【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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あ、今回すごくありふれっぽいサブタイ。
無双のところが。


奥義31 ライブして演説してハジケリストが無双して

 城壁を作ったハジメ達がウルの町へと戻ると、魔物の群れと戦うと決めたのか男達が武器を手にあちらこちらへ走り回る一方、女子供は万が一を考え避難の為に動く。

 住人の戦支度の中、ハジメ達はオロオロしている愛子を発見した。

 

「先生、どうかしましたか?」

「南雲君! 実は、魔物の群れと戦うことになったのですが……。どうにも纏まりが無いので、なんとかしてくれませんか」

「騎士団がやれよ」

 

 唐突に持ち出される愛子の無茶振りに、思わず首領パッチが横から口を出してしまう。

 首領パッチ以外の仲間も、口には出さないが思いは同じなので無言で頷いている。

 それを見た愛子は、無言である方向を指差す。そこには――

 

「皆の者。おしるこを信じるのだ! おしるこを信じ携え、そして食せ! さすれば我らは救われる!!」

 

 いかれた演説をしているデビッドの姿があった。

 ハジメ達が彼の演説を聞いてドン引きの中、愛子は訥々と説明していく。

 

「デビッドさんがあの有様なので、他の騎士の言葉も届かなくて……」

「これハジメさんのせいですぅ」

「ハジメ、後でごめんなさいしようね」

「うん、僕ごめんなさいする……」

「オレに任せろ!」

 

 シアとユエの二人に責められ、思わず正座で悔いるハジメ。

 すると天の助が、空を飛ぶ五メートル四方のところてんに乗り込んだ状態で、町の上空に現れ、町の住人に向かって叫ぶ。

 

「革命は終わっていない! 諸君らの気高い理想は、決して絶やしてはならない! トコロテ・カイエルの意志は常に我々と共にある」

「トコロテ・カイエルって誰ですか!?」

「プルルプルンの真理はここだ!」

 

 演説する天の助。そして最後には、大根ブレードを天に掲げ演説を締める。

 

「皆、ところてんの元へ集え!!」

 

 天の助の演説を聞いた民衆の一部が、ざわざわと騒ぎ始める。

 

「ところてんだ!」

「トコロテ・カイエルの魂!」

「そうだ! プルルプルンの正義は我々にある!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 こうして、民衆の一パーセントほどは戦う意思を固めた。

 

「少ないですぅ!!」

「むしろ多い気がする」

「ならば残りは妾の歌で黙らせようぞ」

「歌で!?」

 

 未だざわめく民衆を見て、今度はティオがマイクを携え、未だおしるこ演説をしているデビッドを蹴飛ばし、歌い始めた。

 

「ありったけの 夢をー かき集めー 捜し物 探しにゆーくーのさー」

 

 気分よく歌っているティオ。すると、後ろから今度はユエが同じくマイクを携えて一緒に歌い始める。

 

「ポケットのコイン それとYou wanna be my Friend?」

「We are, We are on the cruise!」

「「ウィーアー!」」

 

 歌い終え、辺りを見渡す二人。

 しかし町の住人は当然の如く、いきなり始まったコンサートに戸惑うばかりで落ち着く素振りは見せない。なので――

 

「「()達の歌を聞けぇぇえええ!!」」

「「「ぐわああああああああああああああああ!!」」」

 

 二人は町の住人をマシンガンで銃撃した。

 

「理不尽極まりないですぅ!!」

「ちょっと! どうしていきなり銃撃なんですか!?」

 

 愛子の疑問という名の批難。しかし二人は何のよどみも迷いもなく返答した。

 

「「誤チェストにごわす」」

「あきらかに確信犯(誤用)でしたけど!?」

「全く。見てられないな」

 

 淡々としているバカ二人と、ツッコミを入れ続ける二人を見かねて、首領パッチが口を挟んできた。そのまま首領パッチは、ティオからマイクを奪い、ウルの町の住人に向かっていきなり演説を始めてしまう。

 

「ギョブンサグガギギダガスラ・ザヂパギンザ! バゼザ!?」

「ここではリントの言葉で話せ」

 

 ドパンドパンドパン

 

 まさかの日本語で話さない、という選択肢を見せた首領パッチにハジメは銃撃をもって対処する。しかし首領パッチの命はまだ残っていた。

 

「美嘉ァ……。やっと分かったんだ。オレ達に辿り着く場所なんていらねえ……。ただプロデュースし続けるだけでいい!」

「それ違うミカですよね」

「ハジメ、そろそろ話進めて」

「うん」

 

 いい加減無駄話にも飽きたユエが、ハジメに話を纏めるよう言ってマイクを渡す。ハジメ当人もそれを了承。

 そのまま住人の前にマイクを持って立つが、住人は今までの仲間達の行いのせいで訝し気にハジメを見る。

 だが彼は当然の様にそれに怯まず、演説を開始した。

 

「聞け、ギャラルホルン……じゃなかった。ウルの町の者達よ! 我らには豊穣の女神、愛子様の加護がある!!」

「」

 

 ハジメの突然の言葉に思わず茫然とする愛子を尻目に、住人達はいきなりこいつは何をいうんだ、とばかりにざわめき始める。

 

「我らの傍に愛子様がいる限り、敗北はありえない! 愛子様こそが、人類の味方にして……、えっと、こう……なんかいい感じに“豊穣„と”勝利„をもたらす的な、それだ!!」

「演説内容グッダグダですぅ!!」

 

 グダグダなハジメの演説だが、豊穣の女神の噂が届いていたのか徐々に民衆の間から安心感みたいなものが現れ始める。その流れを後押しするべく、ハジメは畳み掛ける。

 

「その証を見せよう! 納豆真拳奥義、マメーリアブラスト!!」

 

 ハジメが奥義を発動すると、目の前に数メートル程の大砲が現れ、そのまま数発ほど連射される。

 そして放たれた弾は全て、空を飛んでいた魔物に命中し、さらに愛子を象った花火が空に浮かび上がった。

 

「何で私の顔で花火をするんですか!?」

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」

 

 愛子は当然の如くツッコミを入れるが、その直後に住人が湧きたちそれどころではなくなる。

 この状況でハジメは話を締める為に叫んだ。

 

「これが愛子様の力だ!!」

「「「「「「愛子様万歳! 愛子様万歳! 愛子様万歳!」」」」」」

「ところてん万歳!」

「異端者だ! 吊るせ!!」

 

 こうして、多少の内乱が発生しつつもウルの町は一つに纏まった。

 後にどうしてこんなことをしたのか愛子に追及され、ハジメは多少知名度がある先生を旗印にした方が良い、あといざという時の防波堤になって欲しい、など適当言ったが実際は何も考えていなかったのは内緒の話だ。

 

 


 

 

 ハジメの演説によりウルの町の住人が一丸となって少し経った後、いよいよというべきか、魔物の群れが視界に入る距離まで接近していた。

 

「よし、行こうか」

 

 何気なく呟いたハジメのセリフを合図に、ハジメ達六人は城壁の向こう側、魔物の大軍へと向かっていく。

 そのまま先陣を切って奥義を発動したのはハジメだ。

 

「納豆真拳奥義、鏡餅ソルジャー召喚!」

 

 ハジメが奥義を発動するとどこからともなく、戦国武将の様な鎧兜を纏った、二メートル程の手足が生えた鏡餅が数十体程、大剣を携えて現れる。

 

「何ですかこの気味の悪い物体!?」

「殲滅せよ!」

 

 そしてハジメの号令と同時に鏡餅達は魔物の群れに向かって突撃し、大剣を振るい魔物達を薙ぎ払っていく。

 だが鏡餅が対処できるのは地上のみ。一方、魔物の群れの中には空を飛ぶものも紛れていた。それに気づいたハジメはティオに指示する。

 

「ティオ。もう一度竜に変身して空の敵を倒して! 魔力回復したでしょ!」

「いや、少しは回復したとはいえまだ竜に変身するほどの魔力はないからの。無理じゃ」

 

 しかし不発だった。

 

「使えないなもう!」

「あぁん!」

 

 思わず罵るハジメと、それに悦ぶティオ。しかし、ハジメはすぐに別の方法を思いついた。

 

「だったらこれだ。協力奥義、ドラゴンバスター!」

 

 そう言ってハジメはティオを大砲に詰め、問答無用で発射する。

 

「ああああああ――――――――――――――っ!!」

 

 発射されたティオはそのまま空にいる魔物を一匹貫き、自身の速度が落ちてきた所で体の向きを変え、他の魔物に跳び蹴りや殴打を与えていく。

 

(ドラゴン)討伐(バスター)してる――――――――――――っ!?」

「私も負けてられない。“雷龍„」

 

 ティオに対抗するかのようにユエが魔法を発動。

 すると天に暗雲が立ち込め、激しく雷が幾度も落ち、やがてそれらが一つに纏まり、龍の形となる。

 これがユエが作りだしたオリジナル魔法。雷を飛ばし、それを重力魔法で操作することで自在に操る、恐るべき魔法なのだ。

 ユエは雷龍を用いて、魔物の軍勢を次々と吹き飛ばしていく。

 鏡餅ソルジャー諸共。

 

「巻き込んでる!!」

「僕の鏡餅が―――――――――――――!?」

「よし、オレも続くぜ。ドロー!」

 

 血の涙を流しながら鏡餅の扱いの酷さを嘆き悲しむハジメをよそに、首領パッチはデュエルディスクからカードをドローし、そのまま発動する。

 

「オレは融合を発動! 手札のサンダー・ドラゴンとフィールドの雷龍を融合!! 来い、双頭の雷龍(サンダードラゴン)!!」

「ユエさんの魔法って融合素材に使えるんですか!?」

 

 首領パッチの融合により、フィールドに双頭の雷龍(サンダードラゴン)が召喚された。

 その外見は、検索すればすぐに出るのでここでは割愛しよう。遊戯王のモンスターだし。

 

(描写をぶん投げたですぅ……)

「双頭の雷龍(サンダードラゴン)の攻撃。捨て身タックル!」

「まさかの物理攻撃!?」

 

 首領パッチの指示で双頭の雷龍(サンダードラゴン)が魔物の群れに突進し、攻撃を受けた魔物達は成す術もなく吹き飛ばされていく。

 鏡餅ソルジャーを巻き添えにして。

 その鏡餅ソルジャーに対する扱いの酷さについにハジメはキレ、ユエと首領パッチに掴みかかった。

 

「やめろこの外道共! 鏡餅ソルジャーに罪は無いだろ!!」

「落ち着いてハジメ」

「は、放せオイ! 今掴まれると制御が――」

 

 ハジメを振りほどこうとする二人。しかしハジメの力は強く、そう簡単にはほどけない。

 そうこうしていると、いつの間にか双頭の雷龍(サンダードラゴン)がハジメ達の方へ突進してきた。しかし三人は全く気付かないまま揉みあい、そして――

 

「「「ぎゃああああああああああああああああ!!」」」

 

 そのまま轢かれた。

 一方、戦闘が始まってから一言も喋っていない天の助はというと。

 

「教えてくれぬさん。オレは一体どうすれば……!?」

「ガネメです……。ガネメを使うのです……」

「そうか、その手があったか!」

「誰ですかその人!?」

 

 顔がぬになっている謎の男からアドバイスを受けていた。

 それを受けた天の助は、アドバイスに素直に従い眼鏡を眼前に構えながら走り出す。

 

「うおおおおおおおおお!! メガネ――」

 

 そのまま眼鏡の上下を

 

「――ガネメ!!」

 

 入れ替える。

 すると地面から、ガネメ屋という看板を掲げたあばら家がいきなりせり上がる。

 次の瞬間、あばら家がジェット噴射で遥か空、飛行する魔物よりも高く飛びあがった。

 そしてガネメ屋の攻撃が始まる。

 天からふりそそぐガネメが世界をほろぼす、とばかりに大量のメガネが降り注ぎ、その場にいる全てを攻撃する。

 攻撃を受けた魔物はメガネの一撃で体を砕かれ、一部の魔物は逃げ出す素振りを見せ始める。

 そして全てである以上、ハジメ達も例外なくメガネの攻撃を喰らっていた。

 

「「「「「ぎゃああああああああああああああああ!!」」」」」

「見境なし!?」

 

 シアがツッコミを入れ、ティオが空から落下してくると同時にガネメ屋の攻撃が止まる。

 しかしすぐにガネメ屋が光る魔力を集め始めるのが見え、そして溜まったと同時に光が消える。それが意味する所は一つ。

 

「第二射が来るぞ!」

 

 意味に気付いたハジメが思わず叫び、味方のみならず魔物すらも硬直し空を見上げる。そしてガネメ屋が二射として発射したのは、ちくわだった。

 

「…………」

 

 ちくわだった。

 

「何やってんのお前―――――――――っ!!」

 

 あまりの光景に、ハジメは思わずロケットランチャーでガネメ屋を砲撃する。

 

「やり過ぎですよ!!」

 

 その結果としてガネメ屋は撃墜され、さながら隕石の様に魔物の群れへと落下し、地面を焼き、魔物達を吹き飛ばしていく。

 

「大惨事ですぅ――――――――――――――っ!?」

 

 それを見た魔物の大半は、己の命惜しさでハジメ達に背を向けて逃げ出していくが、一部の魔物、逃げていく魔物より強そうな魔物が、逃走を阻もうと叫び散らしていた。

 それを見たユエは、ある事実に辿り着く。

 

「見えた。恐らく相手は全ての魔物を洗脳した訳じゃない。魔物の群れのリーダー格のみを洗脳して、部下はそのまま使っている」

「成程。つまりリーダーさえ倒せば部下はそのまま逃げるという訳じゃな」

「そゆこと」

「なら私にお任せですぅ!」

 

 ユエとティオの推測を聞いたシアは、ピアニカソードを構えてリーダー格の魔物へと向かっていく。

 それを見ていた首領パッチと天の助は、後ろで嫌味を言っていた。

 

「あらやだあの子ったら、敵の数が減ったと思ったら急にイキりだしたわ」

「そんなにヒロインの座が欲しいのかしらねえ……」

「違います! 私も描写されてませんけど敵倒してました!!」

 

 シアがバカ二人に反論する中、ハジメはキョロキョロと辺りを見渡す。そしてハジメは、近くの崖の上に目的のものを見つけた。

 

「居た! 黒いローブの男だ!」

「何じゃと!?」

 

 そう。ハジメが探していたのは黒いローブの男だったのだ。

 ハジメの言葉を聞いて、ティオも男をすぐに見つけ、叫ぶ。

 

「間違いない! あやつが妾を洗脳した男じゃ!!」

「よーし、仕留めるぞ!」

 

 ティオの台詞と同時に、ハジメは走り出し、一旦ジャンプ。

 

「ところてんトランポリン!」

「ぎゃあ!!」

 

 そして天の助を踏み台にし、崖の上に届く位まで高く跳びあがってから、納豆を構える。それを見た黒いローブの男は逃げ出そうとするが、時すでに遅し。ハジメの射程圏内に入ってしまっていた。

 

「納豆真拳奥義、イタリア風トルコライス!!」

 

 そのまま納豆を顔面に叩きこみ、黒ローブの男は抵抗する術もなくそのまま気絶。

 ハジメは早速ローブの捲り顔を確認。

 そこにいたのは、行方不明と聞いていた清水幸利に、間違いなく他ならなかった。

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