【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義30 簡単城壁製作講座

 ティオ・クラルスが仲間になり、魔物を黒いローブの男が集めていると聞いたハジメは規模を確かめる為首領パッチのトゲを天体望遠鏡に変形させ様子を見ようと覗き込む。

 が、しかし――

 

「見づらい!!」

「オレのトゲが!?」

「天体望遠鏡って上下左右が逆に見えるから」

 

 見づらかった為、思わず地面に天体望遠鏡を叩きつけるハジメ。それでも数万単位の魔物がウルの町に向かって移動しているのが確認できた。

 そのことを報告すると、一同は急いで町へ戻ろうとする。

 

「た、大変だ! 早く町へ知らせないと!!」

「でもどうやって移動するんだ?」

「南雲、何とかならないの!?」

 

 慌てふためくウィルとゲイル、ハジメを頼りにする優花。そんな声にハジメは余裕を持って応える。

 

「僕に任セレブ。納豆真拳奥義、謎の天才発明家ドクタービーン参上!!」

 

 ハジメが奥義を発動すると同時に、彼の服装が白衣となり、顔には白い髭をたくわえ、グルグル眼鏡を掛けた姿となる。

 バカがイメージする博士像そのままだった。

 

「はーい、みんな大好きドクタービーンだよ! 今日はおうちにある物を使って転送装置を作ってみよう!!」

「さらっと凄いこと言ってるですぅ!!」

「用意するのはこちら!」

 

 そう言ってハジメは、いつの間にか出現したテーブルの上に材料の一覧を置いていく。

 

「おまる、物干し竿、windows98、ビック○マンシール、紙飛行機、パンの耳、小麦粉の七つ!」

「材料に統一感が全くない!!」

「これらを錬成師の錬成で混ぜ合わせます。アシスタントの天の助、よろしく」

「あいよぉ! 任せて下せえ、旦那ァ!!」

「どういうキャラだよ」

 

 周りのツッコミもなんのその。ハジメと天の助は用意した材料を錬成で混ぜ合わせていく。

 

「あ、それそっちね」

「おい、ここ上手く混ざんねえぞ」

「そこは小麦粉を水に溶かして繋ぎ合わせるんだよ」

「何の調理過程ですか!?」

 

 そして五分後、ついに転送装置は完成した。

 

「「完成! デコトラ型使い捨て転送装置!!」」

「材料から何一つ想像できない形状になった――――――――っ!?」

「使い捨てなんですか!?」

 

 まさかの形状に驚くツッコミヒロイン二人。そんな中、ユエがある疑問を抱いた。

 

「首領パッチがいない」

「そう言えば転送装置作りだしてから喋ってませんね」

 

 キョロキョロと辺りを見回すユエとシア。すると、首領パッチの姿はすぐに見つかった。

 デコトラのタイヤ、その内の一つとなっている状態で。

 

「混ざってる――――――!?」

「そこボーボボ原作の『組み込まれてる――!?』にした方が良かったんじゃない?」

「どうでもいいですぅ!!」

 

 ハジメのツッコミに対する批評にキレるシア。一方、ユエは首領パッチが見つかったならいいやとばかりにさっさとデコトラの助手席に乗り込む。それに続くように、他の面子もデコトラの荷台に乗って行った。そして最後にハジメが運転席に乗り、いよいよ転移装置が稼働する。

 

「よし、出発進行!」

 

 その言葉と共にハジメはデコトラのクラクションを押し、ビィィィィと鳴らし始めた。しかし、30秒ほど経っても転移は一向に始まらない。

 耐えかねたユエは思わずハジメに問う。

 

「ハジメ。ちっとも転移しないけど」

「この転移装置、二分間クラクションを鳴らさないと転移しないんだ」

「仕様面倒くさっ!?」

 

 まさかの仕様に優花が思わず叫ぶが、現状は何も変わらず。そのまま残り一分半、間騒音公害を垂れ流した後ハジメ達は目的地へと転移した。

 

 


 

 

 転移した先はウルの町。ではなくそこから五百メートル程離れた地点だった。皆は乗っていたデコトラから降り、首領パッチがデコトラから分離すると同時に、デコトラの底面に装着されていたジェットエンジンが起動。そのまま空へと舞い上がり、やがて誰にも迷惑が掛からない場所で自爆した。

 あたりに轟音が響き渡り、実はすでにウルの町に戻っていた愛子達と、彼女の護衛であるデビッド達がこっちに向かって来る。

 

「たーまやー!」

「かーぎやー!」

「花火扱い!?」

 

 そんな中、首領パッチと天の助は花火大会を観覧する気分だった。

 

「というか、何で爆発するんですかこのデコトラ?」

「敵に使用されないため――」

「敵って誰ですか」

「とかだったら良かったんだけど」

「実質意味無しですぅ!?」

 

 そしてユエから衝撃の真実がシアに伝えられたと同時に、愛子達がハジメ達の元へ辿り着きさっきの爆発について問い詰める。

 

「南雲君! 今の爆発は何ですか!?」

「ただの花火です。お気になさらず」

「花火!?」

「それより大変です。実はウィルを見つけた後に――」

 

 ツッコミを入れる愛子を無視して、ハジメはティオから聞いた情報、すなわち行方不明の清水が魔物を操ってこの町に向かっていることと、目撃した群れの規模を伝える。

 それを聞いた愛子はショックのあまり、思わずその場にへたり込んでしまう。

 

「そ、そんな……」

「情報交換パートを二行で済ませるって力業過ぎない?」

「いやいや、省ける部分を省くのは大事じゃぞ」

 

 メタ発言をするユエとティオを放っておいて、ハジメは何とか慰めの言葉を愛子に掛けようとする。

 

「いや、まだ清水が犯人と決まった訳じゃありません。清水(せいすい)の可能性もあります」

「もうただの水じゃん!!」

「清いよ?」

「だから!?」

 

 ツッコミながらキレかけてる優花を見て、これ以上は拙いとお口をチャックするハジメ。

 一方、ティオが昔滅んだ筈の竜人族だと知ったデビッドは大慌てだ。

 

「何ということだ。滅んだ筈の竜人族がいるとは……。すぐに本部に連絡を――」

「お前はもう一回おしるこの騎士になってろ!!」

 

 厄介なことを起こしそうになっていたデビッドを、ハジメはまたも寸胴入りおしるこの鍋に叩きこむ。

 そして数分後、デビッドは

 

「王手。飛車取り」

「ほう」

 

 ユエと将棋で対局していた。

 

「棋士になってます――――――――――――――っ!?」

「まあ、そういうことですから。ウィルとゲイルさん預かって、さっき僕らが持ってきた情報を基に、この町の偉い人とどうするか話し合ってて下さい」

「あの、無理矢理話進めるのやめてもらえませんか!?」

「じゃあ、僕らは町の周りに防壁でも作ってますんで」

「ちょっと!?」

 

 


 

 

 面倒事を大体愛子に押し付けたハジメ達六人は、町から少し離れた所に壁を作る為に来ていた。

 ところで、ここには六人いる。

 その内五人はハジメ、首領パッチ、天の助、ユエ、シアである。ちなみに優花は愛子に着いて行った。

 そう、ここにいる六人目は――

 

「ティオ、何でいるのさ」

「つれないのう。妾をそこまで拒絶する理由、ご主人様にはないじゃろ?」

 

 ティオだった。彼女はハジメに問う。なぜ自分にいて欲しくなさそうなのかと。ハジメは特に躊躇せず返答した。

 

「いや、ここで協力する理由はあっても僕らに着いてくる理由は無いし。後浣腸されて喜ぶ女にご主人様と呼ばれたくないし」

「ハジメの奴、珍しく普通のこと言ってるな」

「でもティオさんも正直ハジメさんの同類ですよね」

「!?」

 

 シアのまさかの評価に驚き、そしてへこむハジメ。

 一方、ティオはそんなハジメを全く気にせず話し始めた。

 

「ふむ、妾がついて行く理由は簡単じゃ。その方が妾に都合がいいからじゃ」

「本当に簡単ですぅ!?」

「妾は一族の使命として世界を調べねばならんのじゃが、おぬしらについて行った方がやりやすそうじゃろ?」

「普通だな」

「普通ですね」

 

 ティオの語られる理由が、思ったよりなんてことが無かったせいで今一つリアクションが薄くなる首領パッチとシア。一方、ティオは構わず話を続ける。

 

「そしてご主人様と呼ぶ理由は……」

「理由は?」

「なんというか、ご主人様って顔しとるじゃろ? 南雲ハジメという男は」

「どういうことですか!?」

「「ああ、確かに」」

「納得した!?」

 

 どう考えても納得できない理由に納得したバカ二人に、思わず叫ぶシア。

 その一方、少し離れた所ではユエと天の助は防壁作りを開始していた。

 

「流石に、この町を囲うほどの壁づくりは私の魔力じゃ厳しい」

「フッ、ならオレに任せな。プルプル真拳奥義、完全防御ところてんの関所!!」

 

 難しい顔をして唸るユエを見て、天の助は余裕の笑みで奥義を発動し、ところてんで出来た関所と壁をウルの町に作りだす。しかし、材質はところてんなので柔らかく、更にはいつの間にかやってきていたハジメとティオにかんしゃく玉を投げつけられていたり、壁の一部を食べられていた。

 

「ハハハハハ、面白いように壊れるねこの関所!」

「ふむ、味の方は中の上じゃな」

「オレの関所が味方に破られそうになってる―――――――――っ!?」

「正直ハジメが何かしなくても、すぐに破られそうだけど」

「壁の材質を硬くしないといけませんね」

「それならアタイに任せんしゃい!!」

 

 困るユエとシアに向かって、いつの間にか女装しスカートを付けた首領パッチが自信満々に言い放つ。

 そのまま首領パッチは壁に近寄り、スカートをたくし上げ、パンツを少しだけ見せてから、色っぽく言った。

 

「硬くなってぇ~ん、壁さぁ~ん。お・ね・が・い?」

「お色気作戦!?」

 

 首領パッチ渾身のお色気作戦。しかし、こうがないみたいだ……。とばかりに壁は何一つ変化する事無く、ただそこに佇むのみ。その意気や、我はこれで完成だと言わんばかりのようだ。

 

「というかキモいんだよ!!」

「ぎゃあああああああああああああああああ!!」

 

 そして壁の硬化に失敗した首領パッチは、ハジメの蹴りによって壁に叩きつけられた。

 すると、壁は叩きつけられた首領パッチをそのまま少しづつ吸収し始める。

 

「甘く見ていた――――!! オレはところてんを甘く見ていた――――――っ!!」

 

 必死に抵抗する首領パッチ。しかしその甲斐なく、首領パッチは壁の中に取り込まれた。その惨状を見なかったことにしたハジメは、何事も無かったかのようにこう言った。

 

「でも色仕掛けって方向性は悪くないと思う。だからシア、君がするんだ」

「いや、壁に色仕掛けって意味分かんないですぅ!?」

「そう? じゃあ――」

 

 当然の理由で拒否したシアに対し、ハジメは頷いてから壁の近くで仁王立ちをし、強く言い放った。

 

「僕にやるつもりでどうぞ!!」

「意味は分かるけど嫌です」

「というか、色仕掛け以外の方法を考えるべきじゃろ」

「ハジメのドスケベ」

 

 自信満々だったものの、女性陣の猛批判を受け諦めるハジメ。そのまま壁から離れそうとすると、いきなり足首を掴まれる感触を覚えた。

 何事かと思って足元を見ると、そこには壁の中から手を伸ばし、凄絶な笑みを浮かべる首領パッチの姿が。

 

「ハァイ、ジョージィ」

「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 そのまま首領パッチに引き摺り込まれ、哀れハジメも壁の中に仲間入り。

 ちなみに、肝心の壁の硬化は――

 

「硬くなれ。さもなくば斬る」

「ハイ」

 

 ユエの脅迫により解決した。

 

「力業で解決した――――――――!? というか壁が喋った!?

「ご主人様達取り込まれたままじゃが!?」

「心配するな。すぐ出てくる」

 

 ティオの心配に天の助は励まし、その言葉通り近くの地面が盛り上がり、そこから何かが出てくる。

 それは、タケノコだった。

 

「タケノコ!?」

「お控えなすって! 手前、土中のタケノコという者で御座います!!」

「そのまま仁義切り出した――――――――――っ!?」

 

 タケノコが仁義を切り始めた横で、またも地面が盛り上がり今度はモグラが出てくる。そしてそのモグラの後ろから、ハジメと首領パッチも続いて地上に上がってきた。

 

「じゃあね、モグラーダ。元気で」

「さらばだ……。ブルマ、モグラーダ。そして、ハジロット」

「ありがとうございました。いいバトルでした」

 

 そう言い残し、モグラは地中へと帰って行った。

 

「いや何があったんですか!?」

「誰も知らない 知られちゃいけーないー」

「デビ○マン!?」

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