに行き、ソーナはそれに便乗して大怪我した隣町の親戚に見舞いの品を届けに行ったのだ。

 その帰り、泉でお昼休憩を取ろうとした所でハジメ達が飛んできたのだが、クリスタベル以外のハジケリスト慣れしていないソーナはハジメの死体に怯え、護衛の冒険者は殺気だって警戒している。

 

「だ、大丈夫です! ハジメさんならその内復活します!!」

「どういうこと!?」

 

 シアが頑張って警戒を解こうとしているが、なかなかうまくはいかない。

 その後ろでは

 

「私は、世界を壊し……、世界を、創る……」

 

 ユエが死にかけていた。ユエは吸血鬼で、吸血鬼は実は流水に弱いという弱点があるのだ。

 

「大丈夫か!? お前いつの間に死にかけてたんだ!?」

「心配するなユエ! オレが今乾燥機持ってきたからな!!」

 

 そう言って首領パッチはコインランドリーにあるような乾燥機を取り出し、ユエを中に押し込んでからコインを何枚も入れた。

 

「連コイン連コイン!!」

「回れ回れ―――!!」

「これが、孔明の罠……!!」

 

 乾燥機の周りに謎の生物が二人、乾燥機の中に孔明の力に慄く少女が一人。そんな状況では落ち着ける人間はいない。

 結局、ソーナと冒険者が警戒を解いたのはハジメとユエが復活してからだった。

 その後、ここがブルックの町から一日程の距離の泉であると教えてもらい、クリスタベルの馬車に便乗させてもらうことになったとさ。

 

「丸く収まって良かったよ」

「めでたしめでたし」

「無駄に拗れたの二人のせいですぅ!!」

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