今回の話には鬼滅の刃単行本未収録のネタが使われています。
単行本派の方はご注意ください。
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ツイッター始めました。良かったら見てください。でも基本どうでもいい話しかしません。
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カンチョー君の浣腸しながらの叫びと、竜の悲痛ながら喜びが混じった叫びが響く
倒れているカンチョー君を心配して、ハジメは思わず駆けだした。
「大丈夫ですかカンチョーさん!?」
「何で急にさん付け!?」
しかしハジメがカンチョー君の元へ辿り着いても、彼はピクリとも動かない。
それもそのはず。なぜならカンチョー君は己の浣腸に全パワーを費やす。よって彼は生まれて初めての浣腸を終えた時、命も同時に終わってしまうのだ。
嗚呼、さらばお尻の革命児。カンチョー君。
「そ、そんな……。カンチョーさん……。うわああああああああああああああああ!!」
カンチョー君の死。あまりにも突然のことに思わず慟哭するハジメ。その後ろでは――
「いや派手な死に方しますねあの下ネタ……」
「南雲の気持ちに全く共感できない」
シアと優花が呆れた顔を隠さず、二人で呟いていた。
一方、泣き叫ぶハジメに首領パッチが静かに近寄り、肩を叩く。
「泣くな、ハジメ」
「首領パッチ……」
「ストックならまだ一杯あるから」
そしてレジ袋一杯に入ったカンチョー君を、ハジメに見せつけた。
「毛狩り隊の隊長がいっぱいいる――――――――っ!?」
「そっか。じゃあ、いいや」
首領パッチの言葉で、ハジメはカンチョー君を失った悲しみを乗り越えた。
「ハジメさんの悲しみ安っ!!」
「シリアスパート終わったね」
「いや初めから入ってもいませんでしたけど!?」
“のう、そろそろ妾喋ってもよいかの?„
ハジケリスト達がいつもどおりにバカ騒ぎしている中、このまま喋らないと空気になりかねないと判断した竜が話しかけてきた。
「いやまあ、話したいなら話せば?」
“そんなおざなりな……。でもなぜかゾクゾクするのう、その言い回し„
「これ以上変態が増えないでほしい」
明らかに喜んでいる竜に向かって苦言を呈すユエ。すると、彼女は何かに気付いたのか竜に向かって指を突き付けながらそのまま質問をした。
「ところで、あなたひょっとして竜人族?」
“いかにも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ„
「りゅうじんぞく?」
竜人族、という言葉に聞き覚えがなかったのか首を捻り、疑問を呈す首領パッチ。そんな彼に天の助は得意気な顔を見せる。
「何だ知らねえのか? いいか、竜人族ってのはな――」
『お前との因縁もこれまでだ! リュー!!』
『貴様の死でか? ジンゾク』
「――みたいな?」
「全然違いますよ!?」
「しょうがないな……」
天の助の見当外れにも程がある説明を聞いて呆れるハジメは、仕方ないので本で読んだ竜人族の知識をバカ二人に説明し始めた。
竜人族とは、五百年以上前に滅んだとされる種族である。肉体を人から竜に変化させる“竜化„という魔法が使えるせいで、差別を受けたとか神に淘汰されたとかいろんな扱いを受けている種族である。
「でも生きてんじゃん」
「最近そういうの多いでしょ。偉人が実は女だったとかそんな感じで」
“妾達の生存ってそんなソシャゲの設定みたいなノリで流していい物ではないのじゃが……„
「原作的に考えてエロゲって言うべきなんじゃね?」
「偉人女体化とか昔からある」
「で、実は生きてた竜人族が何でこんな所でウィルを襲ってたのさ」
“またもスルー……。んんっ……!„
「話が進まない……!」
ハジメ達がしている雑な扱いを明らかに喜んでいる竜に対して、話を聞いている側は苛立ちを見せ始めていた。特にウィルは、仲間を当の竜に襲われているせいか憎しみを篭めた目で竜を睨んでいる。
だが竜は、そんな視線にも負けず話し始めた。ちなみにこの状況では断じて喜んではいない。
“妾は操られたのじゃ。そして妾を操った仮初の主が、そこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じたのじゃ„
その後の竜の話を要約するとこうなる。
竜人族は絶滅したと思われているが、実際には隠れ里があるよ。
隠れ里は異世界からの来訪者を察知して、代表としてこの竜が調査することになったよ。
いよいよ人里に着くという段階で、一度しっかり休息しようと思って“竜化„の魔法で竜になって休んでいたよ。
でも寝ているときに黒いローブの男がやってきてさあ大変。一日掛かりで洗脳されちゃった。
そして他の魔物の洗脳を手伝わされてたけど、洗脳されたブルタールの群れがウィル達と遭遇しちゃったよ。
目撃者はブッコロ! と命令されてたからウィル達にブレスをシュゥゥゥ――――ッ!!
そしてハジメ達との戦闘のショックで洗脳が解け、今に至る。
“まさしく一生の不覚じゃ!„
「いやそれって一日位爆睡してたって君のせいなんじゃ」
ハジメと容赦ない言葉に続き、その場にいた全員が馬鹿を見る様な目で竜を見る。
「いやバカだろこいつ」
「ぶふぅ―っ! 天の助に言われたらお前も終わりだな!!」
否、天の助と首領パッチは容赦なく言った。
なお、当人は明後日の方向を見て誤魔化そうとしている。
「……ふざけるな」
そんな竜に対し、激情を必死に堪えるかのような怨嗟の声が響く。皆が声の主を探すと、そこにいるのはウィルだった。
「……操られていたから、ナバルさんを、レントさんを、ワスリーさんをクルトさんを! 殺したのは仕方ないと言うつもりかっ!!」
「いや、生きてるぞあいつら」
「えっ!?」
赫怒していたウィルに対し、ゲイルは容赦なく冷や水を浴びせる。
一方、梯子を外されたウィルは大いに慌てた。ブレスをモロに喰らったナバル達の姿を覚えていたウィルからすれば、ナバル達が生きているというのは青天の霹靂と言う他無かった。
「ゲイルさん! ほ、本当に皆さんは生きているんですか!?」
「ああ。今は戦える状態じゃないから、ここにいるハジメ達の仲間にウルへ送ってもらったが、また一緒に戦える日は必ず来る」
「そうですか……。――良かった」
仲間の生存を知り、感極まったウィルは思わずゲイルに抱き着く。するとゲイルは、己の内から湧き出る衝動を必死に抑え込みながらウィルに言った。
「頼む……。俺に浮気をさせるな……!!」
「これウィルにも責任無くねえか?」
「それ痴漢される方も悪いみたいな言い分だと思いますよ?」
ゲイルの言動に対し、好き勝手話す首領パッチとシア。
その後ろでは、天の助が疑わしそうな目で竜を見つめながら言った。
「この竜が嘘ついてる可能性は無いのか?」
「あんまり嘘つく理由はないと思うけど」
「でも天の助の言い分は最も。だから竜に聞く」
“何じゃ?„
「あなたの今までの発言は、竜人族の誇りに誓って本当だと言える?」
“無論じゃ。妾の言葉に嘘偽りはない。竜人族の誇りにかけてじゃ„
ユエの問いかけに、竜の迷い無い返答が響く。
その答えを聞いた後、ユエは少し考えてからハジメ達にぽつぽつと語りだした。
「多分この竜の言ってることは本当。私は皆より昔を生きていたから知っている。竜人族はとても誇り高く、高潔で清廉。その竜人族が誇りにかけてとまでいうのなら、私は真実だと信じる」
ユエの迷いの無い言葉。彼女にとって竜人族の伝説は身近で、よく知っている。だからこそユエは竜の言葉を信じ、またハジメ達に信じてもらおうと語りかけている。
「「「「「「「……誇り高い?」」」」」」」
しかし、語りかけられている側からすれば竜人族は伝説の存在で、実際に会ったのは目の前の竜が初めて。しかも肝心の竜は己が浣腸されて喜び、丸一日寝ていたせいで洗脳されるような存在だった。
そのせいでハジメ達は、ユエが嘘をつくとは思っていないが、彼女の言葉が耳を滑っていく。
「……うう、ひっぐ。私の知る竜人族は……、とても誇り高いから。……信じて」
「おおよしよし。大丈夫ですよ、誰もユエさんの言うことを疑ってなんかいませんからね」
そのせいでユエが遂には泣きだし、シアに抱きしめられながら慰められる始末。
「ちょっと! ユエさん泣いちゃったじゃないですか!!」
「オイコラ竜! 謝ってよ!!」
「お前のせいでユエ泣いてるじゃねえか!」
「なーかーしたーなーかしたー、せーんせーに言ったーろー」
そしてここぞとばかりに、シアとバカ三人は一斉に竜を責めたてた。
しかし竜も負けじと反論をする。
“いや、妾は悪くないじゃろ! あんな浣腸を喰らえば誰だって夢の扉開いて、新しい世界に目覚めるに決まっておる!!„
「夢の扉開いてんの!?」
「オレも喰らったことあるけど、扉なんか開かなかったぞ!!」
「喰らったことあるんだ!?」
「一応言っておく。死ぬほど痛いぞ」
「何の警告!?」
天の助のまさかの発言に思わず叫びまくる優花。
一方、ユエはシアに抱きしめられているうちに新たな感情が目覚めつつあった。
「うう……。シアに抱きしめられるとなぜかポカポカする。まさか、これが恋……!?」
「ユエさん?」
「ねえシア。私と一緒に地獄に行こう?」
「とっととくたばれ糞野郎」
シアの優しく包み込む抱擁により心の傷が埋まっていったユエ。
しかし包み込まれたが故に生まれた彼女の感情を、よりにもよって包み込んでいた当人が否定する。
嗚呼、何という無情。ならばユエが塵芥一つ残さず消え失せるのも、また道理ではないか。
「さらっと消滅してる―――――――――――――――――っ!?」
「いやあれ完全にネタ振りでしたから、つい……」
「大丈夫、シアは悪くない。○ャミ子が悪いんだよ」
「シャ○子は悪くないよ」
「どっちなんですか」
「というか誰だよ」
シアとゲイルの軽いツッコミ。しかしハジメはそれらを容易く振り切って、竜に向き直り問い詰める。
「それで話を戻すけど。竜、お前を洗脳したローブの男って言うのは魔人族なの?」
「上手い! 話を強引に戻したですぅ!」
「強引って付いてる時点で上手いって言えるの?」
“いや、少年くらいで黒髪黒目の人間族じゃった„
あと「これで自分は勇者より上だ」とか口にしてた、と竜は付け加える。その言葉に優花はショックを受けた。
なぜならば、竜が語ったローブの男の特徴が、現在探している清水と全く同じだからだ。
「まさか、清水が!?」
「いやひょっとしたら
「寺じゃないんだけど!!」
「清原かもしれないぞ」
「別人じゃん!?」
ハジメと首領パッチのボケ倒しにちょっとツッコミ疲れる優花。しかし竜はその流れを無視して、申し訳なさそうに言葉を漏らす。
“ところで、突然じゃがそろそろ戻っても良いかの? 魔力が切れそうなのじゃ„
「そういえば魔法で変身してるんだっけ?」
“うむ。おっと、時間切れじゃ„
竜がそう言うと黒色の魔力が、まるで繭のように体を包みそのまま大きさを小さくしていく。そして丁度人間大の大きさになったところでいっきに魔力が霧散し、人の姿になった竜が姿を現す。
そこに居たのは黒髪金眼の、艶やかな腰まで伸びたストレートの黒髪と巨乳が特徴的な美女だった。彼女は頬を赤く染め、息を荒くしている。
「ハァハァ、まさかこんな所で痛みを快楽と知ることが出来るとは。これも運命じゃな……」
「嫌な運命ですね」
「……あなたの名前は?」
危険な発言をする竜に、いつの間にか復活したユエがドン引きしながら問いかける。その質問に、竜は迷いなく答えた。
「うむ、妾の名前はティオ・クラルス。最後の竜人族クラルス族の一人じゃ。それよりも黒ローブの男がウルの町を襲う気じゃぞ。早くせぬと大変なことになるのじゃ」
「何ですかそのゲームのNPCみたいなセリフ回しは」
「妾にも責任があるのじゃ。力を貸すぞ、ご主人様」
ティオ・クラルスが なかまになった!
ハジメ達の脳内でファンファーレと共にさっきのメッセージが流れると同時に、ハジメは迷い無く一直線に走りだし、そのままティオにドロップキックを決めた。
「何さらっとパーティーインしてるのお前!!」
「ぐはぁ!!」
吹っ飛ばされたティオはそのまま地面を転がりながら、あぁんと喘いでいる。それをハジメ達はドン引きしながら眺めていた。
一方、その後ろでは消滅した筈のユエが発光しながら再構成されていく光景が映し出されていた。
「絵面が完全に超常現象!!」
「私、復活!」
「でももう締めですよ」
「!?」