ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ
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しかし説明会が続くからハジケにくいったらありゃしない


奥義2 来ちゃった♪異世界

 さっきまでハジメ達を包んでいた光が収まると、辺りは一変していた。

 最初に飛び込んできたのは縦横十メートル程の巨大な壁画だった。それから目をそらして辺りを見回すと、どうやら自分達は巨大な広間にいるようだった。

 ハジメ達は巨大な広間の最奥にある台座のような場所にいるようだ。その台座の周りには、三十人近くの人々が祈りを捧げるように跪いている。

 そのうちの一人、豪華な衣装を着た老人が進み出てきた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎いたしますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、よろしくお願い致しますぞ」

 

 と語りかけてきた。

 イシュタルは詳しい話をする、といい別の場所へ案内し始めた。ハジメの周りにいる連れてこられた側の人間は、状況について行けないのか大人しく従うのみ。

 そしてハジメは

 

「いつまで凍ってるのさ」

 

 バシャ、と実は今まで凍り続けていた首領パッチと天の助に熱湯をぶちまけた。

 

「「おあちゃ――――!!」」

 

 


 

 

 現在、場所を移り、十メートル以上ありそうなテーブルがいくつも置いてある大広間に通された。上座に近い方に光輝達が座り、ハジメ達は一番後ろに座っている。

 全員が到着すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイド達が入ってきた。それも男子の夢を具現化したような美女・美少女メイドが。

 多くの男子がメイド達を凝視し、ハジメもまたその内の一人として、飲み物を給仕してくれたメイドを凝視していたのだがそこで横から首領パッチが袖を引っ張る。

 何事かと思って横を見ると

 

「何よデレデレしちゃって! あんなメイドよりアタシの方が美人でしょ!?」

 

 とメイドコスをしながら首領パッチが迫ってきた。

 

「ないよ」

 

 とハジメがあしらうと、首領パッチは「あなたがハジメをたぶらかしたのね! そうに決まってるわ!!」と言いながらハジメ達に給仕したメイドに突っかかっていた。

 一方、天の助は給仕された飲み物を大人しく味わっていた。

 

「うーん、カモミールの香り……」

 

 ただし体はドロドロと溶けていた。

 

「ひっ……!」

 

 その光景に顔を引きつらせるメイド。それを見たハジメは

 

「はいドーン! ドーン!!」

 

 バールの様な物で首領パッチと天の助を殴り飛ばして黙らせる。そしてメイドを安心させるためこう声をかけた。

 

「安心してください、もう大丈夫です」

「あ、ありがとうございます……」

 

 メイドは明らかに怯えながらそそくさとハジメ達から離れていった。その事実にハジメは軽くへこんだ。

 やがて全員に飲み物が行き渡ったのを確認すると、イシュタルが話し始めた。

 

「さて、あなた方――」

「話長えよ!!」

「いや十文字も話してないけど!?」

 

 イシュタルが話し始めてすぐに、首領パッチがキレてバースデーケーキをイシュタルの顔面に投げつけた。

 突然の凶行に驚きつつも、怒りを見せたのは光輝。まだ何も事情を聞けていないのに話をいきなり中断されたこと、そもそも理由もなく人の顔にケーキをぶつけるなどあってはならないと、光輝は怒り心頭だった。

 

「なんてもっともらしい理由なんだ……」

 

 ハジメが光輝の怒りに心から納得している中、光輝はズカズカとハジメ達の元へ向かい、辿り着くと同時に首領パッチに掴みかかった。

 

「一体何を考えているんだ君は!?」

「この星の痛みを。そして、世界の真実を」

「無駄に遠大だな!?」

 

 光輝が首領パッチの台詞に驚く一方、ハジメは天の助を連れてイシュタルの元へ。

 

「どうすんだハジメ?」

「とりあえず天の助はこの人の顔に付いてるケーキ食べて」

「俺が食うのかこれ!?」

 

 驚愕する天の助の口にケーキを押し込みながら、ハジメは告げる。

 

「今から僕が納豆真拳奥義、豆テレパシーでこの人が伝えたかったことを読み取って要約して皆に話すよ」

「へえ、そんなこと出来るのね……」

 

 雫が感心しているのを尻目に、ハジメはケーキが除かれたイシュタルの眉間に指を置いて奥義を発動した。

 

「納豆真拳奥義、豆テレパシー!!」

 

 奥義の発動と同時に、ハジメの中にイメージ映像が流れ込んでくる。

 

『の・ぼ・り・べ・つ、と言えば?』

『ク・マ・牧場。クマ牧場!』

 

「よし読み取った!」

「今明らかに関係ないイメージ映像流れなかった!?」

 

 雫のツッコミを聞き流して、ハジメは読み取ったことを要約して伝えた。これがその内容である。

 

 

 この世界はトータスという地球とは違う世界だよ。

 トータスには人間族、魔人族、亜人族の三種族がいて、そのうち人間族と魔人族は何百年も戦争をしているよ。

 最近魔人族が魔物の使役に成功して戦力増大したから、人間族がピンチだよ。

 戦えい! 貴様らは神、エヒト様によって呼ばれたのだから、神の御意志の元魔人族と戦えい!!

 

 

「大体こんな感じかな」

「最後明らかにキャラ変わったわね!?」

 

 キャラはともかく、イシュタルが言いたい内容を理解したハジメは少しまずいと感じていた。

 このイシュタルという男、さっきの内容に何の疑いも抱いていない。お世辞にも戦い慣れていると言える人間はハジメ達ハジケリスト位で、後は普通の高校生でしかない。それが分かっているはずなのにイシュタルは、神の言葉だからと彼らが自分達の為に戦ってくれると信じきっている。

 神の意思だから、と嬉々として従う彼にハジメが不信感を抱いていると、立ち上がり猛然と抗議を始める人がいた。

 

「ふざけないで下さい!」

 

 畑山愛子。ハジメ達の高校の社会科教師である。年齢は二十五歳だが、童顔の上に低身長のため中学生にしか見えない、いわゆる合法ロリである。

 そんな愛子が、さっきまでケーキをぶつけられて呆然としていたが、やっと自己を取り戻したイシュタルに向かって食ってかかる。

 

「結局、この子達に戦争させようってことでしょ! やっと手に入った平和なんですよ! やっと強大な悪に怯えなくて済むようになったんですよ! それなのに戦争なんてそんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 ぷりぷりと怒る愛子。言っていることはかなり悲壮なのだが、本人の容姿のせいで周りの生徒達はほんわかした気持ちで愛子を眺めている。

 

「なぜ私が話していないにも拘らず話が進んでいるのかは分かりませんが、これだけは確かです。現状、あなた方の帰還は不可能です」

「そ、そんな……」

「あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様のご意思次第ということですな」

「そ、そんな……」

 

 イシュタルの言葉に脱力しへたり込む天の助。

 

「いやあなたなの!? 愛子先生じゃないの!?」

 

 急に入ってくる天の助に驚く雫。

 それを尻目に、帰れないという事実はクラスメイト内に動揺が広がっていく。

 しかし、その動揺を押し止める男がいた。光輝だ。

 光輝はテーブルを強く叩き、全員の注目を集めてからおもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようも無いんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。昔の地球みたいに、この世界の人達が危険に晒されているのなら、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世書の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力がみなぎっている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も掬って見せる!!」

 

 力強く宣言する光輝。なぜか一瞬だけハジメを睨んだが、その後すぐに皆を見回した。同時に、彼のカリスマはいかんなく発揮され、大半のクラスメイトが希望を見つけたという表情をしている。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前ひとりじゃ心配だからな。……俺もやるぜ」

「龍太郎……」

「今の所、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

「雫……」

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

「香織……」

 

 光輝の幼馴染三人が賛同する。後は流れでクラスメイト達がそれに追従していき、愛子はそれを必死に止めようとするが聞く耳を持ってもらえない。

 その裏でハジメと天の助はひそひそと会話をする。

 

「なあハジメ。この状況、結構ヤバくないか?」

「間違いなくヤバイと思うよ」

「ああ。いざとなったらエヒト神とやらを倒して、この世界の主食をところてんにしなくちゃいけねえな」

「王になる。地位も名誉も、全部手に入るんだ。こいつは、これ以上ないアガリじゃねえのか?」

 

 密かにエヒト神と戦う可能性を想定する二人。

 一方、首領パッチは光輝達、ハジメ達どちらの話にも参加する事無くただひたすら

 

(そういやオレ、今週の金欠少女カネクレン録ったっけ?)

 

 どうでもいいことを考えていた。

 それに気付いた光輝が思わず突っかかりそうになるが、その前にハジメが気づいて首領パッチの元へ走る。

 

「やる気出しなよ首領パッチ。これあげるからさ」

 

 そう言ってハジメが出したのは、食パンの袋を止めるアレ*1だった。首領パッチは迷うことなく飛びつき叫ぶ。

 

「ああ。やってやろうぜ! カツオ神復活をな!!」

「何にも聞いてないじゃないか!!」

「うわらばっ!!」

 

 とりあえず、ハジメは首領パッチを殴り飛ばした。

 

 


 

 

 その後、実は今まで神山の頂上に居たハジメ達は神山の麓にあるハイドリヒ王国に向かった。

 王宮に着くと、ハジメ達は王族の紹介を受け、晩餐会が開かれた。

 そして晩餐会が終わり、各自に一室ずつ与えられた部屋に案内され、ハジメは天蓋付きのベッドに愕然としながらも、疲れたのでベッドにダイブしてそのまま意識を落とした。

*1正式名称:バック・クロージャー

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